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監理措置とは?監理人の役割・届出義務と2024年6月施行の新制度

監理措置とは、退去強制の手続の対象になった外国人を入管の施設に収容せず、監理人と呼ばれる親族や支援者などの監理の下で社会生活を送らせながら手続を進める制度です。2023年の入管法改正(令和5年法律第56号)で作られ、2024年6月10日に施行されました。監理人には、本人の生活状況の把握と指導・監督、一定の事実が起きたときの7日以内の届出、主任審査官への報告の義務があり、届出や報告を怠ると10万円以下の過料の対象になります。監理措置は在留資格を与えるものとは異なり、就労が認められるのも退去強制令書が出る前の、ごく限られた場合だけです。

監理措置とは|収容に代わる制度として2024年6月に開始

改正前の入管法では、退去強制の手続は原則として収容して進める仕組みでした(全件収容主義)。収容を一時的に解く手段は仮放免しかなく、長期収容と、仮放免中の逃亡が同時に問題になっていました。

改正法はこの構造を改め、収容するか、監理措置に付すかを、個別の事情を考慮して選ぶ仕組みにしました。入管法44条の2第1項は、主任審査官は、容疑者が逃亡し、又は証拠を隠滅するおそれの程度、収容により容疑者が受ける不利益の程度その他の事情を考慮し、容疑者を収容しないで退去強制の手続を行うことが相当と認めるときは、監理措置に付する旨の決定をするものとする、と定めています。

同時に、仮放免は健康上・人道上の理由がある場合に限る制度に改められ、改正前は仮放免の条件だった保証金の規定は監理措置の側に移りました。仮放免の現在の位置づけと保証金の扱いは仮放免とは?許可の条件と仮放免許可書の見方|2024年改正で保証金はどうなったかで解説しています。

監理措置は、手続の段階によって2種類に分かれます。

  • 退去強制令書が発付される前の監理措置(入管法44条の2以下)
  • 退去強制令書が発付された後の監理措置(入管法52条の2以下)

両者は要件も、認められる活動も違います。以下、順に見ていきます。

退去強制令書が発付される前の監理措置

退去強制令書が発付される前の段階とは、入管が退去強制事由に当たる疑いを調べている段階(違反調査・違反審査・口頭審理・異議の申出の手続中)を指します。この段階の監理措置は、逃亡や証拠隠滅のおそれの程度と、収容による本人の不利益の程度を比べて決められます。

監理措置に付される人には、次の条件が付けられます(監理措置条件)。

  • 住居の指定と行動範囲の制限
  • 呼出しに対する出頭の義務
  • そのほか逃亡と証拠隠滅を防止するために必要と認める条件

さらに主任審査官は、必要と認めるときは、300万円を超えない範囲で法務省令が定める額の保証金を納付することを条件にできます(44条の2第2項)。出入国在留管理庁の「監理措置に関するQ&A」によれば、未成年者の場合は150万円以下の範囲です。保証金を納めるのは本人(被監理者)で、監理人が納める義務はありません。期限までに納めなければ監理措置決定は取り消されます。

収容されている人は、自分を監理措置に付すよう請求できます(44条の2第4項)。本人が16歳未満の場合や病気などで自ら請求できない場合は、同居する配偶者、子、父母、その他の親族の順で代わりに請求できます。監理措置を決定しないときは、主任審査官は理由を付した書面で通知します。

退去強制令書が発付された後の監理措置

退去強制令書が発付された後の段階では、判断の軸が変わります。入管法52条の2第1項は、逃亡し、又は不法就労活動をするおそれの程度、収容によりその者が受ける不利益の程度その他の事情を考慮して、送還可能のときまで収容しないことが相当と認めるときに監理措置に付す、と定めています。発付前が「逃亡・証拠隠滅」を見るのに対し、発付後は「逃亡・不法就労」を見る、という違いです。

この段階の被監理者は、報酬を受ける活動を一切できません。後述する就労の許可は、退去強制令書が発付される前の被監理者にしか認められていないためです。

監理人とは|誰がなれるか、何をするか

ここでいう監理人とは、被監理者の出頭や条件の遵守を確保するために、生活状況を把握し、指導・監督を行う人を指します。入管法44条の3第1項は、監理人を、監理人の責務を理解し、監理人となることを承諾している者であって、その任務遂行の能力を考慮して適当と認められる者の中から、主任審査官が選定すると定めています。

出入国在留管理庁は、親族や知人、元雇用主、支援者のほか、弁護士・行政書士も監理人になり得るとしています。一方、Q&Aは、未成年者や、在留資格のない外国人などは監理人になれないとしています。監理人は、被監理者との合意で報酬を受け取ることも制限されていません。

監理人の責務は、入管法44条の3で次のように定められています。

  1. 生活状況の把握と指導・監督(2項):出頭の確保と条件の遵守のために必要な範囲で行う義務
  2. 相談と援助(3項):住居の維持に係る支援、情報提供、助言などを行う努力義務
  3. 届出(4項):一定の事実を知ったときに主任審査官に届け出る義務
  4. 報告(5項):主任審査官から求められたときに、生活状況や条件の遵守状況などを報告する義務
  5. 辞任の届出(7項):辞任する場合にあらかじめ届け出る義務

Q&Aは、監理人の指導・監督について、常時本人の生活状況を把握しなければならないなどの過度な負担を求めるものではない、と説明しています。24時間の監視役を想定した制度ではないということです。

監理人の届出義務と報告義務|7日以内・10万円以下の過料

監理人の義務のうち、実務で最も重いのが届出と報告です。

届出が必要になるのは、被監理者が逃亡した、逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある、証拠を隠滅した、監理措置条件に違反した、許可なく働いたなど、監理措置決定の取消事由に当たることを知ったとき、被監理者が死亡したとき、そのほか監理措置の継続に支障が生じる場合として法務省令で定めるとき(監理人の住所の変更、被監理者との親族関係や雇用関係の終了など)です。出入国在留管理庁は、これらの事実が発生したときから7日以内に届け出なければならないとしています。

届出をしない、虚偽の届出をする、求められた報告をしない、虚偽の報告をする、辞任の届出をしない、といった場合は、入管法77条の2により10万円以下の過料に処せられます。過料は刑事罰とは異なる、行政上の秩序罰です。

逆に、被監理者が逃亡したこと自体を理由に、監理人が処罰されることはありません。Q&Aもその旨を明記しています。監理人が責任を問われるのは、届出や報告という自分の義務を果たさなかった場合です。筆者は、監理人を引き受ける人にとって大事なのは、本人の行動をすべて管理することより、取消事由に当たる事実を知ったら7日以内に届け出るという一点を確実に守ることだと考えます。

被監理者の義務と条件違反の罰則

被監理者本人は、監理措置条件の遵守状況、許可を受けた活動の状況などを主任審査官に届け出なければなりません(44条の6)。届出の頻度は、3か月を超えない範囲で主任審査官が指定します。

条件に違反した場合の効果は、次の2段階です。

  • 監理措置決定の取消し:逃亡や証拠隠滅(その疑いを含む)、条件違反、許可のない就労、届出の不履行・虚偽の届出があれば、主任審査官は監理措置決定を取り消すことができ、取り消されると収容令書が発付されて収容されます。保証金を納めていれば、全部または一部が没取されます(44条の4)
  • 刑事罰:条件に違反して逃亡し、または正当な理由なく呼出しに応じない場合は、1年以下の拘禁刑もしくは20万円以下の罰金またはその併科(72条3号)。退去強制令書発付前の被監理者が許可なく報酬を受ける活動を行った場合、発付後の被監理者が報酬を受ける活動を行った場合は、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはその併科(70条1項9号・10号)

監理措置決定通知書とは

監理措置決定通知書とは、監理措置決定のときに主任審査官が被監理者に交付する書面で、付された条件が記載されています(44条の2第7項)。監理人には、その謄本が交付されます。

被監理者は在留カードを持っていないことが多く、この通知書が本人の法的な立場を示す書面になります。Q&Aは、在留カードを持っている場合を除いて、被監理者は監理措置決定通知書を常に携帯しなければならないとしています。

後述する就労の許可を受けた場合、許可の内容と条件(勤務先、活動の内容、報酬額の上限など)も、この通知書に記載されます(44条の5第2項)。企業が被監理者の就労可否を確かめる書面は、在留カードではなく監理措置決定通知書だということです。

被監理者は働けるか|報酬を受ける活動の許可

被監理者が働けるのは、退去強制令書が発付される前の被監理者が、主任審査官から報酬を受ける活動の許可を受けた場合に限られます。入管法44条の5第1項は、被監理者の生計を維持するために必要であって相当と認めるときは、被監理者の申請(監理人の同意があるものに限る)により、生計の維持に必要な範囲内で、主任審査官が指定する本邦の公私の機関との雇用契約に基づく報酬を受ける活動を許可できる、と定めています。

要件を整理すると、次のようになります。

  • 退去強制令書が発付される前であること
  • 生計を維持するために必要であること
  • 監理人の同意があること
  • 主任審査官が指定する機関との雇用契約に基づくこと(業務委託や自営は対象外)
  • 生計の維持に必要な範囲内であること

Q&Aによれば、就労先には、風俗営業等の事業所でないこと、源泉徴収義務を適切に履行していると認められることなどが求められます。

この許可は、実際にはほとんど出ていません。出入国在留管理庁の「令和7年における入管法違反事件について」によれば、2025年中の監理措置決定は3,783件(退去強制令書発付前2,103件、発付後1,680件)、2025年末の被監理者は1,546人でしたが、発付前の被監理者に報酬を受ける活動を許可した件数は、年間で4件でした。監理措置に付されたことと、働けることは、ほぼ別の話だと考えてください。

雇う企業が確認すべきこと

外国人の採用で、応募者が在留カードではなく監理措置決定通知書を持っている場合、企業が確認すべきことは明確です。

1つは、通知書に報酬を受ける活動の許可の記載があるかどうかです。記載がなければ、その人を雇うことはできません。許可のない被監理者を働かせると、企業側が不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、2027年4月1日からは5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金)に問われるおそれがあります。詳しくは不法就労助長罪とは?企業が問われる責任・罰則を参照してください。

もう1つは、許可があっても、指定された勤務先が自社であるかどうかです。許可は勤務先を指定して出されるため、別の会社で働くことはできません。報酬額の上限も通知書の記載に従う必要があります。

許可を受けた被監理者を雇ったときは、外国人雇用状況の届出で、在留資格欄に被監理者である旨を記載します。届出の仕組みは外国人雇用状況の届出とは?で解説しています。仮放免中の人との違いと、会社の確認事項は監理措置と仮放免の違い|被監理者が働ける場合と会社が通知書で確認することで整理します。

よくある質問

監理措置決定とは何ですか?

主任審査官が、退去強制の手続の対象者を収容せずに監理人の監理に付すと決めることです。決定の際には住居・行動範囲の制限や出頭義務などの条件が付され、必要に応じて300万円以下の保証金の納付が条件になります。決定を受けた人(被監理者)には監理措置決定通知書が、監理人にはその謄本が交付されます。

監理措置と仮放免の違いは何ですか?

監理措置は、収容しないで手続を進めるための原則的な制度で、監理人の監理と保証金の仕組みを伴います。仮放免は、2024年6月10日の改正法施行後は、健康上・人道上その他これらに準ずる理由がある場合に収容を一時的に解く例外的な制度になり、保証金の規定もなくなりました。仮放免中は就労できません。

監理人は被監理者が逃げたら罰せられますか?

逃亡そのものを理由に監理人が処罰されることはありません。ただし、逃亡や条件違反を知ったのに7日以内に届け出なかった場合や、求められた報告をしなかった場合は、10万円以下の過料の対象になります。

監理措置を受けると在留資格がもらえますか?

もらえません。監理措置は退去強制の手続を収容しないで進めるための措置で、監理措置に付されている間は不法残留罪などの適用がないものとみなされるにとどまります(44条の2第10項)。日本に在留を続けるには、手続の中で在留特別許可を受けるなどの別の判断が必要です。

監理人を引き受ける前に考えること

監理措置の制度は、本人を社会の中にとどめる代わりに、その出頭と条件の遵守を監理人という第三者の関与で担保する設計になっています。監理人になることは、本人の生活を丸ごと背負うことではありませんが、届出と報告という法的義務を負うことは確かです。

親族や元雇用主として監理人を頼まれたときは、本人の住居と連絡手段を把握できるか、取消事由に当たる事実を知ったときに7日以内に届け出る覚悟があるか、の2点を先に確かめてください。本人が就労を希望する場合は、監理人の同意が申請の要件になるため、雇用先の実態も含めて判断する立場に立つことになります。手続の段階や家族の状況によって取り得る選択肢は変わり、個別の事情で判断が変わるため、監理人の引受けや就労許可の申請で迷うときは専門家に相談してください。

根拠資料


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