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在留カードの確認方法|採用時に見るべき表面・裏面の5か所と写しの保管

採用時の在留カードの確認は、原本の提示を受けて、表面の「就労制限の有無」「在留資格」「在留期間の満了日」と、裏面の「資格外活動許可欄」「在留期間更新等許可申請欄」の5か所を読み、そのうえで番号の失効照会とICチップの読取りでカード自体が本物かを確かめる、という順番で行います。確認した結果は両面の写しと一緒に記録として残します。この手順が必要になる理由は、入管法73条の2第2項が、外国人が働けない人だと「知らなかった」だけでは会社は処罰を免れず、知らなかったことに過失がない場合に限って処罰されないと定めているからです。

在留カードの確認は「過失がない」と言える状態を作る作業

ここでいう在留カードとは、入管法19条の3が定める中長期在留者、つまり3か月を超える在留期間で日本に住む外国人に交付されるカードを指します。短期滞在の人、在留期間3月以下の人、外交・公用の人にはカードがありません。特別永住者には在留カードの代わりに特別永住者証明書が交付されます。

会社にとって在留カードの確認が重いのは、不法就労助長罪の構造のためです。入管法73条の2第1項は、事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者を3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科に処すると定めています。2027年4月1日からは、この法定刑が5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金に引き上げられます(令和6年法律第60号による改正)。そして同条2項が、次の事情を「知らないことを理由として」処罰を免れることはできない、ただし過失のないときはこの限りでない、と定めています。

  • その外国人の活動が、在留資格で認められない収入を伴う活動であること
  • その外国人が資格外活動許可を受けていないこと
  • その外国人が不法残留などの状態にあること

3つとも、在留カードの券面を正しく読めば分かる事項です。出入国在留管理庁のリーフレットも「在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません」と説明しています。確認の目的は、カードを見たという形式を整えることにとどまりません。後で問題が起きたとき、確認できる範囲は確認し尽くしたと説明できる状態を採用の時点で作っておくことにあります。

法律上の確認義務としては、労働施策総合推進法28条の外国人雇用状況の届出もあります。事業主は外国人を雇い入れたときと離職したときに、氏名・在留資格・在留期間などを確認してハローワークに届け出なければならず、厚生労働省のQ&Aは、届出内容の正確性を担保するのは一義的には事業主であり、在留カードなどで適切に確認する必要があると説明しています。届け出なかった場合は30万円以下の罰金の対象です。届出の情報が入管の審査でどう使われるかは外国人雇用状況の届出とは?ハローワークへの届出が入管の在留審査でどう使われるかで解説しています。

採用時に見る5か所|表面3か所と裏面2か所

在留カードの記載事項は入管法19条の4に並んでいますが、採用の可否に直結するのは次の5か所です。上から順に読むより、この順で読むほうが判断が早くなります。

順番 場所 見ること 典型的な見落とし
① 表面「就労制限の有無」 働けるか、働ける範囲に制限があるか 「就労不可」なのに裏面を見ていない
② 表面「在留資格」 任せる業務と在留資格が合っているか 技人国の人を現場作業に専従させる
③ 表面「在留期間(満了日)」 入社日・契約期間と満了日の関係 満了日が入社直後に来る
④ 裏面「資格外活動許可欄」 許可の有無と範囲(週28時間など) 欄が空白のまま雇う
⑤ 裏面「在留期間更新等許可申請欄」 満了日後でも特例期間中か 満了日だけ見て不法残留と誤解する

① 就労制限の有無

表面中ほどの欄には、「就労制限なし」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書により指定された就労活動のみ可」「就労不可」のいずれかが記載されます。「就労制限なし」は永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者で、業種や職種を問わず雇用できます。「指定書」の文言がある場合は、特定技能や特定活動などで、旅券に添付された指定書で勤務先や活動内容まで確認する必要があります。

② 在留資格

「在留資格に基づく就労活動のみ可」の人は、在留資格の範囲の業務しかできません。同じ欄の記載でも、「技能」は熟練した調理などの技能、「技術・人文知識・国際業務」は専門的な業務と、できる仕事がまったく違います。求人の職務内容と在留資格の名称を並べて見比べるのが確実です。

③ 在留期間の満了日

満了日は、その日まで今の在留資格で在留できるという日付です。2026年6月14日以降に交付された新様式のカードでは、「在留期間(3年など)」「許可の種類」「許可年月日」「交付年月日」が券面から消え、ICチップにのみ記録されるようになりました。満了日は引き続き券面で読めますが、在留期間の長さを台帳で管理している会社は、読取アプリで確認する運用に切り替える必要があります。

④ 資格外活動許可欄

「就労不可」の留学生や家族滞在の人を雇えるかどうかは、この欄で決まります。包括許可を受けていれば「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されます。欄が空白なら、許可を受けていないということです。この状態で雇うことは、73条の2第2項が「知らなかった」ことを免責の理由にしない典型例そのものです。技人国の社員が副業をする場合の個別許可は技術・人文知識・国際業務の外国人はアルバイト・副業できる?資格外活動許可を解説で扱っています。

⑤ 在留期間更新等許可申請欄

満了日までに更新や変更を申請すると、受付時にこの欄に「在留期間更新許可申請中」などと記載されます。満了日までに申請した人は、処分の時か満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、従前の在留資格で在留できます(入管法20条6項・21条4項)。満了日を過ぎたカードでもこの記載があれば直ちに不法残留とはいえませんが、満了日から2か月を過ぎても結果が出ていない場合は、本人に許可の有無を確認します。

カードが本物かを確かめる|失効照会と読取アプリ

5か所を読んだあとは、カードそのものが本物で有効かを確かめます。券面の情報が正しく読めても、カードが偽造なら意味がないからです。

1つ目は、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」です。在留カード番号と有効期間の満了日を入力すると、その番号が失効していないかが表示されます。2026年1月5日からURLは https://lapse-immi.moj.go.jp/html/top.html に変わっています。在留カード番号は表面右上の英字2桁・数字8桁・英字2桁の12桁です。

ただし、出入国在留管理庁は照会の結果について、カードの有効性を証明するものではないと明言しています。実在する他人の番号を使った偽造カードは、照会では「失効していません」と表示されてしまうからです。照会の手順と結果の読み方は在留カード等番号失効情報照会の使い方|採用時に有効性を確認する方法で詳しく扱っています。

2つ目が「在留カード等読取アプリケーション」です。ICチップに記録された情報を読み取り、券面の写真や記載と一致するかを確かめます。Android 12.0以降・iOS 16.0以降でNFC Type Bに対応したスマートフォン(Androidの12.0以降はサポートページの表記で、2026年5月7日のAndroid版操作マニュアル第1.10版は14.0以上としています)か、パソコンとICカードリーダがあれば無料で使えます。2026年8月19日のリリース版から、新様式で券面から消えた在留期間などの項目も表示できるようになりました。

失効照会だけでは就労制限や資格外活動許可の中身は分かりません。反対に、読取アプリだけでは番号の失効までは分かりません。筆者は、原本の目視、失効照会、読取アプリの3つをそろえて初めて、過失がないと主張するための材料がそろうと考えています。

写しの取り方と保管|原本は預からない

確認を終えたら、表面と裏面の両方の写しを取ります。裏面を省くと、資格外活動許可や申請中の記載を確認した証拠が残りません。写しには、確認した日、確認した担当者、失効照会と読取アプリの結果(画面の記録)を添えておくと、後から確認の過程を説明できます。

一方、原本を会社が預かることは避けてください。中長期在留者には在留カードの常時携帯義務があり(入管法23条2項)、携帯していないと20万円以下の罰金の対象になります(75条の3)。会社が保管すれば本人がこの義務を果たせなくなり、転職や帰国を妨げる目的での保管と受け取られるおそれもあります。

写しの保管期間を直接定めた法律の規定はありません。筆者は、労働基準法109条が労働者名簿や賃金台帳の保存期間を5年(当分の間は3年)としていることにそろえ、退職後も少なくとも3年から5年は写しと確認記録を残す運用を勧めています。在留カードの写しは個人情報の塊ですから、利用目的を「在留資格の確認と届出のため」と本人に示し、アクセスできる人を人事担当に限る管理も同時に必要です。

採用時だけで終わらせない|更新・退職時の確認

在留カードの確認は入社時の一度で終わりません。在留期間の満了日が近づいたら更新申請の予定を本人と共有し、更新後は新しいカードで5か所を確認し直して写しを差し替えます。転職者を受け入れる場合は、前職の在留資格のまま業務内容が変わっていないかも確認の対象です。

社会保険や雇用保険の手続でも在留カードの情報を使います。雇用保険の被保険者資格取得届には在留資格や在留期間を記載する欄があり、外国人雇用状況の届出を兼ねています。退職時は離職の届出が必要になり、本人にも所属機関に関する届出の義務があります。退職時の手続全体は外国人社員が退職・解雇したら?企業に必要な届出と手続きで整理しています。

よくある質問

在留カードのネット確認はできますか?

番号が失効していないかどうかは、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」のサイトで確認できます。在留カード番号と有効期間の満了日を入力するだけで、登録も費用も不要です。ただし表示されるのは番号の失効の有無だけで、カードが本物であることや、就労制限・資格外活動許可の内容までは分かりません。

在留カードの確認アプリは何を使えばよいですか?

出入国在留管理庁が無料で配布している「在留カード等読取アプリケーション」です。Google PlayとApp Storeで入手でき、ICチップの情報を読み取って券面と照合できます。民間の類似アプリもありますが、確認の記録として説明しやすいのは国が配布するアプリです。

在留カードの確認は義務ですか?

入管法には会社に在留カードの確認を直接義務づける条文はありません。ただし、不法就労助長罪は確認を怠った過失を免責しないため、確認しないことは会社のリスクを自ら高めることになります。加えて、労働施策総合推進法28条は事業主に外国人の在留資格等の確認と届出を義務づけており、その確認は在留カードで行うのが基本です。

在留カードの在留期限はどこで確認できますか?

表面の「在留期間(満了日)」欄に記載された日付が在留期限です。カード下部の「このカードは〇年〇月〇日まで有効です」はカード自体の有効期限で、永住者などでは在留期限と一致しません。満了日を過ぎている場合は、裏面の在留期間更新等許可申請欄に申請中の記載があるかを必ず確認してください。

派遣先は派遣スタッフの在留カードを確認できますか?

在留カードの確認と外国人雇用状況の届出は、雇用主である派遣元の役割です。ただし不法就労助長罪は「事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者」を対象としており、派遣先も無関係ではありません。派遣先は、派遣元に確認結果(在留資格、満了日、就労制限、資格外活動許可の有無)の書面での提示を求め、業務内容が在留資格の範囲に収まるかを自社でも確認しておくのが安全です。

確認の記録が、会社を守る唯一の説明材料になる

在留カードの確認は、見る場所さえ決めておけば数分で終わる作業です。難しいのは、確認した事実を後から説明できる形で残すことのほうです。不法就労が発覚したとき、会社が「過失はなかった」と主張できるかどうかは、いつ・誰が・どの欄を・どの手段で確認したかという記録にかかっています。

社内の手順としては、採用面接の段階で原本の提示を求めることを本人に伝え、入社手続の書類一式に「在留カード確認票」を組み込み、更新のたびに同じ確認票を作り直す、という流れを作っておくことを勧めます。個々の案件で雇用できるかどうかは個別の事情で判断が変わるため、在留資格と業務の関係に迷うときは、採用を決める前に専門家に確認してください。不法就労助長罪の全体像は不法就労助長罪とは?企業が問われる責任・罰則と防ぐための確認方法で解説しています。

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根拠資料


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