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特定技能リネンサプライとは?2026年6月開始の対象業務・衛生基準認定と受入れ要件

特定技能の「リネンサプライ」分野は、2026年6月1日から特定技能1号の在留資格の申請ができるようになりました。ネット上には「2027年開始予定」とする記事がまだ多く残っていますが、2027年4月に始まるのは育成就労のリネンサプライ分野で、特定技能はすでに動いています。ホテルや病院のリネン類を洗って届ける工場が、衛生基準の認定と協議会への加入を済ませれば、試験に合格した外国人や技能実習の修了者を1号として雇えます。

特定技能リネンサプライ分野は2026年6月1日に始まった

ここでいうリネンサプライ分野とは、ホテルや病院などで使われたシーツ、枕カバー、タオル、病衣などのリネン類を回収し、工場で洗濯・仕上げをして再び届ける事業(リネンサプライ業)を対象とする特定産業分野を指します。所管は厚生労働省の健康・生活衛生局生活衛生課です。

制度化の経緯を日付で整理すると、次のとおりです。

  • 2026年1月23日:「リネンサプライ分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」(分野別運用方針)が閣議決定
  • 2026年4月7日:リネンサプライ分野特定技能協議会を開催(厚生労働省)
  • 2026年6月1日:運用要領別冊(リネンサプライ分野の基準)を公表し、特定技能1号の在留資格の申請が可能に
  • 2026年7月14日:育成就労制度運用要領(リネンサプライ分野)を制定
  • 2026年7月31日:特定技能協議会・育成就労協議会の加入申請の受付を開始
  • 2027年4月1日:育成就労制度の施行(リネンサプライ分野の育成就労もここから)

注意したいのは、在留資格の申請が可能になった日(6月1日)と、協議会の加入申請が始まった日(7月31日)がずれている点です。運用要領別冊は、協議会への加入を在留諸申請の前に済ませることを求めているため、実際に申請を出せる企業は、7月31日以降に加入手続きを終えたところからになります。

受入れ見込数は、分野別運用方針で分野全体7,700人(2026年度から2028年度の3年間)とされ、その内訳は特定技能1号が4,300人、育成就労が3,400人(2027年度から2年間)です。1号の4,300人は2029年3月末までの受入れの上限として運用され、これを超えると見込まれる場合は在留資格認定証明書の交付が停止されます。外食業分野では2026年4月13日受理分から認定証明書の交付が止まっており、上限が現実に効いてくることは想定しておいたほうがよい数字です。

対象業務はリネン類の「入荷から出荷まで」の一連の業務

業務区分は「リネンサプライ」の1つだけです。運用要領別冊は、1号特定技能外国人が従事する業務を「ホテルや病院などで使用されたリネン類の入荷、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、結束、出荷などの一連の業務」としています。

これに加えて、同じ業務に従事する日本人が通常行う関連業務(使用資材の運搬や、事業所で日常的に行う清掃など)に付随的に従事することは認められています。ただし、専ら関連業務に従事させることはできません。

配送の扱いについては、別冊に明示がありません。工場内の出荷作業は主たる業務に含まれますが、トラックでホテル・病院へ届ける運転業務そのものを主に担わせるのは、主たる業務の範囲を外れると読むのが自然です(公式資料では未確認)。配送を任せたい場合は、厚生労働省生活衛生課に事前に確認してください。

1号のみ、直接雇用のみ

この分野では特定技能2号の受入れはできません。在留できるのは1号の通算5年までです。また、分野の告示(令和8年厚生労働省告示第183号)により労働者派遣は認められず、直接雇用に限られます。別冊は、派遣した場合や派遣された人を受け入れた場合は不正行為に当たり、以後5年間は特定技能外国人を受け入れられなくなると明記しています。

宿泊・ビルクリーニングとの違いは「どこで何を洗うか」

リネンに触れる仕事は、宿泊分野やビルクリーニング分野にもあります。どの分野で受け入れるかは、作業の場所と中身で判断することになります。

作業の場面 該当しうる分野 考え方
リネン工場で、複数のホテル・病院から回収したリネン類を洗濯・仕上げする リネンサプライ 本分野の主たる業務そのもの
ホテルの客室で、清掃とあわせてベッドメイクをする ビルクリーニング 客室清掃は対象で、ベッドメイクは客室納品の一連作業・関連業務として可(ビルクリーニング分野特定技能協議会の決定・2023年10月17日)
ホテルのフロント・接客・レストランサービスを行い、付随してリネン交換をする 宿泊 宿泊サービスの提供が主たる業務で、リネン交換は付随的な作業
一般家庭向けの衣類を扱うクリーニング店 リネンサプライには該当しない可能性 対象業務は「ホテルや病院などで使用されたリネン類」(公式資料では未確認)

実務で迷いやすいのは、ホテルが自社内に洗濯室を持ち、自社のリネンを洗っているケースです。リネンサプライ分野で受け入れるには、受入れ施設が後述の衛生基準の認定を受けている必要があるため、ホテルの館内ランドリーが直ちにこの分野の受入れ先になるわけではありません。ホテル側で外国人材を配置したいのであれば、まず宿泊かビルクリーニングで主たる業務が組めるかを考え、洗濯を外部のリネンサプライ業者に委託している場合は、その委託先が本分野で受け入れる、という役割分担になります。

宿泊分野の詳細は特定技能「宿泊」とは?で、ビルクリーニングの客室清掃の扱いはビルクリーニング特定技能とは?登録営業所の要件とベッドメイク・客室清掃の線引きで解説しています。

外国人に求められる要件:評価試験とN4、または技能実習2号の修了

1号特定技能外国人として受け入れるには、技能と日本語の両方の水準を満たす必要があります。

技能水準は「リネンサプライ分野特定技能1号評価試験」の合格です。別冊によれば、この試験は基礎的な技能・知識を修得し、1つのラインのライン長(リーダー)を担えるレベルかを確認するものです。入管庁の技能評価試験の整備予定では新規作成の試験とされており、実施日程・実施国の詳細は今回確認した公表資料では確認できませんでした(公式資料では未確認)。

日本語能力は「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上で、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2.2相当以上、または日本語能力試験(JLPT)N4以上の合格で証明します。

試験を受けずに移行できるルートもあります。技能実習2号を良好に修了した人で、職種が「クリーニング職種」、作業が「リネンサプライ仕上げ作業」であれば、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。別冊の別表は、この免除が2027年4月1日以降も当分の間続くとしています。これ以外の職種で技能実習2号を良好に修了した人は、技能試験の合格は必要ですが、日本語試験は免除されます。

技能実習2号修了者の提出書類は、技能実習評価試験(専門級)の実技試験に合格していればその合格証明書の写し、合格していなければ技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号)です。技能実習からの移行の一般的な考え方は技能実習から特定技能への移行は可能?にまとめています。

受入れ企業に課される分野固有の要件

リネンサプライ分野で特に重いのは、受入れ施設の衛生基準の認定です。全分野共通の受入れ機関の基準(労働・社会保険・税の法令遵守、1年以内の非自発的離職者・行方不明者の不発生、支援体制など)に加えて、告示第2条が次の要件を定めています。

衛生基準の認定は事業所(施設)単位

特定技能外国人を受け入れる施設は、次のいずれかの基準に適合する旨の認定を受けていなければなりません。

  • 一般社団法人日本リネンサプライ協会が運用する「リネンサプライ業に係る洗濯施設及び設備に関する衛生基準」
  • 一般財団法人医療関連サービス振興会が運用する「寝具類洗濯業務に関する基準」

ここで重要なのは、認定が法人単位ではなく事業所(施設)単位でなされるという点です。工場を複数持つ会社では、認定を受けた工場でしか特定技能外国人を働かせられません。雇用条件書に書く就業場所と、認定を受けた施設が一致している必要があります。

認定には有効期限があり、更新されなければその時点で要件を満たさなくなります。受入れ後に就業する営業所を変える場合は、特定技能雇用契約の変更の届出が必要で、変更先の施設も認定を受けていなければなりません。

協議会への加入は在留諸申請の前に

厚生労働大臣が設置する協議会(リネンサプライ分野における特定技能外国人の受入れに関する協議会)の構成員になることも要件です。加入は在留諸申請の前に済ませる必要があり、協議会で協議が調った措置を講じること、協議会や厚生労働省の調査・指導に協力することも求められます。協力しない場合は基準不適合となり、受入れができなくなります。

申請時には、分野参考様式第19-1号の誓約書、協議会の構成員であることの証明書、衛生基準の認定を受けていることを証する文書の写し(有効期限内のもの)を提出します。認定の事実が構成員証明書に記載されていれば、認定文書の写しは不要です。協議会の一般的な位置づけは特定技能の協議会とは?で解説しています。

実務経験証明書の交付義務

特定技能外国人から求められたときは、その雇用契約で従事した実務経験を証明する書面を交付しなければなりません。電磁的記録での提供も可能です。転職や将来のキャリアで本人が使う書類なので、在籍中から従事内容と期間を記録しておくと、退職時に慌てずに済みます。

ホテル向けリネン工場が今から準備すること

受入れを検討しているリネン工場は、次の順番で準備を進めると、申請の段階で止まりにくくなります。

  1. 受け入れたい工場が、日本リネンサプライ協会または医療関連サービス振興会の衛生基準の認定を受けているかを確認する。認定がなければ、取得に要する期間を確認する。
  2. 協議会への加入手続きを進める(2026年7月31日から受付)。構成員証明書に認定の記載を入れてもらう。
  3. 採用ルートを決める。社内にクリーニング職種・リネンサプライ仕上げ作業の技能実習生がいれば、2号修了後の移行が最も確実。いなければ、評価試験の実施状況を確認したうえで海外・国内の試験合格者を探す。
  4. 自社で支援を行うか、登録支援機関に委託するかを決める。
  5. 業務内容を「入荷から出荷まで」の主たる業務で組み、配送や清掃に偏らない配置表をつくる。

4,300人という上限は、分野の就業者数(2028年度の推計9万9,700人)に比べて大きな数ではありません。受入れを決めているなら、早めに認定と協議会加入を終えておくことが、上限に達する前に申請を出すための現実的な対策になります。

よくある質問

リネンサプライの特定技能はいつからですか?

特定技能1号の在留資格の申請は、2026年6月1日から可能になっています。ただし協議会への加入申請は2026年7月31日に始まったため、実際には加入手続きを終えた企業から申請を出す形です。育成就労のリネンサプライ分野は、育成就労制度の施行と同じ2027年4月1日からです。

リネンサプライとクリーニングの違いは何ですか?特定技能ではどちらに当たりますか?

リネンサプライは、ホテルや病院にリネン類を貸し出し、使用後に回収して洗濯・仕上げを行い、再び納品する事業です。一般のクリーニング店は、個人の衣類を預かって洗う事業です。特定技能の対象業務は「ホテルや病院などで使用されたリネン類」の処理で、一般家庭向けのクリーニング店が対象になるかは公表資料で明示されていません(公式資料では未確認)。

リネンサプライの技能実習生を特定技能に切り替えられますか?

できます。クリーニング職種・リネンサプライ仕上げ作業の技能実習2号を良好に修了していれば、技能試験と日本語試験が免除され、特定技能1号へ変更申請ができます。受入れ施設が衛生基準の認定を受けていること、会社が協議会の構成員であることが前提です。

特定技能2号はありますか?

ありません。運用要領別冊は、リネンサプライ分野では特定技能2号での受入れを行うことはできないとしています。在留期間は1号の通算5年が上限になります。

上限4,300人の分野で、先に整えるべきは施設の認定

リネンサプライ分野の要件は、外国人側よりも企業側、特に施設側に重く置かれています。試験や日本語は技能実習の修了で免除される道がありますが、衛生基準の認定と協議会への加入は、どの採用ルートを選んでも避けられません。しかも認定は工場ごとで、更新が切れれば受入れの前提が崩れます。

筆者は、この分野の準備の出発点は採用計画ではなく、どの工場で受け入れるかの特定だと考えます。認定済みの工場を決め、協議会加入を済ませ、そのうえで技能実習生の移行か試験合格者の採用かを選ぶ。この順番で進めれば、上限に達する前に申請までたどり着ける可能性が高まります。特定技能の全分野の中での位置づけは特定技能の分野・職種一覧で確認できます。

根拠資料


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