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資格外活動違反とは|オーバーワークの発覚経路・罰則・更新不許可

資格外活動違反とは、在留資格で認められた範囲の外で、許可を受けずに報酬を受ける活動をすることで、入管法19条1項に違反します。刑事罰は1年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(入管法73条)、報酬を受ける活動を「専ら行つていると明らかに認められる」段階まで進むと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(同法70条1項4号)と退去強制事由(同法24条4号イ)になります。ただ、留学生のオーバーワークの多くは、刑事事件になる前に、在留期間の更新や就職時の在留資格変更の審査で見つかり、不許可という形で決着します。ここでは、条文の二段構えと、違反がどこから見つかるのかを、雇う会社の側から整理します。

資格外活動違反は「許可の範囲の外」で働くこと

入管法19条1項は、別表第一の在留資格(留学、家族滞在、技術・人文知識・国際業務、特定技能など)で在留する人について、許可を受けずに次の活動をしてはならないと定めています。

  • 就労系の在留資格(別表第一の一・二・五の表)の人:その在留資格の活動に属しない、収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動
  • 留学・家族滞在・文化活動などの人(別表第一の三・四の表):収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動のすべて

ここでいう資格外活動許可とは、本来の活動を妨げない範囲で、在留資格の外の就労を例外的に認める許可を指します(同条2項)。留学生のアルバイトで使われる包括許可は、入管法施行規則19条5項1号により「1週について28時間以内(長期休業期間は1日について8時間以内)」で、風俗営業等の営業所での活動を除く、という条件が付いています。

違反の形は、実務上おおむね次の4つに分かれます。

  1. 許可を受けずに働く(留学生・家族滞在者が許可を取る前にアルバイトを始める)
  2. 許可の条件を超えて働く(週28時間の超過、風俗営業等の営業所での勤務)
  3. 許可の前提がなくなった後も働く(卒業・退学後に「留学」のままアルバイトを続ける)
  4. 就労系の在留資格で、認められた活動の外の仕事をする(技術・人文知識・国際業務の社員を工場ラインに専従させる、特定技能の外国人を別分野の業務に就かせる)

4つ目は留学生の問題と思われがちですが、就労系の在留資格でも同じ条文の違反です。技人国の社員の副業については技術・人文知識・国際業務の外国人はアルバイト・副業できる?で扱っています。3つ目の卒業後の扱いは、入管法施行規則19条5項1号のかっこ書が「教育機関に在籍している間に行うものに限る」と定めていることが根拠です。

罰則は73条と70条の二段構え

資格外活動の罰則は、違反の程度によって二つの条文に分かれています。

区分 条文 法定刑 退去強制との関係
資格外活動(通常) 入管法73条1号 1年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、または併科 拘禁刑に処せられた場合に退去強制事由(24条4号ヘ)
資格外活動を「専ら」行っていると明らかに認められる 入管法70条1項4号 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または併科 刑事処分の有無にかかわらず退去強制事由(24条4号イ)

73条1号はかっこ書で「第七十条第一項第四号に該当する者を除く」と定めており、重い方に当たる人は70条で処罰される仕組みです。2025年6月1日の刑法改正の施行で、懲役・禁錮は「拘禁刑」に一本化されています。

ここで押さえておきたいのは、退去強制とのつながり方の違いです。73条の段階では、罰金で終われば、それだけでは退去強制事由になりません。拘禁刑(執行猶予付きを含む)に処せられて初めて24条4号ヘに当たります。一方、70条1項4号の「専ら」の段階に達すると、24条4号イにより、刑事裁判を待たずに退去強制手続の対象になります。

「資格外活動は何罪になるか」と聞かれれば、条文上の名前は「資格外活動罪」(73条)で、専従型は70条の罪(不法残留などと同じ条に並ぶ罪)です。不法就労の一類型であり、雇った側には不法就労助長罪(73条の2)が別に問題になります。

「専ら行っていると明らかに認められる」の判断基準

70条1項4号と24条4号イの分かれ目になるのが、「専ら行つていると明らかに認められる」という文言です。ここでいう「専ら」とは、本来の在留目的の活動が形だけになり、在留の実態が就労に置き換わっている状態を指します。週28時間を1時間でも超えれば「専ら」になるわけではありません。

裁判例では、留学生について、学生としての生活と就労の状況、就労に至った経緯、学費・生活費の支出状況、本国からの送金の状況と使途などを総合的に見て、在留を正当化する本来の在留資格である「留学」が実質的に変更されたと認められるかという観点から判断する、という枠組みが示されています(東京地裁の裁判例として弁護士の解説で紹介されているもので、事件番号・判決日は(公式資料では未確認))。

この枠組みから読み取れる判断材料は、実務上は次のようなものです。

  • 出席率と成績:授業にほとんど出ていない、単位を取れていない
  • 就労の量:週28時間を大きく超える状態が長期間続いている、フルタイムに近い
  • 収入の使い道:学費を滞納しながら就労収入を本国に送金している
  • 在籍の実態:除籍・退学後も働き続けている

逆にいえば、出席率が保たれ、学費も納めている留学生が、繁忙期に数週間だけ28時間を超えたという程度では、「専ら」には通常当たりません。その場合に問題になるのは73条の資格外活動と、次に述べる在留審査での評価です。在留資格を名目より活動の実態で判断するという考え方は、最高裁平成14年10月17日判決にも通じます。

オーバーワークは更新・変更の書類で見つかる

資格外活動違反が発覚する経路は、摘発や通報よりも、本人の在留審査の方がはるかに多いのが実態です。出入国在留管理庁の統計(令和7年の入管法違反事件)でも、退去強制手続または出国命令手続を執られた人のうち、違反事由が資格外活動だったのは79人(令和6年は90人)にとどまります。多くのオーバーワークは、退去強制ではなく、在留審査の中で処理されているということです。

課税証明書と給与支払報告書

会社が支払ったアルバイト代は、翌年1月末までに市区町村へ提出する給与支払報告書を通じて、住民税の課税証明書に年間の給与収入として載ります。勤務先が複数あれば合算されます。時給1,200円で週28時間を1年間守った場合の給与収入は、単純計算で約175万円(1,200円×28時間×52週)です。長期休業期間の1日8時間を加味しても、時給と見比べて明らかに多い収入額は、時間超過を推測させます。

出入国在留管理庁の「留学」の更新用提出書類一覧表では、滞在費を本人が支弁し、直近の更新申請時に資格外活動許可に関する指導を受けている場合、直近の住民税の課税(又は非課税)証明書と納税証明書(アルバイトを1年以上している場合)、または給与明細書の写し(1年未満の場合)の提出が求められています。一度指導を受けた留学生は、次の更新で収入の裏付けを直接見られるということです。

就職時の在留資格変更

卒業して技術・人文知識・国際業務などに変更するときは、在学中の在留状況がまとめて審査されます。出入国在留管理庁が公表する不許可事例(令和2年9月更新)には、資格外活動許可を受けずに風俗営業店で長期間稼働していた人が、在留状況に問題があるとして在留資格の変更を認められなかった例が載っています。変更申請の流れは留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイドで解説しています。

外国人雇用状況の届出と学校の確認

留学生を雇った会社は、ハローワークに外国人雇用状況の届出を出します。2026年1月23日の「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を受け、出入国在留管理庁は、この届出を活用して複数の稼働先で働く留学生を特定し、教育機関と連携して実態を把握する方針を示しました。さらに2026年4月10日、日本語教育機関に対して、3か月に1度、在籍する留学生から資格外活動許可の有無、すべての活動先、活動内容、毎日の活動時間を確認して記録するよう求めています。

掛け持ちの時間は、会社が把握していなくても、課税証明書・雇用状況届出・学校の記録という三つの経路で後から突き合わされる。筆者は、この点が2026年以降の留学生雇用で最も変わった部分だと考えています。

刑事罰より重い「在留審査での結果」

留学生本人にとって、実際の影響が大きいのは刑事罰よりも在留審査での扱いです。起こりうる結果は次のとおりです。

  • 資格外活動許可の取消し:条件に違反した場合、許可を取り消すことができます(入管法19条3項)。取り消されると、以後のアルバイトはすべて無許可になります
  • 在留期間更新の不許可:更新の審査では「素行が不良でないこと」が考慮され、資格外活動の違反はここで消極的に評価されます。出入国在留管理庁の新入生向けのお知らせも「資格外活動許可に違反している場合は、在留期間の更新が認められない可能性があります」と明記しています
  • 在留資格の変更の不許可:卒業時の就労資格への変更で、在学中の違反が問われます
  • 在留資格の取消し:退学後に学校へ通わず働いている場合などは、入管法22条の4第1項5号(本来の活動を行わずに他の活動を行って在留)や6号(本来の活動を3か月以上行わない)の対象になりえます

更新の審査での素行の評価は在留期間更新の「相当の理由」とはで解説しています。違反の程度・期間・その後の改善の状況によって結論は変わり、同じ超過時間でも許可される人と不許可になる人がいます。個別の事情で判断が変わるため、この点は一般論以上のことを言えません。

更新が不許可になると、在留期限までに出国の準備をするか、出国準備のための特定活動に移ることになります。卒業後の就職が決まっていても、変更が不許可なら入社できません。会社にとっても採用計画が崩れるリスクです。

雇った会社が問われる不法就労助長罪

留学生本人の違反とは別に、雇った会社には入管法73条の2の不法就労助長罪が問題になります。事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者が対象で、現行の法定刑は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)、2027年4月1日からは5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金に引き上げられます。76条の2の両罰規定により、法人にも罰金刑が科されます。

73条の2第2項は、外国人が許可を受けていないことや、許可の範囲外の活動であることを「知らないことを理由として」処罰を免れることはできない、ただし過失がないときはこの限りでない、と定めています。在留カード裏面の資格外活動許可欄を確認していない、掛け持ちの有無を聞いていない、という状態は、過失がないとは言いにくい状況です。罪の成立範囲と防ぎ方は不法就労助長罪とは?で詳しく扱っています。

時間の数え方(どの曜日から起算しても28時間以内、掛け持ちの合算)は留学生アルバイト週28時間の数え方|掛け持ち・長期休暇の1日8時間と証明方法で、採用時の確認手順は留学生アルバイトの雇用で確認すること|在留カード・週28時間の管理・届出で整理しています。

違反に気づいたときの対応

自社で雇っている留学生が週28時間を超えていた、他社との掛け持ちで合計が超えていた、と気づいた場合、会社がとるべき対応は次の順です。

  1. シフトを直ちに28時間以内(長期休業期間は1日8時間以内)に戻す
  2. 本人に掛け持ち先と合計時間を確認し、記録に残す
  3. 超過の期間と時間を勤怠記録で特定しておく
  4. 本人に、次の更新や変更の申請で事実と異なる説明をしないよう伝える

4つ目が見落とされがちです。超過を隠して申請書や理由書に事実と異なる内容を書くと、虚偽申請の問題(入管法70条1項2号の2など)に発展しかねません。過去の超過は消せませんが、現在は改善していることを勤怠記録で示せる状態にしておくことが、本人の次の審査で実際に意味を持ちます。会社が日ごとの勤怠記録を残しておくことは、会社自身の過失の有無を説明する材料にもなります。

よくある質問

資格外活動許可なしでアルバイトをしたらどうなる?

入管法19条1項違反になり、刑事罰は1年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(73条)です。就労が生活の中心になっていれば、70条1項4号(3年以下・300万円以下)と退去強制事由(24条4号イ)に当たります。刑事事件にならなくても、在留期間の更新や変更の審査で素行の問題として評価されます。雇った会社は不法就労助長罪の対象になります。

資格外活動は何罪になりますか?

入管法73条の資格外活動罪です。本来の活動をせずに就労を専ら行っていると明らかに認められる場合は、より重い70条1項4号の罪になります。どちらも不法就労の一類型です。

資格外活動と無許可活動の違いは?

条文上は区別されていません。許可を受けずに働く場合も、許可の条件(週28時間、風俗営業等の除外)を超えて働く場合も、どちらも「19条2項の許可を受けて行う場合」に当たらないため、同じ19条1項違反です。

週28時間を少し超えただけで退去強制になりますか?

通常はなりません。退去強制事由になるのは、就労を「専ら」行っていると明らかに認められる場合(24条4号イ)か、73条の罪で拘禁刑に処せられた場合(24条4号ヘ)です。ただし、少しの超過でも更新の審査では消極的に評価され、指導を受けた後の更新では課税証明書などの提出が求められます。

在留カードで資格外活動の許可の有無を確認するには?

在留カード裏面の「資格外活動許可欄」を見ます。「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されていれば包括許可です。空欄なら許可はありません。個別許可の場合は「許可:資格外活動許可書に記載された範囲内の活動」と記載されるため、許可書そのものを確認します。

違反の芽は「時間」より「掛け持ち」にある

資格外活動違反は、ひとつの会社の中で時間を管理していれば防げるように見えます。実際に起きているのは、会社ごとには28時間以内でも、合算すると超えているという形です。そして2026年からは、その合算が課税証明書・雇用状況届出・学校の3か月ごとの確認で可視化されるようになりました。

留学生を雇う会社が採用時に聞くべきことは、在留カードの表裏の確認に加えて「他にどこで、週何時間働いているか」です。これを記録として残し、シフトを組む前提にしておけば、本人の次の更新も、会社の過失の有無も、同じ記録で説明できます。

根拠資料


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