留学生のアルバイトの「週28時間」は、どの曜日を起点にしても、連続する7日間の労働時間の合計が28時間以内に収まっていることを意味します。会社の給与計算の週(月曜始まりなど)で28時間以内に見えても、別の曜日から数えて超えていれば違反です。例外は在籍する学校が学則で定める長期休業期間で、その間だけは1日8時間以内という別の物差しに切り替わります。
週28時間の根拠は入管法施行規則19条5項1号
留学生がアルバイトをするには、入管法19条2項の資格外活動許可が要ります。その許可の中身を定めているのが入管法施行規則19条5項1号で、条文は次のように書かれています。
一週について二十八時間以内(留学の在留資格をもつて在留する者については、在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは、一日について八時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(……風俗営業……が営まれている営業所において行うもの……を除き、留学の在留資格をもつて在留する者については教育機関に在籍している間に行うものに限る。)
この一文から、時間について読み取れるルールは4つあります。
- 通常の期間は、1週について28時間以内
- 長期休業期間は、1日について8時間以内(週の上限は条文にない)
- 長期休業期間かどうかは、在籍する学校の学則で決まる
- 教育機関に在籍している間に限る(退学・除籍後や卒業後は対象外)
在留カード裏面の資格外活動許可欄に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と書かれているのは、この条文を要約したものです。許可そのものの仕組みや、包括許可と個別許可の違いは、資格外活動許可の解説記事で別に整理しています。
ここで押さえておきたいのは、28時間が「勤務先ごと」の上限ではないという点です。包括許可は勤務先を特定せずに与えられる許可なので、アルバイト先が2か所、3か所あっても、許可は1つです。上限もその1つの許可に付いているため、すべての勤務先の時間を合算して28時間以内に収める必要があります。
「どの曜日から数えても28時間以内」が入管の物差し
条文は「一週について」としか書いていないため、何曜日から数えるのかは条文からは分かりません。この点について出入国在留管理庁は、日本語教育機関向けのQ&A(2026年5月19日現在)で、日々の資格外活動時間を把握したうえで「どの曜日から起算しても週28時間以内に収まっていること」を確認するよう求めています。
ここでいう「どの曜日から起算しても」とは、月曜〜日曜、火曜〜月曜、水曜〜火曜……と起点を1日ずつずらした7日間のすべてで、合計が28時間以内になっている状態を指します。言い換えると、任意の連続7日間の合計が28時間を超えてはいけない、ということです。
カレンダーで見る計算例
月曜始まりの給与計算では問題がないのに、入管の物差しでは超えてしまう典型例を、2週間のシフトで示します(時間は休憩を除いた実労働時間)。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 月曜始まりの週計 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1週 | 0 | 0 | 0 | 4 | 6 | 6 | 6 | 22時間 |
| 第2週 | 6 | 6 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 16時間 |
月曜始まりで数えると、第1週は22時間、第2週は16時間です。どちらも28時間以内に見えます。
ところが、第1週の木曜日から第2週の水曜日までの7日間を取ると、4+6+6+6+6+6+4=38時間になります。金曜日から翌木曜日までは34時間、土曜日から翌金曜日までなら28時間でぎりぎり収まりますが、木曜起点と金曜起点の7日間が28時間を超えているので、この2週間のシフトは週28時間の条件を満たしていません。
週の後半に勤務を寄せ、翌週の前半にも勤務を寄せると、給与計算上の週をまたいで勤務が固まります。土日と月火に入りたいという学生の希望はよくあるため、このパターンは現場で起きやすいと筆者は考えています。
実務での確かめ方は「直近7日間の合計」
すべての起点を毎回計算するのは手間に見えますが、確かめ方は単純です。シフトを1日追加するたびに、その日を含む直近7日間の合計と、その日を起点とする先7日間の合計を見ればよいからです。表計算ソフトなら、日ごとの労働時間を1列に並べ、隣の列に「その行を含む直前7行の合計」を出す式を入れておけば、28を超えた日が一目で分かります。
掛け持ちがある場合は、他社の時間もこの列に入れなければ意味がありません。他社のシフトは会社から見えないため、本人に申告してもらう仕組みが要ります。
掛け持ちは全勤務先の合算で数える
前述のとおり、上限は許可に付いています。A社で週16時間、B社で週14時間働けば合計30時間で、それぞれの会社から見れば28時間以内でも違反です。どちらの会社の責任かという問題とは別に、本人の資格外活動は許可の範囲を超えています。
会社が取れる手段は、本人の申告を書面で受けることです。採用時に他のアルバイト先の有無と週の勤務時間を書いてもらい、その後もシフトの変更があるたびに、または月に1回程度、申告を更新してもらいます。申告どおりに自社のシフトを調整した記録があれば、会社として注意を払っていたことを説明する材料になります。
入管法73条の2第2項は、不法就労助長罪について、外国人が許可の範囲を超えていることを「知らないことを理由として」処罰を免れることはできず、過失がないときに限って処罰されないと定めています。掛け持ちの確認をまったくしていない会社が「知らなかった」と言っても、過失がなかったとは言いにくいということです。採用時の手順全体は留学生アルバイトの雇用で確認すること|在留カード・週28時間の管理・届出で扱っています。
28時間に含まれる時間・含まれない時間
28時間は「報酬を受ける活動」の時間です。入管庁は、何を時間に含めるかを細かく定めた基準を公表していません。そのため、労働基準法上の労働時間(使用者の指揮命令下にある時間)を基準に数えるのが実務の通例です。
- 残業:含まれる。シフトが24時間でも、残業が5時間あれば29時間です
- 研修・ミーティング・制服への着替えを会社が義務付けている時間:労働時間に当たる限り含まれる
- 休憩時間:労働時間に当たらないため、通例は含めない。ただし入管庁が休憩の扱いを明示した資料は確認できていません(公式資料では未確認)
- 通勤時間:労働時間ではないため含めない
給与の支払い方で区別されるわけではありません。時給で払っていない研修時間も、指揮命令下にあれば労働時間です。反対に、給与明細に載っている時間が実態より短ければ、明細を根拠にしても安全にはなりません。入管は在留期間の更新で課税証明書や給与明細を確認し、収入額から逆算して時間の超過を疑うことがあるため、時給と収入の関係が不自然でないかも見られています。
長期休業期間は「1日8時間」に切り替わる
夏休み・冬休み・春休みなど、在籍する学校が学則で定める長期休業期間に入ると、上限は「1日について8時間以内」になります。条文には週の上限がないため、1日8時間の範囲であれば週28時間を超えて働けます。
ただし、労働基準法32条の法定労働時間(1週40時間・1日8時間)は別にかかります。入管法上は週の上限がなくても、1日8時間を7日続ければ56時間で、36協定を結んでいない会社では週40時間を超えさせられません。上位の解説記事が「長期休暇中は週40時間」と書いているのは、この労働基準法の上限を合わせた数字です。
休業期間の境目の週をどう数えるか
注意が必要なのは、休業期間の初日と最終日をまたぐ7日間です。休業期間に入った日から1日8時間の物差しに切り替わり、休業期間が終わった翌日から週28時間の物差しに戻ります。
問題は戻るときです。休業期間の最終週に1日8時間で5日働き、授業再開の週にも同じシフトを続けると、授業再開後の日を含む7日間の中で、休業期間外の日の時間が積み上がっていきます。どこまでを休業期間の勤務として数えるかについて入管庁は明示していません。そのため、筆者は、授業再開日を含む7日間の中の授業期間の日の勤務だけで28時間を超えないようにし、あわせて再開日の前日までにシフトを通常期に戻しておくことをお勧めしています。安全側に寄せるなら、授業再開の1週間前から通常期のシフトに移行する運用が確実です。
長期休業期間に当たらない日
長期休業期間は学則で決まるため、次のような日は当たりません。
- 祝日を挟む連休(ゴールデンウィークなど、学則上の休業期間でないもの)
- 授業のない曜日や、履修科目が少ない学期
- 本人の都合で授業を休んだ日、休講になった日
- 学則上の休業期間ではない試験期間後の空白期間
オンライン授業だけの週であっても、授業期間であれば週28時間の制限です。本人が「今週は授業がないから」と言っても、学則上の長期休業期間でなければ通常期の上限が適用されます。
長期休業期間を証明・確認する方法
入管法施行規則は「在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間」としか書いていないため、会社が休業期間を確かめる方法は学校が出している資料になります。確認の手段としては次の3つが考えられます。
1つは、学校が公表している学年暦(年間行事予定)です。大学の多くは、授業期間と休業期間を学年暦に載せています。例えば京都橘大学は、長期休暇は学則に定められた夏期・冬期・春期休暇中であり、授業期間は毎年前後するので学年暦で確認するよう学生に案内しています。同大学は休業期間の証明書を発行せず、学年暦を印刷して示すよう案内しています。
2つ目は、学校が発行する長期休業期間の証明書です。発行するかどうかは学校によって違うため、本人に在籍校の留学生担当窓口で確認してもらいます。
3つ目は、日本語学校の場合の休業期間の通知です。日本語教育機関は学期の区切りが大学と違い、夏休みが短い学校や、学期の間に1〜2週間の休みを置く学校もあります。この休みが学則上の長期休業期間に当たるかは、学校に確かめるほかありません。
会社としては、休業期間のシフトを組む前に、本人の在籍校と今年度の休業期間の日付を書面で出してもらい、写しを保管しておくのが確実です。学校ごとに日付が違うため、同じ職場に複数の学校の留学生がいれば、休業期間も人ごとに管理することになります。
2026年から学校側も時間を記録している
2026年4月10日、出入国在留管理庁は日本語教育機関に対し、3か月に1度、在籍する留学生から資格外活動許可の有無、すべての活動先の名称、活動の内容、毎日の活動時間を確認して記録するよう求めました。前述の「どの曜日から起算しても」という基準は、この運用のQ&Aの中で示されたものです。
この運用によって、留学生本人が学校に申告した時間と、会社が把握している時間が、学校と入管を通じて照らし合わされる可能性が出てきました。会社が週の区切りを月曜始まりでしか見ていないと、学校の記録と食い違う場面も起こりえます。会社の勤怠記録を「日ごと」に残しておくことが、後から説明を求められたときの支えになります。留学生を雇う会社が、ハローワークへの外国人雇用状況の届出を正しく出しておくことも、同じ意味で重要になります。届出の情報が入管の審査でどう使われるかは外国人雇用状況の届出とは?で解説しています。
28時間を超えたときに起きること
許可の範囲を超えて働いた場合、本人には次のような影響があります。
- 在留期間更新や、卒業後の就労資格への変更で、素行が消極的に評価される(更新の審査での扱いは在留期間更新の「相当の理由」とはを参照)
- 資格外活動の違反として、1年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(入管法73条)
- 報酬を受ける活動を「専ら行つていると明らかに認められる」場合は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(同法70条1項4号)と、退去強制事由(同法24条4号イ)
会社には、不法就労助長罪(入管法73条の2)が問題になります。現在の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、2027年4月1日からは5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられます。
違反が見つかるのは、多くの場合、在留期間の更新や就職時の在留資格変更の審査です。課税証明書の所得額と勤務先の数、給与支払報告書から、時間の超過が推測されます。出入国在留管理庁が公表する「在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例」にも、資格外活動許可を受けずに風俗営業店で長期間稼働していた人が、在留状況に問題があるとして在留資格の変更を認められなかった事例(事例7)が載っています。在学中の働き方は、卒業後の就職のときにまとめて問われるということです。変更申請の流れは留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイドで解説しています。
よくある質問
留学生が春休みにアルバイトできる時間は?
春休みが在籍する学校の学則で定める長期休業期間であれば、1日8時間以内です。入管法上は週の上限がありませんが、労働基準法の週40時間の上限は別にかかります。春休みの始まりと終わりの日付は学校ごとに違うので、学年暦で確かめてからシフトを組んでください。
留学生のアルバイトは冬休みも週28時間までですか?
冬休みが学則上の長期休業期間であれば、週28時間ではなく1日8時間以内の物差しになります。年末年始の数日しか休業期間を定めていない学校もあるため、冬休みとして扱える日数は学校によって大きく違います。
留学生のアルバイト28時間の計算方法は?
日ごとの実労働時間を記録し、どの日を起点にしても連続する7日間の合計が28時間以内になっているかを確かめます。月曜始まりの週だけを見る方法では足りません。掛け持ちがあれば他社の時間も足します。
留学生のアルバイトは1日何時間までできますか?
通常の期間は、入管法上は1日の上限がなく、週28時間以内であれば1日の時間は自由です。ただし労働基準法により、1日8時間を超えるには36協定と割増賃金が必要です。長期休業期間は入管法上も1日8時間以内です。
留学生が22時以降にアルバイトをしたらどうなりますか?
入管法には、働く時間帯の制限はありません。22時以降の勤務は、労働基準法上の深夜業として割増賃金の対象になり、18歳未満であれば原則として禁止されます。時間帯よりも、深夜勤務のある業態が風俗営業等に当たらないかのほうが、入管法上は問題になります。業種の制限は留学ビザの就労制限|風俗営業・業務委託・デリバリー配達はできるかで扱います。
シフト表の「週」を入管の週に合わせる
週28時間のルールで違反が生まれるのは、多くの場合、会社の週と入管の週がずれているときです。会社の勤怠や給与計算は月曜始まりや締め日単位で動いており、それ自体を変える必要はありません。変えるべきなのは、留学生のシフトを確認するときの見方です。
判断の軸として、次の3つを勤怠の仕組みに入れておくことをお勧めします。1つは、日ごとの労働時間を記録し、直近7日間の合計が28時間を超えないかを見ること。2つ目は、掛け持ち先の時間を本人の申告で定期的に取り込むこと。3つ目は、在籍校の長期休業期間の日付を人ごとに書面で受け取り、休業期間の最終週に通常期のシフトへ戻すことです。個別の勤務形態によって判断が変わることがあるため、迷う場合は勤務を始める前に専門家に相談してください。
根拠資料
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法 第19条・第70条・第73条・第73条の2(e-Gov法令検索)
- 「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について(出入国在留管理庁)
- 資格外活動許可について(出入国在留管理庁)
- 日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについて(出入国在留管理庁・2026年4月10日)
- 日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについてのQ&A(出入国在留管理庁・2026年5月19日現在)
- 在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例について(出入国在留管理庁)
- 保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。