日本にビザ(査証)なしで入国できるのは、外務省が公表している74の国・地域の人です(外務省「ビザ免除国・地域(短期滞在)」2025年9月1日更新)。滞在できる上限は多くの国が90日で、インドネシアとタイは15日、ブルネイとカタールは30日に限られます。ただし免除されるのは観光・親族訪問・商談などの「短期滞在」にあたる活動だけで、日本で報酬を受ける仕事をする場合は、どの国の人でもビザが必要です。
この記事では、海外の取引先や家族を日本に呼ぶ企業・個人の立場から、国・地域別の一覧と滞在日数、免除を受けるための旅券の条件、空港の上陸審査で見られる点、2028年度の導入が見込まれるJESTA(電子渡航認証制度)との関係を順に説明します。
日本のビザ免除国は74の国・地域(2025年9月1日時点)
ここでいう査証免除とは、本来は出発前に在外公館(日本大使館・総領事館)で受けるべき査証の審査を、国と国との取決めや日本側の措置によって省略する仕組みを指します。査証を持たずに空港に着いても、上陸審査で「短期滞在」の在留資格を受けて入国できる、というのが具体的な効果です。
外務省の一覧を地域別に並べると次のとおりです。
| 地域 | 国・地域 |
|---|---|
| アジア | インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、ブルネイ、韓国、台湾、香港、マカオ |
| 北米 | 米国、カナダ |
| 中南米 | アルゼンチン、ウルグアイ、エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、コロンビア、スリナム、チリ、ドミニカ共和国、パナマ、パラグアイ、バルバドス、ブラジル、ペルー、ホンジュラス、メキシコ |
| 大洋州 | オーストラリア、ニュージーランド |
| 中東 | アラブ首長国連邦、イスラエル、カタール、トルコ |
| アフリカ | チュニジア、モーリシャス、レソト |
| 欧州 | アイスランド、アイルランド、アンドラ、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、北マケドニア、キプロス、ギリシャ、クロアチア、サンマリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、モナコ、モンテネグロ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルク、英国 |
アジアで免除の対象になっているのは9の国・地域だけで、中国、フィリピン、ベトナム、ネパール、ミャンマー、カンボジア、モンゴル、インドなどは含まれていません。日本で働く外国人の出身国として多い国の大半は、短期の来日でもビザが必要な国です。家族を呼ぶ相談で「欧米の友人はビザなしで来られたのに」という話が出るのは、このためです。
出入国在留管理庁の資料によれば、2025年に観光等の目的で短期滞在の上陸許可を受けた人は約3,846万人で、その約8割がビザ免除の対象者でした。ビザ免除国の人は、訪日客の大多数を占めていることになります。
滞在日数は90日が基本、15日・30日・6か月の国がある
免除で認められる滞在期間は、国・地域ごとの取決めで決まっています。
- 15日:インドネシア、タイ
- 30日:ブルネイ、カタール
- 90日:上記以外の国・地域
- 6か月以内:アイルランド、オーストリア、スイス、ドイツ、リヒテンシュタイン、英国、メキシコ(取決め上は6か月以内の滞在が認められる)
6か月まで認められる7か国の人も、空港で付与される在留期間は90日です。外務省の一覧は、これらの国の人が90日を超えて滞在する場合には、在留期間が切れる前に地方出入国在留管理官署で在留期間の更新手続をするよう求めています。福岡に滞在しているなら、手続先は福岡出入国在留管理局です(福岡出入国在留管理局への行き方・予約方法)。
在留期間そのものについては、2026年9月1日に施行された出入国管理及び難民認定法施行規則の改正(令和8年法務省令第48号)で、短期滞在の期間を「九十日、三十日又は十五日」に加え、90日を超えない範囲で日単位で指定できる規定が入りました。どの場面で日単位の指定がされるかの運用は、まだ公表資料で確認できていません(公式資料では未確認)。いずれの場合も、実際の在留期限は旅券に貼られる上陸許可の証印(シール)に書かれた日付で確認します。
日数を数えるときに間違えやすいのは、15日・30日の国の人を長めの日程で呼ぶ場面です。タイの取引先を20日間の工場見学と研修打合せに呼ぶ計画なら、査証免除の枠には収まりません。この場合は、事前に在外公館で短期滞在ビザを取っておく必要があります。
旅券の種類によっては免除されない
一覧に載っている国の人でも、どんな旅券でも免除されるわけではありません。外務省の一覧の注記には、次の条件が付いています。
| 条件 | 対象の国・地域 |
|---|---|
| ICAO標準のIC旅券を所持し、在外公館で事前登録していること(登録の有効期間は3年または旅券の有効期限まで) | インドネシア、カタール |
| ICAO標準のIC旅券であること | マレーシア、タイ、ブラジル、ペルー、パナマ、パラグアイ、セルビア、モンテネグロ、アラブ首長国連邦 |
| 機械読取式旅券(MRP)であること | バルバドス、トルコ、レソト |
| 身分証番号が記載された旅券であること | 台湾 |
| 香港特別行政区旅券またはBNO旅券(英国海外市民旅券) | 香港 |
| マカオ特別行政区旅券 | マカオ |
IC旅券を持っていない人は、事前にビザを取るよう案内されています。マレーシアについては、IC旅券以外で入国しようとすると厳格な審査の対象になるとされています。
もう2つ、注意書きが付いている国があります。1つはコロンビアで、2004年2月1日から査証取得の勧奨措置がとられています。査証を取らずに来日すると厳格な上陸審査を受け、結果として上陸を認められないことがある、というのが外務省の説明です。もう1つはウルグアイで、2025年4月16日以降に発行された出生地の記載がない新旅券は日本側で有効な旅券と認められず、査証免除を受けられるのは旧旅券の所持者に限られています。
招へいする側としては、国名だけで「ビザ不要」と判断せず、相手の旅券がどの種類かを事前に聞いておくことが確実です。
ビザ免除でできること・できないこと
査証免除で入国した人の在留資格は「短期滞在」です。短期滞在でできる活動は、観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習や会合への参加、業務連絡など、日本で短期間滞在して行う報酬を受けない活動に限られます(入管法別表第一の三)。企業の場面でいえば、商談、契約の締結、会議への出席、展示会の視察、自社工場の見学などは短期滞在の範囲に入ります。
できないのは、日本で報酬を受ける活動です。日本の会社が給与や報酬を払って仕事をさせる、海外の本社から給与が出ていても日本の顧客のために機械の据付けや技術指導を継続して行う、といった内容になると、短期滞在の範囲を超えるおそれがあります。報酬が出るかどうかの線引きは入管法19条と施行規則19条の3の規定で決まっており、謝金・日当・滞在費の扱いを含めて判断は細かくなります。
働かせることが目的であれば、査証免除国の人であっても、在留資格認定証明書を取り、ビザを取得して入国する手順になります。短期滞在で入国した人が日本国内で就労の在留資格に切り替えることは、入管法20条3項ただし書により「やむを得ない特別の事情」がある場合に限られ、原則として認められません。証明書が交付された後の流れは在留資格認定証明書が交付されたら?入国までの流れと企業の手続きで説明しています。
ビザなしで来た人に現場作業を手伝わせると、本人は資格外活動、会社は不法就労助長罪の問題になります。不法就労助長罪の法定刑は、2027年4月1日から5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられます(不法就労助長罪とは?)。「短期間だから」「ビザ免除の国の人だから」という理由で線引きが緩くなることはありません。
入国時の上陸審査で見られること
ビザ免除は、入国の審査そのものを免除するものではありません。空港では、査証の有無にかかわらず入管法7条1項の上陸のための条件を満たしているかが審査されます。条件の中身を整理すると、次の4点です。
- 有効な旅券を持っていること(査証免除の場合は、前の章の旅券の条件を満たしていること)
- 日本で行おうとする活動が虚偽のものでなく、短期滞在の活動に当たること
- 滞在予定期間が、その人に認められる在留期間の範囲内であること
- 上陸拒否事由(入管法5条)に該当しないこと
2と3を確かめるために、入国審査官は帰りの航空券、滞在先、滞在費の用意、訪問先の会社名などを質問します。企業が取引先を呼ぶ場合は、招へいの目的と日程を書いた簡単な書面(英文でよい)を本人に持たせておくと、質問に答えやすくなります。過去に退去強制や出国命令を受けたことがある人は、5条の上陸拒否期間が終わっているかを先に確認してください。
短期滞在で入国と出国を繰り返し、1年の大半を日本で過ごしている人は、目的を詳しく確認され、上陸を認められないことがあります。「1年間で通算180日」という目安が語られますが、法令に書かれた基準ではありません。日数の数え方と上陸を断られる類型は短期滞在ビザ90日と「年180日ルール」|日数の数え方と入国を断られる典型例で整理しています。
入国手続を早く済ませるための仕組みとして、デジタル庁の「Visit Japan Web」で入国審査・税関申告の情報を事前に登録できます。これは任意の手続で、後で述べるJESTAとは別のものです。
ビザが必要な国の人を呼ぶ場合
中国、フィリピン、ベトナム、インドネシア(IC旅券の事前登録をしていない人)などビザが必要な国の人は、居住国の日本大使館・総領事館で短期滞在ビザを申請します。親族訪問や知人訪問では、日本側の招へい人が作る招へい理由書・身元保証書などが必要になり、商用であれば会社が招へいの経緯を説明する書類を用意します。外務省は2020年11月3日から、招へい理由書と身元保証書の押印を不要としています。
査証の手数料は、2026年7月1日から一次有効が約15,000円、数次有効が約30,000円に改定されました(外務省、2026年6月24日発表)。取引先が年に何度も来日するなら、数次ビザを検討する余地があります。
ビザが必要な国の人でも、次の2つの場面では査証なしで日本に入れることがあります。
- 乗継ぎの寄港地上陸:日本を経由して第三国に向かう人が、出国するまで72時間の範囲内で空港の近くに上陸する場合(入管法14条)。船会社・航空会社の申請が必要で、観光目的の来日には使えません。
- APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC):APEC参加国・地域の商用渡航者が、自国で審査を受けてこのカードの交付を受け、日本が承認している場合、短期の商用目的であれば査証の代わりになります。カードの記載と有効期限を事前に確認してください。日本での取扱いの細部(1回の滞在期間など)は、本稿では外務省の一次資料で確認できていません(公式資料では未確認)。
JESTA導入後、ビザ免除国の人の入国はどう変わるか
JESTA(電子渡航認証制度)とは、ビザ免除で短期滞在する外国人に、渡航前にオンラインで旅券情報や渡航目的を提供させ、出入国在留管理庁長官の認証を受けることを上陸の条件とする制度です。2026年5月29日に成立し、6月5日に公布された改正入管法(令和8年法律第32号)で創設されました。施行日は2029年3月31日までの間で政令で定める日とされ、政府は2028年度中の導入を目指しています。2026年9月29日時点で、施行日を定める政令はまだ出ていません。
JESTAの対象になるのは、この記事の一覧に載っている国・地域の人のうち、短期滞在の活動で来日する人です。改正後の入管法7条1項5号は、査証免除対象者について認証を受けていることを上陸条件に加えました。認証を受けていない人は航空機に搭乗できなくなる設計で、航空会社にも確認の義務が課されます。一方、中国やベトナムの人のようにビザを取って来日する人はJESTAの対象ではなく、これまでどおり在外公館の査証審査を受けます。
招へいの実務で変わるのは、ビザ免除国の人を呼ぶ場合でも、渡航前の手続を1つ組み込む必要が出てくる点です。認証の申請時期、手数料の額、審査にかかる日数は、これから政令と法務省令で決まります(公式資料では未確認)。制度の中身はJESTAとは?日本版ESTAの対象者・導入時期と企業の招へいへの影響で詳しく解説しています。
よくある質問
ネパールはビザ免除国ですか?
ネパールは日本の査証免除の対象国ではありません。観光や親族訪問で日本に来る場合も、カトマンズの日本大使館で短期滞在ビザを申請します。ベトナム、ミャンマー、カンボジア、モンゴルも同じで、2026年9月29日時点ではいずれも一覧に入っていません。
ベトナムの人はビザなしで日本に来られますか?
来られません。ベトナムは査証免除の対象外なので、短期の訪問でも在ベトナム日本大使館・総領事館で短期滞在ビザを取得します。技能実習生や特定技能で働いている家族を訪ねる場合も同じ手続です。反対に、日本人がベトナムに行く場合の扱いはベトナム政府が決めるもので、日本側の一覧とは関係がありません。
ブラジルはビザ免除国ですか?
ブラジルは一覧に入っており、90日以内の短期滞在であればビザは不要です。ただし外務省の注記により、ICAO標準のIC旅券を持っていることが条件です。IC旅券でない人は事前に査証を取るよう案内されています。
ビザ免除で入国した後、滞在を延ばすことはできますか?
原則としてできません。短期滞在の在留期間の更新は、病気の治療など人道上やむを得ない事情がある場合に限られます。例外はドイツ、英国、メキシコなど取決め上6か月まで滞在できる7か国の人で、90日を超えて滞在する場合は在留期限前に更新の手続をします。
ビザ免除の国の人を、短期間だけ自社で働かせてもよいですか?
報酬を受ける活動になる場合は、査証免除では入国できません。数日の作業でも、日本の会社から報酬が出る、あるいは日本の顧客のために収益を生む作業を行う場合は就労にあたる可能性があります。個別の事情で判断が変わるため、呼ぶ前に活動内容と報酬の出どころを整理して確認してください。
呼ぶ前に確かめる3つのこと
ビザ免除国の一覧は、「ビザの申請が要らない人」の一覧であって、「どんな目的でも入国できる人」の一覧ではありません。招へいの準備として確かめることは3つに絞れます。相手の国籍と旅券の種類が免除の条件に合っているか、滞在日数がその国の上限(15日・30日・90日)に収まっているか、日本での活動に報酬が伴わないか、です。
このうちどれか1つでも外れるなら、在外公館での短期滞在ビザ、あるいは在留資格認定証明書による就労ビザの手順に切り替えることになります。筆者は、特に報酬の有無を先に詰めておくことを勧めています。日数や旅券は本人の申告で確かめられますが、報酬の扱いは会社と本人の間の契約の組み方で決まり、入国した後では直せないからです。JESTAの導入が近づけば、ビザ免除国の人を呼ぶ場合にも出発前の準備期間を見込む必要が出てきます。在留資格全体の選び方は外国人を採用できる在留資格の種類一覧も参考にしてください。
関連するコラム
- 短期滞在に在留カードはない?上陸許可シールの見方と住民票・口座・携帯
- 数次ビザとは|日本の商用・文化人・一般の発給条件と有効期間、招へい理由書
- 短期滞在ビザ申請書(査証申請書)の書き方|記入例と滞在予定表
根拠資料
- ビザ免除国・地域(短期滞在)(外務省・2025年9月1日更新)
- ビザ(査証)(外務省)
- 在留資格「短期滞在」(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法 第5条・第7条・第14条・第20条・別表第一(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 別表第二(令和8年法務省令第48号による改正後、2026年9月1日施行)(e-Gov法令検索)
- 令和8年入管法等改正法について(出入国在留管理庁)
- 改正法の概要(JESTA(電子渡航認証制度)の創設等)(出入国在留管理庁)
在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。