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難民申請中の就労は可能?特定活動(6月・就労可)の条件と指定書の確認方法

難民認定申請をしている外国人が日本で働けるのは、在留資格「特定活動」のうち在留期間6月・就労可の許可を受けている場合に限られます。申請したこと自体で働けるようになる仕組みはなく、出入国在留管理庁も「難民認定申請をすれば日本で就労できるというものではありません」という案内を15言語で公表しています。採用の可否は、本人の説明ではなく、在留カードの就労制限欄とパスポートに貼られた指定書の記載で判断してください。

難民申請中に働けるのは「特定活動(6月・就労可)」を持つ人だけ

ここでいう「難民申請中の特定活動」とは、難民認定申請をした人が、本来の在留資格の期限が切れた後も審査の結果が出るまで日本にとどまれるよう、法務大臣が個別に指定して許可する「特定活動」を指します。世間では「難民ビザ」と呼ばれることがありますが、そうした名前の在留資格は存在しません。

この特定活動には、就労できるものとできないものが混在しています。出入国在留管理庁の資料「就労制限の対象となる難民認定申請者について」によれば、初回申請者に付与される在留資格は次の3パターンに整理できます。

付与される在留資格 就労 在留カード
特定活動(2月以下)=振分け期間 不可 交付されない
特定活動(3月・就労不可) 不可 交付されない
特定活動(6月・就労可) 可(指定書の範囲内) 交付される

在留カードの欄は入管法19条の3から導いたものです。同条は、3月以下の在留期間が決定された人を中長期在留者から除いているため、「3月・就労不可」の段階では在留カードがありません。在留カードを持っていない難民申請者は、少なくともその時点で就労可の許可を受けていない、と読むのが自然です。

もう一つ押さえておきたいのは、申請者全員が特定活動をもらえるわけではないという点です。振分けの結果によっては在留そのものが認められない「在留制限」の対象になり、その場合は本来の在留資格の期限が来た時点で在留資格を失います。

2018年1月15日から始まった振分けとA〜D案件の違い

就労の可否を分けているのは、2018年1月15日に始まった「難民認定制度の運用の更なる見直し」です。入管庁は申請を受け付けると、申請書の記載内容などから案件をA〜Dの4つに振り分け、振分けの結果に応じて在留と就労の扱いを変えています。

  • A案件:難民条約上の難民である可能性が高い案件、または本国情勢等により人道上の配慮を要する可能性が高い案件
  • B案件:難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張している案件
  • C案件:再申請で、正当な理由なく前回と同様の主張を繰り返している案件
  • D案件:上記以外の案件

初回申請者の場合、A案件は判明後速やかに「特定活動(6月・就労可)」が付与されます。B案件は在留制限で、特定活動自体が認められません。

判断が分かれるのはD案件です。D案件はさらにD1とD2に分かれ、D1は就労制限の対象として「特定活動(3月・就労不可)」にとどまります。D2は申請等から6月以内は「特定活動(3月・就労不可)」が2回許可され、申請等から6月を経過した後に「特定活動(6月・就労可)」へ切り替わります。2025年の実績ではD案件が7,032人で申請者総数の約62.2%を占めており、採用の場面で出会う申請者の多くはこのD2の流れに乗っていると考えられます。

C案件と、D案件に振り分けられた再申請者の具体的な在留上の扱いは、今回確認した入管庁の資料(初回申請者を対象とするもの)には図示がありません(公式資料では未確認)。

D1に当たるのは、本来の活動をやめた後に申請した人

D1は、D案件に振り分けられた初回申請者のうち、次のどちらかに当たる人です。

1つは、本来の在留資格に当たる活動を行わなくなった後に申請した人です。入管庁の資料は、技能実習生が実習先から失踪した後や技能実習計画を終えた後に申請した場合、留学生が退学・除籍となった後や卒業した後に申請した場合を具体例に挙げています(「短期滞在」と入管法別表第二の在留資格の人は対象外)。

もう1つは、出国準備期間中に申請した人です。出国準備のための「短期滞在」や「特定活動」は、本人が自ら帰国の意思を表明したときに付与されるもので、その後短期間のうちに申請した場合は就労が制限されます。

入管庁はD1の理由として、本来の活動を続けながらでも申請できるのにそれをやめて在留の根拠を失った後に申請していること、技能実習・留学からの申請者は入国から申請までの平均が約23か月で一定の生活費を持っていると考えられることを挙げています。企業の立場からすると、元技能実習生や元留学生の申請者は、6か月を過ぎても就労可にならない可能性があるという意味になります。

2025年5月の「不法滞在者ゼロプラン」で在留制限の対象が広がった

2018年の枠組みは現在も続いていますが、運用の厳しさは2025年に大きく変わりました。入管庁は2025年5月23日に「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を公表し、最新の出身国情報などを踏まえてB案件とすべき申立て内容を類型化したうえで、在留制限を実施しています。

入管庁の「令和7年における難民認定者数等について」によると、B案件に振り分けられた人は2024年の80人(約0.6%)から、2025年は1,615人(約14.3%)に増えました。ゼロプラン開始後の5月以降に限ると、申請者7,447人のうち1,596人、約21.4%がB案件です。同じ年、難民認定申請者は1万1,298人で前年から1,075人減り、入管庁はこの減少をB案件の類型化と在留制限の効果と説明しています。

さらに2026年5月22日には「不法滞在者ゼロプラン~強力推進パッケージ~」が公表され、類型化の対象を整理・拡充していく方針が示されました。筆者は、2024年以前のネット記事にある「6か月待てばだいたい働けるようになる」という感覚は、今の運用には当てはまらないと考えています。どの申請者が就労可になるかは、振分けの結果次第であり、その結果は在留カードと指定書にしか表れません。

2024年6月10日施行の改正入管法で、3回目以降の申請者は送還の対象に

在留の安定性という点では、2024年6月10日に施行された改正入管法も見逃せません。改正前は、難民認定申請中であれば回数を問わず送還が停止されていましたが、改正後の入管法61条の2の9第4項は、過去に2回、難民・補完的保護の不認定などが確定している人(3回目以降の申請者)について、相当の理由がある資料を提出しない限り送還停止の効力を認めていません。3年以上の実刑に処せられた人なども同じ扱いです。

3回目以降の申請者が退去強制手続の中にいる場合、特定活動で就労しているケースはまずありませんが、採用面接で「申請中だから大丈夫」と説明されたときに、申請回数を確認する理由にはなります。複数回申請の扱いは難民申請は何回までできる?3回目以降の送還停止効の例外と「相当の理由」で詳しく扱います。

在留カードと指定書で就労可否を確かめる手順

採用前の確認は、次の順番で進めると漏れがありません。

最初に、在留カードの有無を確かめます。在留カードがない場合、在留期間が3月以下の特定活動、短期滞在、あるいは仮放免・監理措置などの状態が考えられ、いずれも原則として雇用はできません。

在留カードがある場合は、表面の在留資格欄が「特定活動」であること、在留期間が「6月」であること、就労制限の有無欄の記載を見ます。特定活動の在留カードでは、就労制限欄に「指定書により指定された就労活動のみ可」または「就労不可」と印字されます。「就労不可」であれば、その時点では雇えません。在留カードの真正性については、入管庁の在留カード等番号失効情報照会もあわせて使ってください(方法は在留カード等番号失効情報照会の使い方|採用時に有効性を確認する方法で解説予定)。

次に、パスポートに貼付された指定書を見せてもらいます。特定活動は、法務大臣が個々の外国人について活動内容を指定する在留資格なので、実際に何をしてよいかは指定書にしか書かれていません。就労可の指定書には報酬を受ける活動を認める旨が記載されていますが、風俗営業関連の業務の除外など、指定の文言の細部は案件によって異なる可能性があります(公式資料では未確認)。指定書の写しを在留カードの写しと一緒に保管しておくと、後から確認経過を説明できます。

最後に、在留期限を管理します。特定活動(6月・就労可)は在留期間が6か月なので、雇用中も半年ごとに更新が必要です。審査の結果、不認定となって在留資格が付与されなくなれば、その時点で働けなくなります。雇用契約書には、在留資格の更新が許可されなかった場合の扱いを事前に書いておくのが実務的です。

在留カードの読み方全般は特定活動の指定書とは?見方・どこにあるか・紛失時の対応を見本で確認(特定活動の指定書)と既存コラム不法就労助長罪とは?企業が問われる責任・罰則と防ぐための確認方法にもまとめています。

「就労可」でも注意したい3つの場面

就労可の特定活動を確認して雇用した後も、次の場面では改めて確認が必要です。

1つ目は更新のタイミングです。6か月ごとの更新で、在留期間や就労可否が変わることがあります。更新後の在留カードと指定書を毎回写しで取り直してください。

2つ目は不認定の通知が出たときです。一次審査で不認定となっても、審査請求(通知を受けた日から7日以内)をすれば手続は続きますが、審査請求中の在留資格・就労可否の扱いは、初回申請時の振分け図とは別に判断されます(公式資料では未確認)。本人から不認定の知らせを受けたら、在留カードの在留期限と就労制限欄を確認し直すことになります。

3つ目は就労ビザへの切替えを検討するときです。入管法上、難民認定申請中の人が技術・人文知識・国際業務などへの在留資格変更を申請すること自体は禁じられていませんが、申請中の人からの変更がどう審査されるかの基準は公表されていません(公式資料では未確認)。学歴・職歴が要件に合う人であっても、変更が許可されるかどうかは個別の事情で判断が変わります。変更を前提にした内定を出す場合は、許可が出なかったときの扱いを本人と共有しておいてください。

外国人雇用状況の届出(ハローワーク)は、特定活動の人を雇った場合も通常どおり必要です。

仮放免・監理措置・仮滞在の人は働けるか

「難民申請中」と一口に言っても、在留資格を持たない状態で申請している人もいます。2025年の申請者のうち不法滞在者は698人(約6.2%)でした。この人たちの就労の扱いは、どの手続の中にいるかで異なります。

仮放免中の人は、就労が認められていません。仮放免の条件と許可証の見方は仮放免とは?許可の条件と仮放免許可書の見方|2024年改正で保証金はどうなったかで扱っています。

監理措置の対象者(被監理者)は、退去強制令書が出る前の段階であれば、入管法44条の5により、生計の維持に必要な範囲で、主任審査官が指定する機関との雇用契約に基づく報酬活動を許可されることがあります。許可された場合は監理措置決定通知書に記載されるので、雇用する側はその書面で勤務先と条件を確認します。

仮滞在許可を受けた人も、入管法61条の2の7第2項により、生計の維持に必要な範囲で報酬を受ける活動を許可されることがあり、許可の内容は仮滞在許可書に記載されます。

いずれも許可は個別で、勤務先が指定されている場合は別の会社では働けません。書面に自社の名前がない限り雇用しない、という線引きが安全です。

よくある質問

難民申請中に就労は許可されますか?

許可されるのは、振分けでA案件とされた人と、D2に当たり申請等から6か月を経過した人で、いずれも「特定活動(6月・就労可)」が付与された後です。B案件は在留自体が認められず、D1は就労不可の特定活動にとどまります。申請中かどうかではなく、今持っている在留資格と指定書で判断します。

特定活動(難民申請)の在留カードで「就労不可」と書かれていたら、アルバイトもできませんか?

できません。就労不可の特定活動は、報酬を受ける活動そのものが認められていない状態です。留学生のような資格外活動許可による週28時間のアルバイトとは仕組みが別で、在留カード裏面の資格外活動許可欄に記載がなければ、短時間でも雇用できません。就労不可の人を働かせると、会社側が不法就労助長罪(入管法73条の2)に問われるおそれがあります。

難民申請中の生活費はどうしているのですか?

就労が認められていない期間の生活費は、本人の貯蓄や家族・知人の支援のほか、生活に困窮する申請者に対する国の保護措置(外務省の委託により実施されているもの)が使われることがあります。支給の要件や金額は公表資料の範囲で確認してください(公式資料では未確認)。企業が採用の場面で扱う論点ではありませんが、就労不可の人から「生活のために働きたい」と相談されても、在留資格上の許可がない限り雇用はできない点は変わりません。

仮放免の人を雇うことはできますか?

できません。仮放免は収容を一時的に解く措置で、就労は認められていません。2024年6月10日の改正入管法施行後も、この扱いは変わっていません。一方、監理措置の被監理者は、退去強制令書の発付前であれば、許可を受けて指定された機関で働けることがあります。書面で自社が指定されているかを確かめてください。

採用するかどうかは「今の在留資格」と「次の更新」で決める

難民申請中の人の採用で迷う理由の多くは、審査がいつ終わり、結果がどうなるかが外からは読めないことにあります。2025年の一次審査の平均処理期間は約22.5月(A案件約17.0月、B案件約4.3月)で、その間に振分けの見直しや更新があり得ます。

この不確実性を前提にすると、判断の軸は2つに絞れます。1つは、今この瞬間に在留カードと指定書で就労可が確認できるかどうか。もう1つは、6か月後の更新で就労可が続かなかったときに、業務と本人の生活の両方にどういう影響が出るかを想定しているかどうかです。前者は書類で確かめられ、後者は雇用契約と配置の設計で備えられます。

長く働いてもらうことを期待する場合は、本人の学歴・職歴が就労系の在留資格の要件に合うかを早めに確認し、在留資格の見通しを本人と共有したうえで採用を決めることをお勧めします。在留資格ごとの就労範囲は外国人を採用できる在留資格の種類一覧で、在留資格を失う場面は在留資格の取消しとは?で整理しています。

根拠資料


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