本文へ移動
保利国際法務事務所 外国人採用・就労ビザ相談室
保利国際法務事務所の外国人採用・就労ビザLPへ 電話で無料相談 050-5526-5506 いますぐ無料相談フォームへ
保利国際法務事務所 外国人採用・就労ビザ相談室

技能実習生の途中帰国(途中退職)|手続き・帰国費用の負担と申告書の書き方

技能実習生が計画の途中で退職・帰国するときは、本人に「意に反して帰国する必要はない」と説明したうえで帰国の意思を書面(参考様式第1-43号「意思確認書面」)で確認し、帰国日前までに技能実習実施困難時届出書を外国人技能実習機構へ出す必要があります。帰国旅費は、帰国の理由が本人の自己都合であっても監理団体(企業単独型は実習実施者)が全額を負担し、実習生本人に負担させることはできません。検索でよく名前が挙がる「技能実習期間満了前の帰国についての申告書」(参考様式第1-40号)は、帰国便の都合などで満了日の数日前に帰る場合の書式で、本当の意味の途中帰国には使いません。

技能実習生の途中帰国とは|3つのパターン

ここでいう途中帰国とは、技能実習計画に定めた期間の満了前に、実習を終了して本国へ帰ることを指します。実務では、原因によって次の3つに分かれます。

1つ目は本人の事情による帰国です。家族の病気や不幸、仕事や生活が合わない、思ったより稼げない、日本での結婚・進学を諦めて帰りたい、といった理由がこれに当たります。

2つ目は実習を続けられない事情による帰国です。入院を伴う病気やけが、妊娠・出産、2号・3号への移行試験に不合格となった場合、在留期間の更新が不許可になった場合などです。

3つ目は受入れ側の事情によるものです。実習実施者の倒産や事業縮小、計画認定の取消しなどで実習を続けられなくなった場合は、まず別の実習先への転籍が検討され、転籍先が見つからないときや本人が帰国を望むときに帰国になります。

同じ「帰国」でも、3号移行前の1か月以上の一時帰国や、2号修了後の一時帰国は実習の途中の中断で、ここでいう途中帰国とは別の手続です(一時帰国は技能実習生の一時帰国|3号移行前の1か月以上の義務的帰国と自己都合帰国の手続きで扱います)。

途中帰国の手続きは「意思確認」と「帰国日前の届出」

途中帰国の手続は、技能実習制度運用要領(令和8年4月版)第5章に定められています。流れは次のとおりです。

実習実施者から監理団体への通知

団体監理型の場合、実習実施者は、技能実習を行わせることが困難になったときは遅滞なく監理団体に通知しなければなりません(技能実習法19条2項)。本人から帰国の申出を受けたら、その日のうちに監理団体へ連絡するのが基本です。

本人への説明と意思確認書面

次に、監理団体または実習実施者が、本人に対して、意に反して実習を中止して帰国する必要がないことを説明し、帰国の意思を書面で確認します。運用要領はこの手続を置いた理由として、旧制度で「技能実習生の意に反して技能実習計画の満了前に帰国させるという事案が発生したこと」を挙げています。いわゆる強制帰国を防ぐための手続です。

書面は参考様式第1-43号「意思確認書面」です。書式は1枚で、次の欄があります。

  • 満了予定日と、実際の帰国日
  • 帰国の理由
  • 「意思に反して帰国する必要はない旨」の説明を受けた相手(監理団体か実習実施者かに○、説明者の氏名)
  • 「技能実習期間満了前に帰国することについては、私の意に反するものではありません」という申告
  • 技能実習生の署名と実習実施者の署名

書式の注意書きで、技能実習生自身が自筆で母国語により記載すること、理由部分には日本語訳を添付すること、実情に応じて理由を明らかにする資料を添付することが求められています。会社が日本語で理由を書いて署名だけさせる運用は、この注意書きに反します。

理由欄は、本人の言葉で具体的に書いてもらいます。「家庭の事情」の一語で終わらせず、「母が病気で入院し、看病する家族がいないため」のように、誰が読んでも帰国の必要が分かる程度に書くのが目安です。病気が理由なら診断書、家族の事情なら本国の家族からの連絡などが「理由を明らかにする資料」になります。

技能実習実施困難時届出書の提出期限

監理団体(企業単独型は実習実施者)は、技能実習実施困難時届出書(省令様式)を、途中帰国の場合は帰国日前までに、機構の地方事務所・支所の認定課へ出します。それ以外の理由で実習が困難になった場合は、事由の発生から2週間以内です。途中帰国の場合は、意思確認書面を添付し、帰国の方針が決まった時点で帰国前に届け出ます。郵送なら帰国日前の必着です。

届出を怠り、機構の指導にも従わなかった場合は行政処分の対象となるほか、30万円以下の罰金の対象にもなります(技能実習法112条3号・8号)。

届出書には、届出に至った事由(本人の都合か、実習実施者の都合か)と、その発生時期・原因を具体的に書く欄があります。記載要領には、実習実施者の事業縮小などを受けて本人が転籍を希望している場合は、本人の都合ではなく実習実施者の都合(経営上・事業上の理由)を選ぶよう明記されています。原因をどちらに付けるかは、後の人数枠や監理団体の評価にも関わるため、事実どおりに書いてください。

「技能実習期間満了前の帰国についての申告書」の使いどころ

検索で名前が出る参考様式第1-40号「技能実習期間満了前の帰国についての申告書」は、途中帰国の意思確認書面とは用途が違います。

この申告書の理由欄は、「帰国便都合・技能実習期間の末日が休日であること・その他」に○を付ける形式です。運用要領は、帰国便の都合や、満了日までに有給休暇をまとめて消化する場合など、本人の意に反するものでないことが確認できるやむを得ない事情で満了日より少し前に帰る場合に、参考様式第1-40号などで意思確認を行い記録しておけば、技能実習実施困難時届出書の提出は不要としています。

つまり、満了日の直前に帰る「繰上げ帰国」なら第1-40号の申告書を作って保管し、届出は不要。計画の途中で実習をやめて帰る途中帰国なら第1-43号の意思確認書面を作り、困難時届出書に添付して帰国日前に出す、という使い分けになります。

記入例を示すと、第1-40号は次のようになります。

  • 理由:「帰国便都合」に○
  • 期間:「2027年3月31日までの技能実習期間満了前の2027年3月27日に帰国することを了承しました」
  • 説明者:「監理団体」に○、氏名欄に説明した職員の氏名
  • 日付と技能実習生の署名

関連する書式として、次段階の実習へ満了前に移る場合の「技能実習期間満了前の移行についての申告書」(参考様式第1-41号)と、妊娠・出産を理由とする帰国の「妊娠等に関連した技能実習期間満了前の帰国についての申告書」(参考様式第1-42号)があります。

妊娠・出産を理由とする帰国

妊娠・出産を理由とする解雇その他不利益な取扱いは男女雇用機会均等法違反です。運用要領は、妊娠した実習生に対して、母子健康手帳や受診の手続、実習を最後まで行えること、出産育児一時金・出産手当金・産前産後休業などを説明し、そのうえで本人が帰国を希望した場合に第1-42号の申告書を本人に作成してもらい、監理団体(企業単独型は実施者)が保管するよう求めています。

第1-42号には、説明を受けた事項のチェック欄(不利益取扱いの禁止、軽易業務への転換、産前6週間・産後8週間の休業、育児休業給付金、帰国しても技能実習を再開できること等)と、帰国後の予定(再開したい・再開の意思はない・分からない)の欄があります。帰国して出産した後に同じ実習実施者で再開する場合は、新規の計画認定ではなく変更認定で行えます。この場合も困難時届出書の提出は必要です。

途中帰国の帰国費用は誰が負担するか

帰国旅費の負担者は、団体監理型では監理団体、企業単独型では実習実施者です。団体監理型については、技能実習法施行規則52条9号が、監理団体の業務の実施基準として「団体監理型技能実習の終了後の帰国に要する旅費を負担するとともに、…帰国が円滑になされるよう必要な措置を講ずること」を定めています。

ここで重要なのは、帰国の理由を問わないという点です。運用要領は「負担すべき帰国旅費については、帰国事由を限定していません。帰国事由が技能実習生の自己都合による場合であっても、帰国旅費の負担が企業単独型実習実施者又は監理団体によってされていない場合には、本号に適合しないこととなります」と書いています。理由として、「自己都合」の解釈で争いが生じ、実習生の帰国に支障が出ることを防ぐためと説明しています。

帰国旅費には、実習生が出発する空港までの移動費も含まれます。帰国までの宿泊先の確保や生活支援、空港への送迎や手続の説明も、監理団体が講じるべき「必要な措置」に含まれます。

監理団体は、帰国旅費と「必要な措置」にかかった費用を、「その他諸経費」として実習実施者から監理費(実費に限る)の形で徴収できます。一方で「いかなる理由でも、技能実習生に負担させることは認められません」とされています。自己都合で途中帰国する実習生の最終給与から航空券代を差し引く、帰国費用の積立てを給与から天引きする、といった扱いはできません。

例外は、技能実習から特定技能1号や特定技能への移行準備の特定活動に在留資格を変更した後に帰国する場合です。この場合は変更後の在留資格の扱いに従い、帰国旅費は本人負担(本人が負担できないときは特定技能所属機関等が負担)になります。

退職に伴う会社側のその他の手続き

途中帰国は雇用契約の終了でもあるため、機構への届出とは別に、通常の退職手続が必要です。

  • 外国人雇用状況の届出:雇用保険の被保険者は、離職の翌日から10日以内に資格喪失届で届け出ます
  • 健康保険・厚生年金保険の資格喪失届:退職日の翌日から5日以内
  • 所得税:年の途中で出国して非居住者になる場合は、出国の時までに年末調整を行います
  • 住民税:退職時に残りの税額を一括徴収するか、本人に納税管理人を選任してもらうかを本人と決めておきます
  • 在留カード:本人が出国時に空港で返納します。再入国の予定がなければ、みなし再入国許可の欄にはチェックしません

厚生年金の加入期間が6か月以上ある実習生は、帰国後2年以内に脱退一時金を請求できます(現行の支給上限は60か月分)。帰国前に請求書の書き方と、住所を日本から転出させておく必要があることを説明しておくと、本人の不利益を防げます。退職時の届出全般は外国人社員が退職・解雇したら?で整理しています。

途中帰国の理由で多いものと、会社側が確かめるべきこと

途中帰国の理由について、入管庁・機構が理由別の件数を定期的に公表しているわけではありません。監理団体などの解説で一般に挙げられるのは、家族の事情、健康上の理由、職場の人間関係、収入が見込みより少ないこと、といった理由です。

このうち職場の人間関係や収入を理由とする申出は、帰国より前に転籍で解決できる可能性があります。技能実習では、実習先に暴行やハラスメント、賃金不払いなど「転籍を認め得るやむを得ない事情」がある場合、本人は「実習先変更希望の申出書」(参考様式第1-44号)で転籍を申し出ることができ、監理団体には別の実習先との連絡調整が求められます(技能実習法51条)。本人が本当は日本で働き続けたいのに、職場の問題を理由に帰国を選んでいる場合、意思確認書面に署名させる前に、この選択肢を示すことが運用要領の趣旨に沿った対応です。

また、2号・3号の修了が近い実習生であれば、特定技能1号への移行も選択肢になります。技能実習2号を良好に修了すれば、同じ分野の特定技能1号へ試験免除で移行できます(技能実習から特定技能への移行)。途中帰国では2号の修了にならないため、帰国の時期が数か月違うだけで本人の将来の選択肢が大きく変わることがあります。

よくある質問

技能実習生は自己都合退職でも帰国費用を本人に負担させられますか?

できません。運用要領は帰国事由を限定しておらず、自己都合でも監理団体(企業単独型は実習実施者)が全額負担しなければ基準に適合しないとしています。監理団体は実費を監理費として実習実施者から徴収できますが、実習生本人に負担させることは、いかなる理由でも認められません。

技能実習生は勝手に帰国してもいいの?

本人が帰国を望めば、会社がそれを止めることはできません。実習実施者や監理団体が旅券や在留カードを保管することは技能実習法48条で禁止されており、帰国を妨げる手段にもなりません。ただし会社と監理団体には、意思確認書面の作成と、帰国日前までの技能実習実施困難時届出書の提出が必要です。本人が何も言わずに出国した、あるいは連絡が取れなくなった場合は失踪の扱いになり、手続が異なります(技能実習生が失踪したら?企業がすべき届出と新規受入れ停止などのペナルティ)。

途中帰国した技能実習生は、また日本に来られますか?

実習を中断して帰国した人が、同じ実習実施者のもとで実習を再開する道はあります。困難となった事由の発生から1か月以内に事由が解消して再開するなら理由書の提出で足り、1か月を超えるなら再開前に計画の変更認定が必要です(運用要領 第5章)。再開時には人数枠の基準を満たしている必要があります。2027年4月1日以降の新たな受入れは育成就労制度に移るため、再開の時期によっては経過措置の期限に注意が必要です。

技能実習生が帰国する際の年末調整は?

年の途中で出国して非居住者になる場合、出国の時までにその年の給与について年末調整を行います。出国後に支払う給与は非居住者への支払として扱いが変わるため、最終給与の支払日と出国日の前後関係を確認してください。

途中帰国は「本人の意思」を記録に残す手続として運用する

途中帰国の手続は、書類の数だけ見ると届出書1枚と意思確認書面1枚です。しかし制度がこの2枚を求めている理由は、帰国が本人の意思によるものかを、後から第三者が確かめられるようにすることにあります。意思確認書面を母国語の自筆で書かせる、理由を裏付ける資料を付ける、帰国日前に届け出る、という要件は、どれもその目的から逆算されています。

会社側が判断に迷うのは、本人が「帰りたい」と言い出した直後です。その時点で、理由を聞き取り、転籍や特定技能への移行で解決できる問題かどうかを監理団体と一緒に確かめ、そのうえで本人が帰国を選ぶなら書面をそろえる。この順番を守れば、帰国費用の負担で揉めることも、強制帰国を疑われることもありません。制度全体の比較は技能実習と特定技能の違いも参考にしてください。

関連するコラム

根拠資料


在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。