短期滞在ビザ(在留資格「短期滞在」)は、観光、親族や知人の訪問、商談や会議への参加など、日本に短い期間だけ滞在して行う活動のための在留資格で、在留期間は最長90日です。期間は90日・30日・15日のいずれかで決まるのが基本でしたが、2026年9月1日に施行された入管法施行規則の改正により、法務大臣が90日を超えない範囲で日を単位とする期間を指定できるようになりました。どの期間でも共通するのは、日本で報酬を受ける活動ができないこと、そして原則として他の在留資格への変更も期間の更新も認められないことです。
短期滞在ビザとは|在留資格「短期滞在」の活動範囲
入管法別表第一の三の表は、短期滞在の活動を「本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動」と定めています。出入国在留管理庁は該当例として「観光客、会議参加者等」を挙げています。
「ビザ」という言葉は、厳密には在外公館が出す査証を指します。査証は入国の推薦にあたる書類で、日本での在留を認める在留資格とは別物です。査証免除の対象となっている国・地域の人は、査証を取らずに入国し、空港の上陸審査で在留資格「短期滞在」を受けます。査証が必要な国の人は、在外公館で短期滞在の査証を取ってから入国します。どちらの場合も、日本で持つことになる在留資格は同じ「短期滞在」です。
短期滞在の人には在留カードが交付されません。在留カードの対象は3か月を超える在留期間を持つ中長期在留者で、短期滞在はそこから外れるためです。在留の資格と期間は、パスポートに貼られる上陸許可の証印(シール)で確認します。
短期滞在は、就労系の在留資格と違って上陸基準省令の審査の対象になっていません。在留資格認定証明書の制度も使えないため、査証が必要な国の人は、日本側の招へい人が用意した書類を持って本人が在外公館で直接申請します。
在留期間|90日・30日・15日と、2026年9月からの日単位指定
入管法施行規則別表第二は、短期滞在の在留期間を「九十日、三十日又は十五日(法務大臣が個々の外国人について九十日を超えない範囲内で日を単位とする期間を指定する場合にあつては、当該指定する期間)」と定めています。括弧書きの部分が、2026年9月1日に施行された出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令(令和8年法務省令第48号)で整えられた日単位指定の規定です。
| 期間 | どんな場合に決まるか |
|---|---|
| 90日 | 観光・親族訪問・商用などで、査証や査証免除の取決めで90日の滞在が認められている場合 |
| 30日 | 査証免除の取決めで上限が30日とされている国の人、または査証に30日と記載されている場合 |
| 15日 | 査証免除の取決めで上限が15日とされている国の人、または査証に15日と記載されている場合 |
| 日単位(90日以内) | 法務大臣が個々の外国人について、90日を超えない範囲で日数を指定する場合 |
90日・30日・15日のどれになるかは、本人が選ぶものではありません。査証免除の対象国かどうか、査証に記載された滞在期間、渡航の目的と日程を踏まえて、上陸審査で入国審査官が決定します。査証免除の上限日数は国・地域によって異なり、90日より短い国もあります。
日単位指定について、条文は「法務大臣が個々の外国人について」指定する場合と定めており、申請人が希望の日数を自由に選べる仕組みではありません。どのような場面で日単位の期間が指定されるかについて、2026年9月29日時点で出入国在留管理庁の運用の説明は確認できていません(公式資料では未確認)。筆者は、たとえば滞在予定が40日の人に、一律の90日より実際の予定に近い日数を指定する、といった使い方が想定されていると考えています。いずれにしても、帰国便の日付と在留期限の関係は、上陸許可の証印で必ず確認してください。
短期滞在でできる活動|観光・親族訪問・商談・会議
短期滞在で認められるのは、報酬を受けない一時的な活動です。整理すると、次の3つの目的に分かれます。
1つ目は観光・保養・スポーツで、旅行、温泉での保養、スポーツ大会への参加(アマチュアとして報酬を受けない場合)などです。
2つ目は親族・知人の訪問で、日本に住む家族や親族、友人を訪ねる滞在です。冠婚葬祭への出席、出産の手伝いなどもここに入ります。
3つ目は短期商用で、企業の実務で最も判断に迷うのがこの類型です。一般に、次のような活動が短期商用として扱われます。
- 取引先との商談、契約の締結
- 本社・支社との会議、業務連絡
- 見本市・展示会の視察、市場調査
- 自社製品の宣伝、販売後のアフターサービスの打合せ
- 講習会・説明会への参加
- 工場や施設の見学
これらの例示は、入国・在留審査要領の短期滞在の項にも同種の記載があるとされていますが、公開版での具体的な記載範囲は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。審査要領の読み方と黒塗りの限界は入国・在留審査要領とは?で解説しています。
報酬を受けると就労になる|入管法19条の線引き
入管法19条1項2号は、短期滞在の人に「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」を禁じています。ここで重要なのは、禁止の基準が「働いたかどうか」ではなく「報酬を受けたかどうか」に置かれている点です。
ここでいう報酬とは、一定の役務の提供に対する対価として支払われるものを指します。同じ会議への参加でも、日本の会社から対価を受けて講師を務めれば報酬を受ける活動になり、社内の打合せに出席するだけなら報酬は発生しません。
一方で、入管法19条1項1号の括弧書きと入管法施行規則19条の3は、次のものを「報酬」から除いています。
- 業として行うものではない講演、講義、討論、助言、鑑定などに対する謝金や賞金
- 業として行うものではない著作物の制作、催物への参加、放送番組への出演などに対する謝金
- 親族、友人、知人の依頼による日常の家事への謝金(業として行うものを除く)
大学が海外の研究者を招いて1回限りの講演を依頼し、謝金を払うような場合は、この例外に当たり得ます。これに対し、毎週のように講演を重ねる、講演料を事業として受け取っている、といった場合は「業として」に当たり、短期滞在では認められません。
実務上、判断の分かれ目になりやすい場面を挙げると次のとおりです。
| 場面 | 短期滞在での可否の目安 |
|---|---|
| 海外本社の社員が日本の子会社との会議に出席し、給与は本社から出る | 可(日本で対価を受ける活動に当たらないと一般に解される) |
| 日本の会社が交通費・宿泊費の実費を負担する | 可(実費の支給は役務の対価に当たらないと解される) |
| 納入した機械の据付け・修理を技術者が日本で行い、日本の会社から作業代を受ける | 不可(報酬を受ける活動) |
| 日本の工場で生産ラインに入って実務の研修を受ける | 不可(研修の在留資格などを検討) |
| 観光で来日した人が知人の店を手伝い、日当を受け取る | 不可(不法就労) |
報酬の支払元が海外か日本かだけで機械的に決まるものではなく、日本で行う活動の中身が「業務連絡・商談」の範囲に収まっているかが問われます。技術指導や研修が短期滞在の範囲に入るかの判断は短期滞在で研修・会議・技術指導はできる?報酬が出ると就労になる線引きで詳しく扱います。
短期滞在の人に報酬を払って働かせた場合、本人は資格外活動として処罰や退去強制の対象となり、働かせた会社も不法就労助長罪(入管法73条の2)に問われます。2027年4月1日からは法定刑が5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられます。企業の責任は不法就労助長罪とは?で解説しています。
変更・更新は原則できない
他の在留資格への変更|「やむを得ない特別の事情」が必要
入管法20条3項ただし書は、短期滞在からの在留資格の変更について「やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする」と定めています。出入国在留管理庁のQ&Aも、短期滞在からの変更は「原則として認められません」とし、日本に中長期で在留したい場合は在留資格認定証明書交付申請を行うよう案内しています。
同じQ&Aには、「単に本邦に在留中に在留資格認定証明書が交付されたことをもって、やむを得ない特別の事情に該当するものではありません」という注記があります。短期滞在で来日している間に在留資格認定証明書が交付されても、それだけで日本国内での変更が認められるわけではない、という意味です。この取扱いは2026年3月30日から明確化されたと紹介する解説がありますが、出入国在留管理庁の公表日は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。いずれにせよ現在は、証明書を受け取ったら一度出国し、在外公館で査証を取って入国し直すことを前提に日程を組む必要があります。変更が認められ得る事情は短期滞在から在留資格変更はできる?「やむを得ない特別の事情」と認定証明書交付後の扱いで取り上げます。
在留期間の更新|病気治療など人道上の事情に限られる
出入国在留管理庁は、短期滞在の在留期間の更新は「原則として、人道上の真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合に認められる」とし、例として病気治療を挙げています。更新の申請では、引き続き滞在が必要な理由を明らかにする資料(病気なら診断書)、入国から現在までの活動の説明、滞在費と帰国費用を支弁できることを示す資料(預金残高証明書や帰国用の航空券など)を出します。「もう少し観光したい」「家族ともう少し過ごしたい」という理由では、更新は認められません。
短期滞在の人は、みなし再入国許可の対象にもなりません。滞在の途中で近隣国に旅行して戻ってくると、新規の入国として上陸審査を受け直すことになります。
繰り返しの入国と「年180日」の目安
短期滞在で入国と出国を繰り返し、1年の大半を日本で過ごしている人は、上陸審査で入国目的を詳しく確認され、上陸を認められないことがあります。実務では「1年間で通算180日」が一つの目安として語られますが、これは法令に書かれた基準ではありません。上陸審査では、滞在の目的が本当に短期の観光や訪問なのか、実質的に日本で生活していないか、日本で働いていないかが見られます。滞在日数の数え方と上陸拒否の例は、別の記事で取り上げます。
企業が海外から人を呼ぶときの判断
海外の取引先やグループ会社の社員を日本に呼ぶとき、会社が最初に決めるべきは、日本での予定がすべて「報酬を受けない活動」に収まるかどうかです。会議、商談、視察、見学だけなら短期滞在で足ります。日本の現場で作業をする、日本の会社から対価を払う、90日を超えて滞在する、といった要素が一つでも入るなら、短期滞在では対応できません。
その場合は、滞在の目的に応じて、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、研修などの在留資格を在留資格認定証明書交付申請で取ることになります。在留資格の選び方は外国人を採用できる在留資格の種類一覧で整理しています。
査証が必要な国の人を招へいする場合は、日本側で招へい理由書、滞在予定表、身元保証書などを用意し、本人が在外公館に提出します。書類は目的(観光・親族訪問・商用)ごとに異なります。
よくある質問
短期滞在ビザは何日滞在できますか?
最長90日です。上陸審査で90日・30日・15日のいずれか、または2026年9月1日以降は90日以内の日単位の期間が決定されます。何日になるかは、査証免除の取決めや査証に記載された期間、滞在の予定によって決まるため、入国後にパスポートの上陸許可の証印で在留期限を確認してください。
短期滞在ビザでバイト・仕事はできますか?
報酬を受けるアルバイトや仕事はできません。短期滞在の人は資格外活動許可も原則として受けられません。出張で来日して会議や商談を行うことは短期商用として認められますが、日本の会社から作業の対価を受け取れば報酬を受ける活動になります。
ワーキングホリデーは短期滞在でできますか?
できません。ワーキングホリデーは在留資格「特定活動」で行うもので、協定国の在外公館でワーキングホリデーの査証を取って入国します。出入国在留管理庁は、査証免除国の人がワーキングホリデーの査証を持っていても、今回の来日がワーキングホリデーでなければ、上陸審査でその査証を使わないことを申し出るよう案内しています。
短期滞在ビザは更新できますか?
原則としてできません。病気で帰国できないなど人道上の真にやむを得ない事情がある場合に限り、在留期限までに住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で更新を申請できます。
短期滞在から家族滞在や配偶者ビザに変更できますか?
入管法20条3項により、やむを得ない特別の事情がなければ変更は認められません。在留資格認定証明書が交付されたことだけでは、この事情に当たらないとされています。原則として、在留資格認定証明書の交付を受けて一度出国し、査証を取って入国し直します。
呼ぶ前に「報酬」と「日数」の2点を確かめる
短期滞在は手続が軽い分、使い方を誤ったときの影響が大きい在留資格です。報酬を受ける活動をさせれば本人は不法就労、会社は不法就労助長罪の問題になり、日本で長く暮らす予定なのに短期滞在で来日すると、国内での変更が認められず出国からやり直すことになります。
外国人を日本に呼ぶ会社や家族が事前に確かめることは2点です。日本での予定の中に、日本側から対価が支払われる活動が含まれていないか。滞在が90日を超える可能性や、滞在中に別の在留資格に切り替える予定がないか。どちらかに当てはまるなら、短期滞在以外の在留資格を最初から検討してください。個別の事情で判断が変わるため、活動の範囲に迷うときは渡航前に専門家へ相談することをお勧めします。
根拠資料
- 在留資格「短期滞在」(出入国在留管理庁)
- 出入国審査・在留審査Q&A(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 別表第二・第19条の3(令和8年法務省令第48号による改正後、2026年9月1日施行)(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法 第19条・第20条・別表第一(e-Gov法令検索)
- ビザ(査証)(外務省)
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