企業内転勤の在留期間は、5年・3年・1年・3月のいずれかです(出入国在留管理庁 在留資格「企業内転勤」ページ)。どれが決定されるかを左右する要素のうち、会社が直接動かせるのが転勤の予定期間です。入国・在留審査要領は、就労予定期間が「1年以下」なら1年、「1年を超え3年以内」なら3年という区切りを置いています(第12編(開示版)16-5〜16-6)。そのため、辞令に書いた転勤期間がそのまま在留期間の判断材料になります。
企業内転勤は「期間を定めて転勤して」行う活動なので、期間の記載がない辞令では要件そのものを示せません。更新では、申請時と同じ事業所で働き続けていること、報酬が日本人と同等額以上であること、課税証明書の収入額が契約時の金額どおりであることが確認されます(16-4)。転勤計画を最初の申請の段階で書面に落としておくことが、更新まで見通した準備になります。
この記事でわかること
- 5年・3年・1年の在留期間が決まる基準(16-5〜16-6)
- 技人国の在留期間との違いと、審査要領の読めない部分
- 「期間を定めて転勤」の意味と、転勤期間の示し方
- 更新で確認される3つの事項
- 更新の処理期間と、令和8年10月からの手数料
在留期間は5年・3年・1年・3月
審査要領第16節の在留期間の表は、OCRの崩れが大きく、一部が判読できません(開示版は一部黒塗りを含むスキャンです)。読み取れる範囲を整理すると、次のとおりです。
| 期間 | 決定される場合(16-5〜16-6の読み取れる範囲) |
|---|---|
| 5年 | 次の①②⑤のすべてに当たり、かつ③④のいずれかに当たるもの。①住居地・所属機関等の届出義務を履行している(上陸時は適用しない)、②学齢期の子がいれば小中学校等(インターナショナルスクール等を含む)に通学している(上陸時は適用しない)、③契約機関がカテゴリー1・2、④企業内転勤で一定の在留期間を決定されており、引き続き5年以上企業内転勤の活動を行っている(決定済みの期間の文言は判読困難で原本で確認が必要)、⑤就労予定期間が3年を超える |
| 3年 | 5年の①②と③④のいずれかに当たり、就労予定期間が1年を超え3年以内のもの。5年を決定されていた者が更新時に5年の①②のいずれかを満たさず、就労予定期間が1年を超えるもの。5年・1年・3月のいずれにも当たらないもの |
| 1年 | 契約機関がカテゴリー4、3年・1年を決定されていた者が更新時に5年の①②のいずれかを満たさない、職務上の地位・活動実績・所属機関の活動実績等から在留状況を1年に1度確認する必要がある、就労予定期間が1年以下、のいずれか |
| 3月 | 表の該当部分が判読できず、原本で確認が必要 |
ここでいうカテゴリーとは、受入れ機関を規模や納税実績で4段階に分け、提出書類の量や審査の重さを変える区分を指します。カテゴリー1・2は上場企業や、前年の給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上の機関などで、カテゴリー4は法定調書合計表を提出していない機関などです。入管庁のQ&A(令和8年7月、Q8)も、在留期間は就労予定期間、活動実績、公的義務の履行状況、契約機関の規模・実績を総合して決めると説明しています。
表の注には、在留期間を短くする方向の事情も書かれています。
審査要領ではこう書かれている
申請人が納税を始めとする各種の公的義務を履行していない場合は、当該義務不履行の態様等を勘案し、在留の可否、許可する場合の在留期間を検討することとなる。
中長期在留者からの在留期間更新許可申請時においては、就労予定期間が残り3月未満の場合であっても、中長期在留者から除外されることのないよう、原則として「3月」ではなく「1年」を決定する。
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第16節 第1の6「在留期間」注1・注4(16-6)
後段は転勤の終盤に効いてきます。転勤期間の残りが3か月を切った時点で更新する場合でも、原則は1年が決定され、在留カードを持つ中長期在留者の立場が保たれます。なお、注の2(刑事処分)は判読でき、注3は判読できません。
技人国の在留期間と同じではない
企業内転勤の表は、技人国の表(15-20〜15-22)とほぼ同じ構成ですが、就労予定期間の区切りの文言が違います。技人国では3年が「1年以上3年以内」、1年が「1年未満」とされているのに対し、企業内転勤では3年が「1年を超え3年以内」、1年が「1年以下」です。文言どおりに読むと、転勤期間がちょうど1年の場合、企業内転勤では1年の欄に入ります。
もう一つの違いは、技人国の節にある柔軟な運用の記述です。技人国では、在留資格の決定時や初回の更新でも、1年後に確認しなければならない具体的な事情がない限り3年(5年に当たるなら5年)を決定するとされています(15-20〜15-21)。企業内転勤の節に同じ趣旨の記述があるかは、該当部分の判読ができず確認できません【要確認】。技人国の在留期間の決まり方は技人国の在留期間5年・3年・1年はどう決まる?カテゴリーと審査要領の基準で扱っています。
「期間を定めて転勤」とは何を示すことか
審査要領ではこう書かれている
「期間を定めて転勤して」とは、本邦の事業所での勤務が一定期間に限られていることを意味する。
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第16節 第1の2(2)ウ(16-2)
在留資格決定時の審査のポイントでも、申請書の派遣・就労予定期間欄と立証資料で「期間を定めて転勤するものであること」を確認するとされています(16-4)。期間の定めは、在留期間を決める材料であると同時に、企業内転勤の在留資格該当性そのものにかかわる要素です。期間の記載がない辞令や、帰任の予定がまったく読み取れない書面では、この要件を示せません。
一方、期間が限られていれば長さに上限があるかというと、審査要領の読み取れる範囲に通算の上限は書かれていません。5年の要件④が「引き続き5年以上」企業内転勤の活動を行っている者を想定していることからも、更新を重ねて日本での勤務が長くなること自体は予定されています。
転勤計画を書面にするときの要点
入管庁の提出書類一覧(令和8年4月1日運用開始)は、活動内容を示す資料として、同じ法人内の転勤なら転勤命令書・辞令、法人が異なる転勤なら労働条件を明示する書面を挙げています。筆者は、これらの書面に少なくとも次の事項が入っているかを確認しています。
- 転勤の開始日と終了予定日(「○年○月○日から○年○月○日まで」の形)
- 転勤先の事業所名と所在地(企業内転勤は転勤した特定の事業所でしか活動できない)
- 日本での職務内容と職務上の地位
- 日本で受ける報酬の額と支払者
- 発令者(転勤元か、転勤元と日本の事業所の連名か)
延長の可能性があるなら、「業務の状況により延長することがある」と書き添えるのは差し支えないと筆者は考えます。避けるべきなのは、終了予定日を書かずに延長の余地だけを残す書き方です。発令者の欄は、後に国内の別の事業所へ異動させる場面で、転勤元の関与を示す根拠にもなります(16-12)。その扱いは企業内転勤中に日本国内の別の支店・グループ会社へ異動できるかで扱っています。
更新で確認される3つの事項
審査要領ではこう書かれている
ア 申請書の勤務先又は活動先欄の記載及び立証資料により、申請時の事業所と同一の事業所において活動を継続するものであることを確認する。
イ 申請書の給与・報酬欄の記載から、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることを確認する。
ウ 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書により、収入額が契約時の金額であること及び納税が行われていることを確認する。
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第16節 第1の4(2)「在留期間の更新時」(16-4)
ここで重要なのは、アの「同一の事業所」という論点です。技人国の更新が「技人国の活動を継続していること」を確認するのと違い、企業内転勤の更新は、転勤した当該事業所で働き続けていることを確認します。途中で勤務先の事業所が変わっていれば、それが転勤元の関与のもとでの異動なのかを説明する必要が出てきます(16-12)。
イとウは報酬の実績の確認です。住民税の課税証明書に表れる収入が、申請時に示した報酬額と合わなければ、理由の説明を求められます。給与の一部を海外の転勤元が支払っている場合は、この点の設計が要になります。支払い方ごとの注意点は企業内転勤ビザの給与は海外親会社払いでもよい?報酬要件と契約の考え方で扱っています。
更新全般の考慮事項として、入管庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」(令和8年6月最終改正)は、納税義務等の履行と入管法上の届出義務の履行を挙げています。届出義務の履行は5年の在留期間の要件①でもあり、住居地や所属機関の届出を怠ると、在留期間が短くなる方向に働きます。
更新の処理期間と手数料
在留期間更新許可申請の標準処理期間は2週間〜1か月です(在留期間更新許可申請の手続ページ)。実績では、令和8年7月許可分の企業内転勤の更新は、告知までの平均が39.6日でした(在留審査処理期間)。同じ月の企業内転勤の認定は平均37.8日、変更は13.0日です。在留期限までに更新を申請していれば、処分が期限後になっても、処分の時か期限から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、従前の在留資格で在留できます(入管法20条6項、21条4項)。
手数料は、令和8年10月1日から、許可される在留期間に応じた額に改定されます。
| 許可される在留期間 | 窓口 | オンライン |
|---|---|---|
| 3月以下 | 10,000円 | 10,000円 |
| 1年 | 33,000円 | 27,000円 |
| 3年以上5年未満 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 75,000円 | 65,000円 |
改定前は窓口6,000円・オンライン5,500円で、令和8年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降でも旧手数料です。オンライン申請の支払いはコンビニ決済か銀行決済で、別に決済手数料(330円、3年以上は550円)がかかります(入管庁 在留許可手数料の改定のページ)。表にない区分も含めた一覧は【2026年10月確定】在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?永住20万円・企業負担を解説にまとめています。
転勤期間が終わった後も日本で働くなら
転勤期間を終えた社員を、そのまま日本法人の社員として雇い続けたいという相談もあります。日本法人に籍を移せば、海外の事業所からの転勤に当たらなくなるため、企業内転勤の更新では対応できず、技人国などへの在留資格変更を検討することになります。企業内転勤には学歴要件がない一方、技人国には学歴または実務経験の要件があるため、帰任の予定日より前に本人の経歴を確認してください。
よくある質問
Q. 企業内転勤の在留期間は何年ですか?
5年・3年・1年・3月のいずれかです。どれになるかは、転勤の予定期間(就労予定期間)、受入れ機関のカテゴリー、届出義務の履行状況などで決まります。就労予定期間が1年以下なら1年、1年を超え3年以内なら3年が目安の区切りです。
Q. 転勤期間を定めずに企業内転勤を申請できますか?
できません。企業内転勤は「期間を定めて転勤して」行う活動で、審査要領は日本の事業所での勤務が一定期間に限られていることを意味すると説明しています。辞令などで転勤期間を示す必要があります。
Q. 企業内転勤の更新では何を確認されますか?
申請時と同一の事業所で活動を続けていること、報酬が日本人と同等額以上であること、住民税の課税証明書と納税証明書で収入額が契約時の金額どおりで納税されていることが確認されます。
Q. 転勤期間が延長になった場合はどうすればよいですか?
延長後の転勤期間を示す辞令などをそろえ、在留期限までに在留期間更新許可申請をします。延長後の就労予定期間が、次に決定される在留期間の判断材料になります。
次の更新に向けて今すること
まず、現在の辞令に転勤の開始日・終了予定日・転勤先の事業所が書かれているかを確認してください。書かれていなければ、次の申請までに転勤元の発令で書面を整えます。次に、本人の課税証明書と納税証明書を取り寄せ、収入額が申請時に示した報酬と合っているかを確かめます。延長が決まっているなら、延長後の期間が1年以下か、1年を超え3年以内か、3年を超えるかを意識して辞令の期間を決めてください。
根拠資料
- 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第16節 企業内転勤 第1の2(2)ウ(16-2)、第1の4(16-4)、第1の6「在留期間」(16-5〜16-6)、第2の4(16-12)
- 同 第15節 技術・人文知識・国際業務 第1の6「在留期間」(15-20〜15-22)
- 出入国在留管理庁 在留資格「企業内転勤」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/intracompanytransfee.html)/提出書類(https://www.moj.go.jp/isa/content/001457117.pdf)
- 出入国在留管理庁 就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)(https://www.moj.go.jp/isa/content/001344550.pdf)
- 出入国在留管理庁 在留期間更新許可申請(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html)
- 出入国在留管理庁 在留審査処理期間(令和8年7月許可分)(https://www.moj.go.jp/isa/content/001470530.pdf)
- 出入国在留管理庁 令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について(https://www.moj.go.jp/isa/01_00644.html)
- 出入国在留管理庁 在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html)