日本の大学・専門学校・日本語学校などで学ぶ外国人の在留資格は「留学」です。在留期間は4年3月を超えない範囲で一人ひとり指定され、就労は原則できず、資格外活動許可を受けたうえで週28時間以内のアルバイトだけが認められます。2026年はこの「留学」の運用が二つの点で見直されました。2026年4月から日本語教育機関が3か月に1度、留学生のアルバイトの状況を確認する仕組みが始まり、2026年7月1日以降の変更・更新申請(在留資格認定証明書は2026年10月期の入学者から)で、日本語学校に入る人の日本語能力の確認が厳しくなっています。
在留資格「留学」で認められる活動
入管法別表第一の四の表は、「留学」の活動を、日本の大学、高等専門学校、高等学校、中学校、小学校、特別支援学校、専修学校、各種学校、またはこれらに準ずる機関で「教育を受ける活動」と定めています。日本語教育機関(日本語学校)もこの「準ずる機関」に含まれます。
ここで押さえておきたいのは、「留学」が別表第一の四の表、つまり就労を予定しない在留資格に分類されている点です。入管法19条1項2号により、この表の在留資格の人は、許可を受けない限り、収入を伴う事業の運営や報酬を受ける活動が一切できません。アルバイトができるのは、資格外活動許可という例外の仕組みがあるからです。
留学の在留資格は、学校の種類ごとに上陸許可基準(基準省令)の要件が分かれています。大学に入る人と日本語学校に入る人とでは、求められる日本語能力も、提出書類も違います。2026年の見直しの対象が主に日本語教育機関である理由も、この区分から来ています。
留学生の在留期間は4年3月以内で個別に決まる
入管法施行規則別表第2は、「留学」の在留期間を「法務大臣が個々の外国人について4年3月を超えない範囲内で指定する期間」と定めています。実際には、学校の修業年限と在籍予定期間に合わせて、1年、1年3月、2年、2年3月などが指定されるのが一般的です。
卒業予定より在留期限が先に来る場合は、期限前に在留期間の更新を申請します。更新の審査では、出席率と成績、学費と生活費の支弁状況、資格外活動の状況が見られます。2026年10月1日以降に受け付けた更新申請は手数料が変わり、許可される在留期間が1年なら窓口33,000円(オンライン27,000円)、1年を超え3年未満なら窓口48,000円(オンライン42,000円)です。2026年9月30日までの受付分は従来の額(窓口6,000円、オンライン5,500円)で、留学生一般を対象にした減額はありません。改定の全体像は【2026年10月確定】在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?で解説しています。
留学生のアルバイトは資格外活動許可で週28時間以内
留学生がアルバイトをするには、資格外活動許可(包括許可)が必要です。入管法施行規則19条5項1号は、包括許可の範囲を「1週について28時間以内(在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間は1日について8時間以内)」とし、風俗営業等の営業所での活動を除いています。新規入国の留学生は空港で許可を申請でき、許可を受けると在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に記載されます。
週28時間は、勤務先が複数あれば合算で数えます。どの曜日から数え始めても7日間で28時間以内に収まっている必要があります。数え方の詳細は留学生アルバイト週28時間の数え方|掛け持ち・長期休暇の1日8時間と証明方法で整理しています。同じ規定のかっこ書は、留学生の資格外活動を「教育機関に在籍している間に行うもの」に限っているため、卒業や退学の後は、在留期限が残っていてもアルバイトはできません。
2026年の見直し① 日本語学校に入る人の日本語能力の確認
2026年1月23日に政府が決定した「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を受けて、出入国在留管理庁は「留学」の運用を見直しました。一つ目は、日本語教育機関に入学する人の日本語能力の確認方法です。
これまで、日本語教育機関に入る人の在留審査では、「日本語教育の参照枠」のA1相当以上の日本語能力を確認するにあたり、150時間以上の日本語学習歴があればそれで足りるという扱いでした。見直し後は、日本語試験の証明書か、受け入れる日本語教育機関による面接(オンライン可)で能力を確認することが基本になります。面接で確認した場合は、学校が作成する確認書に、A1レベルの問題を何問出題し、何問に日本語で答えたかといった結果を記載します。
| 申請の種類 | 適用時期 |
|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 2026年10月期以降の入学者から |
| 在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請 | 2026年7月1日以降の申請から |
対象は日本語教育機関と大学の日本語別科などです。別表に掲載された国・地域の出身者で、外国の高等教育機関の卒業証明書を出す人は、日本語能力の立証が不要とされています。前回の申請から在籍する教育機関が変わっていない更新では、確認書の提出は不要です。「2026年の留学の厳格化はいつからか」という問いには、日本語能力の確認が2026年7月1日(変更・更新)と10月期入学(認定)、次に述べるアルバイトの把握が2026年4月と、項目ごとに開始時期が違う、と答えることになります。
2026年の見直し② 学校が3か月ごとにアルバイトを確認
二つ目は、留学生のアルバイトの把握です。出入国在留管理庁は2026年4月10日付けで日本語教育機関に周知し、同月から運用を始めました。日本語教育機関には、次の対応が求められています。
- 3か月に1度、在籍する留学生について、資格外活動許可の有無、活動先(複数ならすべて)、活動内容、毎日の活動時間を確認する
- 入管から情報提供される、複数の勤務先で働く留学生は特に慎重に確認する
- 許可の範囲に違反していれば直ちに指導し、改善させる
- 指導しても改善しない留学生や、「雇用主が週28時間を超える勤務を強いている」といった報告があった場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署に報告する
報告を受けた入管は、内容に応じて調査し、在留審査に反映させるとしています。あわせて総合的対応策では、ハローワークへの外国人雇用状況届出を活用して、複数の稼働先で資格外活動を行っている留学生を特定する施策(施策番号31)も示されました。
この見直しで変わるのは、アルバイトの時間が「本人の申告だけ」で済まなくなったことです。学校の記録、雇用状況届出、住民税の課税証明書が、同じ留学生について突き合わされる可能性があります。違反が見つかった場合の罰則と在留審査への影響は資格外活動違反とは|オーバーワークの発覚経路・罰則・更新不許可で扱っています。総合的対応策の他の項目は【2026年1月決定】外国人受入れの総合的対応策で在留審査はどう変わる?を参照してください。
見直しの背景にある在留資格取消しの増加
見直しの背景には、留学生の在籍管理の問題があります。出入国在留管理庁が2026年3月27日に公表した令和7年の在留資格取消件数は1,446件で過去最多となり、そのうち「留学」は343件(23.7%)でした。取消事由の多くは、本来の活動を3か月以上行っていないこと(入管法22条の4第1項6号)と、本来の活動を行わずに他の活動を行っていること(同項5号)です。学校に通わなくなった留学生が、アルバイトを生活の中心にして在留を続ける、という形が典型です。
筆者は、今回の見直しを、留学生本人より、受け入れる側(学校と雇用企業)に管理の実務を求める改正として読むのが実態に近いと考えています。入学時の日本語能力を学校の責任で確かめさせ、在学中のアルバイトも学校に記録させる。在留資格の審査を、入口の書類審査だけでなく、在学中の継続的な確認で支える方向です。
留学生を雇う企業への影響
留学生をアルバイトで雇う会社にとって、2026年の見直しは次の三つの実務につながります。
一つ目は、掛け持ちの確認です。自社のシフトだけで28時間以内に収めていても、他社と合わせて超えていれば違反です。採用時に他の勤務先と時間を聞き、記録しておく必要があります。
二つ目は、勤怠記録を日ごとに残すことです。学校の3か月ごとの確認は「毎日の活動時間」を対象にしています。会社が週単位の合計しか持っていないと、学校や入管から照会があったときに説明できません。
三つ目は、学校との食い違いに備えることです。留学生本人が学校に申告した時間と会社の記録が違えば、どちらが正しいかを会社が示すことになります。雇った会社には不法就労助長罪(入管法73条の2)が問題になりえ、現行の3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金は、2027年4月1日から5年以下・500万円以下に引き上げられます。
卒業後に切り替える在留資格
留学生が日本で就職する場合、卒業前後に在留資格を変更します。主な行き先は次のとおりです。
- 技術・人文知識・国際業務:大学・専門学校で学んだ内容と関連する業務に就く場合。留学生の就職で最も多い変更先です
- 特定活動46号:日本の大学を卒業し、日本語能力試験N1相当の日本語能力がある人が、日本語を使う幅広い業務に就く場合
- 特定技能1号:分野ごとの技能試験と日本語試験に合格して、特定産業分野で働く場合
- 特定活動(継続就職活動):卒業までに就職が決まらず、就職活動を続ける場合(原則最長1年)
どの在留資格に変更する場合でも、在学中の出席状況と資格外活動の状況は審査で見られます。卒業時にまとめて問われるのは、在学中の過ごし方です。技人国への変更の手順は留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイドで解説しています。
休学・退学したときの在留資格
「留学」の在留資格は、教育を受ける活動をしていることが前提です。退学や除籍で学校を離れた場合、本人は14日以内に出入国在留管理庁へ所属機関に関する届出をする義務があります(入管法19条の16第1号)。学校に通わない状態が3か月以上続くと、正当な理由がない限り在留資格の取消事由になります(22条の4第1項6号)。
休学は退学と違い、在籍が続いています。ただ、休学中は教育を受ける活動をしていない状態なので、病気療養など正当な理由を説明できない長期の休学は、更新の審査や取消しの判断で問題になりえます。休学中にアルバイトの時間を増やすと、就労が在留の中心になっていると見られるおそれもあります。どの程度の休学なら問題にならないかは、理由と期間、復学の見込みによって個別の事情で判断が変わります。
よくある質問
留学生の在留資格の期間は?
4年3月を超えない範囲で、法務大臣が一人ひとり指定します(入管法施行規則別表第2)。学校の修業年限と在籍予定期間に合わせて1年、2年、2年3月などが決まり、卒業前に期限が来る場合は更新を申請します。
留学生の在留資格で就労はできますか?
原則できません。資格外活動許可を受ければ、週28時間以内(長期休業期間は1日8時間以内)でアルバイトができます。風俗営業等の営業所での仕事は許可の範囲外です。卒業後は、在留期限が残っていてもアルバイトはできません。
留学生が就職により切り替えられる在留資格は?
主に技術・人文知識・国際業務、特定活動46号、特定技能1号です。就職先の業務内容と、本人の学歴・専攻・日本語能力・試験合格の有無によって、選べる在留資格が決まります。就職が決まらない場合は、継続就職活動の特定活動で就職活動を続けられます。
留学生が退学したら在留資格はどうなる?
在留資格がすぐに消えるわけではありませんが、14日以内に所属機関の届出が必要で、教育を受ける活動をしない状態が3か月以上続くと在留資格の取消事由になります。他の学校への入学や就職による在留資格の変更を、早めに検討する必要があります。
2026年の見直しで日本語学校の留学生のアルバイトは制限されますか?
時間の上限(週28時間)は変わっていません。変わったのは管理の方法で、日本語教育機関が3か月に1度、許可の有無・活動先・活動内容・毎日の時間を確認し、違反があれば指導し、改善しなければ入管に報告する仕組みが2026年4月から始まりました。
学校の記録が審査の材料になる時代に
2026年の見直しで、「留学」の在留審査は、申請書類だけでなく、学校が日々積み上げる記録にも支えられるようになりました。日本語能力は学校の面接記録で、アルバイトは学校の3か月ごとの確認記録で確かめられます。
留学生を雇う会社にとっての判断軸は、自社の勤怠記録が、学校の記録や雇用状況届出と並べられたときに説明できるかどうかです。採用時の掛け持ち確認と日ごとの勤怠記録を整えておけば、留学生本人の更新や卒業後の就職のときにも、同じ記録がそのまま使えます。
根拠資料
- 在留資格「留学」(出入国在留管理庁)
- 日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについて(出入国在留管理庁)
- 在留資格「留学」に係る適正化について(出入国在留管理庁・2026年4月10日周知)
- 出入国管理及び難民認定法 別表第一・第19条・第19条の16・第22条の4(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条・別表第2(e-Gov法令検索・2026年9月1日時点)
- 資格外活動許可について(出入国在留管理庁)
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