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資格外活動の個別許可とは|留学生の有償インターン・業務委託の場合

資格外活動の個別許可とは、地方出入国在留管理局長が、活動を行う機関の名称・所在地・業務内容などを定めて個々に指定する資格外活動許可です(入管法施行規則19条5項3号)。週28時間以内であれば勤務先を問わない包括許可と違い、許可された活動先と業務の範囲でしか働けません。留学生であれば、週28時間を超える有償インターンシップ、稼働時間を客観的に確認しにくい業務委託や個人事業、起業に向けた準備活動が、この個別許可の対象になります。

個別許可は「活動先と業務を特定する」許可

資格外活動許可の根拠は入管法19条2項で、法務大臣は、在留資格に属する活動の遂行を妨げない範囲内で相当と認めるときに、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動を許可することができます。許可には条件を付けることができ、その条件の中身を定めているのが施行規則19条5項です。

同項は、新たに許可する活動の内容を次の3つのいずれかとしています。

  1. 1週28時間以内(留学生は長期休業中は1日8時間以内)の、風俗営業等の営業所以外で行う活動(1号・包括許可)
  2. 地方公共団体等と雇用契約を結んでいる教育・技術・人文知識・国際業務・技能(スポーツ指導)の人が行う、1週28時間以内の一定の活動(2号)
  3. 前2号のほか、地方出入国在留管理局長が、活動を行う本邦の公私の機関の名称及び所在地、業務内容その他の事項を定めて個々に指定する活動(3号)

この3号が個別許可です。出入国在留管理庁の「資格外活動許可について」は、包括許可の範囲外の活動の申請があった場合や、就労資格を持つ人が他の就労資格に該当する活動を行う場合に、個別に審査して許可するとし、例として次の3つを挙げています。

  • 留学生が就業体験を目的とするインターンシップに従事するとして、週28時間を超える資格外活動に従事する場合
  • 「教授」の在留資格の人が、民間企業で語学講師として稼働する場合
  • 個人事業主として活動する場合

包括許可と個別許可の全体の違いは資格外活動許可とは?包括許可・個別許可の違いと企業の確認点で整理しています。本記事は、留学生の有償インターンと雇用契約以外の働き方に絞って、個別許可の使いどころを説明します。

許可書に活動先が書かれる

個別許可を受けると、別記第29号様式の資格外活動許可書が交付され、在留カード裏面の資格外活動許可欄には「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」と記載されます。受入れ企業が確認すべきなのは在留カードだけでなく、許可書に書かれた機関名と業務内容が自社と一致しているかです。同じ留学生が別の会社で同じ業務をする場合でも、許可書の機関と違えば許可の範囲外になります。

個別許可が必要になる4つの場面(留学生の場合)

出入国在留管理庁の「『留学』の在留資格に係る資格外活動許可について」は、包括許可とは別に個別許可が必要な場面を示しています。

場面 入管庁の記載の要旨
週28時間を超えるインターンシップ 単位を取得するために必要な実習など、専攻科目と密接な関係がある場合等
雇用契約以外で稼働時間が不明確な活動 個人事業主等として活動する場合など、客観的に稼働時間を確認することが困難な活動
業務委託・請負 標準的に従事することとなる労働時間が明確でない場合
起業準備 本邦での起業を目的とした準備活動

同ページは、包括許可と個別許可の両方を受けることもできるとしています。コンビニのアルバイトを包括許可で続けながら、翻訳の業務委託を個別許可で受ける、という組み合わせが可能です。両方を持つ場合に時間をどう合算して見るかは同ページに明記がなく、包括許可の週28時間の範囲と個別許可の活動時間が合わせて学業を妨げない程度か、という一般原則で判断されると考えられます(公式資料では未確認)。

留学生の有償インターン|28時間以内なら包括許可、超えるなら個別許可

ここでいう有償インターンとは、企業が留学生に報酬を払って就業体験をさせることを指します。報酬を受ける以上、資格外活動許可が必要です。ただし、どの許可が要るかは時間で分かれます。

週28時間以内に収まるインターンは、包括許可の範囲内です。包括許可を持つ留学生であれば、追加の申請はいりません。長期休業中なら1日8時間以内まで働けます。

週28時間を超えるインターンは個別許可になり、対象者が限られます。入管庁のページは、対象を、大学(短期大学を除く)に在籍し、インターンシップを行う年度末で修業年度を終える人で、かつ卒業に必要な単位をほぼ修得している人としています。想定されているのは、卒業に必要な単位の9割以上を取っている大学4年生、大学院であれば修士2年生・博士3年生です。専門学校生と、1〜3年生の大学生は、この枠組みでは週28時間を超えるインターンの対象になりません。

採用予定の留学生に入社前の研修を兼ねて長時間のインターンをさせたい、という相談は多いのですが、この条件を知らずに雇用契約を結ぶと、包括許可の範囲を超えた就労になります。卒業年度の学生であっても、許可を受ける前に28時間を超えて働かせれば、本人は資格外活動違反、企業は不法就労助長罪の問題になります。

就職が内定した留学生が卒業後、就労資格への変更を待つ間の就労は別の制度です。入管庁は、内定者向けの特定活動(内定から採用までの滞在)の場合、資格外活動は週28時間以内とし、内定先等でのインターンシップは28時間を超える許可も可能としています。卒業前か後かで使う制度が変わる点に注意が必要です。

報酬のないインターンは資格外活動許可が要らない

資格外活動許可が必要なのは、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動です。報酬を受けない就業体験は、そもそも許可の対象外です。問題になるのは、交通費や昼食代の支給が報酬に当たるかどうかで、実費の範囲を超える一律の手当は報酬と見られる可能性があります。実費支給と報酬の線引きを示した一次資料は確認できておらず(公式資料では未確認)、判断に迷う支給は申請前に入管へ照会するのが確実です。

海外の大学に在籍する学生を日本に呼んでインターンをさせる場合は、資格外活動許可の話ではなく、入国時の在留資格の選び方の問題になります。報酬があれば特定活動(告示9号)、報酬がなく90日を超えるなら文化活動、90日以内なら短期滞在です。告示9号の要件は特定活動9号(インターンシップ)とは|海外大学生を受け入れる要件・人数枠・必要書類で扱います。

業務委託・個人事業|契約の名前でなく「時間が数えられるか」で決まる

留学生との業務委託でよくある誤解は、雇用契約でなければ資格外活動許可はいらない、あるいは業務委託なら必ず個別許可が要る、というものです。入管庁の基準は、どちらでもありません。標準的に従事する労働時間が明確かどうか、客観的に稼働時間を確認できるかどうかで分かれます。

契約書に「1回4時間、週2回」と従事時間が定められ、作業記録も残る業務委託は、労働時間が明確なので包括許可の範囲で扱えます。成果物の納品で報酬が決まる翻訳やデザイン、作業時間を本人が決めるプログラミングの受託、ネット販売のような個人事業は、時間を数えにくい典型で、個別許可が必要になります。フードデリバリーの配達員もこの論点に当たります。詳しい当てはめは留学ビザの就労制限|風俗営業・業務委託・デリバリー配達はできるかで説明しています。

就労資格で働く会社員の副業も、個別許可が問題になる場面です。技術・人文知識・国際業務の人が同じ在留資格の範囲の業務を別の会社で行うなら許可は不要ですが、在留資格の範囲外の活動をするなら個別許可が要ります。会社員の副業の考え方は技術・人文知識・国際業務の外国人はアルバイト・副業できる?資格外活動許可を解説で整理しています。

留学生の起業準備と個別許可

入管庁は「本邦での起業を目的とした準備活動」を個別許可の対象に挙げています。会社設立の準備として、市場調査のために報酬を受けて試験的に販売する、事業計画に沿って準備段階の事業を行う、といった活動が想定されます。同ページには、許可される時間の上限や事業計画の要件は示されていません。在学中の起業準備は、あくまで留学の活動を妨げない範囲で認められるものなので、実際には学業との両立が審査の中心になるはずです。

卒業後に本格的に起業する場合は、資格外活動の問題ではなく、経営・管理への在留資格変更、あるいは自治体の起業支援制度と連動した特定活動の問題になります。福岡市の制度は福岡市スタートアップビザとは?経営管理ビザへの切替えと2025年改正後の資本金要件で解説しています。

個別許可の申請書類と審査の見方

申請書は別記第28号様式の資格外活動許可申請書で、施行規則19条1項は、申請書のほかに「当該申請に係る活動の内容を明らかにする書類」と参考となる資料の提出を求めています。留学生の個別許可について入管庁のページが挙げる書類は次のとおりです。

  1. 資格外活動許可申請書
  2. 活動予定機関が作成した資格外活動について証明する文書、又は活動予定機関との契約書
  3. 在学証明書(大学生・大学院生)
  4. 卒業に必要な単位数とその修得状況が確認できる文書(週28時間を超えるインターンの場合)
  5. 活動の内容・時間・報酬を説明する文書(任意様式)

添付資料で筆者が重視しているのは5番の説明書です。業務委託や個人事業の場合、審査する側が知りたいのは、何を・どのくらいの時間・いくらで行い、それが学業にどう影響しないかです。契約書だけでは時間の見込みが読み取れないことが多いため、1週間あたりの想定作業時間、納期と作業量の関係、報酬の計算方法を具体的に書いておくと、審査で問い合わせを受ける場面が減ります。インターンの場合は、受入れ企業が作成する証明書に、期間、1日・1週の勤務時間、業務内容、報酬額、専攻との関係、指導担当者を入れておくと、入管庁が挙げる「専攻科目と密接な関係」を示しやすくなります。

審査は、資格外活動許可の一般原則(在留資格の活動を妨げないこと、現に在留資格の活動を行っていること、申請の活動が別表第一の在留資格の活動に当たること、法令違反・風俗営業等でないこと、収容令書の発付等を受けていないこと、素行が不良でないこと、契約機関の同意)に適合しているかで行われます。個別許可であっても、一般原則のどれかを欠けば許可されません。出席率が低い留学生は2つ目の要件で、業務の中身が単純作業ばかりのインターンは専攻との関係で、それぞれ説明を求められやすくなります。

手数料はかかりません。標準処理期間は2週間から2か月です。オンライン申請は、在留資格変更・在留期間更新・在留資格取得の申請と同時に行う場合に限られるため、個別許可を単独で申請するときは窓口になります。受入れ企業の職員が申請等取次者として承認を受けていれば、本人に代わって申請書を提出することもできます(施行規則19条3項)。

よくある質問

資格外活動の個別許可とは?

地方出入国在留管理局長が、活動を行う機関の名称・所在地・業務内容などを定めて個々に指定する資格外活動許可です(施行規則19条5項3号)。許可書に書かれた機関と業務の範囲でだけ働けます。留学生の週28時間を超えるインターンや、稼働時間が明確でない業務委託、就労資格の人の副業などが対象です。

包括許可を持っていても個別許可は必要ですか?

包括許可の範囲(週28時間以内、稼働時間が明確な活動)を超える活動をするなら必要です。入管庁は、包括許可と個別許可の両方を受けることもできるとしています。

留学生に週28時間を超えてインターンをさせられますか?

大学(短期大学を除く)に在籍し、その年度末で修業年度を終える学生で、卒業に必要な単位をほぼ修得している人が、専攻と密接な関係のあるインターンを行う場合に、個別許可を受ければ可能です。許可を受ける前に28時間を超えて働かせることはできません。

無報酬のインターンにも資格外活動許可は必要ですか?

報酬を受けない活動は資格外活動許可の対象外なので、許可はいりません。交通費などの実費を超える手当を支給すると報酬と見られる可能性があるため、支給の内容は事前に整理してください。

個別許可の審査にはどれくらいかかりますか?

標準処理期間は2週間から2か月です。インターンの開始日が決まっている場合は、開始の2か月前には申請できるよう、受入れ企業の証明書を早めに用意してください。

受入れ企業が最初に確かめるべきこと

留学生に報酬を払って働いてもらう企業が確かめる順番は、時間、契約の形、許可書の3つです。週28時間以内で時間が数えられる働き方なら包括許可で足ります。28時間を超える、あるいは時間を数えられない働き方をさせるなら、個別許可を取ってからでなければ始められません。個別許可を取った後は、許可書の機関名と業務内容の範囲に仕事を収めることが企業の側の責任になります。

有償インターンを採用選考の一部として組み込む企業は、募集の段階で対象学年を卒業年度の学生に絞るか、28時間以内のプログラムとして設計するかを決めておくと、入管手続で計画が崩れることがありません。インターン期間の経験が就労ビザの実務経験に数えられるかは別の論点で、就労ビザの実務経験年数の数え方|アルバイト・インターンは職歴に入るかで扱っています。許可されるかどうかは個別の事情で判断が変わるため、業務委託の時間の見込みや起業準備の内容に不安がある場合は、申請前に専門家へ相談してください。

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