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特定技能「木材産業」とは?製材・合板工場で受け入れる要件と試験、林業との違い

特定技能「木材産業」は、製材業や合板製造業などの工場で、木材の加工等に従事する外国人を1号特定技能外国人として受け入れる分野です。受け入れられるのは、日本標準産業分類で製材業・木製品製造業、合板製造業、集成材製造業、建築用木製組立材料製造業、銘木製造業、床板製造業の6つに当たる事業所に限られ、山での伐採は林業分野、家具の製造はこの分野の対象外です。本人は木材産業特定技能1号測定試験と日本語試験(N4以上など)に合格するか、技能実習2号(木材加工職種・機械製材作業)を良好に修了している必要があります。

分野が追加されたのは2024年3月29日の閣議決定で、同年9月30日に分野別の運用要領が公表されました。受入れ見込数4,500人に対し、2026年6月末時点の在留者は74人(速報値)にとどまっており、制度を使った受入れはまだ始まったばかりの段階です。本稿では、出入国在留管理庁・林野庁の公表資料をもとに、受け入れる事業所の範囲、試験、協議会、技能実習・育成就労との関係を順に説明します。

従事できる業務は「製材業、合板製造業等に係る木材の加工等」

木材産業分野の運用方針は、1号特定技能外国人が従事する業務を「製材業、合板製造業等に係る木材の加工等」と定めています。業務区分は1つで、製材、合板・集成材の製造など、木材を加工して製品にする工程の作業がこれに当たります。

運用要領は、この業務に従事する日本人が通常従事している関連業務に付随的に従事することも認めており、例として原木の調達・検査・運搬などを挙げています。フォークリフトでの原木や製品の運搬、製品の検品や出荷の準備は、加工の工程と一体として行う限り関連業務として扱えます。ただし、関連業務だけを専らの担当にすることはできません。

雇用形態は直接雇用に限られ、派遣は認められません。業務区分が1つしかないため、分野内での業務区分の変更という論点は生じませんが、他の分野の業務(たとえば林業での伐採)に従事させることはできません。

受入れ機関になれる事業所|日本標準産業分類の6分類

木材産業分野で特定技能所属機関になれるのは、受け入れる外国人が業務に従事する事業所が、日本標準産業分類の次のいずれかに当たる場合です(運用要領・令和6年9月30日公表)。

分類 名称 主な事業所の例
小分類121 製材業、木製品製造業 製材所、単板(ベニヤ)製造、木材チップ製造
細分類1222 合板製造業 合板工場
細分類1223 集成材製造業 集成材工場
細分類1224 建築用木製組立材料製造業 木造建築用の組立材料の製造
細分類1227 銘木製造業 銘木加工
細分類1228 床板製造業 フローリング工場

この表から読み取れるのは、同じ中分類12(木材・木製品製造業)の中でも、対象に入っていない業種があるという点です。造作材製造業(細分類1221)、パーティクルボード製造業(1225)、繊維板製造業(1226)、木製容器製造業(小分類123)、その他の木製品製造業(小分類129)は、運用要領の列挙に入っていません。事業所がこれらに当たる場合は、木材産業分野では受け入れられないことになります。

判断の単位が会社ではなく事業所である点にも注意が必要です。製材部門と家具部門を持つ会社であれば、外国人が働く工場がどの分類に当たるかで判断します。事業所の分類は、直近の売上の構成などで判断するのが日本標準産業分類の考え方です。複数の製品を作る工場では、どの製品の出荷額が大きいかを整理しておくと、申請時に分類の説明がしやすくなります。

林業・工業製品製造業との線引き

木材に関わる仕事は、特定技能の中で複数の分野にまたがります。どの分野で受け入れるかは、作業の場所と事業所の分類で決まります。

林業分野の業務は「林業(育林、素材生産等)」です。ここでいう素材生産とは、立木を伐採し、枝払い・玉切りをして丸太にし、林道端まで集材する作業を指します。山で木を切って丸太にするまでが林業、丸太を工場で加工するのが木材産業、という線引きです。林業分野の受入れ機関は林業特定技能協議会(農林水産省が設置)の構成員になる必要があり、試験も林業技能測定試験という別の試験です。同じ会社が素材生産と製材の両方を営んでいても、外国人をどちらの業務に就かせるかで分野を決め、その分野の試験に合格した人を受け入れます。製材工場で受け入れた人を、山での伐採作業に回すことはできません。

家具・建具の製造は、日本標準産業分類では中分類13(家具・装備品製造業)で、木材産業分野の対象分類に入っていません。家具工場で外国人を受け入れる場合に、工業製品製造業分野など他の分野の対象になるかどうかは、その分野の対象分類と業務区分で確認する必要があります(公式資料では未確認)。工業製品製造業分野の区分の考え方は特定技能「工業製品製造業」とは?で整理しています。

特定技能の分野全体の中での位置づけは特定技能の分野・職種一覧を参照してください。

本人の要件|測定試験と日本語試験

1号特定技能外国人になるには、次の2つの試験に合格する必要があります。

  • 技能:木材産業特定技能1号測定試験
  • 日本語:国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験(N4以上)

木材産業特定技能1号測定試験の概要

試験を実施するのは一般社団法人全国木材組合連合会です。同会の案内によると、試験の内容は次のとおりです。

項目 内容
方式 CBT方式
試験時間・問題数 60分・全35問(学科32問は真偽法、実技3問)
合格基準 学科・実技の合計得点の65%以上
受験資格 満17歳以上(インドネシア国籍者は18歳以上)。国内受験者は有効な在留資格が必要
受験料 国内4,400円(税込)、インドネシア350,000ルピア
実施地 国内と国外(インドネシア)
合格証明書 受入れ企業との特定技能雇用契約が決まった後、受入れ企業からの申請で交付。交付手数料15,000円(受入れ企業負担)

合格証明書の交付手数料は受入れ企業が負担する仕組みです。試験に合格しただけでは合格証明書が手元に来ないため、在留資格の申請の前に、雇用契約を結んで企業から交付を申請する段取りが必要です。試験日程は全国木材組合連合会の試験ページで公表されます。各分野の試験の全体像は特定技能試験とは?分野別の試験一覧と合格から在留資格申請までの流れで扱っています。

技能実習2号からの移行|機械製材作業のみ免除

木材加工職種・機械製材作業の技能実習2号を良好に修了した人は、測定試験と日本語試験の両方が免除されます。免除の対象は機械製材作業に限られるため、他の職種・作業の技能実習を修了した人は、試験に合格する必要があります。「良好に修了」の判断と、2027年4月以降の変更点は技能実習から特定技能への移行は可能?で解説しています。

木材産業には特定技能2号がありません。1号の通算在留期間は5年が上限で、家族の帯同も原則として認められません。長く働いてもらう道筋を考える場合は、この上限を前提に採用計画を立てることになります。

協議会への加入と提出書類

特定技能所属機関は、農林水産省が設置する協議会の構成員になる必要があります。林野庁のページでは、協議会の名称は「木材産業特定技能・育成就労協議会」と案内されており、外国人材を受け入れる前の入会が必須とされています。在留資格の申請より前に加入を済ませ、申請の際には協議会の構成員であることを示す書類を添付します。加入の手続や必要な期間、費用の有無は、林野庁・協議会事務局の案内で確認してください(公式資料では未確認)。協議会の一般的な仕組みは特定技能の協議会とは?で解説しています。

分野固有の提出書類は、分野参考様式第18-1号の「特定技能外国人の受入れに関する誓約書」と、協議会の構成員であることの証明書です。このほか、全分野に共通する特定技能の申請書類(雇用契約書、報酬に関する説明書、支援計画書など)を揃えます。受入れ機関の基準は令和6年農林水産省告示第1780号で定められています。

製材の現場では、安全衛生の体制も準備の対象になります。丸のこ盤や帯のこ盤などの木材加工用機械を一定台数以上持つ事業場は、労働安全衛生法令に基づき木材加工用機械作業主任者の選任が必要です。林野庁も受入れ事業者向けに安全衛生対策の情報を掲載しています。外国人が機械の危険性を理解できるよう、母国語の教材や表示を用意しておくことが、事故の予防にも定着にもつながります。

受入れ見込数4,500人に対して在留者74人

木材産業分野の運用方針(令和6年)は、就業者数が平成22年の12万3,000人から令和2年の10万3,000人へ16%減ったこと、令和4年度の有効求人倍率が2.80倍で全産業(1.19倍)の約2.5倍だったことを挙げ、令和10年度に5万7,000人程度の人手不足を見込んでいました。当初の受入れ見込数は5年間で最大5,000人でしたが、2026年1月23日の閣議決定で分野別の受入れ見込数が見直され、木材産業は4,500人とされています。受入れ見込数は、分野ごとに在留する外国人の上限として運用されます。

これに対して、出入国在留管理庁の速報値では、2026年6月末時点で木材産業分野の1号特定技能外国人は74人、見込数に対する割合は1.6%です。林業分野も見込数900人に対し19人(2.1%)で、同時期に追加された分野の中でも受入れの立ち上がりが遅い分野です。

筆者は、この数字の背景に、試験の実施地が国内と国外ではインドネシアに限られていることと、技能実習からの免除が機械製材作業に限られていることがあると考えます。受入れを検討する事業所から見ると、国内在住の外国人が試験に合格するのを待つか、機械製材作業の技能実習修了者を採るか、インドネシアで合格した人を呼ぶか、という限られた選択肢になります。

育成就労との関係|2027年4月以降

2027年4月1日に技能実習制度が育成就労制度に移行すると、木材産業分野も育成就労の対象分野になります。林野庁も、特定技能と育成就労の2つの制度を木材産業での外国人材の受入れ制度として案内しています。育成就労で3年間の育成を経て特定技能1号に移る、という道筋ができることで、試験の実施地が限られているという現在の制約は、長い目で見ると緩和される見込みです。育成就労の木材産業分野の本人の転籍制限期間は、分野別運用方針の案では1年とされています(公式資料では未確認)。

よくある質問

木材産業の特定技能はいつからですか?

2024年3月29日の閣議決定で、自動車運送業・鉄道・林業とともに特定技能の対象分野に追加されました。分野別の運用要領は2024年9月30日に公表され、この時点から受入れの手続が可能になっています。

木材産業特定技能1号測定試験はどのような試験ですか?

全国木材組合連合会が実施するCBT方式の試験で、60分・35問(学科32問・実技3問)、合計得点の65%以上で合格です。受験資格は満17歳以上(インドネシア国籍者は18歳以上)で、国内とインドネシアで実施されます。国内の受験料は4,400円です。

製材所で丸太の伐採もさせてよいですか?

できません。立木の伐採や造材などの素材生産は林業分野の業務で、木材産業分野の1号特定技能外国人に行わせることはできません。原木の調達・検査・運搬は、木材の加工に付随する関連業務として認められています。

家具工場で木材産業の特定技能を使えますか?

家具製造業は日本標準産業分類の中分類13に当たり、木材産業分野の対象分類(小分類121、細分類1222・1223・1224・1227・1228)に入っていないため、木材産業分野では受け入れられません。他の分野の対象になるかどうかは、その分野の対象分類で確認してください。

受入れの前に確かめる順番

木材産業分野での受入れは、書類の準備より先に、事業所の分類の確認から始まります。外国人が働く工場が6つの分類のどれに当たるかを確かめ、当たらなければこの分野は使えません。当たる場合は、協議会への加入、候補者の確保(試験合格者か機械製材作業の技能実習修了者か)、合格証明書の交付申請、在留資格の申請、という順番で進めます。

受入れ実績がまだ74人という分野は、審査の運用例も少ないということでもあります。製材と伐採の両方を営む事業者や、造作材・パーティクルボードなど対象外の製品も作る工場のように、線引きが問題になる事業所は、個別の事情で判断が変わるため、申請前に事業所の分類と業務内容を整理したうえで専門家に相談することをお勧めします。

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根拠資料


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