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特定技能「外食業」の新規受入れ停止|2026年4月13日以降に飲食店が取るべき対応を解説

入管ビザ手続きガイド > 特定技能

執筆:保利一晶(行政書士・保利国際法務事務所 代表)|福岡出入国在留管理局 申請取次資格保有(取次(福)行17第26号)

本記事は出入国在留管理庁の発表(2026年4月13日付「特定技能『外食業分野』における在留資格認定証明書交付の一時停止措置について」)を確認した上で執筆していますが、運用の細部については二次情報を含みます。制度の運用は今後も更新される可能性があるため、最新の取扱いは必ず出入国在留管理庁の公式発表または当事務所へご確認ください。

特定技能「外食業」の新規受入れは、2026年4月13日付で停止されました。同日以降に受理された在留資格認定証明書交付申請は原則不交付となり、飲食店が現場スタッフを新たに特定技能で採用する道は事実上なくなりました。今働いている人材への影響はありませんが、これから採用する予定だった店舗にとっては、代替の採用ルートを今すぐ組み立て直す必要があります。

なぜ止まったのか

出入国在留管理庁が公表した「特定技能『外食業分野』における在留資格認定証明書交付の一時停止措置について」が、今回の根拠になっている資料です。内容は、2026年4月13日以降に受理された同分野の交付申請は不交付とする、というものです。

直接のきっかけは、農林水産大臣が法務大臣に対して、入管法第7条の2に基づく停止措置を要請したことです。要請の理由は、受入れ見込数、つまり分野ごとに決められている受入れの上限を、実際の受入れ数が超えてしまったことにあります。2026年3月27日付の「特定技能『外食分野』における受入れ上限の運用について」、そして4月22日に追加された「受入れ見込数の上限超過への対応」。この2つの資料が経緯を裏付けています。

整理すると、外食業は特定技能の中でも人気が高く、多くの飲食店が採用を進めた結果、国が事前に設定していた枠を超えたということです。制度上、超過を放置するわけにはいかないため、新規受入れを止めるという判断が下されました。

そもそも「受入れ見込数」とは何か

特定技能制度には、分野ごとに「今後5年でどれくらい受け入れる見込みか」という数字が設定されています。この数字は、業界団体が示した人手不足の実態や、生産性向上・国内人材確保への取り組みを踏まえて決まったもので、無制限に受け入れられる制度ではありません。枠のある制度、というのが実態です。

外食業では、この見込数に対して実際の伸びが想定を大きく上回りました。人手不足という理由だけで制度の中身を深く理解しないまま採用に踏み切った店舗が多く、業界全体の受入れペースが加速し過ぎたことが背景にあります。特定の一店舗が突出したという話ではなく、業界全体の積み上げが上限超過という結果を招いたという点は押さえておく必要があります。

上限を超えたからといって、その瞬間に全部の申請が自動的に止まるわけではありません。今回は農林水産大臣から法務大臣への要請という行政手続きを経て、停止措置が発動されました。この構造は他の特定技能分野でも理論上は起こり得ます。外食業以外の分野で受入れを検討している企業にも無関係な話ではありません。

影響を受ける範囲は企業規模を問いません。多店舗展開するチェーンだけでなく、1〜2名の採用を検討していた個人経営の飲食店も、同じく新規申請の対象外になります。むしろ計画の立て直しが利きにくい個人店のほうが、影響は相対的に大きく出やすくなります。一人の人手を確保できるかどうかが、経営に直結するからです。

時期 出来事
2026年3月27日 「特定技能『外食分野』における受入れ上限の運用について」が公表される
2026年4月13日 在留資格認定証明書交付の一時停止措置が発表・適用開始
2026年4月22日 「受入れ見込数の上限超過への対応」が追加公表される

既存受入れ企業への影響を検証する|今いる人材は働き続けられるのか

現場が最も知りたいのはこの点です。結論は、すでに特定技能「外食業」で働いている人材が、在留期間中に急に働けなくなることはありません。今回の措置が対象にしているのは「新規」の交付申請、つまりこれから海外から呼び寄せる、あるいは国内で他の在留資格から新たに切り替える、という申請だけです。

ただし油断は禁物です。国内での在留資格変更許可申請も大きく制限される運用になっており、転職者を新たに特定技能「外食業」として受け入れることも難しくなっている可能性が高い状況です。在留期間更新時の扱いについても、これまでと全く同じ運用が続く保証はどこにもありません。ここは続報を見ながら判断する必要があります。

実務上どう扱われそうか、表に整理すると次のようになります。

ケース 現時点で想定される扱い
既存の特定技能外食業スタッフの在留継続 在留期間中は就労継続が可能
在留期間更新 個別確認が必要。最新運用の確認が不可欠
海外からの新規呼び寄せ 在留資格認定証明書は原則不交付
他分野・他在留資格からの転職受入れ 変更許可申請が大きく制限される運用

現場で最も避けたいのは、正確な情報より先に噂が広がることです。「もう働けなくなるらしい」という話が先行し、本人が不安になって離職してしまう。これが最も避けたい展開です。会社としてやるべきことは、今分かっている事実だけを正確に伝え、更新時期が近づいたら早めに専門家に相談することです。この段取りを組んでおくだけで、無用な混乱をかなり防げます。

見落とされがちな「移行組」への打撃

今回の停止措置で見落とされがちなのが、技能実習からの移行を予定していた企業への影響です。外食業は技能実習の対象職種ではありません。そのため、他分野(たとえば飲食料品製造業)で技能実習を修了した人材を、特定技能「外食業」に移行させて店舗に配置する計画を立てていた企業が一定数存在します。この移行申請は国内での在留資格変更許可申請にあたるため、大きく制限される運用の対象に含まれる可能性が高くなっています。

「技能実習が終わるタイミングに合わせて、外食業の現場へ配置転換すればいい」という計画を立てていた企業ほど、今回の影響を強く受けます。要件次第で認められる余地がゼロだと言い切ることはできませんが、少なくとも従来のように機械的に進められる話ではなくなりました。次の点は社内で早急に確認しておく必要があります。

  • 技能実習の実習期間終了予定日と、その後の配置転換計画がいつなのか
  • 移行予定だった人材が、他の在留資格(技人国、特定活動46号等)の要件を満たせるか
  • 移行が実現しなかった場合、実習期間終了後の在留資格をどうするか(本人の帰国・他分野への転職を含めて)
  • 本人への説明を、いつ、誰が、どこまでの情報で行うか

これを放置したまま実習期間の終了日を迎えると、本人の在留資格が宙に浮くリスクが生じます。本人にも生活があり、会社側の都合だけで振り回してよい話ではありません。移行を予定していた人材がいる企業ほど、計画の見直しに早急に着手する必要があります。

現場が今すぐ取れる代替策を検証する

現場のホールスタッフや調理補助を、特定技能でこれから採用するのは難しくなりました。だからといって、外国人材の活用そのものを諦める理由にはなりません。選ぶ在留資格やポジションを変えれば、まだ打てる手は残っています。

選択肢1:技術・人文知識・国際業務での管理職・企画職採用

店舗運営の企画、多言語対応のマーケティング、店舗マネジメント。こうした職務であれば、技術・人文知識・国際業務(技人国)での採用が視野に入ります。ただし技人国は現場のホール業務そのものを主体とする在留資格ではありません。管理・企画・専門知識を活かす業務が中心である必要があります。ここを混同して申請すると、現場作業が主体だと判断されて不許可になるため注意が必要です。留学から技術・人文知識・国際業務への在留資格変更ガイド

選択肢2:特定活動46号の対象者の採用

日本の大学や大学院を卒業し、日本語能力が一定水準にある留学生を対象とした、特定活動46号という枠組みがあります。飲食業の現場を含む幅広い業務に従事できる制度で、対象者の要件を満たせば、外食の現場業務でも一定の外国人材確保が可能になります。ただし対象となる人材自体が限られるため、採用競争は自然と激しくなります。

技人国管理職採用と特定活動46号、どちらを取るべきか

この2つの選択肢は性格がまったく異なります。優劣で語るものではなく、自社の店舗状況と採用したい人材のタイプに応じて使い分けるものです。表に整理すると次のとおりです。

比較項目 技人国(管理職・企画職採用) 特定活動46号
従事できる業務 管理・企画・専門知識を活かす業務が中心。現場作業のみは不可 飲食業の現場業務を含む幅広い業務が可能
対象となる人材 専攻や職歴と業務の関連性が説明できる人材 日本の大学・大学院卒業、かつ一定水準の日本語能力を持つ人材
採用競争の激しさ 比較的採用しやすいが、業務内容が現場中心だと不許可リスクが高い 対象者自体が限られるため、採用競争は激しい
在留期間の上限 明確な通算上限なし(更新可能) 制度上の在留期間の定めに従う
申請のハードル 管理職・企画職としての実態の立証が必要 学歴・日本語能力要件の充足確認が中心
向いている企業 多店舗展開しており、管理・企画のポジションを用意できる企業 現場人材が欲しいが、対象要件を満たす候補者と縁がある企業

両方を同時並行で検討する動きも出てきています。管理職候補は技人国、現場のホールスタッフ候補は特定活動46号というように、人材のタイプごとに使い分ける企業が増えているのが実際のところです。どちらの在留資格も、要件が曖昧なまま申請すると不許可リスクが高まります。実態と書類の内容が一致しているか、事前に精査しておく必要があります。

選択肢3:他分野からの人材確保や既存人材の定着強化

外食業以外の特定技能分野、たとえば製造業や介護分野で受入れを行っている企業なら、そちらの枠組みを活用する方法もあります。業種が違えば業務内容も変わるため、単純な置き換えはできません。むしろ現実的な一手は、今いる特定技能人材や技能実習出身者の定着率を上げることに投資を振り向けることです。新規採用が難しい局面では、離職を防ぐ工夫のほうが費用対効果は高くなります。

代替ルート選定の落とし穴|当事務所の対応記録から

代替ルートを検討する際、避けるべきなのが「とりあえず別の在留資格に当てはめる」という発想です。技人国であれば管理職の実態が求められます。特定活動46号であれば対象者の学歴・日本語能力の要件があります。要件を満たさないまま書類だけを整えて申請すれば、不許可になるだけでなく、その後の申請にも悪影響が残ります。

当事務所が扱った案件で、次のようなケースがありました。技能実習で来日していた方が、実習終了後すぐに帰国できない事情を抱え、いったん特定活動で在留を継続したあと、技術・人文知識・国際業務への変更を申請しましたが、一度不許可になりました。理由を突き詰めると、業務内容の説明と本人のキャリアの結びつきが弱く、専門性が正しく伝わっていなかったことにありました。

そこで業務内容説明書を一から組み立て直し、本人が実習中に担当した業務の専門性を具体的に言語化して、入管とのやりとりを重ねました。都合の悪い経緯も含めて事実を隠さず示す方針を取ったところ、最終的に技術・人文知識・国際業務への変更許可が下りました。※上記は当事務所で取り扱った実際の相談内容をもとにしていますが、個別の状況により結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。

特定技能外食業の代替ルートを検討する場面でも、構図は同じです。技人国や特定活動46号に当てはめようとするとき、実態と書類の内容にずれがないか、専門性や管理職としての実態をきちんと言語化できているか。ここを丁寧に詰めることが、結果的に最も確実な対策になります。在留資格変更 不許可事例と対策

再開はあるのか、今後の焦点

今回の停止措置は、受入れ見込数の上限超過が理由とされています。制度上、上限の運用や見直しが行われれば、将来的に新規受入れが再開される可能性はゼロではありません。いつ再開されるか、あるいは再開されずに別の枠組みへ移行するのか。現時点で確定的なことは何も公表されていません。

飲食店側にとって、「停止が解除されるまで待つ」という受け身の姿勢だけでは採用計画が立ちません。技人国での管理職採用や特定活動46号といった選択肢を並行して検討しつつ、既存人材の定着に力を入れる。この両輪で動くことが、現実的な対応になります。特定技能とは|制度の全体像を解説技能実習から特定技能・技人国への切替ガイド

続報を追う体制を社内に作る

この種の制度変更は、公式発表が段階的に追加されていきます。4月13日の発表だけを見て止まっていると、その後4月22日に追加された「受入れ見込数の上限超過への対応」のような、実務上重要な続報を見落とすことになります。出入国在留管理庁の公表資料は、定期的に確認する体制を整えておく必要があります。

社内での運用ルールとして決めておくべきことは、次の3点です。誰が公式情報の確認を担当するか。既存の特定技能人材への説明を誰がいつ行うか。代替ルートの検討をどのタイミングで経営判断に上げるか。この3点が曖昧なまま現場任せになると、噂ベースの対応が広がり、かえって混乱を招きます。社内だけで判断がつかない部分は、専門家に確認しながら進めることが安全策になります。

他の分野は大丈夫なのか|波及リスクを点検する

今回の停止は外食業単独の出来事ではありません。特定技能制度そのものが抱える構造的なリスクを浮き彫りにした出来事と見るほうが実態に近いといえます。受入れ見込数という上限を各分野に設定する仕組みは、外食業だけでなく、宿泊業、製造業、農業、介護など、特定技能の対象となる全16分野に共通する制度設計です。人気が集中する分野ほど、同様の事態が起きる可能性は理論上排除できません。

特に、外食業と業務内容が近い宿泊業や、外国人材の応募が集中しやすい製造業分野は、受入れペースを注視しておく必要があります。分野ごとの受入れ状況は出入国在留管理庁や各分野の所管省庁から公表されており、企業側が能動的に確認できる情報です。採用計画の初期段階で、検討している分野の直近の受入れ実績を確認しておくことは、今後リスク管理の一環として求められるようになると考えられます。

取材ベースで見えてくるのは、今回の外食業の停止が「対岸の火事」では済まされないという受け止めが、他分野の受入れ企業の間にも広がっている点です。人手不足が深刻で、受入れが急拡大している分野ほど、同様の上限超過リスクを抱えています。採用計画を長期で組む企業ほど、複数の在留資格を並行して検討し、単一のルートに依存しない体制を作っておく必要性が高まっています。

飲食店が今日からできる3つのアクション

ここまでの話を、飲食店経営者・採用担当者が今日から着手できる具体的なアクションに落とし込むと、次の3つになります。

  • 採用予定人材のリストアップと影響確認――現在採用を進めている、または予定している外国人材について、特定技能「外食業」の新規受入れに該当するかを一件ずつ確認する。該当する場合は、代替ルートへの切り替えを速やかに検討する。
  • 既存人材への正確な情報共有――「もう働けなくなる」といった誤った情報が現場で広がらないよう、事実関係を整理した文書を用意し、必要に応じて本人にも説明する機会を設ける。
  • 代替ルートの比較検討の着手――技人国での管理職採用、特定活動46号の対象者採用、他分野からの人材確保など、複数の選択肢を同時に比較検討するプロジェクトを社内で立ち上げる。

この3点は、いずれも今日中に着手できることです。制度の停止という既成事実に対して受け身で構えるのではなく、手元でできることから動くことが、次の採用機会を逃さないための現実的な対応になります。

よくある質問(FAQ)

Q. 特定技能「外食業」はいつから新規受入れが停止しましたか。

A. 2026年4月13日です。この日以降に受理された在留資格認定証明書交付申請は不交付とする運用がとられています。国内での在留資格変更許可申請も大きく制限されています。

Q. すでに雇っている特定技能「外食業」の人材は帰国させないといけませんか。

A. いいえ。既存の在留資格をすぐに失うわけではなく、在留期間中は引き続き就労できます。ただし更新時の扱いや転職時の扱いは個別確認が必要です。運用は今後変わり得るため、更新のタイミングが近い場合は早めに専門家に相談してください。

Q. 外食業で新しく人材を採用したい場合、今すぐ取れる手段はありますか。

A. 現場スタッフとしての特定技能新規受入れは難しくなりましたが、選択肢自体は複数残っています。管理職・店舗運営の企画といったポジションなら技術・人文知識・国際業務での採用、特定活動46号の対象者の採用、他の特定技能分野からの人材確保。ポジションの見直しが鍵になります。

Q. この停止措置はいつまで続きますか。

A. 受入れ見込数の上限超過が理由なので、上限の調整や制度の見直しが行われれば再開される可能性はあります。ただし再開時期が公式に明言されているわけではありません。二次情報を含め、継続的な確認が必要な状況が続いています。

Q. 技能実習からの移行を予定していた人材がいますが、どうすればいいですか。

A. まず実習期間の終了予定日を確認してください。そのうえで、外食業への移行申請が受理されない前提で計画を組み直す必要があります。技人国や特定活動46号の要件を満たせるか、他の分野への転職が可能か。本人と早めに情報を共有しながら選択肢を整理してください。放置すれば、実習終了後の在留資格が宙に浮くリスクがあります。

Q. 受入れ見込数の上限は、他の特定技能分野でも超過する可能性がありますか。

A. 制度上は同じ仕組みが他の分野にも適用されているため、理論上は起こり得ます。ただし進捗状況は分野ごとに異なるため、必ず外食業と同じことが起きるとは限りません。検討している分野の最新の受入れ状況は、随時確認しておく必要があります。

Q. 技人国での管理職採用と特定活動46号、どちらを優先して検討すべきですか。

A. 自社にどんな人材候補がいるか、どんな管理・企画のポジションを用意できるかによって決まります。管理職・企画職としての実態を用意できるなら技人国、対象要件を満たす候補者との縁があるなら特定活動46号です。両方を並行して検討している企業も少なくありません。

外食業の特定技能が止まったからといって、外国人材の活用そのものが止まるわけではありません。ポジションの見直しと、要件に合った在留資格の選び方さえ間違えなければ、打てる手はまだ残っています。要件を満たしていないと分かっていながら「とりあえず出してみる」申請は、不許可の記録だけを積み上げ、次の申請にも影を落とします。代替ルートを検討する段階で一度、専門家の目を通しておくことをおすすめします。

保利国際法務事務所|代表 保利一晶(行政書士)|福岡県行政書士会 第16402476号|福岡出入国在留管理局 取次(福)行17第26号|〒815-0037 福岡県福岡市南区玉川町13-3(西鉄高宮駅徒歩5分)