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特定技能バス運転手を雇うには|大型二種免許の取得期間と受入れ事業者の要件

特定技能でバス運転手を雇うには、外国人本人が「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)」と日本語試験(原則JLPT N3)に合格し、来日後に日本の第二種運転免許を取り、バス会社が行う新任運転者研修を修了する必要があります。海外から採用する場合、免許と研修のための在留資格「特定活動」(特定自動車運送業準備)は最長1年で更新できないため、外免切替から大型二種免許、研修、在留資格の変更申請までを1年の中に収める工程管理が、受入れの成否を分けます。

この記事では、運転士不足に悩む地方のバス事業者を想定し、制度の要件を国土交通省の運用方針とQ&Aで確認したうえで、在留資格の空白を生まない申請の段取りを整理します。

バス運転者は2024年3月に特定技能の対象になった

自動車運送業分野は、2024年3月29日の閣議決定で特定技能の対象分野に加わりました。業務区分はトラック・タクシー・バスの3つで、バスの区分の業務は「事業用自動車(バス)の運転、運転に付随する業務」です(運用方針 別紙10)。評価試験は一般財団法人日本海事協会が実施し、2024年12月に始まりました。

報道では、2025年に両備グループのニッコー観光バス(東京)に勤めるインドネシア国籍の社員がバスの評価試験に全国で初めて合格したこと、名鉄バスでインドネシア出身の運転士が単独乗務を始めたこと、北海道の網走バスが同制度で外国人運転手を採用したことなどが伝えられています。制度の使い方としては、まだ先行事例が出始めた段階です。

自動車運送業分野は特定技能1号だけの分野で、2号はありません。国土交通省のQ&Aは2号と育成就労の追加について「現時点では未定」としています。在留できる期間は特定技能1号の通算5年が上限になるため、長く働いてもらいたい場合は、5年後の選択肢(日本人の配偶者等などの身分系の在留資格、他の在留資格への変更)を本人と早めに話しておく必要があります。通算5年の数え方は特定技能1号の5年後はどうなる?で整理しています。

本人に必要な4つの要件

バス運転者として特定技能1号に変更するまでに、本人は次の4つをそろえる必要があります。

要件 内容 そろえる時期
技能試験 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス) 入国前(特定活動の申請前)
日本語 日本語教育の参照枠B1相当以上(JLPT N3以上)。一定の措置を講じればA2.2相当(N4)でも可 入国前
運転免許 日本の第二種運転免許 来日後、特定活動の期間中
研修 新任運転者研修の修了 来日後、特定活動の期間中

評価試験の受験には、試験日に有効な日本または外国の自動車運転免許が必要です。第二種免許である必要はなく、母国で普通免許を持っていれば受験できます。学習用テキストは公益社団法人日本バス協会が用意しています。

日本語の水準は、トラック運転者のN4より一段高いN3が原則です。乗客への案内や車内アナウンス、事故時の対応など、乗客と直接やりとりする業務であることが理由です。国際運転免許証だけでは特定技能外国人として運転業務に従事できず、日本の免許の取得が必須とされています(国土交通省Q&A Q10)。

大型二種か中型二種か|運行する車両で必要な免許が決まる

国土交通省のQ&Aは、バス運転者に必要な免許を「第二種運転免許」とだけ書いています。どの種類の二種免許が必要かは、実際に運転させる車両で決まります。道路交通法の区分では、乗車定員30人以上(または車両総重量11トン以上)のバスは大型二種、乗車定員11人から29人のマイクロバスなどは中型二種が必要です。路線バスや観光バスの大型車に乗務させるなら大型二種、コミュニティバスや送迎用の中型車が中心なら中型二種が目標になります。

第二種免許の受験資格は道路交通法96条が定めていて、原則は21歳以上で、普通免許などの第一種免許を受けていた期間が通算3年以上あることです。2022年5月13日施行の改正により、受験資格特例教習を修了すれば19歳以上・経歴1年以上でも受験できるようになりました。

外国人の採用で問題になるのが、この「通算3年」に海外での運転経歴を含められるかです。国土交通省のQ&A(Q9)は、海外における運転経歴を含めて加算できるとしたうえで、海外での運転経歴がわかる書類が必要で、海外の免許証で経歴を確認できない場合は運転経歴証明書等が必要だとしています。母国の免許証を更新や再発行した結果、交付日が新しい日付になっているケースでは、最初に免許を取った日を別の書類で示す必要があります。面接の段階で、最初の取得日を証明できる書類があるかを確かめておくと、来日後の手戻りを防げます。

また、Q8は、現地で日本と同等の免許を持っていても技能試験の免除などの特例はないとしています。日本の指定自動車教習所で教習を受けるか、外免切替の手続を経て日本の免許を取る必要があります。

特定活動の1年でどこまで進めるか|工程の目安

海外から採用する場合、本人はまず「特定活動」(特定自動車運送業準備)で入国します。出入国在留管理庁と運用方針によると、バス・タクシーの在留期間は最長1年、トラックは6か月で、いずれも更新できません。この期間は特定技能1号の通算5年に算入されません。期間中にできるのは、教習所への通所を含む免許取得の手続、新任運転者研修の受講、それに付随する業務で、乗客を乗せる運送業務はできません。

国土交通省のQ&A(Q6)は、特定活動の期間中に日本の免許を取れなかった場合、特定技能の在留資格は取れず、特定活動の延長もできないとしています。1年の中に次の工程を収める必要があります。

時期の目安 工程 詰まりやすい点
入国〜1か月 住居地の届出、住民票の写しの取得 外免切替に住民票の写しが必要なため、届出が遅れると全体が遅れる
1〜3か月 外免切替で日本の普通免許(第一種)を取得 2025年10月1日から知識確認が50問・正答90%以上に。予約待ちの期間は免許センターによって差がある
3〜7か月 指定自動車教習所の二種課程に通い、大型二種(または中型二種)を取得 教習の日本語、技能教習の予約枠
7〜9か月 新任運転者研修(座学・路上走行・適性診断)を実施し修了 修了判定は業界団体の効果測定の基準による
9〜10か月 特定技能1号への在留資格変更許可申請 在留期限まで最低2か月は残して申請する

この表の月数は、国土交通省の制度概要資料が示す「最大12か月」の工程を、筆者が申請実務の観点から区切ったものです。実際の所要期間は、免許センターの混み具合、教習所の予約状況、本人の習熟度で大きく変わります。

在留資格の空白を生まないために押さえたいのは、変更申請の時期です。特定活動の在留期限までに変更申請をしていれば、入管法20条6項の特例期間により、審査中に期限が過ぎても、処分がされる時か、期限から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、特定活動のまま在留を続けられます。ただし特例期間中の活動はあくまで特定活動の範囲内で、運送業務はできません。在留資格変更許可の標準処理期間は1か月から2か月とされているため、期限の直前に申請すると、許可が出るまで乗務を始められない期間が長くなります。二種免許を取り研修を修了したら、Q7が求めるとおり「速やかに」変更申請を出すのが原則です。

中型二種で先に移行する選択肢

Q7は、バス・タクシーの場合、第二種免許を取り新任運転者研修を修了したら速やかに特定技能1号への変更申請を行うよう求めています。運用方針とQ&A上、変更の要件は「第二種運転免許」で、大型二種に限られていません。1年の中で大型二種まで届きそうにない場合、まず中型二種を取って特定技能1号に移り、マイクロバスや中型車の運行から始め、在留中に大型二種を取り直すという段階的な進め方も考えられます。自社の路線や車両構成で中型車の乗務がどれだけ確保できるかを先に確かめたうえで判断してください。

日本国内にいる外国人を採用する場合

留学生や家族滞在などで日本に住んでいる外国人を採用する場合、Q5は、現在の在留資格から特定技能に切り替える申請を行う前に日本の運転免許を取得しておく必要があるとしています。国内在住者は特定活動を経由せず、今の在留資格のまま免許を取り、要件がそろってから特定技能1号への変更を申請します。新任運転者研修を入社前のどの在留資格で受けられるかは、今の在留資格で認められる活動の範囲によるため、研修を賃金を払う業務として行うなら資格外活動許可の要否を確認しておく必要があります(公式資料では未確認)。

バス事業者に求められる要件

受け入れるバス会社には、特定技能の共通の基準に加えて、分野独自の要件があります(運用方針・運用要領)。

  • 道路運送法に基づく自動車運送事業(バス)を経営していること
  • 一般財団法人日本海事協会の「運転者職場環境良好度認証制度」(働きやすい職場認証制度)の認証を受けていること
  • 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になること
  • 受け入れる外国人に新任運転者研修を実施すること

トラック運送業ではGマーク(安全性優良事業所)で認証の代わりにできますが、バスにはこの選択肢がありません。働きやすい職場認証は申請の受付時期と審査期間があるため、未取得の事業者は採用活動より先に取得の見通しを立てる必要があります。協議会の加入受付は2025年1月17日に始まり、特定活動を含む在留資格の申請までに入会し、事務局の確認に1か月程度かかるとされています。入会金と年会費はかかりません。協議会の一般的な位置づけは特定技能の協議会とは?加入のタイミング・分野ごとの窓口と加入しないリスクで解説しています。

新任運転者研修の中身は、旅客自動車運送事業運輸規則38条・39条の指導監督、38条2項の特別な指導と適性診断などで、日本人の新人運転者に初任時に義務づけられているものと同じ枠組みです。国土交通省のQ&A(Q30)は、座学研修(法令・接遇・地理・安全)、路上走行研修、適性診断の3つで構成されると説明しています。路線バスの場合、系統ごとの停留所名や運賃の案内が地理研修の中心になるため、日本語の読み上げに慣れるまでの時間を研修計画に織り込んでおくと現実的です。

運転免許の取得費用について、Q27は所属機関が負担することが望ましいとし、本人が負担する場合は事前に本人の了承を得る必要があるとしています。大型二種の教習費用は高額になるため、負担の区分と、途中退職した場合の扱いを雇用契約とは別に書面で決めておくことが大切です。ただし、退職時に教習費用の返還を求める約定は、労働基準法16条(賠償予定の禁止)との関係で問題になることがあります。報酬の決め方は特定技能外国人の給料はどう決める?で扱っています。

労働時間は、2024年4月1日施行の改正「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が日本人と同じく適用されます。

N4で採る場合の同乗要員と、離島・半島の乗合バスの特例

2026年1月23日の閣議決定による運用方針の見直しで、バス・タクシーの日本語要件はB1相当が原則のまま、A2.2相当(N4)でも一定の措置を講じれば受け入れられるようになりました。

A2.2相当の外国人に運転業務を行わせる場合、所属機関は、自社に雇用され、乗客対応に必要な指導を受けた者を、乗客や関係機関との意思疎通を補助する要員として同乗させなければなりません(運用方針 第二2(3)⑩)。あわせてB1の修得に向けた日本語学習プランを作ることも求められます。運転士不足を補うための受入れで、もう1人を同乗させる人員が必要になるため、N4での採用は、人員配置の面では負担が残る選択です。

バス運送業にだけ設けられているのが、離島・半島の特例です(同⑪)。離島振興対策実施地域の離島、奄美群島、小笠原諸島、沖縄の離島、または半島振興対策実施地域で運転業務を行わせる場合は、同乗要員の代わりに、その地方公共団体から地域共生に関する文書を受領し、情報通信技術の活用をはじめとした緊急時対応の環境を整備することで足ります。

九州では、長崎県の五島・壱岐・対馬、鹿児島県の奄美群島や甑島など、離島振興対策実施地域が多く、半島振興対策実施地域も各県にあります。路線の維持が課題になっている地域の乗合バス事業者にとっては、N4の人材を同乗要員なしで受け入れられるこの特例は、検討の価値がある仕組みです。自社の運行区域が対象地域に入るかは、離島振興法・半島振興法に基づく指定の範囲で確認してください。

受入れの流れ|海外から採用する場合

海外から採用する場合の順序を、会社側の準備も含めて並べると次のようになります。

  1. 会社が働きやすい職場認証を取得し、協議会に加入する(登録支援機関に委託する場合は、委託先も協議会の構成員か確認)
  2. 候補者が海外で評価試験(バス)と日本語試験に合格する。免許の最初の取得日を証明する書類を確認する
  3. 雇用契約を結び、支援計画を作る
  4. 「特定活動」(特定自動車運送業準備)の在留資格認定証明書を申請し、入国する
  5. 住居地を届け出て、外免切替で普通免許を取る
  6. 指定自動車教習所で大型二種(または中型二種)を取る
  7. 新任運転者研修を実施し、修了させる
  8. 特定技能1号への在留資格変更許可を申請し、許可後に乗務を始める

特定活動の申請の段階で、評価試験と日本語試験の合格、雇用契約、支援計画は特定技能と同じ水準でそろっている必要があります。特定活動の要件と報告義務は特定活動55号とは|特定技能「自動車運送業」の運転免許取得準備と在留期間、同じ分野のタクシーの受入れは特定技能タクシーで運転手を雇うには|第二種免許・N3とN4容認の条件、試験の流れで扱います。

よくある質問

バス運転手は特定技能制度の対象ですか?

対象です。2024年3月29日の閣議決定で自動車運送業分野が加わり、バス運転者はその業務区分の1つです。評価試験(バス)、日本語N3(措置を講じればN4)、日本の第二種免許、新任運転者研修の4つがそろえば、特定技能1号で乗務できます。

バス運転手の特定技能はいつからですか?

分野の追加は2024年3月29日、評価試験の開始は2024年12月、協議会の加入受付は2025年1月17日からです。N4でも措置を講じれば受け入れられるようになったのは、2026年1月23日の運用方針の見直しによります。

バス運転手になるには特定技能が必要ですか?

外国人がバス運転手として働く在留資格は特定技能に限られません。永住者や日本人の配偶者等、定住者など就労制限のない在留資格を持つ人は、日本の二種免許を取れば在留資格の手続なしで乗務できます。就労制限のある在留資格の人が運転業務に就く場合に、特定技能1号が必要になります。

特定活動の1年で大型二種が取れなかったらどうなりますか?

特定技能への変更も特定活動の延長もできず、帰国することになります(国土交通省Q&A Q6)。中型二種を取っていれば、それで特定技能1号へ変更する道は残ります。どちらも取れない場合に備え、入国後の早い時期に外免切替を終えられるよう、住居と住民登録の準備を入国前に進めておくことが大切です。

外国での運転経歴は二種免許の受験資格に数えられますか?

数えられます。国土交通省のQ&A(Q9)は、海外での運転経歴を含めて加算できるとしています。ただし経歴がわかる書類が必要で、免許証で確認できないときは運転経歴証明書等を用意します。

採用前に決めるべきは「どの車両に乗せるか」と「どの日本語水準で採るか」

特定技能のバス運転手の受入れは、制度の要件そのものより、1年の特定活動で免許と研修を終えられるかという工程の問題です。工程を決めるのは、どの車両に乗せるか(大型二種か中型二種か)と、どの日本語水準で採るか(N3か、N4で同乗要員や離島・半島の特例を使うか)の2つです。前者は教習の期間を、後者は研修の期間と運行時の人員配置を左右します。

採用の検討を始めるバス事業者は、働きやすい職場認証の取得状況、自社の車両構成、運行区域が離島・半島の対象地域に入るかの3点を先に確認してください。個別の事情で判断が変わる部分もあるため、在留資格の申請時期は、免許の取得見込みが立った段階で専門家と調整することをおすすめします。

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根拠資料


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