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特定技能タクシーで運転手を雇うには|第二種免許・N3とN4容認の条件、試験の流れ

特定技能でタクシー運転手を雇うには、外国人本人が「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)」と日本語試験に合格し、日本の第二種運転免許を取得し、さらに会社が実施する新任運転者研修を修了している必要があります。日本語はトラック運転者より一段高いB1相当(日本語能力試験N3)が原則ですが、2026年1月23日に閣議決定された運用方針で、A2.2相当(N4程度)でも会社が日本語学習プランを作り、意思疎通を補助する社員を同乗させれば受け入れられるようになりました。第二種免許と研修は来日後に取るのが通常で、その間は最長1年・更新不可の「特定活動」で在留します。

特定技能タクシーの全体像|4つの要件と1年の準備期間

タクシー運転者は、特定技能「自動車運送業」分野の3つの業務区分(トラック、タクシー、バス)の1つです。自動車運送業分野は2024年3月29日の閣議決定で特定技能の対象に加わり、評価試験は2024年12月に始まりました。分野全体の制度は特定技能「自動車運送業」とは?トラック・タクシー・バスの要件と免許取得の特定活動で扱っているので、ここではタクシーに固有の論点に絞ります。

運用要領(自動車運送業分野の基準、令和7年2月17日改正版)が、タクシー運転者として特定技能1号の許可を受けるために確認する書類として挙げているのは次の4点です。

要件 内容 取得の時期
技能 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)の合格 入国前(海外または国内で受験)
日本語 B1相当以上(日本語能力試験N3以上)。一定の措置でA2.2相当も可 入国前
運転免許 日本の第二種運転免許 来日後(特定活動の期間中)
研修 新任運転者研修の修了 来日後(特定活動の期間中)

トラック運転者と比べると、日本語の水準が高いこと、免許が第一種でなく第二種であること、研修の修了が要件に入っていることの3点が違います。特定活動の在留期間も、トラックの6か月に対してタクシーは1年です。準備に時間がかかる区分であることを、制度の側が最初から織り込んでいるわけです。

運転できるのは、事業用自動車(緑ナンバー)のタクシーです。受け入れる会社は道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業の許可を持つタクシー事業者である必要があり、自家用車での送迎業務のような白ナンバーの運転は対象になりません。派遣による受入れもできず、直接雇用が前提です。

日本語はN3が原則、N4は2つの措置が条件

タクシーの日本語要件は、制度の中でいちばん動いた論点です。ここを正確に押さえておかないと、採用候補者の選び方を誤ります。

2026年1月23日の運用方針で何が変わったか

2024年3月の当初の運用方針では、タクシーとバスの運転者はB1相当以上、つまり日本語能力試験N3以上の合格が求められていました。運用要領(令和7年2月17日改正版)の確認書類も「日本語能力試験(N3以上)の合格証明書」で、国土交通省のQ&Aも同じ説明のままです。

2026年1月23日に閣議決定された新しい運用方針は、日本語能力水準について、B1相当以上を原則としつつ、A2.2相当の外国人を運転業務に従事させる場合に次の措置を講じることを条件として認めました。

  1. 受入れ機関が、その外国人のB1相当以上の日本語能力の修得に向けた日本語学習プランを作成すること
  2. 受入れ機関に雇用された者が、乗客や関係機関等との意思疎通を補助する要員として同乗すること

1は書面を作れば足りますが、2は運行ごとに人を付けることを意味します。タクシーは原則として運転者1人で乗務する仕事なので、同乗要員を置けば1台に2人の人件費がかかります。筆者は、この緩和を「N4でも採れるようになった」と読むより、「N3に届くまでの期間を、会社の負担で埋めることが認められた」と読むほうが実態に近いと考えています。採用時にN4の人を選ぶなら、N3合格までの学習計画と、それまでの同乗要員の確保を、最初から費用に入れておく必要があります。

なお、離島・半島地域で同乗要員を置かなくてよいとする特例は乗合バスに限った措置で、タクシーには適用されません。

学習プランと同乗要員の具体的な書き方は(公式資料では未確認)

日本語学習プランの様式、提出先、同乗要員に求められる研修や資格について、国土交通省のQ&A(本稿執筆時点で確認できた版)はまだN3のみを前提とした記載で、新方針に合わせた改訂は確認できませんでした。運用要領の改正版やQ&Aの更新で具体的な様式が示される可能性があるため、申請の前に国土交通省の自動車運送業分野のページで最新の資料を確認してください(公式資料では未確認)。

評価試験(タクシー)の内容と受験資格

評価試験は、国土交通省の「自動車運送業分野特定技能1号評価試験実施要領」(令和6年12月施行)に基づき、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が国内外で実施しています。タクシー区分の骨格は次のとおりです。

  • 試験方式:CBT方式またはペーパーテスト方式
  • 出題範囲:運行業務、接遇業務、安全衛生
  • 問題数:学科試験30問(真偽法=○×式)、実技試験20問(三肢択一)
  • 試験時間:学科と実技をあわせて80分
  • 合格基準:学科・実技それぞれ正答率60%以上
  • 受験資格:満17歳以上で、日本または外国で取得した自動車運転免許(試験日に有効なもの)を持っていること
  • 使用言語:日本語が基本。第二種運転免許の学科試験に準拠した部分は試験実施国の現地語を併記
  • 合格の有効期間:受験日から10年

受験の時点で必要なのは「何らかの有効な運転免許」で、第二種免許である必要はありません。母国で普通免許を持っていれば受験できます。学習用テキストは、一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会のウェブサイトで公開されています。試験日程と会場は日本海事協会の特定技能試験ポータル(sswt-portal.classnk.or.jp)で告知されます。

問題の水準について、実施要領は「第二種運転免許の学科試験に準拠した内容」を含むとしています。評価試験の勉強は、そのまま来日後の第二種免許の学科試験の準備を兼ねると考えてよい構成です。

第二種運転免許の取得|外免切替から二種免許まで

外国人が日本でタクシーを運転するには、日本の第二種運転免許が必須です。国際運転免許証や母国の免許のままでは乗務できません(国土交通省Q&A)。第二種免許は、旅客を乗せて運賃を受け取る運転をするための免許で、道路交通法96条が受験資格を定めています。原則は21歳以上で、普通免許などの第一種免許を受けていた期間が通算3年以上あることです。2022年5月13日施行の改正で、受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・経歴1年以上でも受験できるようになりました。

海外から来日する人の手順は、おおむね次の順になります。

  1. 特定活動で入国し、住居地を届け出る
  2. 外免切替で日本の普通免許(第一種)を取得する
  3. 第二種免許の学科・技能試験に合格する(指定自動車教習所の二種課程を使うのが一般的)
  4. 新任運転者研修を受け、修了する

外免切替には、外国の免許を取った後にその国に通算3か月以上滞在していたことが条件になります(警察庁)。2025年10月1日からは道路交通法施行規則の改正で外免切替の知識確認が10問から50問に増え、合格基準も90%以上に上がりました。さらに住民票の写しの提出が必要になったため、来日直後に手続を始めることはできません。

第二種免許の受験資格にある「3年以上」の運転経歴について、国土交通省は海外での運転経歴も加算できるとしています。ただし経歴を証明する書類が必要です。母国の免許証の交付日が確認できるか、再発行で交付日が新しくなっていないかは、採用面接の段階で確かめておくべき点です。経歴が3年に満たない人を採用すると、1年の特定活動の期間中に二種免許の受験資格がそろわないおそれがあります。

新任運転者研修|運輸規則38条・39条の指導と適性診断

新任運転者研修は、タクシー・バスの特定技能外国人にだけ課される要件です。運用要領はその中身を、旅客自動車運送事業運輸規則38条1項と39条に規定する指導監督、同規則38条2項に規定する特別な指導、同条5項に規定する指導を受けること、そして同条2項に規定する適性診断を受けることと定めています。ここでいう「特別な指導」と「適性診断」は、日本人の新人運転者にも初任時に義務づけられているもので、外国人向けに新しく作られた研修ではありません。

国土交通省のQ&Aは、研修の構成を次の3つとして説明しています。

  • 座学研修(法令、接遇、地理、安全に関する研修)
  • 路上走行研修
  • 適性診断

修了の判定は、業界団体が定めた効果測定の基準に基づいて行われます。研修中の公道での運転は、運転者の研修や教育の一環として行われ、運送業務の性質を持たないものであれば、特定活動の期間中でも認められます。乗客を乗せて運賃を受け取る運転は、特定技能1号への変更許可を受けるまでできません。

研修の実施は、受け入れるタクシー会社の義務です(運用方針の受入れ機関に課す条件)。会社は日本人の新人向けに組んでいる初任研修を、日本語の水準が異なる外国人向けにどう調整するかを考える必要があります。地理の研修は、営業区域の主要施設や道路を覚える内容なので、N3の日本語でも時間がかかります。

これとは別に、タクシー業務適正化特別措置法の指定地域では、乗務の前に運転者登録が必要で、東京・神奈川・大阪の一部の地域では法令や地理の試験を経る仕組みになっています。自社の営業区域が指定地域に当たるか、登録に試験が伴うかは、地方運輸局で確認してください(公式資料では未確認)。

特定活動(特定自動車運送業準備)は1年・更新不可

免許の取得と研修の受講のために在留する資格が、「特定活動」(特定自動車運送業準備)です。出入国在留管理庁の案内と運用方針では、タクシー運転者の在留期間の上限は1年で、更新はできません。この期間は特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に算入されません。

期間中にできるのは、運転免許取得のための諸手続(教習所への通所を含む)、新任運転者研修の受講、車両清掃などの関連業務です。運送業務そのものはできません。二種免許の取得と研修の修了がそろったら、在留期間が残っていても速やかに特定技能1号への変更許可を申請する必要があります。1年の間に二種免許を取れなかった場合、特定技能への移行も特定活動の延長もできません。

特定活動の申請の段階で、評価試験と日本語試験の合格、雇用契約、支援計画は特定技能と同じ水準でそろっている必要があります。つまり、会社側の働きやすい職場認証と協議会への加入は、特定活動の在留資格認定証明書を申請する前に終えていなければなりません。特定活動の要件と申請書類は特定活動55号とは|特定技能「自動車運送業」の運転免許取得準備と在留期間で詳しく扱います。

日本にすでに住んでいて在留資格を持つ人(留学生や家族滞在の人など)は、この特定活動を経由せず、日本で二種免許を取り、研修を修了してから特定技能1号への変更を申請するのが原則です。

タクシー会社側の要件|働きやすい職場認証と協議会

受け入れるタクシー会社には、特定技能の共通の基準に加えて、次の分野独自の要件があります(運用方針・運用要領)。

  • 一般財団法人日本海事協会が実施する「運転者職場環境良好度認証制度」(働きやすい職場認証制度)の認証を受けていること
  • 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になること
  • 受け入れる外国人に新任運転者研修を実施すること
  • 支援を登録支援機関に委託する場合は、協議会の構成員である登録支援機関に委託すること

トラック運送業ではGマーク(安全性優良事業所)で認証の代わりにできますが、タクシーにはこの選択肢がありません。働きやすい職場認証が唯一の入口です。認証には申請の受付時期と審査期間があるため、未取得の会社は採用活動より先に取得の見通しを立てる必要があります。

協議会の加入受付は2025年1月17日に始まりました。入会の届出は特定活動を含む在留資格の申請までに行い、事務局の確認に1か月程度かかるとされています。入会金と年会費はかかりません。協議会の一般的な位置づけは特定技能の協議会とは?加入のタイミング・分野ごとの窓口と加入しないリスクで解説しています。

歩合給と労働時間の設計

タクシーの賃金は歩合給を含む体系が一般的です。特定技能の報酬は日本人と同等額以上であることが基準で、同じ営業所の日本人運転者と同じ賃金体系を当てはめるのが基本になります。歩合部分が大きい体系では、売上が少ない月に最低賃金を下回らない保障給の設定が欠かせません。報酬の基準の考え方は特定技能外国人の給料はどう決める?で扱っています。

労働時間は、2024年4月1日施行の改正「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が日本人と同じく適用されます。ハイヤー・タクシーの拘束時間の上限は、日勤が1か月288時間、隔日勤務が1か月262時間です。隔日勤務は1回の乗務が長く、日本語や地理に不慣れな時期の外国人には負担が大きいので、筆者は、乗務開始当初は日勤から始める配置が現実的だと考えています。

受入れの流れ|海外から採用する場合の順序

海外から採用する場合の順序を、会社側の準備も含めて並べると次のようになります。

  1. 会社が働きやすい職場認証を取得し、協議会に加入する(登録支援機関に委託する場合は委託先も加入済みか確認)
  2. 候補者が海外で評価試験(タクシー)と日本語試験に合格する(N3、またはN4で措置を講じる場合は学習プランと同乗要員の計画を準備)
  3. 雇用契約を結び、支援計画を作る
  4. 「特定活動」(特定自動車運送業準備)の在留資格認定証明書を申請し、入国する
  5. 住居地の届出の後、外免切替で普通免許を取り、第二種免許を取得する
  6. 新任運転者研修を実施し、修了させる
  7. 特定技能1号への在留資格変更許可を申請する
  8. 許可後、乗務を開始する

国土交通省の制度概要資料では、タクシー・バスの特定活動期間は最大12か月の工程として示されています。外免切替の予約待ち、二種免許の教習と試験、研修の修了判定が直列につながる工程なので、どこか1つが遅れると1年は余裕のない期間になります。所要期間は運転免許センターの混み具合や本人の習熟度で大きく変わるため、管轄の免許センターと教習所に事前に目安を聞いておくと計画が立てやすくなります。運転免許の取得費用について、国土交通省は所属機関が負担することが望ましいとしています。

よくある質問

タクシーの特定技能はいつからですか?

自動車運送業分野は2024年3月29日の閣議決定で特定技能の対象になり、評価試験は2024年12月に始まりました。協議会の加入受付は2025年1月17日からです。現在は要件を満たせばタクシー運転者として受け入れられます。日本語要件の条件付き緩和は、2026年1月23日の運用方針の閣議決定によるものです。

特定技能のタクシー運転手になるには日本語がどのくらい必要ですか?

原則はB1相当、日本語能力試験ならN3以上です。A2.2相当(N4程度)でも、会社がB1相当の修得に向けた日本語学習プランを作り、意思疎通を補助する社員を同乗させる措置を講じれば認められます。同乗要員の人件費を考えると、多くの会社にとってはN3合格者を採用するほうが負担は軽くなります。

特定技能タクシーの試験はどんな内容ですか?

日本海事協会が実施する評価試験で、運行業務・接遇業務・安全衛生が出題範囲です。学科30問(○×式)と実技20問(三肢択一)をあわせて80分で解き、それぞれ60%以上で合格です。満17歳以上で有効な運転免許(外国の免許でも可)を持っていれば受験できます。

特定技能のドライバーをトラックからタクシーに移すことはできますか?

同じ自動車運送業分野の中でも、タクシーの業務区分の評価試験、日本語要件、第二種免許、新任運転者研修をそろえる必要があります。トラックで求められるN4だけではタクシーの原則要件に届かないため、N3の合格か、学習プランと同乗要員の措置が必要です。

技能実習の経験があれば試験は免除されますか?

技能実習2号を良好に修了した人の日本語試験免除は、自動車運送業分野ではトラックに限った特例です。タクシーには評価試験、日本語試験ともに免除の仕組みがありません。

タクシー会社が最初に決めるべきは「N3で採るか、同乗要員を用意するか」

特定技能タクシーの受入れでは、候補者の日本語水準の選び方が、その後の費用と工程を大きく左右します。N3合格者なら採用後は二種免許と研修に集中できますが、候補者の数は限られます。N4の人を採るなら、学習プランの作成と、N3に達するまでの同乗要員の配置という継続的な負担を会社が引き受けることになります。どちらを選ぶかは、営業所の人員の余裕と、何年で戦力化したいかで決まる判断です。

そのうえで、採用前に確認すべき点は3つあります。自社が働きやすい職場認証を取得しているか。候補者の母国免許の交付日から見て、二種免許の受験資格(原則3年の経歴)が1年の特定活動の中でそろうか。営業区域で新任運転者研修の地理教育をどう組むか。この3点の見通しが立てば、1年・更新不可という特定活動の期限の中で乗務開始までたどり着けます。特定技能の分野全体の位置づけは特定技能の分野・職種一覧【2026年最新】で確認できます。個別の事情で判断が変わるため、受入れ計画の段階で専門家に相談してください。

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根拠資料


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