特定活動の指定書とは、法務大臣がその外国人について「特に指定する活動」を書いた書面で、入管法施行規則が定める別記第七号の四様式によって、上陸許可や在留資格変更許可のときに交付されます。在留資格「特定活動」は、同じ名前の在留資格の中に、就職活動、インターンシップ、ワーキング・ホリデー、大学卒業者の就労(46号)など性質のまったく違う活動が含まれているため、在留カードだけでは何ができるかが分かりません。在留カードの就労制限欄に「指定書により指定された就労活動のみ可」とあれば、働ける範囲は指定書に書かれた活動に限られます。採用や配置の判断は、在留カードと指定書をセットで確認して初めてできる、ということです。
特定活動の指定書とは|「個々に指定する活動」を書いた書面
在留資格「特定活動」は、入管法別表第一の五の表で「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と定められています。他の在留資格が「技術・人文知識・国際業務」「留学」のように活動の類型を法律で決めているのに対し、特定活動は、活動の中身を一人ひとりについて法務大臣が指定する仕組みです。その指定の内容を書面にしたものが指定書です。
入管法施行規則は、指定書を交付する場面を次のように定めています。
- 上陸許可で特定活動の在留資格を決定するとき(規則7条2項)
- 在留資格変更許可で特定活動への変更を許可するとき(規則20条7項)
- 在留特別許可で特定活動の在留資格を決定するとき(規則44条)
いずれの条文も「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を記載した別記第七号の四様式による指定書を交付するものとする」という書き方です。同じ規則は、高度専門職1号には「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」を記載した指定書(別記第三十一号の三様式)、特定技能には「本邦の公私の機関及び特定産業分野」を記載した指定書(別記第三十一号の四様式)を交付すると定めています。指定書という名前は同じでも、特定活動の指定書は「活動」そのものを、高度専門職・特定技能の指定書は「機関(と分野)」を指定している点が違います。特定技能の指定書については特定技能の指定書とは?で扱っています。
在留期間の更新について、施行規則には指定書の交付を定めた規定が見当たりません。活動の内容が変わらずに更新された場合、それまでの指定書が引き続きその人の活動の範囲を示す書面になると読めます。
特定活動の中身は3つに分かれる
特定活動の中身は、大きく次の3つに分かれます。
- 入管法に直接規定された特定活動:特定研究活動などの旧高度人材関連
- 告示特定活動:法務省告示(特定活動告示)にあらかじめ列挙された活動。最新の改正は令和8年4月8日法務省告示第31号
- 告示外特定活動:告示にはないものの、個別の事情から法務大臣が指定する活動。卒業後の就職活動、難民認定申請中の人の活動など
どの類型でも、許可された活動の中身は指定書に書かれます。特定活動の種類の一覧は特定活動ビザとは?告示・告示外の種類一覧と就労できる号・できない号で整理しています。
指定書はどこにある?パスポートに添付されるのが一般的
指定書は、在留カードとは別の紙の書面です。空港での上陸許可や、地方出入国在留管理局での変更許可の際に交付され、実務上はパスポートの査証欄や証印のあるページにホッチキスなどで留められて渡されることが多くなっています。在留カードの裏面や券面には、指定書の内容は印字されません。
外国人本人が「指定書を持っていない」と言う場合でも、パスポートを開いてみると後ろのページに添付されていることがあります。企業が確認するときは、在留カードだけでなく、パスポートのすべてのページを見せてもらうよう依頼してください。
パスポートを更新した場合、指定書は古いパスポートに付いたままになります。新しいパスポートに自動で移し替えられるわけではないため、本人には古いパスポートと指定書を捨てずに保管するよう伝える必要があります。
在留カードの「指定書により指定された就労活動のみ可」の意味
在留カードの表面には「就労制限の有無」欄があります。出入国在留管理庁の事業主向けリーフレット「外国人を雇用する事業主の皆様へ」は、一部に就労制限がある場合の記載として次の3つを挙げています。
- 「在留資格に基づく就労活動のみ可」
- 「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」
- 「指定書により指定された就労活動のみ可」(在留資格「特定活動」)
そのうえで、2つ目と3つ目については、法務大臣が個々に指定した活動等が記載された指定書を確認するよう求めています。
「指定書により指定された就労活動のみ可」とは、その人が報酬を受けて働くことができるのは、指定書に書かれた活動の範囲内に限られるという意味です。 指定書に「〇〇株式会社との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う業務」と書かれていれば、働けるのはその会社の、その書き方に当てはまる業務だけです。別の会社でのアルバイトや、書かれていない種類の仕事はできません。
一方、特定活動でも就労が認められていない活動(卒業後の就職活動、就労を予定しない家族の活動など)で在留している人の在留カードには「就労不可」と記載されます。この場合でも、資格外活動許可を受けていれば、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」などと記載され、その範囲でアルバイトができます。資格外活動許可の見方は資格外活動許可書とは?在留カード裏面の見方と許可の有無の確認・届出の書き方で扱います。
整理すると、特定活動の人の在留カードの就労制限欄は、「指定書により指定された就労活動のみ可」か「就労不可」のどちらかになるのが基本です。前者は指定書で働ける範囲を確認し、後者は資格外活動許可の有無を確認する、という分かれ方です。
特定活動の指定書の見方|見本で確認する記載例
指定書には、本人の氏名・国籍などの身分事項と、法務大臣が指定する活動の内容が書かれます。見るべきなのは「指定する活動」の欄です。活動の文言は、多くの場合、特定活動告示の各号の文言がそのまま、または機関名を補って書かれます。代表的な類型の記載の考え方は次のとおりです。
| 類型 | 指定書に書かれる活動の考え方(告示の文言など) | 在留カードの就労制限欄 |
|---|---|---|
| 本邦大学卒業者(告示46号) | 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動(日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事するものを含み、風俗営業活動及び法律上資格を有する者が行うこととされている業務に従事するものを除く。)。別紙で機関名を指定 | 指定書により指定された就労活動のみ可 |
| ワーキング・ホリデー(告示5号) | 休暇を過ごす活動と、そのための旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動(風俗営業等を除く) | 指定書により指定された就労活動のみ可 |
| インターンシップ(告示9号) | 外国の大学の学生が、教育課程の一部として、本邦の公私の機関との契約に基づき報酬を受けて行う業務に従事する活動。受入れ機関が指定される | 指定書により指定された就労活動のみ可 |
| 卒業後の就職活動(告示外) | 就職活動と、それに伴う日常的な活動(報酬を受ける活動を除く) | 就労不可(資格外活動許可があればその範囲で可) |
46号のように機関を指定する類型では、指定書の本文に「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」と書かれ、その機関の名称・所在地が別紙に記載されます。別紙が付いていない指定書は、機関名の確認ができないため不完全です。46号の要件と採用の流れは特定活動46号とは?で詳しく解説しています。
指定書を読むときに押さえたいのは、次の3点です。
- 活動の主語と契約の相手:「〇〇との契約に基づいて」と機関が特定されているか。特定されていれば、その機関以外では働けない
- 活動の範囲:「常勤の職員として」「教育課程の一部として」「旅行資金を補うため必要な範囲内」など、働き方や目的の限定があるか
- 除外される活動:「風俗営業活動を除く」「法律上資格を有する者が行うこととされている業務を除く」などの括弧書き
特に3つ目の括弧書きは読み飛ばされやすい部分です。46号の外国人に、弁護士法や医師法のように資格者だけが行える業務を任せることはできません。
企業が特定活動の外国人を採用するときの確認手順
特定活動の外国人を採用・配置する前に、次の順で確認することをお勧めします。
- 在留カードの表面で、在留資格が「特定活動」であること、在留期間の満了日、就労制限の有無欄の記載を確認する
- 在留カード等番号失効情報照会で、在留カードが失効していないかを確かめる
- 就労制限欄が「指定書により指定された就労活動のみ可」なら、パスポートに添付された指定書の「指定する活動」と別紙を確認する
- 指定書に機関名が書かれている場合は、自社の名称と一致するかを確認する。一致しなければ、自社で働くには在留資格変更許可が必要になる
- 就労制限欄が「就労不可」なら、在留カード裏面の資格外活動許可欄を確認する
- 指定書と在留カードの写しを、本人の同意を得て雇用管理の記録として保管する
4つ目は転職者の採用で特に重要です。46号の外国人は指定書で前の勤務先が指定されているため、そのまま自社で働き始めると、指定された活動の範囲外の就労になります。この場合、自社を機関とする特定活動(46号)への在留資格変更許可を受けてから就労を開始するのが原則です。
在留カードに「指定書により指定された就労活動のみ可」とあるのに指定書を確認しないまま雇い、結果として指定の範囲外で働かせた場合、企業は不法就労助長罪(入管法73条の2)に問われるおそれがあります。同条2項は、在留資格の範囲を知らなかったことを理由に処罰を免れることはできない(過失がない場合を除く)と定めています。指定書の確認は、この「過失がない」ことを示すための基本的な手順でもあります。罰則と確認方法は不法就労助長罪とは?で解説しています。
指定書がない・紛失したときの対応
指定書が見当たらない場合、まずパスポートの全ページと、更新前の古いパスポートを確認してもらいます。それでも見つからない場合の対応は次の2つです。
地方出入国在留管理局に相談する
指定書の再交付について、入管法と施行規則には、在留カードの再交付申請(入管法19条の12・19条の13)のような独立の手続は定められていません。紛失した場合は、住居地を管轄する地方出入国在留管理局に、パスポート・在留カードを持参して相談することになります。再交付の可否、必要な書類、手数料の有無は、出入国在留管理庁の公開資料では確認できず現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。福岡県内であれば福岡出入国在留管理局が窓口になります。
就労資格証明書で就労できる活動を証明する
就労資格証明書は、外国人の申請に基づき、その人が行うことのできる収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を法務大臣が証明する文書です(入管法19条の2第1項)。指定書が手元にない場合でも、就労資格証明書の交付を受ければ、現在の在留資格で行うことのできる就労活動を書面で確認できます。転職者を採用する場面では、就労資格証明書で新しい勤務先での活動が現在の在留資格の範囲内かを確認する使い方もあります。交付には手数料がかかり、2026年10月1日に在留手続の手数料が改定されているため、金額は申請前に確認してください。手数料改定の全体は在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?にまとめています。
なお、入管法19条の2第2項は、外国人が行うことのできる就労活動が明らかな場合に、就労資格証明書を提示・提出しないことを理由として不利益な取扱いをしてはならないと定めています。企業が採用の条件として就労資格証明書の提出を一律に義務づけることは避け、本人の協力を得て確認する形をとるべきです。
指定書の内容が変わるとき
指定書に書かれた活動と違う活動をするには、原則として在留資格変更許可が必要です。特定活動から特定活動への変更(たとえば46号で勤務先を変える、就職活動の特定活動から46号へ移る)であっても、指定される活動が変わる以上、変更許可を受け、新しい指定書の交付を受けます。
変更許可を受けると、新しい指定書が交付されます。古い指定書は新しい指定書に置き換わるため、企業が確認するのは常に最新の指定書です。本人のパスポートに指定書が複数添付されている場合は、交付日が最も新しいものを確認してください。
在留期間の満了日までに変更許可が出ないまま期限を迎えた場合でも、期限内に申請していれば、処分があるまでか満了日から2か月を経過する日までのいずれか早い日まで、それまでの在留資格で在留できます(入管法20条6項)。この特例期間中に働けるのは、それまでの指定書の範囲内の活動だけです。
よくある質問
特定活動の指定書とは何ですか?
法務大臣がその外国人について特に指定する活動を書いた書面です。入管法施行規則の別記第七号の四様式により、上陸許可、在留資格変更許可、在留特別許可の際に交付されます。在留資格「特定活動」の中身は人ごとに違うため、何ができるかは指定書で確認します。
指定書はどこにありますか?
在留カードとは別の紙の書面で、通常はパスポートにホッチキスなどで添付されています。パスポートを更新した人は、古いパスポートに付いたままになっていることがあります。
「指定書により指定された就労活動のみ可」とはどういう意味ですか?
報酬を受けて働けるのは、指定書に書かれた活動の範囲内だけという意味です。指定書に勤務先が指定されていれば、その勤務先の、その範囲の業務に限られます。書かれていない会社や業務で働くには、在留資格変更許可などが必要です。
特定活動の指定書をなくしたらどうすればいいですか?
住居地を管轄する地方出入国在留管理局に、パスポートと在留カードを持って相談してください。再交付の手続は公開資料では明確にされていません。就労できる活動を書面で示す必要があるときは、就労資格証明書の交付を申請する方法もあります。
特定活動の指定書に働ける時間は書いてありますか?
ワーキング・ホリデーの「旅行資金を補うため必要な範囲内」のように、目的による限定が書かれることはありますが、時間数が書かれるとは限りません。就労不可の特定活動で資格外活動許可を受けている場合は、在留カード裏面の資格外活動許可欄に「原則週28時間以内」などの条件が記載されます。
在留カードは入口、指定書が答え
在留資格「特定活動」の外国人を雇うかどうかを判断するとき、在留カードが示すのは「指定書を見よ」という指示までです。働ける会社、働ける業務、除外される仕事は、指定書を読まなければ分かりません。採用面接の段階でパスポートと指定書の提示を依頼し、指定書に自社の名前がない場合は入社前に在留資格変更許可を受けてもらう、という順序を社内の手順として決めておくと、不法就労のリスクを入口で断つことができます。個別の指定書の文言の読み方で迷う場合は、就労開始前に確認してください。
根拠資料
- 出入国管理及び難民認定法 別表第一の五、第19条の2、第20条、第73条の2(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 第7条、第20条、第44条(e-Gov法令検索)
- 在留資格「特定活動」(出入国在留管理庁)
- 外国人を雇用する事業主の皆様へ(出入国在留管理庁リーフレット)
- 令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について(出入国在留管理庁)
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