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仮放免中の外国人は働ける?就労禁止の理由と雇った会社のリスク

仮放免中の外国人は、日本で働くことができません。仮放免には、収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動に従事してはならないという条件が付き(入管法施行規則49条3項が準用する48条1項)、仮放免許可書にもその旨が書かれます。仮放免は在留資格を与える制度ではないため、資格外活動許可を受ける道もありません。仮放免中の人を雇った会社は、不法就労助長罪(入管法73条の2)の対象になり、現行の3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金は、2027年4月1日から5年以下・500万円以下に引き上げられます。

仮放免とは|在留資格のない人の収容を一時的に解く措置

ここでいう仮放免とは、退去強制の手続で入管の施設に収容されている外国人について、期間と条件を付けて収容を一時的に解く措置を指します(入管法54条)。2024年6月10日に施行された改正入管法により、仮放免は「健康上、人道上その他これらに準ずる理由」により収容を一時的に解除することが相当な場合に限られる制度に改められました。1回の期間は3か月以内で、延長の請求ができます。

仮放免は、あくまで収容の一時的な解除です。退去強制の手続そのものは止まらず、本人は在留資格を持たないままです。仮放免される人の多くは、在留期限を過ぎて残留した人(不法残留)、難民認定申請が認められなかった人、退去強制令書が発付されたものの送還に応じていない人などです。出入国在留管理庁の統計(令和7年の入管法違反事件)では、2025年の仮放免許可は286件、2025年末時点で仮放免中の人は2,429人でした。

仮放免の請求手続、条件、仮放免許可書の見方、2024年改正で保証金の規定がなくなった経緯は仮放免とは?許可の条件と仮放免許可書の見方|2024年改正で保証金はどうなったかで詳しく扱っています。

仮放免中の就労が禁止されている根拠

仮放免中の就労禁止には、二つの層の根拠があります。

一つ目は、仮放免に付される条件です。入管法54条2項は、仮放免に「住居及び行動範囲の制限、呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件」を付すと定め、施行規則49条3項が準用する48条1項が、その条件として、住居の指定、行動範囲の制限(原則として住居のある都道府県内)、出頭の日時・場所の指定と並べて、収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動に従事することの禁止を挙げています。仮放免許可書(施行規則別記第67号様式)には、この条件が記載されます。

二つ目は、そもそも在留資格がないことです。在留資格のない人が報酬を受ける活動をすることは、入管法上の「不法就労活動」に当たります。就労系の在留資格の人が副業をするときのような資格外活動許可(入管法19条2項)は、在留資格を持つ人を対象にした制度なので、仮放免者には使えません。

条件に違反して働いたことが分かると、仮放免は取り消されることがあります(入管法55条1項)。取り消されると、本人は再び収容されます。

仮放免中の就労が禁止されるのはなぜか

「働けなければ生活できないのに、なぜ禁止なのか」という疑問は、仮放免をめぐって最もよく出る問いです。制度の組み立てから読み取れる理由は、仮放免が「日本に在留することを認める措置」ではなく、「送還までの間、収容という身柄の拘束を例外的に止める措置」として設計されている、という点にあります。就労を認めれば、在留資格のない人に日本での生活基盤を築かせることになり、退去強制の手続と噛み合わなくなる、という整理だと筆者は読んでいます。

その結果、仮放免中の人の生活は、家族・支援団体・宗教団体などの支援に頼るほかない状態になります。東京新聞などの報道は、就労できず健康保険にも入れない仮放免者の困窮を繰り返し伝えています。2023年の入管法改正で、退去強制令書が発付される前の段階について、監理措置の下で生計維持に必要な範囲の就労を許可する仕組み(44条の5)が作られたのは、この問題への一つの対応と見ることができます。ただし、その対象は監理措置の被監理者で、仮放免者は含まれていません。

筆者は、仮放免の就労禁止の是非は立法と運用の問題であって、雇う側の会社が個別に判断できる余地はない、と考えています。会社にとっての答えは、「仮放免許可書しか持っていない人は雇えない」の一択です。

仮放免中の住民票・健康保険・生活保護

仮放免中の人は、就労以外の生活の基盤でも制度の外に置かれます。

住民票は作られません。総務省の説明によれば、住民基本台帳制度の対象となる外国人は、中長期在留者、特別永住者、一時庇護許可者・仮滞在許可者、出生または日本国籍喪失による経過滞在者の4区分です(住民基本台帳法30条の45)。仮放免者はこのいずれにも当たりません。住民票がないため、マイナンバーも付番されず、国民健康保険にも加入できません。医療費は原則として全額自己負担です。

生活保護も受けられません。外国人への生活保護は、厚生労働省の通知(昭和29年5月8日社発第382号)に基づく行政措置として行われ、実務上の対象は永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、特別永住者、認定難民などに限られています。在留資格のない仮放免者はこの範囲に入りません。

会社の実務で関係するのは、住民票と在留カードがない、という点です。採用時に在留カードの提示を求めて「持っていない」と言われた場合、その人が仮放免者である可能性があります。

仮放免中の人を雇った会社のリスク

仮放免中の人を雇うと、会社は入管法73条の2の不法就労助長罪の対象になります。事業活動に関し外国人に不法就労活動をさせた者が処罰され、現行の法定刑は3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金(併科あり)です。2027年4月1日からは、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金に引き上げられます。76条の2の両罰規定により、法人にも罰金刑が科されます。

同条2項は、外国人が不法残留者などであることを「知らないことを理由として」処罰を免れることはできず、過失がないときに限って免れる、と定めています。仮放免許可書は在留カードとは見た目も記載も全く違う書面で、在留資格の欄も就労の可否の欄もありません。本人が「入管の許可書がある」と言って仮放免許可書を示したとしても、それを確認して雇ったのであれば、過失がないとは言いにくいのが実情です。罪の成立範囲と防ぎ方の全体は不法就労助長罪とは?で解説しています。

刑事罰のほかにも、会社には次の不利益が生じえます。

  • 雇用している他の外国人の在留審査で、受入れ機関としての適格性が問われる
  • 特定技能の受入れ機関や育成就労の実施者になる場合の欠格事由(出入国・労働関係法令違反)に当たるおそれ
  • 外国人雇用状況の届出を正しく出せない(在留カード番号・在留資格を書けない)状態を放置したことの問題

監理措置・仮滞在との違い|働ける場合がある制度

仮放免と混同されやすいのが、2024年6月10日に始まった監理措置と、難民認定申請者の仮滞在です。この二つには、条件付きで就労を許可する規定があります。

区分 本人が持つ書面 就労 根拠
仮放免 仮放免許可書 できない 施行規則49条3項・48条1項
監理措置(退去強制令書の発付前) 監理措置決定通知書 主任審査官の許可を受けた場合のみ、指定された機関との雇用契約で可 入管法44条の5
監理措置(退去強制令書の発付後) 監理措置決定通知書 できない 就労許可の規定なし
仮滞在(難民認定申請者) 仮滞在許可書 法務大臣の許可を受けた場合のみ、生計維持に必要な範囲で可 入管法61条の2の7

監理措置の就労許可は、被監理者の申請(監理人の同意が必要)により、生計の維持に必要な範囲内で、主任審査官が指定する日本の機関との雇用契約に基づく活動に限って認められます。許可の内容と条件は監理措置決定通知書に記載されます(44条の5第2項)。出入国在留管理庁の統計では、2025年に退去強制令書発付前の被監理者に報酬を受ける活動の許可が出たのは4件でした。制度はあっても、実際に許可される例はごく限られています。

仮滞在も同様で、許可を受けた場合はその旨と条件が仮滞在許可書に記載されます(61条の2の7第3項)。いずれの場合も、会社が確認すべきなのは「本人が持っている書面の名前」と「その書面に就労許可の記載があるか」の二点です。監理措置と仮放免の違いは監理措置と仮放免の違い|被監理者が働ける場合と会社が通知書で確認することで扱っています。難民認定申請中で「特定活動」の在留資格を持つ人は、在留カードの記載で就労の可否を確認します。

採用のときに会社が確認すること

仮放免者を誤って雇わないために、会社が採用時に確認することは次のとおりです。

  1. 在留カードの原本を確認する(在留カードがない、写ししかない、という時点で採用手続を止める)
  2. 在留カード表面の「就労制限の有無」と裏面の「資格外活動許可欄」を確認する
  3. 在留カード番号の有効性を、出入国在留管理庁の在留カード等番号失効情報照会で確かめる
  4. 本人が在留カード以外の書面(仮放免許可書、監理措置決定通知書、仮滞在許可書)を示した場合は、書面の名称と就労許可の記載を確認し、記載がなければ雇わない

在留カードの見方は外国人を採用できる在留資格の種類一覧で在留資格ごとに整理しています。短期間の日雇いや業務委託の形であっても、報酬を払えば「不法就労活動をさせた」ことになる点は同じです。

すでに雇っている人が仮放免者だと後から分かった場合は、直ちに就労を止めさせ、ハローワークへの届出の状況を確認し、最寄りの地方出入国在留管理官署に相談するのが基本です。本人が監理措置への移行や在留特別許可を求める手続を進めている場合でも、就労の可否は許可の有無だけで決まります。個別の事情で判断が変わる部分が大きいため、対応は専門家と相談しながら進めてください。

よくある質問

仮放免で働いてもいいですか?

働けません。仮放免には報酬を受ける活動の禁止が条件として付き、仮放免許可書にも記載されます。違反すると仮放免が取り消され、再び収容されることがあります。雇った側は不法就労助長罪の対象です。

仮放免は不法滞在ですか?

在留資格がない状態であることに変わりはありません。ただし、入管が本人を把握したうえで、住居や行動範囲の条件を付けて収容を解いている状態で、所在が分からない不法滞在とは法的な位置づけが違います。仮放免中も退去強制の手続は続いています。

在留特別許可と仮放免の違いは?

在留特別許可は、退去強制事由に当たる人に法務大臣が在留資格を与える処分で、許可されれば在留カードが交付され、在留資格に応じて働けるようになります。仮放免は在留資格を与えず、収容を一時的に解くだけの措置です。仮放免中の人が在留特別許可を受けて、初めて就労の道が開けます。

仮放免中に住民票は作れますか?

作れません。住民基本台帳制度の対象は中長期在留者、特別永住者、一時庇護許可者・仮滞在許可者、経過滞在者に限られ(住民基本台帳法30条の45)、仮放免者は含まれません。そのため国民健康保険にも加入できません。

日本で仮放免されている人は何人ですか?

出入国在留管理庁の統計では、2025年末時点で仮放免中の人は2,429人、2025年中の仮放免許可は286件でした。監理措置の被監理者は2025年末時点で1,546人です。

「書面の名前」で判断する

仮放免中の外国人を雇えるかどうかという問いには、条文上も運用上も「雇えない」という答えしかありません。会社が迷うのは、本人が入管から交付された何らかの書面を持っていて、それが就労を認めるもののように見える場面です。

仮放免許可書、監理措置決定通知書、仮滞在許可書は、どれも在留カードではありません。このうち就労が認められる可能性があるのは、監理措置決定通知書と仮滞在許可書に就労許可が明記されている場合だけです。採用担当者は、書面の名前を読み、就労許可の記載を探し、なければ採用しない。この手順を社内で決めておくことが、2027年4月の厳罰化を前にした最も確実な備えになります。

根拠資料


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