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技能ビザの更新で見られること|勤務実態と調理師の職務内容

技能ビザの更新で入国・在留審査要領が確認するのは、三つの項目です。従前の活動を継続しているか、報酬が日本人と同等額以上か、住民税の課税証明書と納税証明書に問題がないか(18-9〜18-11)。調理師の場合、一つ目の項目は「来日時の申請どおり、外国料理の調理師として働いているか」という勤務実態の確認を意味します。

新規の申請で時間をかけた10年の経験の立証は、更新では原則として繰り返されません。代わりに見られるのは、日本に来てからの働き方と納税です。店の人手が足りずに接客や洗い場を任せる時間が増えている、給与が申請時より下がっている、住民税が滞っている。こうした変化が更新の書類に表れます。

この記事でわかること

  • 更新のときに審査要領が確認する3つの項目
  • 調理師の「従前の活動の継続」が何を意味するか
  • 住民税の課税証明書・納税証明書で見られること
  • 更新後の在留期間の決まり方と、令和8年10月からの手数料
  • 不許可になったときの選択肢

審査要領が更新時に確認する3項目

第18節の審査のポイントは、在留資格を決定する場面と在留期間を更新する場面を分けて書いています。第1号から第6号(調理師を含む)の更新時の項目は次のとおりです。

(ア) 申請書の勤務先、職務上の地位、職務内容及び派遣先等(契約機関から勤務先に派遣される場合)の欄の記載及び立証資料により、従前の活動を継続していることを確認する。
(イ) 申請書の給与・報酬欄の記載及び立証資料により、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることを確認する。
(ウ) 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書の内容により、在留資格該当性及び基準適合性について、問題がないかを確認する。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節 18-9

パイロット(第7号)、スポーツ指導者(第8号)、ソムリエ(第9号)の更新時の項目も、同じ3点です(18-10〜18-11)。

(ウ)に出てくる二つの用語を先に確認しておきます。在留資格該当性とは、日本で行う活動が入管法の定める技能の活動に当たることを指します。基準適合性とは、上陸基準省令の要件(技能なら経験年数や報酬)を満たしていることを指します。納税証明書は税の納付状況を見る書類ですが、審査要領はそれを活動の中身と基準の両方を点検する材料として位置づけています。筆者は、住民税の課税額から申請書に書いた報酬が実際に支払われているかを確かめる趣旨も含まれていると読んでいます。

調理師の「従前の活動の継続」とは

ここで重要なのは、更新の審査が「在留資格を得たときと同じ活動を続けているか」を見ているという論点です。調理師で許可を受けた人なら、許可を受けた料理の調理に、熟練した調理師として従事していることが前提になります。

審査要領は、技能の活動を「特別な技能、判断等を必要としない機械的な作業である単純作業と区別される」ものとしています(18-1)。調理師が、ランチの繁忙時間にホールを手伝う程度であれば、直ちに活動の継続が否定されるとは考えにくいところです。一方で、仕事の大半が配膳、会計、皿洗いになっている、別業態の店舗に回されて外国料理を作っていない、といった状態は、筆者は更新の審査で説明がつかないと考えています。

申請書の「職務内容」欄と会社が作る書類は、実態に合わせて具体的に書いてください。担当する料理、調理場での役職、メニュー開発や後輩への指導の有無などです。店が複数あり勤務店舗が変わった場合は、その店舗でも外国料理の調理に従事していることを示します。

入管は、書類の記載が実態に合っているかを追加資料で確かめることがあります。当事務所の就労系の案件でも、次のような資料の提出を求められた例があります。

1日のタイムスケジュールの提出を求められたケース
入管から、対象者の1日の業務内容を時間単位で示すよう求められた案件がありました。申請どおりの専門的な業務が、実際に仕事の中心になっているかを確認する趣旨の資料要求です。どの粒度の資料を出せば審査官に伝わるか、その見極めが結果を左右します。

※上記は当事務所で取り扱った実際の相談内容をもとにしていますが、個別の状況により結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。

転職した調理師の更新

技能で在留する人が勤務先を変えた場合、本人は14日以内に出入国在留管理庁へ所属機関に関する届出をする義務があります(入管法19条の16)。更新の審査では、新しい勤務先で技能の活動を行っているか、報酬が同等額以上かが確認されます。新しい店でも外国料理の調理師として働くことを示す書類を、前の店のときと同じ水準でそろえる必要があります。

報酬は申請時の水準を保っているか

(イ)の報酬は、新規の申請と同じ基準で見られます。月額は賞与等を含めた1年間の総額の12分の1で計算し、通勤手当・扶養手当・住宅手当などの実費弁償的なもの(課税対象を除く)は含めません(第1節 1-3〜1-4)。申請時の労働条件より給与が下がっていれば、理由を説明する必要があります。住民税の課税証明書に表れる年間の所得と、申請書の報酬額が大きく食い違わないかも、提出前に確認してください。

住民税と納税証明書で見られること

(ウ)に加えて、在留期間の表の注記は、申請人が納税をはじめとする公的義務を履行していない場合、その態様等を勘案して在留の可否と、許可する場合の在留期間を検討するとしています(18-13)。刑事処分を受けた人も同様です。

出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」は、令和8年6月に改正されました。この改正で、納税義務等の履行について「当庁からの求めに応じ、関係機関から提供を受けた納税義務等の履行状況に関する情報を踏まえ、許否判断を行う場合があります」という注書きが加わりました。国民健康保険料などの高額・長期の未納で悪質なものは、税の未納と同じように扱うとしています。住民税を普通徴収で本人が納めている場合は、会社が知らないうちに未納が生じていることがあるので、更新の前に本人と一緒に確認してください。

更新ガイドラインと入管の裁量

審査要領の3項目は、技能に固有のチェックポイントです。その外側に、すべての在留資格に共通する更新のガイドラインがあります。ガイドラインが挙げる考慮事項は8つです。前半は、在留資格該当性、上陸許可基準への適合(原則として必要)、現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと、素行が不良でないことの4つです。後半は、独立生計、雇用・労働条件が適正であること、納税義務等の履行、入管法上の届出義務の履行の4つです。3つ目以下は代表的な考慮要素であり、すべてに当てはまっても不許可になることがあるとされています。

更新の許否については、マクリーン事件の最高裁判決(最高裁大法廷昭和53年10月4日判決、民集32巻7号1223頁)があります。最高裁は、在留期間の更新を適当と認めるかどうかは法務大臣の広い裁量に委ねられるとしました。そのうえで、外国人に在留の権利や更新を受ける権利が保障されているわけではないと判断しています。入管法も、更新の要件を「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があること」と定めています。更新は申請すれば当然に認められる手続ではないので、勤務実態と納税の両面で、許可を認める材料を申請者側から示す姿勢が求められます。

更新後の在留期間

技能の在留期間は5年、3年、1年、3月です。表の要点は次のとおりです(18-12〜18-13)。

在留期間 更新時に関係する主な条件
5年 届出義務の履行、学齢期の子の通学、就労予定期間3年超のすべてを満たし、かつカテゴリー1・2の機関か、技能で3年または5年を受けて引き続き5年以上技能の活動をしている
3年 上記の届出・通学を満たし、カテゴリー等の条件に当たり、就労予定期間が1年超3年以内、など
1年 カテゴリー4の機関、更新時に届出・通学の条件を満たさない、在留状況を1年に1度確認する必要がある、就労予定期間が1年以下、など
3月 就労予定期間が3月以下

個人経営の外国料理店はカテゴリー4に当たることが多く、その場合は1年の更新が続きやすくなります。住居地や所属機関の届出を怠っていると、5年・3年の条件を欠くことにも注意してください。また、審査要領は、中長期在留者からの更新で就労予定期間が残り3月未満の場合でも、中長期在留者から外れないよう「原則として「3月」ではなく「1年」を決定する」としています(18-13)。表の直後は黒塗りで、それ以上の運用は読めません。

申請の時期、手数料、審査期間

更新は在留期間の満了日までに申請します。満了日までに申請していれば、審査中に満了日を過ぎても、処分がされる時か満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、従前の在留資格で在留できます(入管法21条4項による20条6項の準用)。申請期限の考え方は在留資格の変更・更新はいつまでに申請する?申請期限と標準処理期間を解説で整理しています。

手数料は令和8年10月1日から、許可される在留期間に応じた額に変わります。改定前は窓口6,000円・オンライン5,500円です。改定後は、1年の許可で窓口33,000円・オンライン27,000円、3年以上5年未満で64,000円・56,000円、5年以上で75,000円・65,000円になります。令和8年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月以降でも旧手数料になります。企業負担の考え方は【2026年10月確定】在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?永住20万円・企業負担を解説を参照してください。

審査期間は、Q&Aの標準処理期間で2週間〜1か月です。令和8年7月許可分の実績では、技能の更新は告知まで平均32.9日でした。

不許可になったら

在留期間更新の不許可に対して、行政不服審査法による審査請求はできません(同法7条1項10号)。出入国在留管理庁の在留期間更新許可申請のページにも「不服申立方法 なし」と明記されています。争う方法は取消訴訟ですが、実務上は、入管で不許可の理由を確認し、書類を組み直して再申請するのが中心です。詳しくは在留資格の不許可に不服申立てはできない?行政不服審査法の適用除外と取消訴訟と在留資格の更新が不許可になる理由とは?事例と対処法・企業の注意点を解説で解説しています。

よくある質問

Q. 技能ビザの更新で、納税証明書は必ず見られますか?

審査要領は、技能の更新時に住民税の課税(又は非課税)証明書と納税証明書の内容で、在留資格該当性と基準適合性に問題がないかを確認するとしています。未納があると、在留の可否や在留期間の判断で考慮されます。

Q. 調理師として雇ったのに、ホールの仕事を手伝わせても更新できますか?

一時的な手伝いと、ホールの仕事が中心になっている状態とは区別して考える必要があります。技能は熟練した技能を要する業務に従事する在留資格で、審査要領は単純作業とは区別されるとしています。更新時には従前の活動を継続しているかが確認されるので、調理が主たる業務でなくなっていれば、更新が難しくなります。

Q. 在留期限の直前に更新を申請しても大丈夫ですか?

在留期間の満了日までに申請していれば、審査中に満了日を過ぎても、処分がされる時か満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、それまでの在留資格で在留できます。ただし、書類に不備があると処分が遅れるので、早めの申請をおすすめします。

Q. 更新が不許可になったら審査請求はできますか?

できません。在留期間の更新の不許可は、行政不服審査法の審査請求の対象外です(同法7条1項10号)。出入国在留管理庁の手続ページにも「不服申立方法 なし」と書かれています。争う場合は取消訴訟になり、実務上は理由を確認したうえで再申請を検討するのが中心です。

満了日の3か月前にやっておくこと

更新の準備は、書類を集める前の点検から始めてください。まず、本人の仕事の中身が許可を受けたときの職務内容と合っているかを、実際のシフトや担当業務で確かめます。次に、住民税の課税証明書と納税証明書を取り寄せ、報酬額との整合と未納の有無を確認します。住居地や勤務先の変更の届出が済んでいるかも見ておきます。どこかに説明を要する点があれば、申請前に理由書で補えるかを検討してください。調理師の新規申請で求められた立証の考え方は外国料理の調理師(コック)の技能ビザ|実務経験10年の立証と在職証明書にまとめています。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節「技能」18-1(熟練と単純作業の区別)、18-9〜18-11(在留期間の更新時の審査のポイント)、18-12〜18-13(在留期間。表の直後は黒塗り)
  • 同 第1節「全般事項」1-3〜1-4(報酬)
  • 出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html
  • 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html
  • 出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」https://www.moj.go.jp/isa/content/001344550.pdf
  • 出入国在留管理庁「在留審査処理期間(令和8年7月許可分)」https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html
  • 出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」https://www.moj.go.jp/isa/01_00644.html
  • 最高裁大法廷昭和53年10月4日判決(マクリーン事件、民集32巻7号1223頁)