留学ビザ(在留資格「留学」)は、学校を卒業しても在留カードに書かれた在留期限までは自動的に失効しません。ただし、卒業後に「留学」のまま日本にいられるのは帰国の準備や次の在留資格への切替えのためで、卒業した日からアルバイトは一切できなくなります。さらに、学生としての活動をしないまま3か月が過ぎると、在留期限が残っていても在留資格の取消しの対象になります。「期限までいられる」と「期限まで何をしてもよい」は別の話だということを、条文と出入国在留管理庁の案内から整理します。
留学ビザは卒業後も在留期限までは有効
在留資格は、在留期限が来るか、出国して再入国しないか、取消しを受けるかしない限り、なくなりません。卒業は在留資格が消える事由として法律に定められていないため、卒業式の翌日も在留カードは有効で、法律上は「留学」の在留資格を持った状態が続きます。
たとえば3月15日に専門学校を卒業し、在留期限が7月20日の留学生であれば、7月20日までは不法残留にはなりません。卒業から在留期限まで数か月あるのは珍しくありません。留学の在留期間は1年3月、2年3月のように課程の終わりより長めに付与されることが多く、卒業と在留期限の間に余裕が生まれやすいからです。
問題は、その期間に何をしているかです。在留資格「留学」で認められている活動は、入管法別表第一の四の表が定める「本邦の大学、高等専門学校…専修学校若しくは各種学校…において教育を受ける活動」です。卒業した人はもう教育を受けていないので、在留資格は有効なまま、在留資格に対応する活動が止まった状態になります。この「活動が止まった状態」が、次の2つの問題を生みます。
卒業したらアルバイトは禁止|包括許可は「在籍している間」に限られる
留学生がアルバイトできるのは、資格外活動許可(包括許可)を受けているからです。その許可の内容を定めた入管法施行規則19条5項1号は、許可される活動を1週28時間以内の報酬を受ける活動などとしたうえで、かっこ書で「留学の在留資格をもつて在留する者については教育機関に在籍している間に行うものに限る」と定めています。
このかっこ書が、卒業後のアルバイト禁止の根拠です。在留カードの裏面に「許可:原則28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と書かれていても、許可の期限が在留期限と同じ日になっていても、卒業して学校に在籍しなくなった時点で、包括許可で働ける範囲から外れます。退学・除籍の場合も同じです。
ここでいう「在籍している間」がいつ終わるかは、学校の学籍の扱いで決まります。卒業証書に書かれた卒業日、あるいは学校が定める修了日が基準になるのが通常です。卒業式が3月20日で、学則上の卒業日が3月31日という学校もあるため、本人が学校に「学籍はいつまでか」を確認するのが確実です。学期末の試験が終わった後、卒業日までの期間は、在籍している限り、学則上の長期休業期間の扱いに従って働けます。
卒業後に働いた場合は、許可を受けずに資格外の活動をしたことになり、入管法違反になります。専ら働いていると明らかに認められる場合は退去強制事由や刑事罰の対象になり、そこまでに至らなくても、次の在留資格への変更申請で在留状況が不良と評価されます。就労ビザへの変更が決まっている人が、入社までの「つなぎ」で働いた結果、変更が不許可になるのが最も避けたいパターンです。
雇っている企業の側も無関係ではありません。在留資格上働けない人を働かせれば、不法就労助長罪(入管法73条の2)の対象になり得ます。この罪は、働かせた外国人が就労できないことを知らなかったとしても、在留カードの確認をしていないなど過失がある場合は処罰を免れません。卒業後の留学生を雇い続けるリスクは不法就労助長罪とは?企業が問われる責任・罰則と防ぐための確認方法で解説しています。
卒業日と退職日を一致させることが、アルバイト先の企業にとって最低限の管理です。 卒業予定の留学生には、卒業日を書面で申告してもらい、その日までにシフトを終わらせる運用にしておくと、見落としを防げます。
活動をしないまま3か月で取消しの対象になる
2つ目の問題は在留資格の取消しです。入管法22条の4第1項6号は、別表第一の在留資格を持つ人が、その在留資格に応じた活動を「継続して三月以上行わないで在留していること」を取消事由としています。ただし「当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く」とされています。
卒業した留学生は教育を受ける活動をしていないので、卒業から3か月が過ぎると、この条文に形式的に当てはまります。3月末に卒業した人なら、6月末以降は、在留期限が残っていても取消しの対象になり得る状態です。
では、卒業から3か月以内なら何をしていてもよいかというと、そうでもありません。同じ条の5号は、在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ「他の活動を行い又は行おうとして在留していること」を、期間の定めなく取消事由としています。卒業後に働いている、あるいは働くつもりで在留している場合は、3か月を待たずに5号の対象になり得ます。
「正当な理由」に当たるかは個別の事情で判断が変わりますが、就労の在留資格への変更申請をして審査を待っている、帰国の準備をしている、といった事情は、正当な理由として説明できる典型です。何の手続もしないまま「在留期限まではいられるはず」と過ごしているのが、最も説明しにくい状態です。取消しの手続の流れは在留資格の取消しとは?で扱っています。
取消しは実際に使われている制度です。出入国在留管理庁が2026年3月27日に公表した令和7年の在留資格取消件数は1,446件で過去最多となり、このうち「留学」は343件(23.7%)でした。取消事由では6号が999件(69.1%)、5号が350件(24.2%)を占めています。留学生の取消しには除籍・退学後の所在不明なども含まれるため、この数字がそのまま卒業生の件数を示すわけではありませんが、6号と5号が取消しの大半を占めていることは押さえておくべきです。ただ、取消しにならなくても、次の変更申請や、将来の永住申請で在留状況を説明するときに、この空白の期間が問われます。
卒業後の進路別|いつまでに何をするか
卒業後の手続は、進路によって分かれます。
| 進路 | 手続 | 申請の時期の目安 |
|---|---|---|
| 帰国する | 在留期限までに出国。学校から離脱した日から14日以内に「活動機関に関する届出」 | 出国前 |
| 日本で就職する(内定あり) | 就労の在留資格(技術・人文知識・国際業務など)への変更許可申請 | 卒業前の12月頃から(入社日から逆算) |
| 卒業後も就職活動を続ける | 「特定活動」(継続就職活動)への変更許可申請 | 卒業前後、在留期限まで |
| 内定済みで入社日まで間がある | 「特定活動」(就職内定者)への変更許可申請 | 在留期限まで |
| 別の学校に進学する | 「留学」の在留期間更新許可申請(期限が足りない場合) | 入学許可が出たら |
どの進路でも共通するのが、学校を離れた日から14日以内の「活動機関に関する届出」です。入管法19条の16第1号は、留学の在留資格を持つ中長期在留者に、教育機関からの離脱や移籍があったときの届出を義務付けています。卒業も離脱に当たるので、帰国する人も就職する人も、卒業後14日以内に出入国在留管理庁へ届け出ます。オンラインの電子届出システムでも出せます。
就職が決まっている場合
内定がある場合は、就労の在留資格への変更許可申請をします。4月入社であれば、前年の12月頃から申請の受付が始まり、卒業見込みの段階で申請できます。卒業証明書は卒業後に追加で提出します。許可は卒業後に出て、新しい在留カードを受け取った時から就労資格で働けます。申請から許可までの間、卒業した後はアルバイトができない点は変わりません。手続の詳細は留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイドで整理しています。飲食店や小売店での接客を中心とする仕事であれば、大学卒業者に限って特定活動46号が選択肢になります。
就職活動を続ける場合
卒業までに内定が出なかった人は、学校の推薦を受けて「特定活動」(継続就職活動)に変更すれば、在留期間6月、更新1回で、卒業後1年間まで日本で就職活動ができます。この特定活動では、改めて資格外活動許可を受ければ週28時間以内のアルバイトもできます。出入国在留管理庁の案内は「一定の要件を満たせば、資格外活動の許可を受けて1週について28時間以内で行う資格外活動(いわゆるアルバイト)が可能」としています。留学のときの包括許可は引き継がれないので、変更の許可と同時か後に、資格外活動許可を申請し直す必要があります。要件と推薦状は卒業後の就職活動の特定活動|留学生が最長1年残れる要件と推薦状で扱います。
内定済みで入社日まで間がある場合
卒業後に内定が出たが入社日が在留期限の後になる、という場合は、「特定活動」(就職内定者)に変更して入社日まで滞在する方法があります。対象は「留学」の人と継続就職活動の特定活動の人で、内定の事実を示す資料と、内定先による連絡義務などの誓約書が必要です。内定待機の特定活動は公式案内をご確認ください。
帰国までの日数が足りない場合
在留期限が帰国便の日より前に来てしまう場合は、在留期限までに「短期滞在」への在留資格変更を申請し、出国準備の期間を確保する方法があります。短期滞在は就労ができない在留資格なので、この期間もアルバイトはできません。
よくある質問
留学ビザで卒業後3ヶ月滞在するとどうなりますか?
在留期限が残っていれば不法残留にはなりませんが、入管法22条の4第1項6号の「在留資格に応じた活動を継続して3か月以上行わないで在留している」状態に当たり、在留資格の取消しの対象になり得ます。就労資格への変更申請中や帰国準備など、正当な理由があれば取消しの対象から外れます。卒業から3か月の時点で次の手続に入っていない人は、早急に進路を決めて手続を始めてください。
留学ビザの卒業後の期限はいつですか?
在留カードに記載された在留期限(在留期間の満了日)です。卒業によって期限が短くなることはありません。ただし、期限までの間に在留が認められるのは、帰国の準備や次の在留資格への変更のためであって、留学生としての活動の延長ではありません。
留学ビザで卒業後、アルバイトはできますか?
できません。資格外活動の包括許可は、入管法施行規則19条5項1号で「教育機関に在籍している間に行うものに限る」とされているため、卒業して在籍しなくなった日から、在留カードの裏面の記載にかかわらず働けなくなります。就職活動を続けるために「特定活動」に変更し、改めて資格外活動許可を受けた場合は、週28時間以内で働けるようになります。
留学ビザで卒業後、一時帰国できますか?
みなし再入国許可で出国すること自体はできますが、再入国の際には「留学」の活動を続けることが前提になるため、卒業した人が同じ在留資格で戻ってくると、上陸の審査で活動の内容を問われます。就労資格への変更申請中の出国の扱いを含め、出国の前に入管か専門家に確認してください(公式資料では未確認)。
卒業日から逆算して手続を決める
留学ビザの「卒業後いつまで」という問いに対する答えは、在留期限という1つの日付では足りません。卒業日(アルバイトの終了日)、卒業から14日(活動機関に関する届出の期限)、卒業から3か月(取消事由に当たり始める日)、在留期限の4つの日付を並べて考える必要があります。
留学生本人は、卒業日が確定した時点でこの4つの日付をカレンダーに書き込み、どの時点までにどの申請をするかを決めてください。留学生を採用する企業やアルバイト先の企業は、卒業日と在留期限の両方を把握し、卒業日の翌日以降に働かせない仕組みを整えておくことが、本人の次の在留資格を守ることにもつながります。
根拠資料
- 出入国管理及び難民認定法 第19条の16・第22条の4・第73条の2(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条第5項(e-Gov法令検索)
- 「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について(出入国在留管理庁)
- 大学等を卒業後就職活動のための滞在をご希望のみなさまへ(出入国在留管理庁)
- 在留資格「留学」(出入国在留管理庁)
- 在留資格の取消し(入管法第22条の4)(出入国在留管理庁)
- 令和7年の「在留資格取消件数」について(出入国在留管理庁・2026年3月27日)
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