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内定待機の特定活動とは|卒業から入社日まで日本に残る要件と企業の誓約書

内定待機の特定活動とは、日本の大学や専門学校を卒業した留学生が、就職先から内定を得たものの入社日までに期間が空く場合に、その期間だけ日本に滞在するために「留学」から変更する在留資格「特定活動」のことです。要件は、内定後1年以内かつ卒業後1年6月以内に採用されること、採用後の仕事が「技術・人文知識・国際業務」など就労資格に該当する見込みがあること、在留状況に問題がないこと、そして内定先の企業が「少なくとも3か月に1回の連絡」と「内定取消し時の入管への連絡」を誓約することです。留学生本人の手続に見えますが、誓約書を書くのは企業であり、企業が動かなければ成立しない制度です。

内定待機の特定活動が必要になる場面

出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q43は、この取扱いの趣旨を次のように説明しています。留学生が教育機関を卒業すると「留学」の在留資格に該当しなくなり、在留期間を更新して在留を続けることは認められない。一方で、日本では入社時期が4月とされることが多く、秋に卒業した場合は内定を得ても翌年4月まで就職できないことが少なくない。そこで、一定の場合に、採用までの間(内定後1年以内であって卒業後1年6月を超えない期間に限る)「特定活動」への変更を認める、という整理です。

典型的なのは次の3つの場面です。

  • 9月に大学・大学院を卒業し、翌年4月に入社する
  • 3月に卒業したが、入社日が10月など年度の途中に設定されている
  • 卒業後に継続就職活動の特定活動で就職活動をしていて、内定は出たが入社までに数か月ある

逆に、3月卒業・4月1日入社のように卒業と入社がほぼ連続している場合は、卒業前に「技術・人文知識・国際業務」などへの変更申請を出し、入社に合わせて許可を受けるのが通常の流れで、内定待機の特定活動を挟む必要はありません。留学から就労資格への変更の流れは留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイドで解説しています。

ここで問題になるのが「留学の在留期限がまだ残っているから、そのまま入社日まで待てばよい」という誤解です。在留カードの期限が残っていても、卒業して教育機関に在籍しなくなった時点で、留学の活動はしていないことになります。留学生の資格外活動の包括許可も、Q&A Q45のとおり教育機関に在籍している間に限り有効で、卒業後はアルバイトもできません。入管法22条の4第1項6号は、在留資格に応じた活動を正当な理由なく3か月以上行わないで在留していることを取消事由としています。卒業から入社まで3か月以上空くなら、何もしないまま待つことはできないと考えてください。

要件は5つ|入管庁が示す内容

出入国在留管理庁の案内「大学又は専門学校の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在を御希望のみなさまへ」は、要件を次の5つとしています。

  1. 本邦の教育機関を卒業したこと又は教育機関の課程を修了したこと
  2. 内定後1年以内であって、かつ、卒業後1年6月以内に採用されること
  3. 企業等において従事する活動が「技術・人文知識・国際業務」等就労に係るいずれかの在留資格への変更が見込まれること
  4. 内定者の在留状況に問題がないこと
  5. 内定者と一定期間ごとに連絡をとること、内定を取り消した場合は遅滞なく地方出入国在留管理局に連絡することについて内定先の企業が誓約すること

対象者は、在留資格「留学」で在留する人と、継続就職活動のための「特定活動」で在留する人です。

「内定後1年以内・卒業後1年6月以内」の数え方

2つ目の期間要件は、2つの条件の両方を満たす必要があります。たとえば2026年9月に卒業し、2026年11月に内定、2027年4月1日入社なら、内定から約5か月、卒業から約7か月で、どちらの条件も満たします。

判断が分かれやすいのは、継続就職活動の特定活動を経た場合です。2026年3月に卒業し、1年近く就職活動を続けて2027年2月に内定、入社が2027年10月1日という例では、内定から8か月で1年以内ですが、卒業から1年6月の上限(2027年9月)を超えるため要件を満たしません。就職活動の期間が長かった人ほど、入社日の設定に余裕がなくなります。

採用後の仕事が就労資格に当たること

3つ目の要件は、入社後の仕事がそのまま就労資格の許可を受けられる内容であることを求めています。Q&A Q43は、採用後に従事する活動が就労に係る在留資格に該当し、かつその在留資格の基準に適合していることを条件として挙げています。内定待機の申請の段階で、実質的には技術・人文知識・国際業務などの審査の見通しが立っている必要があるということです。

大卒で飲食店・小売の現場を含む職務に就く場合は、「技術・人文知識・国際業務」ではなく特定活動46号(本邦大学卒業者)への変更が見込まれるケースもあります。46号の要件は特定活動46号とは?を参照してください。

日本語教育機関の卒業者は対象か

案内の表題は「大学又は専門学校」で、日本語教育機関の卒業者が内定待機の特定活動の対象になるかは明記されていません。日本語教育機関の卒業者は、原則として技術・人文知識・国際業務の学歴要件を日本語学校の学歴だけでは満たさないため、本国の大学卒業などで就労資格の要件を満たす人に限って検討の余地がある、というのが筆者の理解です(公式資料では未確認)。

企業が出す誓約書の中身

5つ目の要件のために、内定先の企業は「連絡義務等の遵守が記載された誓約書」を出します。入管庁が公開している様式は、宛先が出入国在留管理局長、誓約者が企業で、内定者の氏名・国籍・住所・生年月日と、企業名・人事担当者の連絡先を書く形式です。誓約する内容は次のとおりです。

  • 内定者と定期的に(少なくとも3か月に1回)連絡をとること
  • 内定を取り消すべき事由が発生した場合には、遅滞なく出入国在留管理局へ連絡すること
  • 採用前に就労を目的とする在留資格変更許可申請を受けるよう指導し、その許可が出るまでは就労活動をさせないこと
  • その他日本国法令を遵守させること

実務で押さえたいのは3点です。

1点目は連絡の記録です。「3か月に1回以上」の連絡は、内定者の近況や入社準備の状況を確認するものです。電話やメールで構いませんが、誰がいつ連絡し、本人がどこに住んで何をしているかを確認した記録を残しておくと、入社時の就労資格の変更申請で待機期間の状況を説明する材料になります。

2点目は内定取消しの連絡です。業績悪化や本人の事情で内定を取り消した場合、企業は遅滞なく入管に連絡する必要があります。内定待機の特定活動は内定を前提にした在留資格なので、取消しによって在留の前提がなくなります。本人は帰国するか、就職活動の特定活動(要件を満たす場合)などへの変更を検討することになります。

3点目は、入社日から働かせる前の変更許可です。内定待機の特定活動のまま入社日を迎えても、正社員として働くことはできません。入社日前に技術・人文知識・国際業務などへの変更許可を受けていることが必要で、許可前に就労させれば、本人は資格外活動違反、企業は不法就労助長罪の問題になります。変更申請は入社日の数か月前には出しておくのが安全です。不法就労助長罪の罰則は2027年4月1日から5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金に引き上げられます(不法就労助長罪とは?)。

申請の手続と提出書類

内定待機の特定活動は、「留学」または継続就職活動の「特定活動」からの在留資格変更許可申請で申請します。入管庁の申請ページ(在留資格「特定活動」のうち「大学又は専門学校の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在を希望する場合」)が挙げる書類は次のとおりです。

  • 在留資格変更許可申請書1通、写真1葉
  • 旅券・在留カードの提示
  • 在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書
  • 内定した企業からの採用内定の事実及び内定日を確認できる資料1通
  • 連絡義務等の遵守が記載された誓約書
  • 採用までに行う研修等の内容を確認できる資料(該当する活動がある場合に限る)
  • 採用後の活動に応じた就労資格への変更に必要な資料

最後の書類が意味するのは、企業側の書類(登記事項証明書、決算書類、雇用契約書や労働条件通知書、職務内容の説明など)を、この段階で技術・人文知識・国際業務の申請に準じてそろえる必要があるということです。本人側は卒業証明書(または卒業見込み証明書)と成績証明書です。日本で発行される証明書は発行から3か月以内のものを出します。

許可される在留期間は、入管庁の公表ページに明記がありません(公式資料では未確認)。採用日までの期間に応じて決まり、入社日が延びた場合は更新申請が必要になると考えられます。2026年10月1日の受付分から、変更・更新の手数料は許可される在留期間に応じた額に改定され、在留期間3月超6月以下なら窓口18,000円・オンライン15,000円、1年なら窓口33,000円・オンライン27,000円です(改定前は窓口6,000円・オンライン5,500円)。内定待機を挟むと、内定待機への変更と入社時の就労資格への変更で2回分の手数料がかかります。

待機期間中のアルバイトとインターンシップ

内定待機の特定活動で在留している間も、資格外活動許可を受ければアルバイトができます。入管庁の案内は、原則として1週間について28時間以内とし、採用までの間に内定先企業などでインターンシップを行う場合は28時間を超える許可も可能としています。

企業が待機期間中に内定者を研修やインターンシップに参加させる場合は、申請時に研修等の内容を確認できる資料を出しておく必要があります。報酬を払う研修は、資格外活動許可の範囲内で行い、雇用保険の被保険者にならない働き方でも外国人雇用状況の届出(翌月末日まで)が必要です。研修の中身が入社後の業務の先取りでも、在留資格上は「採用前の資格外活動」であることを忘れないでください。

よくある質問

内定後、卒業から入社まで2か月空く場合も特定活動への変更が必要ですか?

留学の在留期限が入社日より後まで残っていれば、卒業前に就労資格への変更申請を出して入社日に合わせて許可を受ける方法が一般的です。ただし卒業後は留学の活動をしていない状態になり、アルバイトもできません。待機期間が長い、変更申請の結果が入社日に間に合わない見込みがある、といった場合は内定待機の特定活動を検討します。

内定待機の特定活動のまま入社日を迎えたらどうなりますか?

入社日から働かせることはできません。企業の誓約書にも「許可が出るまでは就労活動をさせない」とあります。入社日を延期して変更許可を待つ必要があり、許可前に就労させれば企業は不法就労助長罪の問題になります。

内定が取り消されたら、内定者はどうなりますか?

企業は遅滞なく地方出入国在留管理局へ連絡します。内定者は在留の前提を失うため、帰国するか、卒業した学校の推薦を得て就職活動の特定活動へ変更するなどの対応を検討します。就職活動の特定活動は卒業後1年(地方公共団体の支援事業の対象なら最長2年)までで、要件は卒業後の就職活動の特定活動|留学生が最長1年残れる要件と推薦状で解説しています。

継続就職活動の特定活動中に内定が出たら、どうすればよいですか?

入社日が近ければ、就労資格への変更申請を直接出します。入社まで期間がある場合は、内定待機の特定活動への変更を申請します。いずれの場合も「卒業後1年6月以内の採用」の上限に注意が必要です。

企業にとっての判断軸は「入社日と卒業日の差」

内定待機の特定活動を使うかどうかは、卒業日と入社日の差、そして就労資格の審査がいつ終わるかで決まります。差が短ければ卒業前に就労資格への変更申請を出し、差が長ければ内定待機を挟む。どちらを選ぶにしても、企業側の書類は就労資格の申請と同じ水準でそろえる必要があり、誓約書を出した後は3か月に1回以上の連絡を続ける義務を負います。

秋卒業の留学生を翌春に迎える企業は、内定を出した時点で、本人の卒業予定日・在留期限・入社日の3つを表にして人事で共有しておくと、どの手続が必要かが一目で分かります。特定活動の種類全体は特定活動ビザとは?告示・告示外の種類一覧と就労できる号・できない号で整理しています。

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