介護ビザ(在留資格「介護」)の更新で入管に出す書類は、在留期間更新許可申請書、写真、所属機関の代表者に関する申告書、住民税の課税(又は非課税)証明書と納税証明書の4点が基本で、転職して初めての更新のときだけ、労働条件を明示する文書と勤務先の概要がわかる文書が加わります。書類の数は就労系の在留資格の中でも少ないほうです。そのぶん、書類に出てこない勤務の実態、報酬、介護福祉士の登録の状態に問題があると、追加資料の提出を求められたり、在留期間が短くなったりします。この記事では、出入国在留管理庁の提出書類一覧を起点に、施設の人事担当者が更新の前に手元で確かめておくべき点をチェックリストの形で整理します。
更新の必要書類は4点が基本、転職後の初回だけ2点増える
出入国在留管理庁の在留資格「介護」のページ(2026年9月確認)が示す在留期間更新許可申請の提出書類は、次のとおりです。
| 区分 | 書類 | 部数 |
|---|---|---|
| 全員 | 在留期間更新許可申請書(写真貼付) | 1通 |
| 全員 | パスポート・在留カード | 提示 |
| 全員 | 所属機関の代表者に関する申告書(参考様式) | 1通 |
| 全員 | 住民税の課税(又は非課税)証明書・納税証明書(1年間の総所得と納税状況が記載されたもの) | 各1通 |
| 転職後の初回更新のみ | 労働基準法15条1項・同法施行規則5条に基づく労働条件を明示する文書 | 1通 |
| 転職後の初回更新のみ | 勤務先の概要を明らかにする文書(登記事項証明書、法人の概要がわかる資料など) | 1通 |
「所属機関の代表者に関する申告書」は、2026年4月15日以降の申請から新たに求められるようになった書類です。勤務先の代表者が日本人・特別永住者かどうかを申告し、それ以外の場合は代表者の氏名と在留カード番号などを書きます。施設側が作成する書類なので、更新のたびに本人から依頼を受けて記入することになります。
住民税の証明書は、住んでいる市区町村で取得します。1月1日時点の住所地で課税されるため、年の途中で引っ越した人は前の市区町村で取る必要がある場合があります。入管は証明書を発行日から3か月以内のものに限っています。外国語の書類には日本語訳が必要です。
入管庁は同じページで、提出書類がそろっていない申請は「大幅に審査が遅れる、または不利益処分となり得る可能性」があると注意しています。書類が少ないからといって、欠けていてよいわけではありません。
在留期間は5年・3年・1年・3月、何年もらえるかは審査で決まる
在留資格「介護」の在留期間は、入管法施行規則別表第二で「5年、3年、1年又は3月」と定められています。更新の回数に上限はありません。介護福祉士として働き続け、要件を満たしている限り、何度でも更新できます。この点が、通算5年が上限の特定技能1号(介護)との最も大きな違いです。特定技能側の制度は特定技能「介護」とは?で解説しています。
どの期間を与えるかの基準は入国・在留審査要領に定められていますが、開示版には黒塗りがあり、介護についての具体的な線引きは外部から確かめられません。就労系の在留資格で一般に考慮されるのは、入管法上の届出義務を果たしているか、学齢期の子を学校に通わせているか、世帯の主たる生計維持者が納税しているか、勤務先の規模や雇用契約の期間はどうか、といった要素です。技人国での考え方は技人国の在留期間5年・3年・1年はどう決まる?で整理しており、介護にもおおむね同じ発想が当てはまると筆者は考えています。介護固有の基準があるかどうかは現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。
在留期間が何年になるかは、本人の生活だけでなく施設の人員計画にも関わります。1年の許可が続くと毎年更新の手間がかかり、手数料も毎回かかります。永住許可の申請では「現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること」が要件で、当面は3年を最長とみなす運用がとられています。永住を目指す職員にとって、3年以上の許可を得ることは次の段階への条件でもあります。
手数料と申請の時期
2026年10月1日から、在留期間更新の手数料は許可される在留期間に応じた金額に変わります。出入国在留管理庁のリーフレットによれば、1年の許可は窓口33,000円(オンライン27,000円)、3年以上5年未満は窓口64,000円(オンライン56,000円)、5年以上は窓口75,000円(オンライン65,000円)、3月以下は10,000円です。2026年9月30日までに受け付けられた申請は、改定前の窓口6,000円(オンライン5,500円)です。手数料は申請時ではなく許可を受け取るときに収入印紙で納めます。改定の詳細は在留資格の更新手数料はいつから上がる?を参照してください。
申請は在留期間の満了日のおおむね3か月前から受け付けられます。入管庁が公表する更新の標準処理期間は2週間から1か月です。満了日までに申請していれば、処分が出るまで、または満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日までは、従前の在留資格のまま在留し、働き続けることができます(入管法20条6項、いわゆる特例期間)。
申請先は住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で、福岡県内に住む人なら福岡出入国在留管理局です。本人が出頭するほか、申請取次の資格を持つ行政書士に依頼する方法と、オンライン申請があります。オンライン申請は所属機関の職員が利用者登録をして行うこともできます。
介護福祉士の登録に有効期限がある人がいる
介護の更新で最も見落とされやすいのが、介護福祉士の登録そのものの状態です。在留資格「介護」は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づいて登録を受けた介護福祉士であることが前提です。登録が効力を失えば、更新の前提が崩れます。
ここで問題になるのが経過措置登録です。公益財団法人社会福祉振興・試験センターの案内によれば、平成29年4月1日から令和14年3月31日までに介護福祉士養成施設を卒業した人は、国家試験に合格していなくても、卒業した年度の翌年度から5年間は介護福祉士として登録されます。この5年の間に国家試験に合格するか、5年間続けて介護等の業務に従事すれば、6年目以降も登録が続きます。ただし、令和9年(2027年)4月1日以降に卒業する人は、業務に従事した年数による継続は認められず、国家試験の合格が必須になります。業務従事によって登録を続ける場合は、登録の有効期限から14日以内に試験センターへ届出書類を出す必要があります。
更新の時期と登録の有効期限が近い職員については、次の点を確かめてください。
- 登録証に有効期限の記載があるか(経過措置登録かどうか)
- 有効期限までに国家試験を受ける予定があるか、合格しているか
- 業務従事による継続を使う場合、5年間の継続従事を証明できるか、14日以内の届出をしたか
- 期限後の更新申請で、有効期限が解除されたことを示す書類を用意できるか
経過措置登録の人が5年以内に合格できず、継続要件も満たせなかった場合、在留資格「介護」は続けられません。特定技能「介護」への変更などを検討することになりますが、特定技能1号は通算5年の上限があり、家族滞在の家族を呼び続けることもできなくなります。登録の期限は採用時点から逆算して管理するのが安全です。養成施設ルートと実務経験ルートの違いは在留資格「介護」とは?介護福祉士の要件と養成施設・実務経験ルートで解説しています。
勤務実態で見られるのは「介護又は介護の指導」に就いているか
在留資格「介護」で認められる活動は、本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が「介護又は介護の指導を行う業務」に従事する活動です(入管法別表第一の二)。更新の審査では、前回の許可から今日までの間、実際にこの業務に就いていたかが問われます。
施設の人事担当者が迷いやすいのは、配置転換や役職の変更です。ユニットリーダーや主任になり、新人指導やシフト管理の比重が増えても、介護の現場に関わっている限り「介護の指導」に当たります。一方、介護業務から離れ、送迎の運転や清掃、事務だけを専らの担当にしている場合は、在留資格の活動から外れている可能性があります。
在留資格「介護」は、特定技能や技能実習と違って、働ける施設の種類に在留資格上の制限がありません。訪問介護、夜勤を含む入所施設、グループホーム、派遣先での就労も、介護業務である限り対象になります。そのため、就労の場所が変わったこと自体は問題になりにくい一方で、雇用主が変わった場合の届出と、転職後初回の更新で出す書類が重要になります。
もう一つの論点は、活動をしていない期間です。入管法22条の4第1項6号は、在留資格に応じた活動を正当な理由なく継続して3か月以上行っていない場合を、在留資格の取消事由としています。長期の休職や、退職後に次の勤務先が決まらない期間がある人は、更新の際にその理由と期間を説明できるようにしておきます。産前産後休業や育児休業、病気療養は正当な理由として説明しやすい事情です。
報酬は「日本人と同等額以上」を課税証明書で確認される
上陸許可基準は、在留資格「介護」について「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」を求めています。更新の審査でこれを直接示すのが住民税の課税証明書です。前年1年間の総所得が載るため、雇用契約で約束した給与が実際に支払われていたかが数字で見えます。
課税証明書の所得が雇用契約から想定される額より大きく下回る場合、入管は理由を確認しようとします。年の途中で入社した、育児休業を取った、長期の欠勤があった、などの事情があれば、その旨を申請書の余白や別紙で説明しておくと審査が滞りにくくなります。
報酬の比較対象は、同じ施設で同じ業務に就く日本人の介護福祉士です。基本給だけでなく、資格手当、夜勤手当、処遇改善加算の配分も含めて比べられます。筆者は、処遇改善加算の配分から外国人職員だけを外す運用は「同等額以上」の観点で説明がつきにくいと考えています。施設の賃金規程と、外国人職員の給与明細を並べて確かめておくことを勧めます。
更新の前に施設側で確かめるチェックリスト
入管に出す書類は4点でも、審査で追加資料を求められたときに困らないよう、施設側では次の資料を手元に置いておくと安全です。これは入管が一律に求める書類ではなく、筆者が確認を勧める控えの一覧です。
| 確認する点 | 手元に置く資料 |
|---|---|
| 介護福祉士の登録 | 登録証の写し(有効期限の有無)、国家試験の合格証書、経過措置の届出控え |
| 勤務の実態 | 雇用契約書、労働条件通知書、配属先と職務内容がわかる辞令、勤務形態一覧表(シフト表) |
| 報酬 | 賃金台帳、給与明細、賃金規程、処遇改善加算の配分方法がわかる資料 |
| 休職・欠勤 | 休業の期間と理由がわかる書類(育児休業の申出書、診断書など) |
| 届出 | 所属機関に関する届出の控え(転職・契約終了があった場合) |
| 公的義務 | 住民税、国民健康保険料・国民年金保険料(社会保険未加入期間がある場合)の納付状況 |
公的義務の履行は、在留期間更新の「相当の理由」の中で見られる要素です。住民税を普通徴収で納めている職員や、転職の間に国民健康保険・国民年金に入っていた職員は、未納がないかを本人と確認してください。考え方は在留期間更新の「相当の理由」とはで解説しています。
転職した職員の更新で気をつけること
在留資格「介護」の人が勤務先を変えた場合、本人は14日以内に出入国在留管理庁長官へ所属機関に関する届出(契約の終了と新たな契約の締結)を出さなければなりません(入管法19条の16)。届出を怠ると、20万円以下の罰金の対象になるほか、更新の審査で届出義務の不履行として評価されます。
転職後の初回更新では、労働条件通知書と新しい勤務先の概要がわかる資料を出します。新しい勤務先で「介護又は介護の指導」に就いているか、報酬が日本人と同等以上かを、この時点で改めて審査されるということです。転職のたびに「就労資格証明書」の交付を受けておくと、新しい勤務先での活動が在留資格に当たることを事前に確認できます。受入れ側の施設としては、前の勤務先での退職日と入社日の間が3か月を超えていないか、前職の在職中の給与が課税証明書にどう出ているかも確かめておくと、初回更新の準備が早く進みます。
よくある質問
介護ビザの更新に必要な書類は?
在留期間更新許可申請書、写真、パスポートと在留カードの提示、所属機関の代表者に関する申告書、住民税の課税(又は非課税)証明書と納税証明書です。転職後の初回更新だけ、労働条件を明示する文書と勤務先の概要を明らかにする文書が加わります。証明書は発行日から3か月以内のものを出します。
介護ビザの在留期間は何年ですか?
5年、3年、1年、3月のいずれかです。更新の回数に上限はありません。どの期間が許可されるかは、届出義務や納税の状況、勤務先の状況などを踏まえて審査で決まります。
介護ビザの更新はいつから申請できますか?
在留期間の満了日のおおむね3か月前から申請できます。満了日までに申請すれば、結果が出るまで(最長で満了日から2か月)は引き続き働けます。2026年10月1日以降は手数料が許可期間に応じた額に上がるため、費用の見込みも早めに立てておきます。
経過措置で介護福祉士になった人も更新できますか?
登録が有効である限り更新できます。卒業した年度の翌年度から5年の有効期限内に国家試験に合格するか、5年間の継続従事で登録を続ける必要があります。2027年4月1日以降の卒業者は国家試験の合格が必須です。
介護ビザで永住権は取れますか?
在留資格「介護」は、永住許可のガイドラインが求める「就労資格又は居住資格で引き続き5年以上」の在留に数えられます。原則10年の在留、公的義務の期限内履行、最長の在留期間(当面は3年でも可)を持っていることなども必要です。
次の更新を「3年以上」に近づけるために
在留資格「介護」の更新は、書類が少ない反面、施設と本人の日頃の管理がそのまま審査に表れる手続きです。介護福祉士の登録の有効期限、介護の現場から離れた配置になっていないか、日本人職員と同じ基準で給与を払っているか、届出と税・保険料を期限内に済ませているか。この4点を採用の時点から記録に残しておけば、更新の準備は申請書と証明書の取得だけで済みます。
許可の可否と在留期間は、個別の事情で判断が変わります。休職期間が長い、転職の間が空いた、登録の期限が迫っているといった事情がある場合は、満了日の3か月前を待たずに準備を始めてください。
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根拠資料
- 在留資格「介護」(出入国在留管理庁)
- 在留期間更新許可申請(出入国在留管理庁)
- 介護福祉士経過措置登録の手続きについて(公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則(e-Gov法令検索)
- 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(e-Gov法令検索)
- 永住許可に関するガイドライン(出入国在留管理庁)
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