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短期商用ビザで海外の取引先を招へい|会社が作る招へい理由書と例文

短期商用ビザとは、海外の会社に所属したまま、日本での商談、会議、契約調印、アフターサービス、市場調査などのために90日以内で来日する人が取得する「短期滞在」の査証です。日本の会社が海外の取引先を招へいする場合、会社は招へい理由書と滞在予定表を作り、渡航費用を負担するなら身元保証書と、法人の登記事項証明書(登記簿謄本)または会社・団体概要説明書を加えます。上場企業は会社四季報の写しで代えられます。以下では、会社が招へい人になるときの書類の作り方を、例文と滞在予定表の記入例で示します。

短期商用ビザとは|就労ビザとの違い

ここでいう短期商用ビザは法律上の名前ではなく、在留資格「短期滞在」のうち、商用目的で発給される査証の通称です。入管法別表第一の三は、短期滞在の活動を「本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動」と定めています。商用はこのうち「業務連絡その他これらに類似する活動」に当たります。

就労ビザとの違いは、日本で報酬を受けるかどうかです。短期滞在の人は、入管法19条1項2号により、報酬を受ける活動が一切できません。短期商用は、海外に職業活動の基盤があり、その会社の業務として日本に出張してくる、という構図を前提にしています。海外の所属先から給与が払われ続けていることは問題になりません。日本の会社から日本での作業の対価を受け取る、日本の現場で作業員として働く、という形になれば、技術・人文知識・国際業務などの就労資格が必要です。

短期商用として認められやすい活動は、次のようなものです。

  • 取引先との商談、契約の交渉・調印
  • 本社・グループ会社の会議への出席
  • 見本市・展示会への出展や視察、工場の見学
  • 日本の顧客に販売した機械の据付指導や修理(売買契約に付随するアフターサービス)
  • 市場調査、宣伝活動

研修・技術指導・日当の線引きは、判断に迷う場面が多いので短期滞在で研修・会議・技術指導はできる?報酬が出ると就労になる線引きで詳しく整理しています。

査証が要らない国の取引先を呼ぶ場合

日本と査証免除措置を結んでいる国・地域の人は、短期商用でも査証を取る必要がありません。アメリカ、韓国、台湾、シンガポール、欧州の多くの国などが対象です。この場合、会社が在外公館向けの書類を作る必要はなく、取引先は空港の上陸審査で渡航目的を説明すれば入国できます。

ただし、査証免除は「日本で報酬を受ける活動をしない」ことが前提です。上陸審査で目的を聞かれたときに説明できるよう、会議の案内や日程表を取引先に渡しておくと安心です。査証免除の対象国と日数は、外務省の「ビザ免除国・地域」のページで確認できます。

会社が招へいするときに必要な書類

外務省の「一次有効の短期滞在査証の申請」(2025年4月版)は、短期商用の書類を、申請人(取引先)が用意するものと日本側(招へい機関)が用意するものに分けています。

用意する側 書類 条件
申請人 旅券、査証申請書、写真、航空便の予約確認書 全員
申請人 出張命令書・派遣状など商用を証する書類、在職証明書 全員
日本側 招へい理由書 全員
日本側 滞在予定表 全員
日本側 取引契約書・会議資料など活動を明らかにする書類 全員
日本側 申請人名簿 2人以上で申請する場合
日本側 身元保証書 日本側が渡航費用を負担する場合
日本側 法人登記簿謄本(登記事項証明書)または会社・団体概要説明書 日本側が渡航費用を負担する場合(上場企業は会社四季報の写し、個人の招へいは在職証明書で可)

証明書類は発行後3か月以内のもの(有効期間があるものはその期間内)を出します。査証の審査にかかる時間は、申請内容に特に問題がなければおおむね1週間です。中国、フィリピン、ベトナムなど一部の国籍は、外務省が国籍別の書類一覧を設けているため、そちらを優先して確認します。

費用負担の有無で書類が変わる点が、会社の実務では最も大事な分かれ目です。航空券とホテル代を自社で持つなら身元保証書と会社の資料が必要になり、取引先が自社の出張旅費で来るなら不要になります。見積りの段階で、どちらが費用を負担するのかを取引先と決めておくと、書類の準備が二度手間になりません。

招へい理由書の書き方と例文(商用)

招へい理由書は外務省の様式(PDF)を使います。2020年11月3日からは押印・署名が不要な様式に変わっており、押印欄はありません。上段には、作成日、宛先(「在○○日本国大使」または「在○○日本国総領事」)、招へい人、申請人の情報を書きます。会社が招へい人になる場合は、会社名、所在地、電話番号に加えて、担当者の所属と氏名を書きます。申請人の氏名は旅券のアルファベット表記どおりに書きます。

中身で見られるのは「招へい目的」「招へい経緯」「申請人との関係」の三つの欄です。在外公館は、この三つが滞在予定表や添付資料と食い違っていないかを確認します。以下は、福岡の食品メーカーがベトナムの原料供給業者の担当者を招く場合の例文です。

招へい目的の例文

当社(株式会社○○食品、福岡市)とベトナムの原料供給業者である△△社との間で、2027年度の冷凍エビの年間供給契約を締結するため、同社の営業部長である申請人を招へいします。滞在中は、当社本社での契約条件の最終協議と契約書への調印、当社粕屋工場における受入れ検査工程の見学を予定しています。

目的の欄は、「商談のため」の一言で終わらせず、何の取引か、日本で何をするかを具体的に書きます。滞在予定表の各日の行動と一致させるのが基本です。

招へい経緯の例文

当社は2023年から△△社より冷凍エビを輸入しており、年間取引額は約○○円です。これまでの協議はオンライン会議で行ってきましたが、2027年度から取引量を拡大するにあたり、品質基準と検査方法を当社工場で直接確認したうえで契約書に調印したいとの双方の意向により、今回の来日を依頼しました。

経緯の欄では、取引の始まりと今回の来日が必要になった理由をつなげて書きます。取引実績があるなら年数や取引規模を書き、根拠として取引契約書や請求書の写しを添付します。初めての取引なら、展示会での接触、見積りのやり取りなど、関係ができた経過を書きます。

申請人との関係の例文

取引先(当社の原料供給業者△△社の営業部長)

関係の欄は簡潔でかまいません。「取引先」「親会社の社員」「業務提携先の技術者」など、会社同士の関係と申請人の立場が分かる書き方にします。

招へい理由書に書かないほうがよいのは、「当社の工場で作業を手伝ってもらう」「当社の社員に技術を教えてもらい謝礼を払う」といった、日本での役務の提供を思わせる表現です。実際にそうした活動が予定されているなら、書き方の問題ではなく在留資格の選び方の問題になります。

滞在予定表の書き方

滞在予定表は、日ごとの行動予定と宿泊先を書く書類です。商用の場合は、会議・商談・見学の時間と場所を具体的に書くことで、招へい理由書の内容を裏付けます。

日付 行動予定 連絡先 宿泊予定先
1日目 ハノイ発、福岡空港着。ホテルへ移動 当社総務部 担当者 ○○ホテル福岡
2日目 当社本社にて契約条件の協議(10時〜16時) 当社購買部 担当者 同上
3日目 当社粕屋工場にて受入れ検査工程の見学(9時〜12時)、午後は協議の継続 同上 同上
4日目 当社本社にて契約書調印(10時)、夕刻に歓迎会 同上 同上
5日目 福岡空港発、ハノイ着 ― ―

観光の日を入れてもかまいませんが、商用の日程より観光が長いと、渡航目的が商用なのかという疑問を招きます。商用の予定が終わった後に1〜2日の観光を加える程度であれば、そのまま書いて問題ありません。

身元保証書と会社の資料の作り方

日本側が渡航費用や滞在費を負担する場合は、身元保証書を出します。身元保証書には「滞在費」「帰国旅費」「法令の遵守」の三つの保証項目があり、外務省の書類一覧は、一項目でも欠けていると書類不備になると注意しています。会社が費用を持つ場合は、招へい理由書の招へい人と身元保証人の名義(会社と担当者)が食い違わないようにそろえます。

あわせて、会社の実在と支払能力を示す資料として、次のいずれかを出します。

  • 法人登記簿謄本(登記事項証明書):法務局の窓口やオンライン請求で取得する。発行後3か月以内のもの
  • 会社・団体概要説明書:外務省の様式。会社名、代表者氏名、所在地、資本金、年商、従業員数、事業内容、沿革、国内外の支店等の一覧、「招へいにおける相手方との関係(取引・交流関係及び経緯)」を記入する
  • 会社四季報の写し:上場企業の場合

会社案内のパンフレットは、上記の代わりにはなりませんが、事業内容を補足する資料として添えることはできます。取引の実在を示すために、取引契約書、発注書、請求書の写しなども、日本側が用意する「活動を明らかにする書類」として添付すると、招へい理由書の経緯の欄を裏付けられます。

報酬を払ってはいけない範囲

会社が取引先を招く場面で注意が要るのは、お金の出し方です。航空券・宿泊費・現地交通費・食事代を会社が負担することは、実費の補填であり報酬には当たりません。これに対し、日本での作業日数に応じて支払う、成果物と引き換えに支払う、滞在費の実額を大きく超える日当を支払う、という形は、名目にかかわらず役務の対価と評価されやすくなります。

例外として、入管法施行規則19条の3は、業として行うものではない講演・講義・助言などへの謝金を報酬から除いています。取引先の技術者に一度だけ社内セミナーで講演してもらい謝礼を払う、という程度であれば、この除外に当たりえます。毎月の顧問料のように反復して払う場合は当たりません。

短期滞在の人に報酬を受ける活動をさせると、本人は資格外活動(入管法73条、専ら行っている場合は70条1項4号)に、会社は不法就労助長罪(73条の2。現行は3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金、2027年4月1日から5年以下・500万円以下)に問われる可能性があります。社内の研修や作業への参加を予定しているなら、来日前に活動の中身を点検してください。個別の事情で判断が変わる部分なので、迷う場合は計画の段階で専門家に確認するのが確実です。不法就労助長罪の全体像は不法就労助長罪とは?で扱っています。

滞在期間と手数料、2026年の変更点

短期滞在の在留期間は、2026年9月1日施行の入管法施行規則の改正(令和8年法務省令第48号)により、90日以内で日単位の指定もできるようになりました。商用の日程が数日で終わる場合でも、上陸時に決まる在留期間の範囲内で滞在できます。

査証手数料は、外務省の2026年6月24日の発表により、2026年7月1日から一次有効が約15,000円、数次有効が約30,000円に改定されています(国によって減免・別額があります)。頻繁に来日する取引先には、商用目的の数次査証を検討する余地があります。

短期滞在の延長は、病気など予定外の事情がある場合に限って認められるもので、商談が長引いたという理由では通常認められません。長期の滞在が見込まれるなら、最初から日程を見直すか、別の在留資格を検討します。

よくある質問

商用ビザとは何ですか?

日本での商談、会議、契約調印、アフターサービス、市場調査などのために、90日以内で来日する人に発給される短期滞在の査証です。法律上の名前は「短期滞在」で、日本で報酬を受ける活動はできません。

商用ビザと就労ビザの違いは何ですか?

日本で報酬を受けて働けるかどうかです。短期商用は、海外の会社に所属したまま、その業務として日本に出張する活動に限られます。日本の会社に雇われる、日本で作業の対価を受けるといった場合は、技術・人文知識・国際業務などの就労ビザが必要です。

短期商用ビザで日本に滞在できる期間は?

90日以内です。在留期間は上陸許可のときに決まり、2026年9月1日からは90日以内で日単位の指定もできるようになりました。90日を超える滞在や、延長を前提にした日程は、短期商用では組めません。

短期商用ビザで報酬はもらえるのか?

日本の会社から、日本での作業の対価として報酬を受け取ることはできません。海外の所属先からの給与、日本側が負担する航空券・宿泊費などの実費は問題になりません。業として行わない講演・助言への謝金は、施行規則19条の3の除外に当たりえます。

会社が取引先を招へいする場合、身元保証書は必ず必要ですか?

日本側が渡航費用や滞在費を負担する場合に必要です。取引先が自社の費用で来日する場合は、招へい理由書と滞在予定表などを出せば足り、身元保証書と会社の登記事項証明書・会社概要は不要です。

書類より先に、取引先と「誰が払うか」を決める

会社が取引先を招へいするときの書類は、費用を誰が負担するかと、日本で何をしてもらうかの二点でほぼ決まります。費用を会社が持つなら身元保証書と会社の資料が加わり、日本での活動が会議・商談・見学・アフターサービスに収まるかどうかで、短期商用で足りるかが決まります。

実務の順番としては、取引先と日程・費用負担を決め、滞在予定表を先に作り、それに合わせて招へい理由書の目的と経緯を書く、という流れが最も食い違いが起きにくいと筆者は考えます。取引先に送る書類一式は、申請人側の書類(出張命令書、在職証明書)と合わせて在外公館で一体として読まれることを前提に、内容をそろえてください。家族や知人を呼ぶ場合の招へい理由書は招へい理由書の書き方と例文|家族・友人・恋人を呼ぶときの記入例、在留資格の全体像は外国人を採用できる在留資格の種類一覧で解説しています。

根拠資料


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