在留カードが割れた、汚れて文字が読めない、ICチップが読み取れないというときは、入管法19条の13第1項前段の「汚損等による再交付申請」を使います。手数料は無料で、申請期限もなく、住居地を管轄する入管の窓口で原則即日交付されます。同じ「在留カード再交付申請書」を使う手続でも、紛失(19条の12)・入管からの再交付命令(19条の13第3項)・交換希望(19条の13第1項後段)では、期限と手数料がそれぞれ違います。
在留カードの再交付は4種類あり、期限と手数料が違う
在留カードの再交付には、法律上4つの入り口があります。申請書の様式は入管のページでは同じ「在留カード再交付申請書」として配布されていますが、施行規則では手続ごとに様式が分かれています(紛失等は別記第29号の11様式、汚損等・命令は第29号の12様式、交換希望は第29号の13様式。入管法施行規則19条の11・19条の12)。
| 手続 | 根拠 | 申請期限 | 手数料 | 申請しないと |
|---|---|---|---|---|
| 紛失・盗難・滅失 | 入管法19条の12第1項 | 所持を失ったと知った日から14日以内 | 無料 | 1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金(71条の2第2号) |
| 汚損・毀損・IC記録の毀損 | 19条の13第1項前段 | 期限なし(任意) | 無料 | 罰則なし |
| 入管の再交付命令を受けた | 19条の13第2項・第3項 | 命令を受けた日から14日以内 | 無料 | 1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金(71条の2第2号) |
| 問題のないカードの交換希望 | 19条の13第1項後段 | 期限なし(任意) | 1,900円(収入印紙) | 罰則なし |
手数料と期限は、出入国在留管理庁の各手続案内ページ(2026年9月29日確認)に基づきます。ここで押さえておきたいのは、破損やICチップの不具合は本人が気づいた段階では「任意」の手続にとどまるのに、入管から命令を受けた時点で「14日以内の義務」に変わるという点です。
破損・汚損・ICチップ不良は19条の13第1項前段で無料
19条の13第1項前段の対象は、在留カードが「著しく毀損し、若しくは汚損し」たとき、または在留カード電磁的記録(ICチップに記録された情報)が「毀損したとき」です。ここでいう毀損とは、カードが割れる、折れ曲がる、欠けるといった物理的な損傷を指し、汚損は文字や写真が読み取れないほどの汚れや変色を指します。
典型的なのは、次のような状態です。
- 財布に入れたまま折り曲げてしまい、カードにひびが入った
- 洗濯機で洗ってしまい、券面の印字が薄くなった
- 券面の写真や住居地の追記欄がこすれて判読できない
- 在留カード等読取アプリや銀行の窓口でICチップが読み取れない
最後のICチップの読取不良は、見た目に異常がないため気づきにくいものです。ただ、読取アプリで読めないからといって、すぐにチップの故障とは限りません。出入国在留管理庁の読取アプリのサポートページでは、利用できるスマートフォンやカードリーダーの条件が示されており、金属製の机の上では読み取りにくいといった利用環境の問題もあります。複数の端末で試しても読めない場合に、IC記録の毀損を疑うのが順序です。
「著しく」という言葉が付いているとおり、小さな擦り傷程度では対象になりません。ただ、窓口では券面の判読性とICチップの読取結果で判断されるため、迷う程度の損傷であれば、カードを持って窓口で相談すれば足ります。
入管から再交付を命じられたら14日以内に申請する
19条の13第2項は、出入国在留管理庁長官が、著しく毀損・汚損した在留カードやIC記録が毀損した在留カードを持つ中長期在留者に対して、再交付の申請を命ずることができると定めています。命令は「在留カード再交付申請命令書」(施行規則別記第29号の14様式)の交付で行われます(施行規則19条の13)。
命令を受けると、その日から14日以内に再交付を申請しなければなりません(19条の13第3項)。申請しないと、紛失の再交付申請を怠った場合と同じく71条の2第2号の対象になり、1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金です。手数料は、命令による再交付でも無料です。
命令が出されるのは、更新や変更の申請で入管の窓口に行ったとき、空港での出入国審査のときなど、入管職員がカードを確認する場面です。破損に気づいていながら放置していると、たまたま入管に行った日に命令を受け、そこから14日の期限が走ることになります。自分で気づいた段階で任意の申請をしておくほうが、日程の自由がききます。
交換を希望するときは1,900円
カードに特に問題はないものの、新しいカードに替えたいというときは、19条の13第1項後段の交換希望による再交付になります。条文は「正当な理由がないと認められるとき」を除くとしており、正当な理由がなければ申請できない建付けです。
実際に交換を希望する例としては、次のようなものがあります。
- 住居地の追記欄が埋まってきたので、表面に新しい住所が印字されたカードにしたい
- 写真が古く、本人確認で指摘されることが増えた
- 漢字氏名の併記を申し出たい(漢字氏名表記の申出は再交付申請と併せて行える。施行規則19条の7第3項)
手数料1,900円は収入印紙で納めます。この手数料は入管法67条の2の「実費を勘案して政令で定める額」に当たり、2026年10月1日から改定された在留資格の変更・更新・永住許可の手数料とは別の枠組みです。
汚損等による再交付の申請方法と必要書類
申請先は住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で、受付は平日の午前9時から12時、午後1時から4時です。福岡県内なら福岡出入国在留管理局(本局)、北九州出張所などが窓口になります。出入国在留管理庁の案内では、汚損等による再交付は原則として即日交付です。
必要なものは次のとおりです。
- 在留カード再交付申請書
- 写真1葉(縦4cm×横3cm、申請前6か月以内に撮影、無帽・無背景など規定の要件を満たすもの。1歳未満は原則不要。施行規則19条の12第3項・19条の9第3項)
- 旅券(提示。提示できない場合はその理由を記載した書面)
- 現在の在留カード(提示)
- 必要に応じて、汚損等の経緯を説明する理由書など
紛失の再交付とは違い、警察の遺失届や受理番号は必要ありません。手元のカードそのものが損傷の証拠になるためです。
申請できるのは、16歳以上の本人のほか、同居の親族などの代理人、申請取次の届出をした行政書士・弁護士や受入れ機関の職員などの取次者です。外国人社員が平日に休みを取りにくい場合は、取次者による申請を使えます。
新しいカードの交付を受けると、古いカードはその時点で効力を失い(19条の14第5号)、直ちに返納しなければなりません(19条の15第2項)。通常は窓口で新カードと引き換えに回収されます。新しいカードには新しい番号が付くと考えておくのが安全で、会社の人事記録に在留カード番号を控えている場合は、番号と有効期間を新カードの記載で確認し直します(公式資料では未確認)。
紛失との違いと、会社が確認すること
紛失・盗難の再交付(19条の12)は、手元にカードがない状態から始まります。14日以内の申請義務があり、警察の遺失届の受理番号を控えて申請する点が、汚損等との大きな違いです。紛失時の流れは在留カードを紛失したら?14日以内の再交付申請と遺失届・会社の対応で詳しく整理しています。
会社の人事担当者が押さえておきたいのは、次の2点です。
一つ目は、在留カードの確認ができない期間をつくらないことです。破損したカードでも、券面が判読でき、ICチップで真正性を確認できるなら、雇用時の確認には使えます。反対に、券面が判読できず、ICチップも読めないカードでは、在留資格や就労制限の有無を確かめることができません。雇用時や更新時の確認では、在留カード等読取アプリでICチップの情報と券面を照合する方法が、外国人雇用管理指針でも適切な方法として示されています(読取アプリの使い方は在留カード読み取りアプリの使い方|ICチップで偽造を見分ける手順と結果画面)。確認ができない状態が続くと、会社側が不法就労助長罪の「知らなかった」を主張しにくくなります(不法就労助長罪とは?)。
二つ目は、社員本人が在留カードを会社に預けないようにすることです。在留カードは本人に常時携帯義務があり(入管法23条2項)、会社が保管してしまうと本人がその義務を果たせません。破損の相談を受けたら、カードの写しをとったうえで、本人に窓口での再交付を促すのが会社の役割です。
よくある質問
在留カードのICチップが読み取れないときはどうすればいいですか?
まず別のスマートフォンやカードリーダーで試し、金属製の机の上を避けるなど利用環境を確認します。それでも読み取れない場合は、IC記録の毀損として、住居地を管轄する入管で汚損等による再交付を申請します。手数料は無料です。
在留カードが少し割れてしまいました。すぐに再交付しないと罰則がありますか?
自分で気づいた段階では、再交付申請は任意で、期限も罰則もありません。ただし、入管から再交付の命令を受けた場合は、その日から14日以内に申請しないと罰則の対象になります。券面や写真が判読しにくい状態であれば、早めに申請しておくのが無難です。
在留カードの再交付申請書はどこで入手できますか?
出入国在留管理庁の「汚損等による在留カードの再交付申請」「交換希望による在留カードの再交付申請」の各ページからPDF・Excelで入手できます。地方出入国在留管理官署の窓口にも置かれています。
再交付の手続はオンラインでできますか?
在留申請オンラインシステムは在留資格の変更・更新などが中心で、在留カードの再交付は窓口での手続になります。取次者(行政書士など)に依頼すれば、本人が窓口に行かずに済みます。
在留カードの再交付に手数料はかかりますか?
紛失・盗難、汚損・毀損、入管の命令による再交付は無料です。問題のないカードを交換したい場合だけ、1,900円の手数料が必要です。
破損に気づいたら「命令の前」に動く
在留カードの破損やICチップの不良は、それ自体では違反になりません。しかし、判読できないカードを持ち続けると、勤務先や銀行での本人確認で毎回説明が必要になり、入管から命令を受けた時点で14日の期限付きの義務に変わります。気づいた時点で、無料・即日で済む汚損等の再交付を使うのが最も手間がかかりません。
会社にとっては、在留カードの確認は採用時の1回で終わるものではありません。更新や転居のたびにカードの状態を確認し、判読できない状態なら再交付を促すことが、雇用の適法性を保つための日常業務です。退職時のカードの扱いは外国人社員が退職・解雇したら?を、窓口の場所と予約は福岡出入国在留管理局への行き方・予約方法を参照してください。
関連するコラム
- 在留カードの返納はいつ・どこで?帰国・退職時の空港返納と郵送方法
- 在留カードの氏名表記の順番とミドルネーム|漢字氏名表記の申出と社内登録の合わせ方
- ビザ申請中に出国できる?変更・更新・永住申請中の一時帰国と特例期間の2か月
根拠資料
- 汚損等による在留カードの再交付申請(出入国在留管理庁)
- 交換希望による在留カードの再交付申請(出入国在留管理庁)
- 紛失等による在留カードの再交付申請(出入国在留管理庁)
- 在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法 19条の12〜19条の15・23条・67条の2・71条の2(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 19条の7・19条の11〜19条の13(e-Gov法令検索)
在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。