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留学生のアルバイトと税金|源泉徴収・租税条約の免除・住民税と更新審査

留学生のアルバイト代にも、日本人の学生と同じく所得税と住民税がかかります。留学のために1年以上日本に住む予定の留学生は、入国した時点から所得税法上の「居住者」として扱われ、給与から源泉徴収され、年末調整や確定申告で精算します。例外は租税条約で免税が定められている国の留学生で、中国から来た大学生は、生活費や学費に充てる程度のアルバイト代が所得税の免税対象になります(国税庁 質疑応答事例「学生のアルバイト代」)。もう一つ、雇う側にも本人にも見落とされやすいのが、住民税の課税証明書が在留期間更新の審査で「週28時間を守っていたか」を確かめる資料として使われるという点です。

留学生のアルバイト代にかかる税金は所得税と住民税

留学生がアルバイトで得る給与にかかる税金は、所得税(復興特別所得税を含む)と住民税の2つです。どちらも国籍で免除されることはなく、日本で働いて得た給与であれば課税の対象になります。

所得税は、給与を払うたびに会社が天引き(源泉徴収)し、1年分をまとめて年末調整か確定申告で精算する「今年の税金」です。住民税は、1月1日に住民票がある市町村が前年1年分の所得に対して課税し、6月から翌年5月にかけて納める「去年の税金」です。住民税の仕組みと来日1年目がゼロになる理由は外国人の住民税はいつからかかる?来日1年目がゼロの理由と租税条約による免除で詳しく整理しています。

消費税は買い物のたびに払う税金で、アルバイト代とは関係がありません。留学生本人が確定申告の対象になりやすいのは、アルバイトを掛け持ちしている場合と、年の途中で辞めて年末調整を受けていない場合です。

留学生は入国時から「居住者」として源泉徴収を受ける

所得税法は、日本に住所がある人か、引き続き1年以上居所がある人を「居住者」とし、それ以外を「非居住者」としています。非居住者の給与は原則20.42%の税率で源泉徴収されるため、留学生がどちらに当たるかで手取りが大きく変わります。

留学生については、所得税基本通達3-2が「学術、技芸の習得のため国内に居住することとなった者」は、習得のために居住する期間、その地に職業を有するものとして住所の推定を行うと定めています。ここでいう住所の推定とは、在留予定期間が1年以上であれば、入国した日から国内に住所がある(居住者である)と推定する取扱いを指します。大学・大学院・専門学校のように修業年限が1年を超える課程に入学した留学生は、入国の日から居住者として扱うのが通常です。

実務上の結論は、ほとんどの留学生は日本人のアルバイトと同じ源泉徴収税額表で計算してよい、ということです。1年未満の短期の交換留学などで非居住者に当たる場合は20.42%の源泉徴収となり、扱いが大きく変わるため、在学期間を確認してから判断してください。

令和8年分は月額10万5千円未満なら源泉徴収0円

居住者の留学生の給与は、国税庁の「源泉徴収税額表」で税額を求めます。令和7年度税制改正で基礎控除が見直されたことに伴い、令和8年分の税額表は金額が変わりました。

区分 使う場面 令和8年分 月額表の最初の行
甲欄 「扶養控除等申告書」をその会社に出している(主たる勤務先) 社会保険料等控除後の給与が月105,000円未満なら税額0円
乙欄 申告書を出していない(掛け持ちの2か所目など) 105,000円未満でも給与の3.063%を源泉徴収

出典:国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表(月額表)」

甲欄で計算されるのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に提出している場合に限られます。この申告書は1か所にしか出せないため、2か所で働く留学生は、1か所が甲欄、もう1か所が乙欄になります。乙欄は税額0円の区分がなく、月3万円のアルバイトでも約900円が源泉徴収されます。

福岡県の最低賃金(2026年10月4日から1,114円)に近い時給1,120円で週28時間働いた場合、月の給与はおよそ13万6千円(1,120円×28時間×52週÷12か月、筆者試算)です。甲欄でも月10万5千円を超えるため、少額の源泉徴収が発生します。週20時間程度であれば月9万7千円前後で、甲欄なら源泉徴収は0円になります。

入社時に扶養控除等申告書を出してもらうのは会社の手続です。留学生は日本の書式に慣れていないため、未提出のまま乙欄で天引きされているケースが見られます。申告書は国外に住む親を扶養に入れる書類と誤解されやすいのですが、扶養親族がいなくても提出でき、提出すれば甲欄で計算されるという点を、採用時に説明しておくとトラブルを防げます。

年末調整と確定申告|天引きされた税金は戻ることが多い

12月の最後の給与を払う時点で在籍し、扶養控除等申告書を出している留学生には、会社が年末調整を行います。年末調整では1年分の給与から給与所得控除と基礎控除などを差し引いて年税額を計算し、天引き額との差額を精算します。

令和8年分の所得税では、給与所得控除の最低額が74万円、合計所得金額489万円以下の人の基礎控除が104万円に引き上げられています。給与収入だけの人であれば、年収178万円までは所得税がかからない計算になります(社会保険料控除などは別に加わります)。週28時間以内のアルバイトだけで年収178万円を超えることは多くないため、天引きされていた所得税は年末調整か確定申告でほぼ全額戻るのが通常です。

次の場合は会社の年末調整を受けられないため、本人が翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告をすれば、源泉徴収された税金が還付されます(還付申告は翌年1月1日から5年間提出できます)。

  • 年の途中でアルバイトを辞め、12月に在籍していない
  • 2か所で働き、乙欄の勤務先から源泉徴収票を受け取っている
  • 扶養控除等申告書を出していなかった

学業を終えて帰国する留学生が還付を受けたいときは、出国前に確定申告を済ませるか、納税管理人を定めて申告を任せることになります。会社にできる配慮は、退職時に源泉徴収票を速やかに渡すことです。

なお、勤労学生控除(27万円)は合計所得金額の上限と学校の種類に条件があります。大学・高専などは対象ですが、専修学校や各種学校は一定の要件を満たす課程に限られるため、日本語学校の在学者が受けられるかは学校に確認してください。

租税条約で所得税が免除される留学生と届出の期限

日本が結んでいる租税条約の中には、留学生が生計や教育のために受け取る給与を免税とする条項があります。どの国の留学生が、どの範囲で免税になるかは条約ごとに違います。

国税庁の質疑応答事例「学生のアルバイト代」(令和7年8月1日現在)は、中国とインドの大学生を例に、結論を次のように分けています。

  • 中国から来日した大学生:日中租税協定21条により、生計・教育のために受け取る給付または所得は免税。生活費や学費に充てる程度のアルバイト代が対象になる
  • インドから来日した大学生:日印租税条約20条の免税は国外から支払われるものに限られる。日本国内のアルバイト代は国外からの支払いではないため免税にならない

同じ事例は関係法令として日タイ、日インドネシア、日越、日マレーシアの各条約の学生条項も挙げています。多くの条約はインドと同じく「国外からの送金」だけを免税としており、日本でのアルバイト代まで免税にしている国は限られます。ベトナムやネパールなど留学生の多い国の条約で国内アルバイト代が免税になるかは、条文と所轄税務署で確認してください(公式資料では未確認)。日本語学校などの専修学校・各種学校の在学者については、国税庁の質疑応答事例「専修学校等の就学生に対する免税条項の適用の是非」が、そのことのみをもって租税条約の学生・事業修習者の免税条項は適用されないとしています。免税の対象は学校教育法1条の学校(大学など)の学生です。

免税を受けるには、留学生が「租税条約に関する届出書(教授等・留学生・事業等の修習者・交付金等の受領者の報酬・交付金等に対する所得税及び復興特別所得税の免除)」に在学証明書を付けて、アルバイト先を経由して、その会社の所轄税務署に提出します。提出期限は、入国後最初に給与の支払を受ける日の前日です(国税庁 A3-11)。勤務先ごとに提出が必要で、書面の場合は正副2部を作ります。

期限までに届出がなければ、会社は通常どおり源泉徴収します。その後に届出を出した場合、天引き済みの税金は税務署への還付請求で取り戻すことになります。

住民税は所得税の届出だけでは免除されない

租税条約の免税は所得税の手続です。住民税も条約で免除される場合がありますが、市町村に別の届出が必要です。神戸市は租税条約による住民税の免除について、毎年3月15日までに市へ届け出るよう案内し、「所得税の届出だけでは住民税の免除は受けられない」と明記しています(神戸市ウェブサイト、2026年2月3日更新)。福岡市など他の自治体でも届出先と期限は市町村ごとに決まっているため、住所地の市区町村の税務担当に確認してください。

留学生の住民税は、来日して最初の1月1日を迎えた年の6月から課税が始まります。アルバイトの年収が一定額を下回れば非課税になりますが、非課税となる金額は均等割と所得割で異なり、自治体の区分によっても違います。

アルバイト先が住民税を給与から天引き(特別徴収)していない場合、留学生の自宅に納付書が届き、本人が自分で納める普通徴収になります。この納付書を放置すると、滞納として記録が残ります。

課税証明書は更新審査で「週28時間」を確かめる資料になる

税金の話が在留資格に直結するのはここです。住民税の課税証明書には、前年1年間の給与収入の合計が記載されます。入管にとっては、留学生がどれだけ働いていたかを客観的に示す資料になります。

出入国在留管理庁の「提出書類一覧表<更新用>」(適正校の大学等、001463617)は、直近の更新申請の際に資格外活動許可に係る指導を受けている留学生について、次の書類の提出を求めています。

  • アルバイト期間が1年以上の場合:直近の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書
  • アルバイト期間が1年未満の場合:給与明細書の写し(預金通帳の写し等で代替可)

指導を受けていない留学生でも、審査の過程で資料提出を求められることがあります。追加資料の通知が届いたときの対応は入管から資料提出通知書が届いたらで解説しています。

課税証明書の年収から、週28時間を守っていたかはおおよそ逆算できます。時給1,120円で授業期間に週28時間、学則上の長期休暇(年10週と仮定)に1日8時間・週40時間まで働いたとしても、年収は180万円前後が上限の目安になります(筆者試算)。複数のアルバイト先の給与は住民税の課税証明書で合算されるため、1か所ごとには28時間を守っているつもりでも、合計では超えていることが数字に出ます。時間の数え方は留学生アルバイト週28時間の数え方|掛け持ち・長期休暇の1日8時間と証明方法で整理しています。

課税証明書は、卒業後に就労資格へ変更するときにも意味を持ちます。留学から技術・人文知識・国際業務への変更で、在学中のアルバイト時間の超過が問題になり不許可となる例は、入管庁の公表する不許可事例にも含まれています。変更申請の流れは留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイドで解説しています。

もう一つ注意したいのは、住民税の未納です。在留期間の更新では、納税義務の履行が「相当の理由」の判断要素の一つとして見られます。普通徴収の納付書を放置していた留学生が、更新の段階で未納を指摘されることがあります。審査での扱いは在留期間更新の「相当の理由」とはを参照してください。個別の更新が許可されるかは、出席状況や学業の状況も含めた事情で判断が変わります。

雇う会社が押さえておく手続

留学生をアルバイトとして雇う会社の税務上の手続は、日本人のアルバイトと基本的に同じです。違いが出るのは、租税条約の届出を受け付ける場面と、年の途中で辞める留学生が多い点です。

採用時には、扶養控除等申告書を受け取り、他にアルバイト先がないかを確認します。租税条約の対象国の留学生であれば、最初の給与日の前日までに届出書と在学証明書を受け取り、会社の所轄税務署へ提出します。免税の対象になるかを会社が判断できない場合は、本人に税務署で確認してもらうのが確実です。

年の途中で退職した留学生には源泉徴収票を渡し、翌年1月31日までに給与支払報告書を住所地の市町村へ提出します。この報告書が住民税の課税証明書の元データになるため、提出漏れがあると、本人が更新申請の際に正しい課税証明書を取れないことがあります。

よくある質問

外国人留学生がバイトをしたら税金はいくらかかりますか?

扶養控除等申告書を出した勤務先で、社会保険料等を引いた月の給与が105,000円未満であれば、源泉徴収される所得税は0円です(令和8年分 月額表甲欄)。申告書を出していない2か所目の勤務先では、給与の3.063%が天引きされます。年収178万円以下で給与収入だけであれば所得税はかからない計算になるため、天引きされた分は年末調整か確定申告で戻ります。住民税は来日後に初めて迎える1月1日の翌年度から、前年の年収に応じてかかります。

中国からの留学生は税金が免除されますか?

日中租税協定21条により、中国から来日した学生が生計や教育のために受け取るアルバイト代は、所得税の免税対象になります(国税庁 質疑応答事例)。免税を受けるには、最初の給与日の前日までに「租税条約に関する届出書」を在学証明書と一緒にアルバイト先経由で提出する必要があります。住民税の免除は別に市区町村へ届け出ます。

留学生も年末調整を受けられますか?

12月に在籍していて、扶養控除等申告書をその会社に出していれば、日本人と同じく年末調整を受けられます。年の途中で辞めた場合や掛け持ちで乙欄の勤務先がある場合は、翌年に確定申告をすれば還付を受けられます。

外国人留学生が奨学金をもらった場合、税金はかかりますか?

学資に充てるために給付される奨学金は、所得税法9条(非課税所得)により非課税です。租税条約でも、国外から送られてくる生計・教育のための給付は免税とされていることが多く、奨学金そのものに税金がかかることは通常ありません。

留学生が業務委託で報酬を受け取ってもよいですか?

税金の前に在留資格の問題があります。留学生の資格外活動許可は時間を管理できる雇用を想定しており、業務委託や個人事業としての活動は、時間の把握ができないことなどから問題になりやすい働き方です。留学ビザの就労制限は留学ビザの就労制限|風俗営業・業務委託・デリバリー配達はできるかで解説しています。

税金の書類は在留の記録として残る

留学生のアルバイトの税金は、金額だけを見れば小さな論点です。月10万円前後の給与であれば源泉徴収はほとんどかからず、天引きされた分も多くは戻ってきます。

筆者が留学生と会社の双方に伝えたいのは、税金の書類がそのまま在留の記録になるという点です。課税証明書に載る年収は、週28時間の上限を守っていたかを示す数字として更新や就労資格への変更の審査で読まれ、住民税の未納は公的義務の不履行として記録に残ります。会社は扶養控除等申告書と給与支払報告書を正しく出し、留学生は複数の勤務先の合計時間と住民税の納付書を自分で管理する。この2つがそろっていれば、税金が原因で在留に影響が出る場面は大きく減ります。

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