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日本人の配偶者の永住権|実体婚3年・在留1年の特例と在留期間3年の壁

日本人の配偶者は、実体を伴った婚姻生活が3年以上続き、かつ日本に引き続き1年以上在留していれば、原則10年の在留を待たずに永住許可を申請できます。この年数は出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン」(2026年2月24日改訂)が定める特例です。ただし、年数を満たしていても、いま持っている配偶者ビザの在留期間が「1年」のままだと申請の前提を欠きます。実務で申請の可否を分けるのは、婚姻年数よりもこの在留期間のほうであることが少なくありません。

日本人の配偶者は「婚姻3年・在留1年」で永住申請できる

永住許可の根拠は入管法22条2項です。同項は、素行が善良であること(1号)、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(2号)、その者の永住が日本国の利益に合すると認められることの3つを求めています。そのうえで同項ただし書は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子については、1号と2号に適合することを要しないと定めています。

つまり、日本人の配偶者に法律上残る要件は、3つ目の国益要件だけです。国益要件の中身を具体化したガイドラインでは、原則として引き続き10年以上日本に在留していることが求められますが、「原則10年在留に関する特例」として、配偶者について次の基準が置かれています。

実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること

ここでいう「特例」とは、10年という在留年数の要件だけを短くする仕組みを指します。国益要件に含まれる他の項目、つまり刑罰を受けていないこと、税金・年金・医療保険料を適正に納めていること、現在の在留資格で最長の在留期間を持っていることなどは、配偶者であっても免除されません。永住の条件全体の構造は永住権の条件とは?素行善良・独立生計・国益の3要件と原則10年在留で整理しています。

「実体を伴った婚姻生活3年」の数え方

特例の1つ目の条件は、婚姻の年数です。ガイドラインがわざわざ「実体を伴った」と書いているのは、戸籍上の婚姻期間がそのまま数えられるとは限らないという意味です。数え方の考え方を場面ごとに整理します。

起算点は婚姻の成立日

3年を数え始めるのは、法律上の婚姻が成立した日です。日本の市区町村に婚姻届を出して受理された日、または外国の方式で婚姻が成立した日がこれに当たります。婚姻前に同居していた期間や交際していた期間は、生活実態があっても婚姻期間には入りません。

海外で暮らしていた期間も婚姻期間に入る

条件の書き方を分解すると、「婚姻生活が3年以上継続」と「引き続き1年以上本邦に在留」は別々の要件です。婚姻生活の3年については、日本で暮らしていることまでは求められていません。海外で結婚して夫婦として2年間現地で暮らし、その後来日して日本で1年暮らせば、婚姻3年・在留1年の両方を満たす形になります。

ただし、海外での婚姻生活が実体を伴っていたことは、申請者の側で示す必要があります。同じ住所で暮らしていたことが分かる資料(現地の住居の契約書、夫婦宛ての郵便物、写真など)を、日本での生活の資料と別に用意しておくと説明がしやすくなります。

別居・単身赴任の期間

「実体を伴った」という言葉が効いてくるのが別居の期間です。夫婦関係が悪化して別居している期間は、戸籍上は婚姻中でも、実体を伴った婚姻生活とは評価されにくくなります。一方、仕事の都合による単身赴任や、親の介護のための一時的な別居は、夫婦としての交流や生計の一体性が続いていれば直ちに否定されるものではありません。別居の理由と期間、その間の連絡や送金の状況を説明できるかどうかが分かれ目になります。

入管は別居の期間を何か月まで許容するといった基準を公表していません。住民票上の住所が夫婦で分かれている場合は、その理由を申請時に理由書で説明しておくのが無難です。

前の婚姻・再婚の期間

同じ日本人と離婚して再婚した場合や、別の日本人と再婚した場合に、前の婚姻期間を通算できるかどうかについて、ガイドラインは何も書いていません。現在の婚姻の実体が問われる以上、原則として現在の婚姻の成立日から数えると考えておくのが安全です。

「引き続き1年以上本邦に在留」の意味

特例の2つ目の条件は、日本での在留が1年以上途切れていないことです。「引き続き」とは、在留資格を持った状態が途中で切れていないことを指します。

再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けて出国し、有効期間内に戻っていれば、在留は継続しているものとして扱われます。これに対し、再入国許可を受けずに出国した場合は、その時点で在留資格が消滅し、再来日した日から数え直しになります。帰省や出張で出国するときの手続きは再入国許可とみなし再入国許可の違いで解説しています。

出国日数については注意が要ります。再入国許可を取っていても、1年のうちの大半を海外で過ごしていれば、日本に生活の本拠があるとは評価されにくくなります。入管は日数の基準を公表していないため、申請前1年の出入国の記録を確認し、長期の出国がある場合はその理由を説明できるようにしておきます。

具体例で数えると

条件の組み合わせを、よくある4つの経過で確認します。いずれも在留期間の要件(次の節)を満たしている前提です。

ケース 経過 婚姻3年 在留1年 特例の年数要件
A 日本で結婚し、配偶者ビザで3年暮らしている 満たす 満たす 満たす
B 海外で結婚し現地で2年同居、来日して1年 満たす 満たす 満たす
C 技人国で6年在留中に結婚、婚姻から2年 満たさない 満たす 満たさない(婚姻3年を待つか、原則10年の到達を待つ)
D 結婚3年だが、夫婦関係の悪化で直近1年半別居 実体に疑義 満たす 別居の理由次第で消極評価

ケースCのように就労ビザで在留している人も、日本人と結婚していれば配偶者の特例を使えます。ガイドラインの特例は「日本人の配偶者」という身分に着目したもので、在留資格が「日本人の配偶者等」であることまでは書かれていません。ただし、在留資格を変えないまま申請する場合も、今の在留資格で最長の在留期間を持っているかは問われます。

見落としやすい要件:在留期間「3年」以上が必要

配偶者の永住申請で最も多いつまずきが、在留期間の要件です。ガイドラインの国益要件ウは、「現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること」を求めています。

在留資格「日本人の配偶者等」の在留期間は、5年・3年・1年・6月のいずれかです。最長は5年ですが、ガイドラインの注記により、2027年3月31日までは在留期間「3年」を持っていれば最長の在留期間として扱われます。逆に言えば、在留期間「1年」の配偶者ビザでは、婚姻3年・在留1年を満たしていても、この要件を満たしません。

結婚して最初の配偶者ビザは在留期間1年で許可されることが多く、1回目・2回目の更新でも1年が続くことは珍しくありません。婚姻3年が経った時点で在留期間が1年のままなら、まず次の更新で3年が出るかどうかが先の論点になります。在留期間の決まり方は配偶者ビザの在留期間1年・3年・5年はどう決まる?3年が出にくい理由で扱います。

2027年4月1日以降は、原則として在留期間「5年」が必要になります。2027年3月31日の時点で「3年」を持っている人は、その在留期間内に処分を受ける場合に限り、初回だけ最長の在留期間として扱われる経過措置がありますが、申請の時期によって結論が変わる部分です。いま「3年」を持っていて特例の年数も満たしている人は、2027年3月31日までの申請を検討する価値があります。

免除されない要件:公的義務の履行と日本人配偶者の納付状況

法律上、素行善良要件と独立生計要件は免除されます。しかし国益要件イの「罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと」と「公的義務を適正に履行していること」は、配偶者の特例を使う場合もそのまま求められます。刑事処分や納付の遅れは、結局は国益要件の中で評価されるということです。

出入国在留管理庁が日本人の配偶者向けに示す必要書類(永住許可申請1)では、次の資料が求められます。

  • 住民税の課税証明書と納税証明書:直近3年分
  • 国税(源泉所得税、申告所得税、消費税、相続税、贈与税)の納税証明書(その3)
  • 公的年金・公的医療保険の保険料の納付状況が分かる資料:直近2年分
  • 戸籍謄本、世帯全員の住民票、職業を証明する資料、身元保証書、了解書

就労ビザからの永住申請で求められる住民税5年分より短い期間ですが、ここで見られるのは「申請人及び申請人を扶養する方」の納付状況です。外国人配偶者が専業主婦(主夫)で日本人配偶者の扶養に入っている場合、日本人配偶者の住民税や国民年金の納付状況がそのまま審査の対象になります。

見落とされやすいのが、日本人配偶者が自営業やフリーランスで、国民年金・国民健康保険を自分で納めている世帯です。ガイドラインは、申請時点で納付済みでも当初の納付期限内に納めていない場合は原則として消極的に評価されるとしています。申請前に、夫婦双方の「ねんきんネット」の記録と、住民税の納付日を確認しておくべきです。

収入については、独立生計要件が法律上免除されているため、配偶者の場合に年収の水準を正面から問われる場面は多くありません。それでも、生活保護を受けているなど公共の負担になっている事情は、国益要件の判断で考慮される可能性があります。

永住者・特別永住者の配偶者の場合

ガイドラインの特例は、日本人の配偶者だけでなく、永住者・特別永住者の配偶者にも同じ基準で適用されます。在留資格としては「永住者の配偶者等」を持っているのが典型ですが、永住者の配偶者が「家族滞在」や就労ビザで在留していることもあります。

たとえば、夫が技人国から永住者になり、妻が家族滞在のまま日本で暮らしている世帯では、夫の永住許可後、妻は「永住者の配偶者」として婚姻3年・在留1年の特例を使えます。ただし、扶養者である夫が「永住者」になると、妻は家族滞在の該当性を失います(家族滞在の扶養者は入管法別表第一の在留資格の人に限られます)。出入国在留管理庁も身分関係に変更が生じた場合は速やかに変更申請をするよう求めているため、まず「永住者の配偶者等」への変更を済ませるのが基本です。変更前の家族滞在の在留期間で永住を申請する場合も最長の在留期間を持っているかが問われますが、家族滞在の在留期間は施行規則別表第2で「5年を超えない範囲内で法務大臣が個々に指定する期間」とされ、最長は5年です。ガイドラインの注記には「3年」を最長として扱う経過措置もありますが、家族滞在で3年以上の在留期間を持っている人は多くありません。家族滞在から永住者の配偶者等へ変更するタイミングは永住者の配偶者等とは?家族滞在との違いと変更すべきタイミングで扱います。

夫婦そろって永住を目指す場合、夫の申請と同時に妻も申請する方法と、夫の許可を待ってから配偶者として申請する方法があります。同時申請の条件は家族滞在から永住申請するには?配偶者・子どもの同時申請の条件と注意点で取り上げます。

2026年8月の改定案:婚姻5年・在留3年に伸びる方向

2026年8月4日、法務大臣は永住許可に関するガイドラインの改定案を公表し、意見募集が行われました。e-Govパブリック・コメントに掲載された改定案の概要には、配偶者の特例について「婚姻期間3年かつ本邦在留期間1年で特例的に認めていたところ、それぞれの期間を5年、3年に伸長」と書かれています。

改定案の概要では、日本語能力としてCEFR・B1相当を求めることや、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準の収入、将来の年金受給見込額を考慮する方針も示されています。適用時期は「令和9年4月から(収入に関する要素は本年10月施行)」とされています。

2026年9月29日時点で、改定の確定版はまだ確認できていません。配偶者特例の伸長が確定するか、2027年4月前に申請した人や審査中の人にどう適用されるか、独立生計要件が免除される配偶者に収入の基準がどう及ぶかは現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。確定前の案であっても、方向としては「婚姻3年・在留1年」で申請できる期間は2027年3月末までに限られる可能性があります。在留期間の経過措置の期限も同じ2027年3月31日なので、現行の基準で申請したい人にとっては、この日が一つの区切りになります。改定の全体像は【2026年10月改定】永住許可の要件厳格化で何が変わる?で解説しています。

手数料と審査期間

永住許可の手数料は、2026年10月1日以後に受け付けた申請から20万円に引き上げられました。2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以後になっても旧額の1万円です。手数料は許可を受けるときに収入印紙で納めるため、不許可になった場合は発生しません。改定の詳細は在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?にまとめています。

標準処理期間は、出入国在留管理庁の手続案内で4か月から6か月とされています。審査中に配偶者ビザの在留期限が来る場合は、永住申請とは別に在留期間更新許可申請を出しておく必要があります。永住申請をしているだけでは、在留期限は延びません。

配偶者ビザと永住権の違い

配偶者ビザ(日本人の配偶者等)と永住者は、どちらも就労の制限がありません。違いが出るのは、在留期間の更新と、婚姻関係が終わったときの扱いです。

配偶者ビザは、最長5年ごとに更新が必要です。また、在留資格の基礎が「日本人の配偶者」という身分にあるため、離婚や死別をすると、その身分に基づく活動を6か月以上行っていない場合は在留資格の取消しの対象になります(入管法22条の4第1項7号)。離婚後に日本に残るには、定住者などへの変更が必要です。この点は配偶者ビザで離婚したらどうなる?14日以内の届出と6か月以内の変更の目安で扱います。

永住者には在留期間がなく、在留カードの有効期間(2026年6月14日以降に交付されたカードは交付日後の10回目の誕生日まで。それより前の交付分は交付から7年)ごとに更新するだけです。永住許可を受けた後に離婚しても、永住者の在留資格はそのまま続きます。ただし2024年の入管法改正により、故意に公租公課を納めない場合などが永住許可の取消事由に加わっており、2027年4月1日に施行されます。永住者になれば何をしても安泰というわけではない点は押さえておくべきです。

よくある質問

配偶者ビザで永住権を取るには何年必要ですか?

実体を伴った婚姻生活が3年以上続き、かつ日本に引き続き1年以上在留していることが、ガイドラインの基準です。日本で結婚して配偶者ビザで暮らしている人なら、婚姻から3年が一つの目安になります。ただし在留期間「3年」以上の配偶者ビザを持っていることも必要なので、年数だけでは判断できません。2026年8月の改定案では婚姻5年・在留3年に伸ばす方向が示されており、確定内容は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。

配偶者ビザで3年経てば永住権は取れますか?

婚姻3年と在留1年を満たしても、在留期間が「1年」のままなら申請の前提を欠きます。また、税金・年金・医療保険料の期限内納付や、刑事処分がないことも求められます。永住許可は法務大臣の裁量による処分で、年数を満たせば必ず許可されるものではありません。個別の事情で判断が変わるため、別居や納付の遅れがある場合は申請前に確認が必要です。

日本人配偶者の永住申請に年収はいくら必要ですか?

入管法22条2項ただし書により、日本人の配偶者は独立生計要件を満たすことを法律上求められていません。年収の金額基準も公表されていません。一方で、扶養者の課税証明書・納税証明書は提出が求められ、納付の遅れや公的扶助の受給は審査で考慮されます。改定案で示された収入の基準が配偶者に及ぶかどうかは現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。

配偶者が無職でも永住申請はできますか?

申請人本人が無職でも、日本人配偶者の収入で世帯の生活が成り立っていれば申請はできます。この場合、日本人配偶者が扶養者として、住民税・国税・年金・医療保険の納付状況を証明する資料を用意します。身元保証人も通常は日本人配偶者が務めます。

永住者の配偶者も婚姻3年・在留1年で申請できますか?

できます。ガイドラインの特例は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者を同じ基準で扱っています。ただし在留資格が家族滞在のままの場合は、家族滞在で最長の在留期間(2027年3月31日までは3年を含む)を持っていることが必要で、実際にはこの点で申請できないケースが多くなります。

申請の時期は「婚姻年数」より「在留期間」と「2027年3月」で決まる

日本人の配偶者が永住申請の時期を考えるとき、多くの人は婚姻から3年を数えます。しかし実際に申請できるかどうかを決めるのは、手元の在留カードに記載された在留期間が3年以上かどうかです。婚姻3年を過ぎていても在留期間が1年なら、次の更新で3年を取ることが先の課題になります。

そのうえで、2027年3月31日という日付が重なります。在留期間「3年」を最長として扱う経過措置と、改定案が示す配偶者特例の伸長が、どちらもこの時期に切り替わる見込みです。いま在留期間3年を持ち、婚姻3年・在留1年を満たしている人は、住民税と年金の納付記録を夫婦双方で確認したうえで、2027年3月までに申請するかを具体的に検討する段階にあります。

外国人の配偶者を雇用している企業の人事担当者にとっても、永住申請の時期は無関係ではありません。在職証明書の発行や、申請前後の転職・部署異動の時期が審査に影響するためです。申請に必要な書類の全体は配偶者の永住申請の必要書類|日本人の配偶者等・永住者の配偶者等で夫婦どちらの分を出すかで整理しています。

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根拠資料


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