所属機関に関する届出は、出入国在留管理庁の「電子届出システム」を使えば、24時間365日オンラインで出せます。届出だけの利用であればマイナンバーカードは不要で、メールアドレスで利用者登録をし、「利用申出」を済ませれば、その日のうちに届出まで進めます。転職のときは「契約の終了」と「新たな契約の締結」の2つが必要ですが、どちらも14日の期限は事由ごとに数えるので、退職と入社の間が空く場合は、退職の届出を先に出しておくのが安全です。
所属機関に関する届出とオンライン提出の対象者
ここでいう所属機関に関する届出とは、入管法19条の16に基づき、中長期在留者本人が、勤務先や学校との関係が変わったときに14日以内に出入国在留管理庁長官へ出す届出を指します。届出の種類は在留資格で分かれています。
- 所属(契約)機関に関する届出:高度専門職1号イ・ロ、高度専門職2号(イ・ロ)、研究、技術・人文知識・国際業務、介護、興行(契約に基づく場合)、技能、特定技能
- 所属(活動)機関に関する届出:教授、高度専門職1号ハ・2号(ハ)、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習、留学、研修
- 配偶者に関する届出:家族滞在、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等(配偶者として在留する人の離婚・死別)
いずれも電子届出システムで提出できます。会社員として働く人の多くは、技術・人文知識・国際業務などの「契約機関」の区分に入ります。契約機関の区分で届け出る事由は、契約機関の名称変更、所在地変更、消滅、契約の終了、新たな契約の締結の5つです。届出の制度全体と、区分ごとの違いは所属機関に関する届出とは?転職・退職時に本人が14日以内に出す届出で解説しています。
届出の期限は、事由が生じた日から14日以内です。届出をしなかった場合は20万円以下の罰金(入管法71条の5第3号)、虚偽の届出は1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金(71条の2第1号)の対象になります。出入国在留管理庁のQ&Aは、届出をしないと在留諸申請で不利になる場合があるとも書いています。
電子届出システムでできること|窓口・郵送との比較
届出の方法は、電子届出システム、地方出入国在留管理官署の窓口への持参、東京出入国在留管理局への郵送の3つです。
| 方法 | 受付時間 | 必要なもの | 受付の確認 |
|---|---|---|---|
| 電子届出システム | 24時間365日 | 利用者ID・パスワード(初回は利用者登録と利用申出) | 受付メール・届出受付番号メール・登録完了メールが届く。マイページで履歴を確認できる |
| 窓口 | 官署ごとの受付時間 | 届出書、在留カードの提示 | 窓口で提出 |
| 郵送 | 郵便の到着による | 届出書、在留カードの写し。封筒に朱書きで「届出書在中」 | 受付の連絡はない(追跡できる方法での発送を推奨) |
郵送先は、東京出入国在留管理局在留調査部門届出受付担当(〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目6番1号 四谷タワー14階)です。福岡県内に住んでいても、郵送の宛先は東京になります。
オンラインの利点は、時間の自由だけではありません。郵送では届出が受け付けられたかどうかの連絡がありませんが、電子届出システムでは、受付・受付番号・登録完了の各段階でメールが届き、後から「いつ、何を届け出たか」をマイページで確認できます。在留期間の更新や永住申請のときに届出の履歴を説明する場面があるため、記録が残るという一点だけでも、オンラインを選ぶ理由になると筆者は考えます。
2026年1月5日の仕様変更で変わったこと
電子届出システムは、2026年1月5日に一部の仕様が変わりました。操作マニュアル(中長期在留者用)は2025年12月22日に第1.00版、2026年2月27日に第1.01版が出ています。変更後の要点は次のとおりです。
- 2025年12月31日までに電子届出システムの認証IDとパスワードを設定していた人は、同じIDとパスワードでログインできる
- 在留申請オンラインシステムの利用者ID(旧:認証ID)を持っている人も、同じIDで届出ができる
- 2026年1月5日以降に新規登録する人は、「利用者登録」に続けて「利用申出」を行う
- 利用申出は2種類あり、「所属機関・配偶者に関する届出の実施を希望する外国人本人の方」を選ぶと届出だけ、「在留諸申請の実施を希望する外国人本人の方」を選ぶと申請と届出の両方ができる
注意したいのは、届出用の利用申出だけをした場合、在留申請オンラインシステムで更新や変更の申請はできないという点です。オンラインで在留期間の更新まで行いたい人は、在留諸申請の利用申出を行う必要があり、こちらはマイナンバーカードとスマートフォンのマイナポータルアプリが必要になります。
利用者登録と利用申出の手順|届出だけならメールアドレスで足りる
初めて使う人は、次の順で進めます。操作マニュアル第1.01版の手順に沿って整理しています。
利用者登録(利用者IDの取得)
- 出入国在留管理庁の「電子届出システムポータルサイト」を開き、「所属機関等に関する届出(法第19条の16)と所属機関による届出(法第19条の17)はこちら」から電子届出システムのトップページに進む
- 「新規登録」をクリックし、利用規約に同意する
- メールアドレスを入力して登録する。「@rasens-immi.moj.go.jp」のドメインからのメールを受け取れるように設定しておく
- 届いたメールのURLを24時間以内にクリックする(24時間を過ぎたらメールアドレスの入力からやり直し)
- 利用者区分で「外国人本人」を選び、必要事項とパスワードを入力する
- 確認画面で内容を確かめて登録すると、利用者IDが発行され、IDを記載したメールが届く
パスワードは10文字から32文字で、英大文字・英小文字・数字・記号($%&=@_#*+-?!)の4種類をすべて含める必要があります。入力画面には「4種類以上」と表示されますが、マニュアルは「正しくは4種類」と注記しています。パスワードを5回続けて間違えるとアカウントが24時間ロックされます。
利用申出
- 取得した利用者IDとパスワードでログインする
- 「オンライン申請手続き」をクリックし、手続き一覧から「利用申出(新たに所属機関・配偶者に関する届出の実施を希望する外国人本人の方)」を選ぶ
- 利用規約に同意し、申込画面で必要事項(在留カードの情報や電話番号など)を入力する
- 確認画面で「申込む」をクリックすると、申込が完了し、完了メールが届く
ここまでで、所属機関に関する届出ができる状態になります。マニュアルによると、申込の整理番号を控えておく必要はありません。
届出の入力手順|在留資格と届出の内容を選ぶ
利用申出が済んだら、届出そのものに進みます。
- 電子届出システムにログインし、「オンライン申請手続き」から「所属機関・配偶者に関する届出」を選ぶ
- 利用規約に同意する(「お気に入り登録」をすると、次回からマイページで選べる)
- 「在留資格」を選ぶ(例:技術・人文知識・国際業務)
- 「届出の内容」を選ぶ(契約終了、新たな契約締結、名称変更、所在地変更、消滅)
- 届出人の情報(氏名、生年月日、国籍、在留カード番号など)を入力する
- 届出事項(終了日・契約日、機関の名称・法人番号・所在地、新しい機関での活動内容など)を入力する
- 「確認へ進む」で内容を確かめ、「申込む」をクリックする
申込後は、受付を知らせるメール、届出受付番号を記載したメール、登録完了を知らせるメールの順に届きます。入力に誤りがあると「届出登録エラー」のメールが届くので、メールのURLからログインし、指示に従って修正して出し直します。修正に問題がなければ、登録完了のメールだけが届きます。
入力の途中で中断したいときは、入力中のデータを保存して後から読み込めます。3時間操作がないと自動でログアウトされ、その10分前に延長のメッセージが出ます。前回の届出の内容を再利用する機能もあるため、転職を繰り返す人は入力の手間が減ります。
届出事項を証明する資料(雇用契約書や退職証明書)の添付は不要です。出入国在留管理庁の案内も、インターネットによる届出では「届出事項を証する資料の提出は必要ありません」としています。
転職時は「契約の終了」と「新たな契約の締結」を1回で出すか別々に出すか
転職した技術・人文知識・国際業務などの人は、前の会社との「契約の終了」と、新しい会社との「新たな契約の締結」の2つを届け出ます。紙の様式では、2つを同時に出すための参考様式1の7(「契約終了」と「新たな契約締結」の複数届出)が用意されています。
判断の軸になるのは、14日の期限が事由ごとに数えられるという点です。退職日から14日以内に契約の終了を、入社日から14日以内に新たな契約の締結を、それぞれ届け出る必要があります。さらに、未来の日付を届出事由の発生日とする届出はできません(Q&A Q6、様式1の7の注記)。
| パターン | 例 | 出し方 | 期限の注意 |
|---|---|---|---|
| 退職の翌日に入社 | 9月30日退職、10月1日入社 | 入社後に2つをまとめて出せる | 退職日の14日後(10月14日)までに2つとも出す |
| 退職と入社の間が短い | 9月30日退職、10月10日入社 | 入社後にまとめて出せるが、期限が迫る | 10月14日までにまとめて出すか、退職分を先に出す |
| 退職と入社の間が2週間以上 | 9月30日退職、11月1日入社 | 別々に出すしかない | 退職分は10月14日まで、入社分は11月14日まで |
| 退職後、次が決まっていない | 9月30日退職、転職活動中 | 退職分だけ先に出す | 10月14日まで。入社後に新たな契約を別に出す |
まとめて出す方法は、手間が1回で済む一方、2つ目の事由が起きるのを待つ間に1つ目の期限が過ぎるおそれがあります。別々に出す方法は、手間は2回になりますが、期限を確実に守れます。退職日から入社日までが1週間を超える場合や、入社日がまだ決まっていない場合は、退職の時点で契約の終了を先に届け出るのが安全です。
電子届出システムの画面で、1回の申込の中で契約終了と新たな契約締結の両方を選べるかどうかは、操作マニュアルの記載からは読み取れませんでした(公式資料では未確認)。マニュアルの一覧では、届出の内容が項目ごとに並んでいます。1回で選べない場合でも、同じ日に2回続けて申込めば、実質的には同時の届出になります。
なお、同じ会社の中の異動や別キャンパスへの勤務地変更は届出不要ですが、出向して出向先の社員として働く場合や、グループの別会社への異動は、所属機関が変わるため届出が必要です(Q&A Q16・Q19)。
会社が代わりに出せる届出と、会社として確認しておくこと
所属機関に関する届出は本人の義務で、電子届出システムでも利用者区分は「外国人本人」です。ただし、会社の名称変更や所在地変更については、所属機関が中長期在留者に代わって届け出る方法も用意されており、電子届出システムのポータルサイトに一括届出用の様式(「中長期在留者に代わって行う届出(所属機関の名称・所在地変更)」)が掲載されています。本社移転や社名変更のときは、社員一人ひとりに届出を任せるより、会社がまとめて出すほうが漏れがありません。
紙で出す場合は、様式の「提出者」欄に記入すれば、雇用主など本人以外の人が提出を代わることもできます。ただし、届出人は本人であり、署名欄は本人が手書きする必要があります。
転職者を受け入れる会社としては、入社手続の一覧に「本人の所属機関に関する届出(14日以内)」を加え、電子届出システムの登録完了メールの写しを受け取っておくと、次の更新申請の準備が進めやすくなります。会社の側の届出は本人の届出とは別の手続です。雇用する会社はハローワークへ外国人雇用状況の届出を出し、これを出す事業主は、入管法19条の17の「所属機関による届出」(努力義務)の対象から外れます。雇用状況の届出が在留審査でどう使われるかは外国人雇用状況の届出とは?、転職者を受け入れるときの会社側の手続は技術・人文知識・国際業務の外国人が転職したら?で解説しています。
特定技能・高度専門職の転職は届出だけでは足りない
特定技能と高度専門職1号は、指定書で所属機関が指定されているため、転職すると在留資格変更許可が必要です。Q&A Q10は、転職と同時に在留資格変更許可を受けた場合は、転職に係る届出は不要としています。ただし、前の会社を辞めてから新しい会社での変更許可が出るまでに日数がかかることが多いため、退職の時点で契約の終了を届け出ておけば、期限の問題は生じません。特定技能の転職手続は特定技能の外国人は転職できる?、高度専門職は高度専門職1号ロで転職したら?で扱っています。
よくある質問
所属機関に関する届出はオンラインでできますか?
できます。出入国在留管理庁の電子届出システムで、24時間365日提出できます。初回は利用者登録(メールアドレスで利用者IDを取得)と利用申出が必要です。届出だけの利用であればマイナンバーカードは不要です。雇用契約書などの資料の添付も必要ありません。
所属機関に関する届出書のPDFはありますか?
あります。出入国在留管理庁の「所属(契約)機関に関する届出」のページに、PDFとExcelの参考様式と記載例が掲載されています。契約機関の区分では、契約終了が参考様式1の4、新たな契約が1の5、両方の同時届出が1の7、名称・所在地の変更と消滅が1の1です。電子届出システムを使う場合、これらの様式は不要です。
所属機関に関する届出を忘れたらどうなる?
期限の14日を過ぎていても、気づいた時点で速やかに届け出るよう、出入国在留管理庁のQ&Aは求めています。電子届出システムは期限後でも受け付けます。入管法上は20万円以下の罰金の対象ですが、実務で影響が出やすいのは、更新や永住の審査で届出義務の不履行として評価される場面です。
所属機関に関する届出の提出先はどこですか?
オンラインなら電子届出システム、持参なら最寄りの地方出入国在留管理官署(福岡県なら福岡出入国在留管理局など)、郵送なら東京出入国在留管理局在留調査部門届出受付担当です。郵送先には受付窓口がないため、直接の持込みはできません。
来月転職する予定ですが、先に届出を出せますか?
出せません。電子届出システムも紙の様式も、未来の日付を事由の発生日とする届出を受け付けていません。退職日・入社日が来てから、それぞれ14日以内に届け出ます。
届出は「14日」より「記録が残るか」で方法を選ぶ
所属機関に関する届出は、1回ごとの手間は小さい手続です。それでも更新や永住の審査で届出の漏れが問題になるのは、本人が出したつもりでも、出した記録を示せないことが多いからです。電子届出システムを使えば、受付番号と登録完了のメールが残り、マイページで過去の届出を一覧できます。
転職のときの判断は、退職日と入社日の間隔で決まります。間が短ければ入社後にまとめて、1週間を超えるか未定なら退職の時点で先に、と覚えておけば期限を外しません。会社の人事担当者は、社名変更や移転のときの代理届出と、入社時の完了メールの確認を手続表に組み込んでおくと、社員の届出漏れを防げます。
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根拠資料
- 所属(契約)機関に関する届出(出入国在留管理庁)
- 所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A(出入国在留管理庁)
- 出入国在留管理庁電子届出システムポータルサイト(2026年1月5日仕様変更の案内)
- 電子届出システム操作マニュアル 中長期在留者用 第1.01版(出入国在留管理庁、2026年2月27日)
- 届出書参考様式1の7 記載例(契約終了と新たな契約締結)(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法 第19条の16・第71条の2・第71条の5(e-Gov法令検索)
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