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特定技能の受入れ人数に上限はある?介護・建設の枠と分野別の受入れ見込数

特定技能の受入れ人数に、会社ごとの上限があるのは介護分野と建設分野だけで、それ以外の分野では1社が何人受け入れても人数による制限はありません。ただし、分野ごとに閣議決定された「受入れ見込数」が国全体の上限として運用されており、在留者数がこれに近づくと、その分野では会社の規模や実績に関係なく新規の受入れが止まります。2026年4月13日に外食業分野で実際に起きたのがこの停止で、2026年6月末時点の外食業の充足率は98.1%に達しています。

特定技能の人数には「会社の枠」と「国の枠」の2種類がある

特定技能の人数を考えるときは、性質の違う2つの上限を分けて考える必要があります。

1つ目は、会社(受入れ機関)単位の人数枠です。技能実習や育成就労には、常勤職員の数に応じて受け入れられる人数が決まる仕組みがありますが、特定技能1号には、原則としてこの種の枠がありません。例外が介護分野と建設分野で、それぞれの分野別運用方針が、事業所または会社の常勤職員数を上限とする条件を置いています。

2つ目は、分野全体の上限です。ここでいう受入れ見込数とは、分野ごとに、人手不足の見込みから生産性向上と国内人材確保で埋まる分を差し引いて算出した、今後5年間に受け入れる1号特定技能外国人の最大値を指します。2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針は、この受入れ見込数を「受入れの上限として運用する」と明記しました。

整理すると、次のようになります。

上限の種類 対象 根拠 超えたときの扱い
会社単位の枠 介護(事業所単位)・建設(会社単位)のみ 各分野の分野別運用方針・告示 その会社の申請が基準不適合になる
分野全体の受入れ見込数 全19分野の1号特定技能外国人 分野別運用方針(2026年1月23日閣議決定)、入管法7条の2第3項・第4項 分野全体で在留資格認定証明書の交付が止まる

会社単位の枠は、自社の努力(常勤職員を増やす、など)で調整できる上限です。分野全体の上限は、自社の状況と関係なく、他社の受入れが進んだ結果として止まる上限です。人事計画を立てるうえでは、2つ目のほうが読みにくく、影響も大きいと筆者は考えます。

介護分野の人数枠|事業所ごとに「日本人等の常勤介護職員」の数まで

介護分野では、1号特定技能外国人の人数が、事業所単位で「日本人等の常勤介護職員の総数」を超えてはならないとされています。2026年1月23日の介護分野の分野別運用方針も、この条件をそのまま引き継いでいます。

ここで問題になるのが「日本人等」の範囲です。運用要領(介護分野の基準、2025年4月21日一部改正)は、日本人のほかに次の外国人を含むとしています。

  • 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
  • 在留資格「介護」で在留する人
  • 永住者や日本人の配偶者など、身分・地位に基づく在留資格で在留する人(特別永住者を含む)

一方で、技能実習生、EPA介護福祉士候補者、留学生は日本人等に含まれません。また、算定の基礎になる介護職員は「介護等を主たる業務として行う常勤職員」に限られ、施設の事務職員、就労支援を行う職員、看護業務を行う看護師・准看護師は数えません。医療機関の看護補助者は数に含まれます。

たとえば、日本人の常勤介護職員が8名、在留資格「介護」の職員が2名、技能実習生が3名いる特別養護老人ホームであれば、日本人等の常勤介護職員は10名です。この事業所で受け入れられる1号特定技能外国人は10名までで、技能実習生の3名は上限の計算に影響しません。

枠は法人単位ではなく事業所単位で数える点に注意してください。同じ法人の別の事業所に日本人職員が多くいても、その人数を合算することはできません。介護分野の受入れ要件全体は特定技能「介護」とは?で解説しています。

建設分野の人数枠|会社の常勤職員の数まで、ただし例外が新設

建設分野では、1号特定技能外国人の数が、受入れ会社の常勤の職員の総数を超えてはならないとされています。2026年1月23日の建設分野の分野別運用方針は、常勤の職員から「外国人技能実習生、育成就労外国人及び1号特定技能外国人」を除くと定めました。育成就労外国人が除外対象に加わったのは、2027年4月の育成就労制度の開始に備えたものです。

たとえば、日本人の常勤職員が6名、技能実習生が4名いる工務店であれば、上限の基礎になる常勤職員は6名で、1号特定技能外国人は6名まで受け入れられます。1号特定技能外国人自身も常勤職員には数えないため、特定技能外国人を増やしても上限は増えません。

同じ運用方針には、新しい例外も書かれています。「優良な育成就労実施者たる特定技能所属機関はこの限りでない」という但し書きで、育成就労制度で優良と認められた会社は、建設分野の1号の人数枠が外れることになります。優良認定の基準は育成就労制度の主務省令で定められ、制度開始は2027年4月です。どの時点から、どのような手続でこの例外が使えるかの詳細は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。

なお、建設分野の人数枠は1号だけにかかる条件で、特定技能2号には会社単位の枠がありません。建設分野の受入れ計画の認定や、受入れ団体への加入などの要件は特定技能「建設」とは?でまとめています。

分野別の受入れ見込数|2026年6月末で充足率52.9%

2026年1月23日の閣議決定で、特定技能1号の受入れ見込数は分野ごとに再設定されました。対象期間は令和6年度から令和10年度まで(2029年3月末まで)の5年間で、合計は805,700人です。2024年3月に設定された820,000人からは、分野によって増減があります。

出入国在留管理庁が公表した「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年6月末時点・速報値)」から、主な分野を抜き出すと次のとおりです。

分野 受入れ見込数 在留者数(2026年6月末) 充足率 年間増加数
外食業 50,000 49,060 98.1% 13,289
飲食料品製造業 133,500 100,769 75.5% 16,698
建設 76,000 52,132 68.6% 8,533
介護 126,900 79,884 63.0% 24,968
農業 73,300 44,050 60.1% 9,115
自動車整備 9,400 5,235 55.7% 1,488
造船・舶用工業 23,400 11,641 49.7% 996
ビルクリーニング 32,200 10,171 31.6% 2,753
工業製品製造業 199,500 62,033 31.1% 10,970
宿泊 14,800 2,556 17.3% 1,291
合計(19分野) 805,700 425,961 52.9% 92,838

年間増加数は、2025年6月末と2026年6月末の在留者数の差です。この表から読み取れるのは、全体の充足率がまだ5割強でも、分野によって残り枠が大きく違うということです。

単純な試算ですが、飲食料品製造業は残り約32,700人に対して年間増加が約16,700人で、このペースが続けば2年ほどで上限に届きます。建設は残り約23,900人・年間約8,500人で約2.8年、介護は残り約47,000人・年間約25,000人で約1.9年です。期限の2029年3月末までに上限に届く計算になる分野が、外食業以外にも複数あることになります。もちろん、今後の採用ペースや見込数の見直しで結果は変わるため、これは受入れ停止の予告ではなく、残り枠の大きさを比べるための目安です。

在留者数全体では、2025年12月末で390,296人(1号382,341人、2号7,955人)と過去最高を更新しており、2026年6月末の1号在留者数は425,961人です。分野ごとの業務内容や新しく追加された分野は特定技能の分野・職種一覧で確認できます。

受入れ見込数を超えるとどうなるか|外食業分野で起きたこと

受入れ見込数を超えそうになったときの手続は、入管法に書かれています。入管法7条の2第3項は、分野を所管する大臣が、必要な人材が確保されたと認めるときは、法務大臣に在留資格認定証明書の交付の停止を求めるものとし、同条第4項は、求めを受けた法務大臣が一時的に交付を停止するものとしています。

外食業分野では、この手続が次の順で進みました。

  • 2026年3月27日:出入国在留管理庁が「受入れ上限の運用について」を公表。2月末の在留者数が約4万6千人(速報値)で、5月ごろに受入れ見込数5万人を超える見込みと説明
  • 2026年4月3日:農林水産大臣が法務大臣に交付停止を要請
  • 2026年4月13日:在留資格認定証明書の交付の一時停止を開始

停止の対象は、海外から呼ぶ在留資格認定証明書だけではありません。3月27日の対応方針では、国内にいる外国人が他の在留資格から外食業の特定技能1号に変更する申請も、4月13日以降の受理分は原則として不許可とされました。例外として審査が続くのは、外食業分野の特定技能1号で働いている人の転職に伴う変更申請、技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了した人の移行、すでに外食業分野の特定活動(特定技能1号移行準備)の許可を受けている人の移行です。在留期間の更新は通常どおり審査されます。

2026年9月10日掲載の審査状況によると、在留資格認定証明書は受付日が2026年1月31日までの申請まで順次交付が進んでいる段階で、4月13日以降に他の在留資格から出された変更申請は原則不許可のままです。留学生を卒業後に外食業の特定技能で採用する、という計画を立てていた飲食店にとっては、採用ルートそのものが閉じたことになります。

ここで重要なのは、停止の判断が個々の会社の状況と無関係に行われたという論点です。協議会に加入し、支援体制を整え、内定まで出していた会社も、受付日が4月13日以降であれば同じ扱いになりました。外食業分野の停止後の対応は特定技能「外食業」の新規受入れ停止で詳しく扱っています。

受入れ停止のリスクがある分野で企業が今できること

外食業の経緯から学べるのは、停止の予兆が公表資料の数字にあらかじめ表れていたという点です。3月27日の公表から4月13日の停止までは約2週間半しかありませんでしたが、2025年12月末の時点で外食業の在留者数は43,869人、見込数の約88%に達していました。

充足率の高い分野で受入れを予定している会社は、次の点を検討する価値があります。

第一に、申請の時期を前倒しすることです。外食業では、停止前に受理された申請は受入れ見込数の範囲内で順次処理されています。受付日が基準になる以上、採用が決まった人の申請を遅らせる理由はありません。

第二に、採用ルートを複線化することです。外食業の例外が「分野内の転職」だったように、停止後も、すでにその分野の特定技能1号で在留している人の転職は受け付けられています。海外や留学生からの新規採用だけに頼らず、分野内の転職者を採用する経路を持っておくと、停止の影響を受けにくくなります。

第三に、2号への移行を計画に入れることです。受入れ見込数は「1号特定技能外国人」の上限で、特定技能2号には受入れ見込数が設定されていません。2号の対象分野であれば、1号で在留している人材が2号に移行することで、1号の枠を空けながら人材を確保し続けることができます。1号と2号の違いは特定技能1号と2号の違いとは?で比較しています。

第四に、公表資料を定期的に確認することです。出入国在留管理庁は半年ごとに在留者数を公表しており、分野を所管する省庁は在留者数の推移を見て停止の要否を判断します。自社の分野の充足率を半年ごとに確認するだけでも、次の採用計画の立て方が変わります。

受入れ停止の対象や時期は所管省庁の判断によるため、個別の事情で判断が変わる部分があります。充足率の高い分野で採用を予定している場合は、申請のスケジュールを含めて早めに相談してください。

よくある質問

特定技能外国人の受け入れ人数に制限はありますか?

会社単位の人数制限があるのは、介護分野(事業所ごとに日本人等の常勤介護職員の総数まで)と建設分野(会社の常勤職員の総数まで)だけです。その他の分野には会社単位の制限はありません。ただし、どの分野にも国全体の受入れ見込数があり、在留者数が上限に近づくと分野全体で新規の受入れが止まります。

特定技能の上限人数は何人ですか?

2026年1月23日の閣議決定で、特定技能1号の受入れ見込数は19分野の合計で805,700人とされました。期間は2029年3月末までの5年間です。最も大きいのは工業製品製造業の199,500人、次いで飲食料品製造業の133,500人、介護の126,900人です。

特定技能2号は受け入れ人数の上限を設定しないのはなぜですか?

分野別運用方針が上限として運用すると定めている受入れ見込数は、1号特定技能外国人についての数字です。2号に人数の上限を置かない理由を分野別運用方針は説明していませんが、2号は1号の修了者が試験などを経て移行する在留資格であり、1号の段階で人数を管理すれば足りるという設計だと筆者は理解しています。建設分野の会社単位の人数枠も1号だけにかかる条件です。

特定技能の介護分野で受け入れ可能な人数は?

事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数が上限です。日本人等には、在留資格「介護」の職員、介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士、永住者や日本人の配偶者などが含まれ、技能実習生・EPA介護福祉士候補者・留学生は含まれません。事務職員や看護師は常勤介護職員に数えません。

技能実習生と特定技能外国人の人数枠は合算されますか?

特定技能1号には、技能実習の人数枠のような常勤職員数に応じた段階別の枠はなく、技能実習生の人数が特定技能の枠を減らすこともありません。介護分野では技能実習生は日本人等に含まれず、建設分野でも技能実習生は常勤職員から除かれるため、上限の基礎になる人数を増やす効果もありません。技能実習の人数枠は技能実習生の受け入れ人数枠|常勤職員数別の早見表と優良認定・介護・建設の特例で扱っています。

人数の上限は「会社の事情」より「分野の残り枠」で決まる時代に

特定技能の制度が始まった2019年当時、人数の議論は「1社で何人まで受け入れられるか」が中心でした。2026年の外食業分野の停止で、議論の軸は「分野の枠があとどれだけ残っているか」に移ったと筆者は見ています。

会社単位の枠は、介護と建設の会社が自社の職員構成を確認すれば済みます。分野全体の枠は、他社の採用の動きで決まるため、自社だけでは管理できません。だからこそ、採用計画には「充足率が8割を超えたら新規採用の申請を前倒しする」「分野内の転職者と2号移行を組み合わせる」といった判断の基準を先に決めておくことが役に立ちます。2029年3月末までの残り期間を考えると、充足率の高い分野では、2026年度中の申請が一つの目安になります。

根拠資料


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