招へい理由書は、海外の家族や友人を短期滞在で日本に呼ぶとき、日本側の招へい人が作成して申請人に送り、申請人が現地の日本大使館・総領事館(在外公館)に査証申請書と一緒に提出する外務省様式の書類です。審査で読まれるのは「招へい目的」「招へい経緯」「申請人との関係」の3つの欄で、書き方のコツは、日付・場所・回数・人名を入れて、第三者が読んでも関係と目的を具体的に思い描ける文章にすることに尽きます。「観光のため」「親交を深めるため」といった一行だけの記載は、何も説明していないのと同じに読まれます。
招へい理由書とは|誰が書き、どこに出すのか
ここでいう招へい理由書とは、査証を申請する外国人(申請人)を日本に招く人(招へい人)が、なぜ、どんな関係の相手を、何のために呼ぶのかを在外公館に説明する書面を指します。短期滞在の査証は外務省の在外公館が発給するもので、出入国在留管理庁(入管)に出す書類ではありません。入管が関わるのは、査証を持って来日した申請人が空港で上陸審査を受ける段階からです。
提出の流れは次のとおりです。
- 日本側の招へい人が、招へい理由書、滞在予定表、(必要な場合は)身元保証書と住民票・所得の証明などを用意する
- 書類一式を海外の申請人に郵送またはデータで送る
- 申請人が、旅券、査証申請書、写真、本人側の資料とあわせて在外公館(国によっては指定の代理申請機関)に提出する
招へい理由書が必要になるのは、査証が必要な国籍の人を、親族訪問・知人訪問などの目的で呼ぶ場合です。査証免除の対象国の人は、観光や親族訪問であれば査証申請そのものが不要です。中国、フィリピン、ベトナム、ロシア、CIS諸国・ウクライナ・ジョージアの国籍の人については、外務省が国籍別の提出書類のページを設けており、それ以外の国は「手続の概要」で必要書類を確認する仕組みになっています。どの書類が必要かは国籍と目的で変わるため、短期滞在ビザの必要書類|観光・親族訪問・知人訪問・商用の目的別で目的別に整理しています。
2020年11月3日から、招へい理由書と身元保証書は押印・署名が不要な新様式に変わりました(在上海日本国総領事館の案内など)。現在の様式に押印欄はありません。
招へい人と身元保証人の組み合わせ
招へい理由書とセットで問題になるのが身元保証書です。ここでいう身元保証人とは、申請人の滞在費や帰国旅費を負担し、日本の法令を守らせることを在外公館に対して約束する人を指します。身元保証書の様式には「滞在費」「帰国旅費」「法令の遵守」の3項目が並び、外務省の提出書類一覧表は、この保証項目が1つでも欠けていると書類不備になると注意しています。
旅費や滞在費を誰が負担するかで、日本側が用意する書類が変わります。申請人が自分で費用を払える場合は、申請人側で所得や預金の資料を出し、日本側は招へい理由書と滞在予定表を中心に用意します。日本側が費用を負担する場合は、身元保証人が身元保証書に加えて、住民票や課税証明書・納税証明書など、負担できる経済力を示す資料を出します。組み合わせは次の3通りです。
- 招へい人と身元保証人が同じ人:もっとも多い形で、たとえば日本に住む子が親を呼び、費用も負担する場合
- 招へい人と身元保証人が別の人:招へい人は日本に住む恋人、費用の負担はその親、という場合など
- 身元保証人がいない:申請人が自分で費用を払う場合(国籍によっては身元保証書が求められることがあります)
どの形でも、招へい理由書に書く目的・経緯・関係は、実際に申請人を招く招へい人の立場で書きます。
招へい理由書の様式とダウンロード
様式は外務省の「ビザ(査証)」のページから入手できます。一次有効の査証用の「招へい理由書(1次)」と、数次査証用の「招へい理由書(数次)」があり、どちらもPDFで公開されています。外務省の提出書類一覧表(2025年4月版)は、住民票や課税証明書などの証明書類について、発行後3か月以内(有効期間のあるものはその期間内)のものを提出するよう定めています。招へい理由書そのものも、作成日が申請日から離れすぎないように準備してください。
申請人が2人以上いる場合は、招へい理由書には代表者の情報を書き、別紙の「申請人名簿」に全員の国籍・職業・氏名・性別・生年月日と、招へい人・身元保証人との関係を記入して添付します。
上段の書き方|作成日・宛先・招へい人・申請人
上段は事実を正確に書き写す欄です。
- 作成日:提出直前の日付を書く
- 宛先:申請人が申請する在外公館を「在○○日本国大使」または「在○○日本国総領事」の形で書く(フィリピンなら「在フィリピン日本国大使」など)
- 招へい人:日本の住所、氏名、電話番号。会社・団体として招へいする場合は、会社名、担当者の所属と氏名、電話番号も書く
- 査証申請人:国籍、職業、氏名、性別、生年月日
申請人の氏名は、必ず旅券のアルファベット表記どおりに書きます。旅券と1文字でも違うと、別人の書類として扱われるおそれがあります。
招へい目的の書き方と例文
招へい目的は、日本に来て何をするのかを書く欄です。様式には「今回招へいするに至った目的、経緯の詳細について記入してください」と注記されています。滞在予定表と内容が一致していることが前提です。
疑われやすい書き方と、同じ内容を具体的にした書き方を並べると、違いがはっきりします。
| 関係 | 抽象的で疑われやすい例 | 具体的な例 |
|---|---|---|
| 家族(妻の両親) | 観光と親族訪問のため | 2026年12月に出産予定の妻の出産と産後の生活を手伝ってもらうため、妻の母を招へいします。出産予定病院は福岡市南区の○○病院で、滞在中は私たちの自宅に同居します |
| 友人 | 友人と日本を旅行するため | 大学時代の留学先で知り合った友人と、2027年3月10日から15日間、福岡・京都・東京を一緒に旅行するため招へいします。旅程は別添の滞在予定表のとおりです |
| 恋人 | 交際相手に会うため | 結婚を前提に交際している相手を、私の両親と兄に紹介するため招へいします。2027年1月3日に福岡市の実家で家族との顔合わせを予定しています |
抽象的な例が弱いのは、審査官が「本当にその目的なのか」を確かめる手がかりが何も書かれていないからです。具体的な例には、いつ、どこで、誰と、何をするかが入っており、滞在予定表や添付資料と照らし合わせて確認できます。
避けたいのは、就労を疑わせる表現です。「家業の店を手伝ってもらう」「引越しの作業を手伝ってもらう」のような記載は、短期滞在で認められない報酬を受ける活動や就労を連想させます。家族が出産や病気の世話で来日する場合は、「生活の手伝い」「家事の手伝い」のように家庭内の支援であることが分かる書き方にし、仕事や店の手伝いと混同されないようにします。短期滞在では働けないことを含め、在留資格ごとの就労の可否は外国人を採用できる在留資格の種類一覧で整理しています。
招へい経緯の書き方と例文
招へい経緯は、なぜ今回、この時期に招へいすることになったのかを書く欄です。目的と混同されやすいのですが、目的が「来日して何をするか」なら、経緯は「そうなったいきさつ」です。
家族の例文は次のとおりです。
私(招へい人)は2023年にフィリピン国籍の妻と婚姻し、福岡市で暮らしています。妻は2026年12月に第一子を出産する予定です。妻の両親はまだ一度も日本に来たことがなく、初孫の誕生に立ち会いたいと強く希望していること、妻も産後の生活に母親の手助けを望んでいることから、義母を出産予定日の2週間前から約8週間招へいすることにしました。
友人の例文は次のとおりです。
申請人とは、私が2019年から2020年にかけてベトナムのハノイ大学に留学していた際、同じ日本語クラブで知り合いました。帰国後もSNSと月1回程度のビデオ通話で交流を続けています。2025年に私が申請人の結婚式に招かれてハノイを訪れた際、次は日本を案内すると約束しており、申請人の勤務先の長期休暇に合わせて今回招へいすることになりました。
恋人の例文は次のとおりです。
申請人とは2025年8月、私がセブ島を旅行した際に語学学校の講師として知り合いました。帰国後はほぼ毎日メッセージのやり取りとビデオ通話を続け、2025年12月と2026年5月に私がセブを訪れて会っています。2026年5月の訪問時に結婚の意思を確認し合い、婚姻手続に進む前に私の両親に紹介したいと考え、今回招へいすることにしました。
どの例文も、出会った時期と場所、その後の交流の手段と頻度、今回の時期を選んだ理由が入っています。恋人を呼ぶ場合、外務省のフィリピン国籍者向けの案内は、写真・手紙・メール・通話記録など交流を証する資料を求めています。経緯に「2回会った」と書いたなら、その2回の渡航が分かる航空券の控えや写真を添えると、書いたことが裏づけられます。
申請人との関係の書き方と例文
申請人との関係は、招へい人から見た続柄や関係を書く欄です。企業・団体が招へいする場合は、会社・団体名と役職名を書くよう様式に注記があります。
- 家族:「妻の母」「私の弟」のように、招へい人から見た続柄を書く。義理の親族は「妻の母」と書き、単に「母」と書かない
- 友人:「友人(2019年、ハノイ大学留学時に知り合う)」のように、関係の始まりを括弧で添える
- 恋人:「婚約者」「交際相手(2025年8月から交際)」と書き、婚約していない段階で「婚約者」と書かない
関係の欄に書いた続柄は、戸籍謄本や出生証明書など、関係を証明する資料と一致している必要があります。「妻の母」と書いたのに、関係を示す資料が妻の出生証明書しかなければ、妻と義母の親子関係は証明できても、招へい人と妻の婚姻関係を示す戸籍謄本が抜けていることになります。
疑われやすい記載のパターン
在外公館が招へい理由書で確かめたいのは、申請人が申告どおりの目的で来日し、期限内に帰国するかどうかです。審査の基準は公表されていませんが、筆者が書類作成の段階で直すよう勧めているのは次のような記載です。
- 目的が一行だけで、滞在予定表と結びつかない
- 経緯に日付がなく、関係がいつから続いているのか分からない
- 滞在日数が目的に比べて長すぎる(旅行目的で上限の90日を希望するなど)
- 経緯の内容と、添付した写真や通話記録の時期が合わない
- 就労や長期滞在を連想させる表現(「日本での生活に慣れてもらう」「仕事を探す」など)がある
逆に言えば、目的と経緯と関係の3欄が、滞在予定表と添付資料の両方と矛盾なくつながっていれば、招へい理由書の役割は果たせています。美しい文章である必要はなく、事実を順に並べた文章で十分です。
よくある質問
招へい理由書はダウンロードできますか?
外務省の「ビザ(査証)」のページから、一次有効の査証用と数次査証用の2種類をPDFでダウンロードできます。国籍別の提出書類のページ(中国、フィリピン、ベトナムなど)にも同じ様式へのリンクがあります。在外公館によっては独自の様式を案内している場合があるため、申請人が申請する公館のページもあわせて確認してください。
招へい理由書は誰が書きますか?
日本側の招へい人が書きます。招へい人は、申請人を日本に招く日本人や日本に住む外国人、または会社・団体です。招へい人と身元保証人が同じ人の場合は、招へい理由書の招へい人欄を「省略」と記入できる扱いが様式に示されています。身元保証書の書き方は短期滞在ビザの身元保証書の書き方|保証人の条件・責任と記入例で扱います。
招へい理由書は英文で書くのですか?
様式は日本語で作られており、日本側の招へい人が日本語で書くのが一般的です。申請人の氏名だけは、旅券どおりのアルファベットで書きます。申請人本人が内容を理解できるよう、英訳などを別に渡しておくと、在外公館での面接で聞かれたときに説明が食い違うことを防げます。
招へい理由書に押印やサインは必要ですか?
2020年11月3日以降、招へい理由書と身元保証書の押印・署名は不要になっています。現在外務省が公開している様式にも押印欄はありません。申請の際は、外務省のページから最新の様式をダウンロードして使うのが確実です。
招へい理由書はどこに出しますか?
日本の入管ではなく、申請人が住む国にある日本大使館・総領事館に、申請人が査証申請書と一緒に提出します。国によっては、大使館が指定した代理申請機関を通して提出する仕組みになっています。フィリピンは2025年4月7日から日本ビザ申請センターでの受付となり、認定旅行会社での受付は2025年4月6日で終了しています(在フィリピン日本国大使館)。
招へい理由書は、滞在予定表と添付資料の「要約」として書く
招へい理由書は、単独で読まれる書類ではありません。在外公館の審査官は、招へい理由書に書かれた目的を滞在予定表で確かめ、経緯を写真や通話記録で確かめ、関係を戸籍謄本や出生証明書で確かめます。その意味で、招へい理由書は他の書類の要約であり、要約に書いたことは本文のどこかに裏づけがなければなりません。
書く順番としては、先に滞在予定表と添付資料をそろえ、そこから招へい理由書の3欄を書き起こすと、矛盾が生じにくくなります。個別の事情で求められる資料が変わることもあるため、書類が整わない場合や、過去に査証を不発給とされたことがある場合は、申請前に専門家に相談してください。来日後に滞在を延ばす必要が生じた場合の期間更新は、入管の手続になります。福岡の入管の窓口案内は福岡出入国在留管理局への行き方・予約方法にまとめています。
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根拠資料
- ビザ(査証)(外務省)
- 招へい理由書(1次)様式(外務省・PDF)
- 招へい理由書(数次)様式(外務省・PDF)
- 「一次有効の短期滞在」査証申請のための提出書類一覧表(外務省・2025年4月版)
- フィリピン国籍の方の短期滞在査証の申請(外務省・2025年4月7日更新)
- en/11000001_01834.html”>Regarding the Opening of the Japan Visa Application Centre(在フィリピン日本国大使館・2025年3月19日)
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