文化活動ビザ(在留資格「文化活動」)では、原則として働けません。入管法別表第一の三の表が定める文化活動は「収入を伴わない」学術・芸術活動や日本特有の文化の研究・修得で、報酬を受ける活動をするには資格外活動許可が必要です。しかも文化活動は包括許可の対象外なので、アルバイトをするにも勤務先と業務を特定した個別許可を取らなければなりません。海外の大学生を日本企業でインターンとして受け入れる場合は、報酬を払うかどうかで在留資格そのものが変わり、無報酬で90日を超えるなら文化活動、報酬を払うなら特定活動(告示9号)になります。
文化活動は「収入を伴わない」ことが在留資格の中身そのもの
入管法別表第一の三の表は、文化活動の在留資格で行える活動を「収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動」と定めています。報酬を受けずに大学で研究する外国人研究者、茶道や武道を師範のもとで修業する人、日本文化の研究者などが典型です。
ここでいう「収入を伴わない」とは、研究・創作・修業という本来の活動から報酬や売上を得ないことを指します。本来の活動が収入を生むようになれば、それはもう文化活動ではなく、芸術・研究・教授・技能など別の在留資格の問題です。文化活動の人がそのまま働くことを想定した制度にはなっていない、という点が出発点になります。
文化活動の在留資格の全体像、専門家の指導を受ける場合の立証資料は文化活動ビザとは|茶道・武道の修得や無報酬の研究に使う在留資格と専門家の立証資料で説明しています。本記事は、働くこと(報酬を受けること)とインターンシップに絞ります。
アルバイトをするには資格外活動の個別許可が必要
文化活動で在留する人が報酬を受ける活動をするには、入管法19条2項の資格外活動許可を受ける必要があります。
出入国在留管理庁の「資格外活動許可について」によれば、週28時間以内であれば勤務先を問わず働ける包括許可の対象は、留学、家族滞在、扶養を受ける配偶者・子としての特定活動、継続就職活動・内定後の特定活動などに限られています。文化活動は含まれていません。そのため文化活動の人が受けられるのは、活動先の機関の名称・所在地・業務内容を定めて許可する個別許可(入管法施行規則19条5項3号)です。
個別許可は勤務先ごとの許可なので、実務上は次の点に影響します。
- 勤務先を変える、あるいは勤務先を増やすときは、そのたびに新しい許可が必要になる
- 許可書(別記第29号様式)に書かれた機関と業務の範囲でしか働けない
- 雇用する側は、在留カード裏面の「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」の記載と、許可書の機関名・業務内容の両方を確認する
許可される時間の目安について、出入国在留管理庁の公表資料に文化活動向けの基準は見当たりません(公式資料では未確認)。審査は資格外活動許可の一般原則で行われ、その1つ目が「現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと」です。文化活動の人は、在留資格の申請時に滞在費を自分の資金や奨学金、家族の仕送りで賄えることを示しています。アルバイトの収入を生活の前提にする計画は、この経費支弁の説明と矛盾するため、許可されにくいと考えるのが自然です。
個別許可の申請書類と審査の見方は資格外活動の個別許可とは|留学生の有償インターン・業務委託の場合で整理しています。
資格外活動許可がいらない報酬もある
入管法施行規則19条の3は、業として行うものでない講演・講義の謝金、助言や鑑定の謝金、著作物の制作の報酬、催物への参加や放送番組への出演の報酬などを「臨時の報酬」とし、資格外活動許可なしで受け取れる範囲を定めています。日本文化の研究者が学会で1回講演して謝金を受ける、といった場面はこれに当たり得ます。ただし、同じ活動を繰り返して事実上の仕事になれば「業として行う」ものと見られるので、回数と継続性で判断が変わります。
海外大学生のインターンは報酬の有無で在留資格が分かれる
日本企業が海外の大学に在籍する学生をインターンとして受け入れる場合、資格外活動許可の話ではなく、入国時に取る在留資格の選択の問題になります。出入国在留管理庁の「インターンシップをご希望のみなさまへ」は、次のように区分しています。
| 報酬 | 期間 | 在留資格 |
|---|---|---|
| あり | 1年以内かつ大学の修業年限の2分の1以内 | 特定活動(告示9号) |
| あり(授業のない期間) | 3か月以内 | 特定活動(告示12号・サマージョブ) |
| なし | 90日超 | 文化活動 |
| なし | 90日以下 | 短期滞在 |
無報酬で90日を超える場合は文化活動
報酬を受けないインターンで90日を超えるものは、文化活動の在留資格で受け入れます。入管庁が示している要件は、単位の取得が可能であるなど学業の一環として実施されること、インターンの内容と学生の専攻に関連があること、受入れ企業に学生を受け入れる十分な体制と指導体制が確保されていることです。手続は、受入れ企業が在留資格認定証明書の交付申請をする形になります。
企業が注意すべきなのは、「無報酬」の範囲です。交通費や住居費、食費の実費を企業が負担することが報酬に当たるのか、どこまでなら許されるのかについて、入管庁のインターンシップのページは明記していません(公式資料では未確認)。実費の範囲を超える一律の手当や、生活費名目の定額支給は報酬と見られる可能性が高いので、支給を予定しているなら、認定証明書の申請前に地方出入国在留管理局へ照会してください。報酬を払うと判断した時点で、在留資格は文化活動から特定活動に変わります。
報酬がある場合は特定活動9号
報酬を払うインターンは、特定活動告示9号の対象です。告示は、外国の大学の学生(学位が授与される教育課程に在籍する人に限り、通信教育課程を除く)が、教育課程の一部として、大学と日本の機関との契約に基づき報酬を受けて、1年を超えない期間で、かつ通算して大学の修業年限の2分の1を超えない期間内に、その機関の業務に従事する活動と定めています。
入管庁のガイドラインは、受入れ機関に責任者と指導員を置くこと、受入れ人数の目安、終了後の報告書の保存などを求めています。受入れの要件の詳細は特定活動9号(インターンシップ)とは|海外大学生を受け入れる要件・人数枠・必要書類で扱います。授業のない期間に3か月以内で行う有償の就業体験は、告示12号(いわゆるサマージョブ)の対象です。
90日以下で無報酬なら短期滞在
無報酬で90日以内のインターンは、短期滞在で入国できます。査証免除国の学生であれば査証も不要です。短期滞在では報酬を受ける活動ができないため、この場合も「無報酬」の線引きは文化活動と同じ注意が必要です。
日本の大学に在籍する留学生のインターンとの違い
国内の大学に在籍する留学生のインターンは、在留資格「留学」のまま行います。無報酬なら資格外活動許可はいりません。報酬を受けるなら資格外活動許可が必要で、週28時間以内なら包括許可の範囲、週28時間を超えるなら、卒業年度で単位をほぼ修得した学生に限り個別許可を受けて行います。
海外大学生は在留資格の選択、国内の留学生は資格外活動許可の範囲と、同じインターンでも検討する制度が違います。受入れ企業の担当者は、学生の在籍先が国内か海外かを最初に確かめると、使う制度を取り違えません。
文化活動の人を雇いたいときの選択肢
文化活動で在留している人を正社員として雇いたい場合、資格外活動許可で働かせ続けることはできません。雇用が本来の活動になるなら、その業務に合った就労資格への在留資格変更が必要です。事務・企画・通訳などの業務であれば技術・人文知識・国際業務が候補になり、学歴と業務の関連性などの要件を満たす必要があります。要件は技術・人文知識・国際業務ビザの要件とは?で解説しています。
文化活動で修業した日本料理などの経験を生かして働くケースでは、その期間が就労資格の実務経験に数えられるかも問題になります。無報酬の修業期間が職歴として扱われるかについては、就労ビザの実務経験年数の数え方|アルバイト・インターンは職歴に入るかの考え方が参考になります。
文化活動の人の配偶者・子は、家族滞在の在留資格で滞在できます(上陸許可基準省令の家族滞在の項は、扶養者の在留資格に文化活動を含めています)。家族滞在の人は包括許可の対象なので、配偶者は週28時間以内であれば勤務先を特定しない資格外活動許可で働けます。本人より家族のほうが働きやすいという逆転が起きる点は、受入れの相談で意外と見落とされます。
在留資格の選択肢の全体像は外国人を採用できる在留資格の種類一覧で整理しています。
よくある質問
文化活動ビザでバイトはできますか?
資格外活動許可を受ければできます。ただし文化活動は包括許可の対象外なので、勤務先と業務を特定した個別許可が必要で、勤務先を変えるたびに許可を取り直します。本来の研究・修得を妨げない範囲に限られます。
文化活動ビザで報酬はもらえるのか?
研究・創作・修業という本来の活動から報酬を受けることはできません。業として行わない講演の謝金など、施行規則19条の3が定める臨時の報酬は、資格外活動許可なしで受け取れます。
在留資格「文化活動」はインターンシップに必要ですか?
海外の大学生が報酬を受けずに90日を超えるインターンを行う場合に必要です。90日以下なら短期滞在、報酬を受けるなら特定活動(告示9号)になります。日本の大学に在籍する留学生は、留学の在留資格のままインターンを行います。
文化活動ビザの個別許可とは?
文化活動の人が報酬を受ける活動をするために受ける資格外活動許可で、活動先の機関の名称・所在地・業務内容を定めて個々に許可されます(施行規則19条5項3号)。許可書に書かれた範囲でしか働けません。
文化活動ビザの期間は?
在留期間は3年、1年、6月、3月のいずれかです(入管法施行規則別表第二)。活動の予定期間と経費の見通しに応じて決まります。
受け入れる側は「報酬を払うか」から決める
文化活動に関わる企業・団体が最初に決めるべきなのは、本人に報酬を払うかどうかです。払わないなら文化活動(あるいは短期滞在)で受け入れ、交通費などの実費負担の範囲を事前に整理します。払うなら、海外大学生であれば特定活動9号、すでに文化活動で在留している人であれば資格外活動の個別許可、雇用を本業にするなら就労資格への変更、と道が分かれます。
判断を誤りやすいのは、無報酬のつもりで始めた受入れで、途中から謝礼や手当を払い始める場面です。支給を始めた時点で、在留資格の前提が変わります。個別の事情で判断が変わるため、手当の支給を検討している段階で専門家に相談してください。
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根拠資料
- 出入国管理及び難民認定法 第19条・別表第一の三(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条・第19条の3・別表第二(e-Gov法令検索・2026年9月1日時点)
- 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(e-Gov法令検索)
- インターンシップをご希望のみなさまへ(出入国在留管理庁)
- 資格外活動許可について(出入国在留管理庁)
- 在留資格「文化活動」(出入国在留管理庁)
- 在留資格「特定活動」(インターンシップ)(出入国在留管理庁)
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