特定活動9号(インターンシップ)とは、海外の大学に在籍する学生が、大学の教育課程の一部として、日本の企業などから報酬を受けて行うインターンシップのための在留資格です。期間は1年を超えず、かつ通算して大学の修業年限の2分の1を超えない範囲に限られ、大学と受入れ企業との契約と、単位の取得など学業として評価される仕組みが前提になります。報酬を払わないなら「短期滞在」や「文化活動」、大学の休暇中に3か月以内で働くなら「サマージョブ」(特定活動12号)と、条件によって使う在留資格が変わります。受入れ企業の立場から、告示の文言と出入国在留管理庁のガイドラインに沿って要件を整理します。
特定活動9号は「報酬のある」インターンシップの在留資格
特定活動9号の根拠は、特定活動告示(平成2年法務省告示第131号)の9号です。条文は、外国の大学の学生が「当該教育課程の一部として、当該大学と本邦の公私の機関との間の契約に基づき当該機関から報酬を受けて、一年を超えない期間で、かつ、通算して当該大学の修業年限の二分の一を超えない期間内当該機関の業務に従事する活動」と定めています。
条文から読み取れる要件を分けると、次の4つになります。
- 外国の大学の学生であること(学位が授与される課程に在籍し、通信教育の課程は除く)
- 大学の教育課程の一部として行うこと
- 大学と受入れ機関との契約に基づくこと
- 期間が1年以内で、通算して修業年限の2分の1以内であること
そのうえで、報酬を受けて受入れ機関の業務に従事することが、この号の特徴です。特定活動の在留資格全体の仕組みと、告示の号ごとの就労の可否は特定活動ビザとは?告示・告示外の種類一覧と就労できる号・できない号で扱っています。
実務の解釈は、出入国在留管理庁が令和2年5月に策定した「外国の大学の学生が行うインターンシップに関するガイドライン」で示されています。ガイドラインはインターンシップの基本的な考え方を「学生が在学中に企業等において自らの専攻及び将来のキャリアに関連した実習・研修的な就業体験を行うもの」と説明しており、受入れ企業の人手を補う手段としての利用は想定されていません。
報酬と期間で変わるインターンシップの在留資格
海外の大学生を受け入れるとき、最初に決めるべきなのは報酬の有無と期間です。出入国在留管理庁の案内を整理すると、次のようになります。
| 報酬 | 期間・時期 | 在留資格 |
|---|---|---|
| あり | 1年以内・修業年限の2分の1以内、教育課程の一部 | 特定活動(告示9号・インターンシップ) |
| あり | 大学の授業がない期間(夏休みなど)で3か月以内 | 特定活動(告示12号・サマージョブ) |
| なし | 90日を超える | 文化活動 |
| なし | 90日以内 | 短期滞在 |
9号と12号の違いは、学業との関係にあります。9号は教育課程の一部として単位などで評価されるものですが、12号は「その学業の遂行及び将来の就業に資するもの」として、大学が指定した業務に授業のない期間だけ従事するもので、単位の取得までは求めていません。そのかわり12号は3か月以内に限られ、在留期間の更新も認められません。国際文化交流(告示15号)と同じく、休暇中の短期の受入れを想定した号です。
無報酬の場合は就労に当たらないため、90日以内なら短期滞在で受け入れられます。ただし交通費や滞在費の支給が実費の範囲を超え、実質的に労働の対価になっていると判断されれば報酬として扱われ、短期滞在では認められません。どこまでが実費として扱われるかは名目より実態で判断され、個別の事情で判断が変わる部分です(公式資料では未確認)。
すでに日本に「留学」で在留している学生がインターンシップをする場合は、特定活動へ変更せず、資格外活動許可で対応します。報酬があって週28時間以内なら包括許可、週28時間を超えるなら個別許可が必要で、個別許可は卒業に必要な単位をほぼ取得しているなどの条件があります。資格外活動許可の種類は資格外活動許可とは?包括許可・個別許可の違いと企業の確認点で整理しています。
対象となる学生の要件
外国の大学の学生であること
対象は、外国の大学で、卒業または修了をした者に学位が授与される教育課程に在籍する学生です。通信による教育の課程に在籍する人は除かれます。ガイドラインは、日本に入国する時点で18歳以上であることも求めています。
「在籍」が要件なので、すでに卒業した人や、インターンシップの期間中に卒業を迎える人は対象になりません。卒業後の人を受け入れるなら、技人国などの就労資格を検討することになります。
修業年限の2分の1という上限
期間の上限は、1年と「通算して修業年限の2分の1」の2つで、短いほうが適用されます。4年制大学の学生なら修業年限の2分の1は2年なので、実際の上限は1年です。2年制の課程なら2分の1は1年、1年制の修士課程なら6か月が上限になります。
「通算して」とあるため、過去に9号でインターンシップをしたことがある学生は、その期間も合算されます。申請書類に過去のインターンシップの在留歴を明らかにする資料(ない場合はその旨の書面)が含まれているのは、この通算を確認するためです。
教育課程の一部であること
ガイドラインは、インターンシップが「大学において学業の一環として適正に評価されることが必要」とし、大学での単位科目と取得単位数、または卒業要件が明確であることを求めています。大学の承認書や推薦状、単位取得など教育課程の一部であることを証明する資料を出すのはこのためです。
大学が「行ってよい」と認めているだけで、単位にも卒業要件にもつながらないインターンシップは、教育課程の一部とはいえません。受入れ企業は、協定の段階で大学側の単位認定の仕組みを確認しておく必要があります。
受入れ企業に求められる体制
ガイドラインは、受入れ機関に「産学連携による人材育成の観点を見据えた広い見地からの対応」を求め、体制について具体的な要件を置いています。
大学との契約に書く事項
大学と受入れ機関との契約には、インターンシップの目的、大学における単位科目と取得単位数、期間、報酬とその支払方法、控除する費目と金額、保険の内容と負担者、旅費の負担者、大学への報告、契約の解除の要件などを定めます。報酬については、時給・日給・月給の別と金額、銀行振込か現金支給かを明確にする必要があります。
インターンシップ責任者と指導員
受入れ機関は、常勤の役員または職員の中からインターンシップ責任者を選任します。責任者が統括するのは、大学との契約、実施計画の作成と評価、受入れの準備、生活支援と保護、労働条件・安全衛生、相談・苦情への対応、出入国在留管理官署などとの連絡調整の7つです。
実際の指導に当たるインターンシップ指導員は、インターンシップ生が働く事業所に所属する常勤の役員または職員で、その業務について1年以上の経験を持つ人でなければなりません。受入れ機関は、実施状況と評価結果の報告書を作り、終了後少なくとも3年間保存することとされています。
受入れ人数の目安
ガイドラインは、事業所の常勤職員数に応じた受入れ人数の目安を示しています。
| 常勤職員数 | 受入れ人数の目安 |
|---|---|
| 301人以上 | 常勤職員数の20分の1 |
| 201人〜300人 | 15人 |
| 101人〜200人 | 10人 |
| 100人以下 | 5人(常勤職員数を超えない) |
同じ事業所に第1号技能実習生がいて、インターンシップ生との合計がこの目安を超える場合は、技能実習の適正な実施を妨げないよう、指導体制やカリキュラムが整っていることを明らかにする必要があります。
過去の法令違反と仲介事業者
受入れ機関とその役員、インターンシップ責任者、指導員は、過去5年以内に出入国または労働に関する法令に違反していないことが求められます。海外の大学との間に仲介事業者が入る場合は、その事業者にも、支援業務を適切に行う能力があること、人権侵害行為をしていないこと、過去5年以内の法令違反がないこと、費用をインターンシップ生に転嫁しないことなどが求められ、仲介事業者が不適切であることを理由に不交付となる場合もあります。
業務内容と労働関係法令
ガイドラインは、大学生に求められる知識や教養の向上に役立つとは認められない「同一の作業の反復に主として従事するもの」を認めていません。製造ラインでの単純な組立て、倉庫での仕分けだけを担当させる計画は、インターンシップとは評価されません。一方で、単純な作業を一切含んではならないという意味ではなく、実施計画全体として専攻やキャリアに関連した就業体験になっているかが見られます。
インターンシップ生と受入れ機関との間に使用従属関係が認められる場合は、最低賃金法、労働基準法などの労働関係法令を守る必要があります。報酬は最低賃金以上でなければならず、労働時間や休日、割増賃金も日本人の労働者と同じ基準で扱います。夜勤やシフト制の勤務を予定するときは、その必要性と夜間の指導体制を明らかにすることが求められています。
報酬を受けて働く以上、雇用関係がある場合はハローワークへの外国人雇用状況の届出も必要です。届出の仕組みは外国人雇用状況の届出とは?で解説しています。
申請の流れと必要書類
海外にいる学生を受け入れるときは、受入れ機関の職員などが代理人となって、在留資格認定証明書の交付を申請します。出入国在留管理庁が示す提出書類は次のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請書、写真、返信用封筒
- 申請人の在学証明書
- 外国の大学と受入れ機関との契約書の写し
- 大学からの承認書・推薦状
- 単位取得など教育課程の一部であることを証明する資料
- 日本での活動内容、期間、報酬などを記載した資料
- 過去のインターンシップの在留歴を明らかにする資料(ない場合はその旨の書面)
- 大学の修業年限を明らかにする資料
- ガイドラインの規定項目に係る説明書
書類がそろっていないと審査が大幅に遅れるか、不利益な処分になることがあると案内されています。外国語の書類には訳文を付け、日本で発行される証明書は発行から3か月以内のものを出します。
在留期間の更新は、インターンシップの活動を続ける場合に限って認められます。ただし更新しても、1年と修業年限の2分の1という上限は超えられません。インターンシップを終えた学生が卒業後に同じ企業へ就職する場合は、改めて技人国などの在留資格を取得します。インターンシップでの就業経験が就労ビザの実務経験に数えられるかは就労ビザの実務経験年数の数え方|アルバイト・インターンは職歴に入るかで扱っています。
よくある質問
インターンシップビザとは何ですか?
一般に、海外の大学生が日本の企業で報酬を受けて行うインターンシップのための在留資格「特定活動(告示9号)」を指します。「インターンシップビザ」という名称の在留資格はなく、報酬の有無と期間によって、特定活動9号・12号、文化活動、短期滞在を使い分けます。
インターンシップビザの必要書類は?
在学証明書、大学と受入れ機関との契約書の写し、大学の承認書・推薦状、単位取得など教育課程の一部であることを証明する資料、活動内容・期間・報酬の資料、過去のインターンシップの在留歴の資料、修業年限の資料、ガイドライン項目の説明書などです。
特定活動ビザのインターンシップの期間は?
1年を超えない期間で、かつ通算して大学の修業年限の2分の1を超えない期間です。4年制大学の学生なら上限は1年、1年制の課程なら6か月になります。
ビザなしでインターンシップに参加できますか?
報酬を受けない90日以内のインターンシップであれば、短期滞在(査証免除国の国籍者なら査証なし)で参加できます。報酬を受ける場合や、無報酬でも90日を超える場合は、特定活動9号や文化活動の在留資格が必要です。
サマージョブ(特定活動12号)と9号はどう違いますか?
12号は大学の授業がない期間に3か月以内で、大学が指定した業務に報酬を受けて従事するもので、単位の取得は要件にならず、更新もできません。9号は教育課程の一部として単位などで評価されるもので、1年以内・修業年限の2分の1以内の範囲で更新もできます。
採用の前段階として設計する
特定活動9号は、報酬を払って海外の学生に日本での実務を経験させられる、数少ない在留資格です。その分、大学との契約、単位の認定、指導員の配置、人数の目安、報告書の保存と、受入れ企業が用意すべきものは多く、短期の人手として使う発想では要件を満たせません。
筆者は、9号を卒業後の採用につなげる前段階として設計するのが、受入れ企業にとって最も筋のよい使い方だと考えています。専攻に関連した業務で実施計画を組み、指導員が評価を残しておけば、学生にとっては就職先を知る機会になり、企業にとっては卒業後に技人国で採用するときの業務内容の説明にも使えます。まず協定先の大学が単位を認める仕組みを持っているかを確かめ、そのうえで実施計画と人数を決めていく順番をお勧めします。卒業後の採用に進む場合の在留資格の選び方は外国人採用の方法|国内在住者・留学生・海外人材の採用ルートとビザの選び方で整理しています。
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根拠資料
- 特定活動告示(平成2年法務省告示第131号、最近改正令和8年4月8日法務省告示第31号)9号・12号・15号(出入国在留管理庁)
- 「特定活動」(告示9号)インターンシップガイドライン(出入国在留管理庁)
- 外国の大学の学生が行うインターンシップに関するガイドライン(出入国在留管理庁・令和2年5月策定)
- 在留資格「特定活動」(インターンシップ・サマージョブ・国際文化交流)(出入国在留管理庁)
- インターンシップに関する在留資格の案内(出入国在留管理庁)
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