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育成就労から特定技能への移行要件|技能検定3級・A2.2と試験免除がない理由

育成就労から特定技能1号へ移行するには、技能試験(技能検定3級等または特定技能1号評価試験)と日本語試験(A2相当以上、JLPTのN4等)の両方に合格することが要件になります。技能実習2号を良好に修了した人に認められてきた試験免除は、育成就労からの移行にはありません。3年の育成就労を終えても試験に合格していなければ特定技能1号には移れないため、受入れ企業は3年後の試験合格から逆算して育成就労計画を組む必要があります。

育成就労から特定技能への移行要件は「技能試験+日本語試験」

出入国在留管理庁の「育成就労制度Q&A」Q75は、移行要件を次のように説明しています。

現行の特定技能制度では、技能実習2号良好修了者であれば、技能実習から特定技能1号への移行に際して、技能に係る試験及び日本語能力に係る試験の合格を免除するものとしていますが、育成就労制度では、技能に係る試験(技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験)及び日本語能力に係る試験(日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等))の合格が特定技能1号への移行の要件となります。

整理すると、特定技能1号へ移るには次の2つの合格が必要です。

  1. 技能:技能検定3級等、または特定技能1号評価試験
  2. 日本語:日本語教育の参照枠A2相当以上の試験(JLPTのN4、JFT-BasicのA2.2等)

ここでいう「日本語教育の参照枠」とは、文化庁が示した日本語能力の6段階の物差しを指し、A1が最も初歩、A2がその次の段階です。入管庁の「育成就労制度の概要」(令和8年7月改訂)は、特定技能1号の日本語水準を「日本語能力A2.2相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN4等)」と表記しています。育成就労の終了時に目標とする日本語水準もA2.2相当で、特定技能1号の水準と一致させてあります。

この2つの要件は、育成就労を経ずに海外で試験を受けて特定技能1号で入国する人と同じ水準です。育成就労を3年間修了したこと自体は、試験の代わりになりません。

技能実習ルートとの違い|試験免除がなくなる理由

技能実習から特定技能1号への移行と比べると、違いは試験免除の有無に集約されます。

項目 技能実習2号から特定技能1号 育成就労から特定技能1号
技能試験 2号良好修了+職種・作業の関連性があれば免除 技能検定3級等または特定技能1号評価試験の合格が必要
日本語試験 2号良好修了なら免除(職種を問わない) A2相当以上(N4等)の合格が必要
前提となる期間 2号の修了(通算おおむね3年) 原則3年の育成就労(途中移行は一定期間の在籍が条件)
不合格時 試験免除のため通常は問題にならない 再受験のため最長1年の育成就労継続が認められる
根拠 特定技能運用要領 育成就労制度Q&A Q75・Q76、基本方針

技能実習で試験免除が認められてきたのは、技能実習2号を良好に修了した時点で、特定技能1号に必要な技能と日本語能力を一定程度持っていると評価できる、という考え方によるものでした。育成就労制度では、その評価を「修了したかどうか」ではなく試験の合格で直接確かめる設計に切り替えています。筆者は、この変更は育成就労が最初から「特定技能1号水準の人材を3年で育てる制度」と位置づけられていることの帰結だと考えます。目的が特定技能1号水準への到達である以上、到達したかどうかは試験で示すのが筋だからです。

技能実習ルートについては、Q80が「育成就労制度の運用開始後であっても、当分の間は、技能実習2号を良好に修了しており、従事しようとする業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められる場合、特定技能1号に移行することができます」としています。2027年4月1日以降も、現在の技能実習生が2号を良好に修了すれば、これまでどおり試験免除で移れます。「良好に修了」の判断と試験免除の範囲は技能実習から特定技能への移行は可能?で扱っています。

同じ会社の中で、技能実習2号修了者は試験免除、育成就労修了者は試験必須という二つのルートが並ぶ期間がしばらく続くことになります。人事担当者が混同しやすいのはこの点です。

技能要件|技能検定3級等と特定技能1号評価試験

育成就労の技能の到達目標は、閣議決定された基本方針(令和7年3月11日)で次のように定められています。

  • 育成就労の開始後1年経過時まで:技能検定基礎級または相当する育成就労評価試験
  • 育成就労を終了するまで:技能検定3級等または特定技能評価試験

ここでいう育成就労評価試験とは、技能検定の職種がない業務などについて、育成就労法に基づいて設けられる評価試験を指します。技能実習の「技能実習評価試験」に当たるものです。

育成就労の終了時に何の試験で技能を確かめるかは、分野別運用方針で業務区分ごとに決まります。入管庁「育成就労制度の概要」の分野一覧から、いくつか例を挙げます。

  • 工業製品製造業:育成就労評価試験(専門級)、技能検定3級、または特定技能1号評価試験
  • 飲食料品製造業:育成就労評価試験(専門級)、技能検定3級、または特定技能1号評価試験
  • 宿泊:特定技能1号評価試験
  • 物流倉庫:特定技能1号評価試験
  • 鉄道:特定技能1号評価試験または育成就労評価試験(専門級)。車両製造など一部は技能検定3級も可
  • 介護:介護特定技能評価試験(技能)等に加え、介護特定技能評価試験(日本語)

製造系の分野では技能検定3級が使える一方、サービス系の分野では特定技能1号評価試験が中心になります。自社の業務区分でどの試験が使えるかは、分野別運用方針と育成就労運用要領の分野別の別冊で確認する必要があります。技能実習で受けていた随時3級と同じ試験が使えるかどうかも、業務区分ごとに確認してください。

日本語要件|終了時にA2.2相当(N4等)

育成就労の日本語要件は段階的に上がっていきます。基本方針と「育成就労制度の概要」によれば、流れは次のとおりです。

  • 就労開始前:A1相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN5等)の合格、または相当する講習の受講
  • 本人意向の転籍時:A1からA2.2までの範囲で分野ごとに設定(多くの分野でA2.1相当)
  • 育成就労の終了時・特定技能1号への移行時:A2.2相当以上(JFT-Basic、JLPTのN4等)

介護分野は上乗せがあり、就労開始前からA2.2相当が求められ、終了時にはA2.2相当に加えて介護特定技能評価試験(日本語)が必要です。鉄道分野の運輸係員は終了時にB1相当が求められます。分野ごとの水準の違いと講習の義務は育成就労の日本語要件|入国時A1・1年目・転籍・特定技能移行時に必要なレベルで詳しく扱っています。

受入れ企業には、A2相当を目標とする100時間の日本語講習の受講機会を提供する義務があり、費用も育成就労実施者または監理支援機関が負担します。この講習を就業時間内に受けさせる義務まではありませんが、機会を与えなければ計画の認定取消しにつながるおそれがあります。

3年で不合格だった場合|最長1年の育成就労継続

育成就労の期間は原則3年です。3年の時点で特定技能1号の試験に合格していなかった場合について、基本方針は次のように定めています。

育成就労の期間は3年とし、育成就労に適正に従事したものの「特定技能1号」への在留資格の変更に必要な試験等に不合格になった場合等においては、従前と同一の育成就労実施者が継続して育成就労を行わせることなど一定の要件の下で再受験に必要な範囲で最長1年の育成就労の継続を認める。

この一文から読み取れる要件は3つあります。

  • 育成就労に適正に従事していたこと
  • 従前と同一の育成就労実施者が継続して育成就労を行わせること
  • 再受験に必要な範囲であること(最長1年)

つまり、延長は「育成就労」の在留資格のまま、同じ会社で続けることが前提です。延長期間中に別の会社へ移って再受験することは想定されていません。延長の申請手続や、必要な育成就労計画の変更の中身は、2026年9月時点で本記事では確認できていないため現時点で公式資料では確定していないため、断定できません。

注意したいのは、延長が「再受験に必要な範囲で」とされている点です。1年あれば必ず合格できるわけではなく、延長後も不合格なら特定技能1号には移れません。3年目の早い段階で一度受験させ、不合格なら残りの期間で再受験できるようにしておくのが、延長に頼らない計画の立て方です。

育成就労の途中で特定技能1号に移行できるか

育成就労の3年を待たずに特定技能1号へ移ることについて、Q76は次のように答えています。

特定技能への移行要件(技能や日本語能力に係る試験の合格)を満たすことに加え、現に在籍している育成就労の受入れ機関における就労期間が一定の期間を超えている場合に限り、特定技能1号への移行を認める方針です。

途中移行は可能ですが、試験の合格に加えて、今いる会社での就労期間が「一定の期間」を超えていることが条件です。この「一定の期間」が具体的に何年何か月なのかは、Q76も基本方針も数字を示していません。本人意向の転籍の制限期間(分野により1年または2年)と同じ考え方になるのかどうかも含めて現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。

受入れ企業にとってこの論点が重いのは、途中移行が実質的には転職の入口にもなり得るからです。特定技能1号には転職の制限がないため、育成就労の途中で試験に合格して特定技能1号へ変更すれば、その後は他社へ移ることも制度上は妨げられません。一定期間の在籍を条件にしたのは、育成に投資した企業が早期に人材を失う事態を抑えるためと筆者は読んでいます。転籍と人材流出の対策は育成就労の転籍とは?で扱っています。

移行後の特定技能1号で変わること

試験に合格して特定技能1号へ移るときは、在留資格変更許可申請を行います。育成就労と特定技能1号では受入れ企業の義務が大きく変わるため、許可の前に社内の体制を切り替えておく必要があります。

  • 支援計画:特定技能1号には1号特定技能外国人支援計画の作成・実施義務があり、自社で支援するか登録支援機関に委託するかを決める
  • 雇用契約:特定技能雇用契約として、日本人と同等額以上の報酬、帰国担保措置などの基準を満たす
  • 届出:随時届出と定期届出(年1回)の対象になる
  • 監理支援機関:監理支援の対象から外れる

特定技能1号の在留期間は通算5年が上限で、育成就労の3年はこの5年に含まれません。育成就労3年と特定技能1号5年を合わせて最長8年、そこから特定技能2号に進めば在留期間の更新に上限がなくなります。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いとは?を参照してください。

よくある質問

育成就労から特定技能への移行は、試験なしでできますか?

できません。育成就労制度Q&A Q75により、技能試験(技能検定3級等または特定技能1号評価試験)と日本語試験(A2相当以上、N4等)の両方の合格が必要です。試験免除が続くのは、技能実習2号を良好に修了した人のルートだけです(Q80、当分の間)。

育成就労の途中で、特定技能1号に移行することはできますか?

試験に合格し、かつ今いる会社での就労期間が一定の期間を超えていれば認める方針です(Q76)。その「一定の期間」の長さは公表資料で確認できていません。

3年の育成就労が終わる時点で試験に落ちたらどうなりますか?

基本方針により、育成就労に適正に従事していたなどの要件の下で、同じ会社で再受験に必要な範囲で最長1年、育成就労を続けることが認められます。それでも合格できなければ、特定技能1号への移行はできません。

育成就労と特定技能の違いは何ですか?

育成就労は、原則3年の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育てる制度で、本人意向の転籍には制限期間があります。特定技能1号は、すでに一定の技能と日本語能力を持つ人が即戦力として働く在留資格で、転職の制限はなく、受入れ企業には支援計画の実施義務があります。育成就労は特定技能1号への入口という関係です。制度全体は【2027年4月施行】育成就労制度とは?で解説しています。

今いる技能実習生を育成就労に切り替えれば、特定技能への移行で有利になりますか?

技能実習から育成就労への在留資格の変更は認められていません。現在の技能実習生は技能実習のまま2号を良好に修了すれば、試験免除で特定技能1号に移れるため、むしろ技能実習ルートのほうが移行の負担は軽くなります。

3年後の試験合格から逆算して育成就労計画を作る

育成就労から特定技能1号への移行は、制度上「育成の出口」ですが、実務上は試験に合格するかどうかという一点で決まります。技能実習のように、3年間まじめに働いていれば移行できるという前提は通用しません。

そのため、育成就労計画を作る段階で、次の3点を決めておくことを勧めます。1つ目は、自社の業務区分で終了時に使える技能試験の種類と、受験の時期です。2つ目は、A2.2相当の日本語試験に向けて、100時間の講習をいつ、どの時間帯に受けさせるかです。3つ目は、3年目の前半に一度受験させ、不合格なら再受験できる余裕を残すスケジュールです。

育成就労は2027年4月1日に始まり、最初の修了者が出るのは早くても2030年前後です。それまでに試験の日程や途中移行の条件など、まだ数字が出ていない部分が運用要領で示されていくはずです。個別の分野や在籍状況で判断が変わるため、計画の段階で専門家に確認してください。

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