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特定活動から特定技能へ|移行準備の特定活動(6か月・就労可)の要件と試験未合格時の扱い

特定技能1号への移行準備のための「特定活動」は、技能試験と日本語試験(または技能実習2号の良好修了による免除)をすでに満たしていて、在留期限までに特定技能1号の申請書類を揃えられない人が、受入れ予定の会社で同じ仕事をしながら準備期間を得るための在留資格です。在留期間は「6月」(2024年1月9日以降の申請。それ以前は「4月」)で、更新はやむを得ない事情がある場合に1回限りです。試験に合格していない人はこの特定活動の対象にならない、という点が最初の分かれ目になります。

特定活動から特定技能へ移る2つのルート

「特定活動」と「特定技能」は名前が似ていますが、別の在留資格です。特定技能は分野と技能水準が法律で決まった就労資格で、特定活動は法務大臣が個々の外国人について活動を指定する在留資格です。両者の違いそのものは特定活動と特定技能の違い|名前が似た2つの在留資格の就労範囲と見分け方で整理しており、ここでは特定技能への移行に使う特定活動に絞ります。

出入国在留管理庁は「特定技能関係の特定活動」として、次の4つを案内しています。

名称 主な対象者 在留期間 通算在留期間への算入
特定技能1号準備 試験に合格済みで、在留期限までに特定技能1号の申請が困難な人 6月(更新はやむを得ない場合に1回限り) 含まれる
特定技能2号準備 2号の試験・実務要件を満たし、在留期限までに2号の申請が困難な人 6月(更新は原則不可、やむを得ない場合に1回限り) ―
就労継続支援 やむを得ない事情で技能実習・就労・進学後の就職が続けられなくなり、試験に未合格の人 1年(一定の場合に2回まで更新可) (公式資料では未確認)
特定自動車運送業準備 自動車運送業分野で日本の運転免許を取得する人 トラック6月、タクシー・バス1年(更新不可) 含まれない

この記事の主題は1つ目の「特定技能1号準備」です。企業の人事担当者が最もよく使うのもこの類型で、技能実習2号の修了時や留学生の卒業時に、特定技能1号の書類が在留期限に間に合わないときの受け皿になります。

移行準備の特定活動の要件

出入国在留管理庁の案内(「特定技能関係の特定活動(『特定技能1号』への移行を希望する場合)」)が定める要件は次のとおりです。

  1. 申請人の在留期間の満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難である合理的な理由があること
  2. 申請に係る受入れ機関において、特定技能外国人として「特定技能1号」に該当する業務に従事するために、同在留資格への変更許可申請を予定していること
  3. 申請人が、受入れ機関との契約に基づいて、特定技能1号で従事する予定の業務と同様の業務に従事すること
  4. 特定技能外国人として就労する場合に支払われる予定の報酬と同額であり、かつ、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること
  5. 特定技能外国人として業務に従事するために必要な技能試験及び日本語試験に合格していること(技能実習2号を良好に修了し試験が免除される場合を含む)

このほか、受入れ機関が申請人に適切な生活上の支援を行うことが見込まれることも求められています。

「合理的な理由」になりやすい場面

要件1の「合理的な理由」について、出入国在留管理庁は「在留期間の満了日までに申請に必要な書類を揃えることができないなど、移行のための準備に時間を要する場合」を例に挙げています。書類が揃わない原因は分野によって違いますが、一次資料から読み取れる典型は次のようなものです。

  • 建設分野で、国土交通省の建設特定技能受入計画の認定を待っている
  • 分野別協議会への加入手続が終わっていない(飲食料品製造業分野では、加入証の交付まで2〜3か月かかると農林水産省が案内しています)
  • 受入れ機関の納税証明書などの取得や、登録支援機関との委託契約の締結が終わっていない
  • 本国の送出し手続(国によって必要な推薦・登録)が終わっていない

逆に、「試験の結果待ち」「まだ受験していない」は合理的な理由になりません。要件5で試験の合格が前提とされているからです。

報酬は特定技能1号と「同額」

要件4は、日本人と同等額以上であることに加えて、特定技能1号で支払う予定の報酬と「同額」であることを求めています。準備期間だからと低い賃金で働かせることは認められません。雇用契約書・雇用条件書は、特定技能1号の雇用契約と同じ内容で準備しておくのが実務上の基本になります。

在留期間は6か月、更新は1回限り

2024年1月9日以降の申請について、付与される在留期間は「6月」になりました。それ以前は「4月」で、検索すると「4か月」と書かれた古い解説がまだ多く残っています。更新は、やむを得ない事情がある場合に限り1回だけ認められます。

在留期間を使い切る前に、特定技能1号への変更許可申請を出す必要があります。特定活動の在留期限内に変更許可申請をすれば、審査中に期限が過ぎても、処分の時か期限から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、引き続き特定活動のまま在留できます(入管法20条6項の特例期間)。特例期間の考え方は在留期間の特例期間とは?更新中に期限が過ぎても働ける期間と注意点で解説しています。

通算5年に含まれる

出入国在留管理庁の「通算在留期間」の説明は、特定技能1号への移行を希望する場合の特定活動の在留期間も、特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれるとしています。6か月の特定活動を使えば、特定技能1号として働ける期間はその分短くなります。

これと対照的なのが自動車運送業の特定活動(特定自動車運送業準備)で、こちらは通算在留期間に算入されません。運転免許の取得という別の目的のための在留資格だからです。どちらの特定活動を使うかで、5年の使い方が変わります。

申請に必要な書類

移行準備の特定活動は在留資格変更許可申請として行います。出入国在留管理庁が示す提出書類は次のとおりです。

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真1葉(規格あり)
  • パスポート及び在留カードの提示
  • 受入れ機関が作成した説明書(出入国在留管理庁がWord形式の様式を公表)
  • 雇用契約書及び雇用条件書等の写し
  • 技能試験及び日本語試験に合格していることを証明する資料(技能実習2号良好修了者はその証明)
  • 自動車運送業分野の場合は、運転免許証の写し等

中心になるのは「受入れ機関が作成した説明書」です。在留期限までに特定技能1号の申請ができない理由、準備が整う見込みの時期、従事させる業務、報酬を書く書類で、要件1から4をまとめて立証する役割を持ちます。筆者は、理由の欄に「書類準備中」とだけ書くより、どの書類が、どの機関の手続待ちで、いつ頃揃う見込みかを具体的に書くことをお勧めします。建設特定技能受入計画の申請日や協議会への加入申込日が分かる資料を添えると、6か月以内に移行できる見込みが伝わりやすくなります。

手数料は変更許可の際に納めます(窓口申請は収入印紙、2026年10月1日以降に受け付けたオンライン申請はコンビニ決済か銀行決済)。2026年10月1日以降に受け付けた申請は、在留期間6月の許可で窓口18,000円・オンライン15,000円です(9月30日までの受付分は窓口6,000円・オンライン5,500円)。その後に特定技能1号への変更許可を受けるときも、許可される在留期間に応じた手数料が別にかかります。金額の一覧は在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?にまとめています。

試験に合格していない場合の扱い

移行準備の特定活動は、試験の合格が要件です。技能試験か日本語試験のどちらかに合格していない人は、在留期限までに合格できなければ、この特定活動には進めません。この場合の選択肢は、事情によって分かれます。

やむを得ない事情がある場合は「就労継続支援」の特定活動

実習先・勤務先の倒産や事業縮小、暴行やハラスメントなどの人権侵害、重大・悪質な法令違反、内定取消しといった、本人の責めによらない事情で活動を続けられなくなった場合は、「就労継続支援」の特定活動が用意されています。対象は、技能実習生で3か月経過後も新たな実習先が確保されていない人、就労系の中長期在留者で3か月経過後も新たな雇用先がない人、卒業後の就職が内定取消し等で困難になった留学生です。

この特定活動は、特定技能への移行を希望し、技能試験・日本語試験の一方または両方に合格していない人が対象で、受入れ機関には「特定技能外国人を通算1年以上受け入れた実績」が求められます。在留期間は1年で、一定の場合に2回まで更新でき、2回目の更新時にはいずれかの試験に合格していることが必要です(技能実習生は本来の技能実習2号の在留期限を超えない範囲)。自己都合の退職や単なる不合格は「やむを得ない事情」に当たらない点に注意が必要です。

技能実習2号修了者は試験免除の可否を先に確認する

技能実習2号を良好に修了した人は、修了した職種・作業と特定技能の業務に関連性があれば技能試験と日本語試験が免除され、関連性がなくても日本語試験は免除されます。「試験に合格していない」と思っていた人が、実は免除の対象であることは珍しくありません。免除の対象なら移行準備の特定活動が使えます。移行の条件は技能実習から特定技能への移行は可能?で解説しています。

どちらにも当たらない場合、現在の在留資格の期限内に合格できる見込みがなければ、いったん帰国して海外で受験し、在留資格認定証明書で再入国するルートを検討することになります。個別の事情で判断が変わるため、在留期限の2〜3か月前には方針を決めておくことをお勧めします。

受け入れる会社が注意すること

移行準備の特定活動で働く外国人は、指定書に記載された受入れ機関で、特定技能1号で従事する予定の業務と同様の業務に就くことが前提です。在留カードの在留資格欄は「特定活動」になり、就労の可否は指定書で確認します。在留カードだけでなく、パスポートに貼付された指定書まで確認してください。

注意したい点は3つあります。

1つ目は、この期間も特定技能1号の通算5年を消費していることです。6か月の準備期間を漫然と使い切るのではなく、揃える書類の期限を逆算して、できるだけ早く特定技能1号に移行するほうが本人にとっても会社にとっても有利です。

2つ目は、報酬と業務です。特定技能1号の予定額と同額の報酬を払い、特定技能1号の業務区分と同じ仕事をさせます。準備期間中に別の業務に就かせると、要件3との関係で問題になります。

3つ目は、更新が1回限りであることです。建設特定技能受入計画の認定や協議会の加入が長引いた場合、更新の段階で「やむを得ない事情」の説明が必要になります。更新でも間に合わないと、特定技能1号に移る前に在留期限を迎えることになります。

よくある質問

特定活動から特定技能へ変更するにはどうすればいいですか?

特定活動の在留期限内に、受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理局に「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行います。提出書類は通常の特定技能1号の変更申請と同じで、分野によって協議会の加入証明や建設特定技能受入計画の認定証などが必要です。書類の全体像は特定技能とは?でも触れています。

特定技能の特定活動の期間はどのくらいですか?

特定技能1号への移行準備の特定活動は6月(2024年1月8日までの申請は4月)で、更新はやむを得ない事情がある場合に1回限りです。自動車運送業の運転免許取得のための特定活動は、トラック6月、タクシー・バス1年で、更新はできません。

特定技能の通算在留期間に特定活動の期間は含まれますか?

特定技能1号への移行を希望する場合の特定活動の期間は含まれます。特定自動車運送業準備の特定活動は含まれません。

試験に合格していなくても移行準備の特定活動は取れますか?

取れません。技能試験と日本語試験の合格(または技能実習2号の良好修了による免除)が要件です。倒産・ハラスメントなどやむを得ない事情で仕事を続けられなくなった場合は、「就労継続支援」の特定活動を検討します。

特定活動から特定技能への変更中に在留期限が過ぎたらどうなりますか?

在留期限内に変更許可申請を出していれば、処分の時か期限から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、特定活動のまま在留できます。申請の受付票(オンライン申請なら申請受付番号のお知らせ)を保管しておいてください。

6か月をどう使うかを最初に決める

移行準備の特定活動は、在留期限に間に合わない手続上の遅れを吸収するための制度で、試験の合否や採用可否の判断を先送りする制度ではありません。使う前に確認すべきは、試験の合格(または免除)が確定しているか、6か月以内に揃わない書類はないか、という2点です。

とくに建設や飲食料品製造業のように、入管以外の機関の手続が先に必要な分野では、技能実習の修了日や卒業日から逆算して手続を始めれば、特定活動を挟まずに特定技能1号へ直接移れることもあります。特定活動を使うかどうかは、通算5年のうち何か月を準備に充てるかという判断でもあります。

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