定住者の在留資格を持つ人は、「定住者」の在留資格で5年以上継続して日本に在留していれば、原則10年の在留を待たずに永住許可を申請できます。根拠は出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン」(2026年2月24日改訂)の特例で、2026年8月4日に公表された改定案でもこの5年は変わっていません。ただし、特例で短くなるのは在留年数だけです。素行善良、独立生計、税金・年金・医療保険料の期限内納付、現在の在留期間が最長であることといった他の要件は、定住者にもそのまま求められます。5年の数え方は「日本に来てから」ではなく「定住者の許可を受けてから」である点が、実務で最も誤解されやすいところです。
定住者の永住申請の条件|特例は在留年数だけを短くする
永住許可の要件は、入管法22条2項の「素行が善良であること」「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」の3つです。3つ目の国益要件の中身として、ガイドラインは原則10年の在留(うち就労資格または居住資格で5年以上)、罰金刑などを受けていないこと、公的義務の適正な履行、最長の在留期間、上陸許可基準等への適合、公衆衛生上の問題がないことを挙げています。
このうち原則10年の在留について、ガイドラインは8つの特例を置いており、その1つが「『定住者』の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること」です。
整理すると、定住者が永住申請をするための条件は次のとおりです。
| 要件 | 定住者に求められる内容 |
|---|---|
| 在留年数 | 「定住者」の在留資格で5年以上継続して在留(特例) |
| 素行善良 | 法律を守り、住民として社会的に非難されない生活(交通違反の回数なども見られる) |
| 独立生計 | 公共の負担にならず、将来も安定した生活が見込めること(世帯単位で判断) |
| 公的義務 | 住民税・国税、公的年金・公的医療保険の保険料を期限内に納めていること、入管法上の届出をしていること |
| 最長の在留期間 | 定住者の最長は5年。2027年3月31日までは在留期間「3年」でも最長として扱われる |
入管法22条2項ただし書は、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子について素行善良要件と独立生計要件を免除していますが、定住者であることだけではこの免除は受けられません。日系3世や離婚定住の人は、原則どおり2つの要件を満たす必要があります。
5年の起算点|「定住者」の許可を受けた日から数える
ガイドラインの文言は「『定住者』の在留資格で5年以上継続して」です。ここから読み取れる起算点は、定住者の在留資格を受けた日、つまり海外から来た人は上陸許可の日、日本国内で他の在留資格から変更した人は変更許可の日です。定住者より前に持っていた在留資格の期間は、この5年に数えられません。
具体的な場面で考えると、違いがはっきりします。
- 日系3世として海外から「定住者」で上陸した人:上陸許可の日から5年
- 日本人と結婚して「日本人の配偶者等」で在留し、離婚後に「定住者」へ変更した人:定住者への変更許可の日から5年(配偶者として在留した期間は数えない)
- 家族滞在で在留していた子が、高校卒業後に「定住者」へ変更した人:変更許可の日から5年
ここで重要なのは、定住者の5年に数えられない期間も、原則10年のルートでは在留期間に数えられることです。原則10年の要件は「引き続き10年以上本邦に在留」で、在留資格の種類は問いません(うち5年以上を就労資格または居住資格で在留していればよく、日本人の配偶者等も定住者も居住資格に当たります)。日本人の配偶者等で6年在留した後に離婚し、定住者になって2年という人は、定住者特例ではあと3年待つことになりますが、原則10年のルートなら通算8年で、あと2年です。どちらの条件に早く届くかを、両方のルートで数えてみることをお勧めします。
「継続して」の意味にも注意が必要です。再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けずに出国すると、在留資格がそこで消えるため、帰国後に新たに定住者の上陸許可を受けても、5年は最初から数え直しになります。再入国許可を受けた出国であっても、1回の出国が長い、または出国の合計日数が多い場合は、日本に継続して在留しているとは評価されにくくなります。出入国在留管理庁は日数の基準を公表していません。再入国の仕組みは再入国許可とみなし再入国許可の違いで解説しています。
5年は申請の日の時点で満たしている必要があります。審査中に5年に達する見込みで先に申請するという扱いは、ガイドラインの文言からは想定されていません。
離婚定住と告示定住で違ってくる点
定住者には、法務省の告示に列挙された類型(告示定住)と、告示にない事情で個別に許可された類型(告示外定住)があります。永住申請の条件の条文は同じですが、どの類型の定住者かによって、つまずきやすいところが違います。定住者の類型の全体像は定住者ビザとは?告示定住と告示外定住の違い・要件・在留期間と手数料で整理しています。
離婚定住・死別定住(告示外定住)
日本人や永住者の配偶者と離婚・死別した後に定住者へ変更した人は、告示外定住です。告示外定住の在留期間は、施行規則別表第2で「5年を超えない範囲内で法務大臣が個々に指定する期間」とされており、変更直後は1年を指定されることが少なくありません。永住申請の時点では最長の在留期間(2027年3月31日までは3年でも可)を持っている必要があるため、定住者で5年在留していても、在留期間が1年のままでは要件を満たしません。
離婚定住の人にとって、もう一つの論点は独立生計です。婚姻中は配偶者の収入で世帯の生計を示せましたが、離婚後は本人の収入が中心になります。子を監護養育しながら働いている場合は、世帯の収入と扶養家族の人数の関係で見られます。直近5年分の課税証明書で収入の推移が確認されるため、離婚直後の収入が少ない時期が5年の中に含まれると、その後の収入の安定を説明する必要が出てきます。離婚後に定住者へ変更する際の判断基準は離婚後の定住者ビザ|日本人配偶者と離婚・死別後に日本に残る4つの類型と条件で解説しています。
告示定住(日系3世、定住者の配偶者・子など)
日系3世(告示3号)や、定住者の配偶者(告示5号)、未成年で未婚の実子(告示6号)などは告示定住です。告示定住の在留期間は、施行規則別表第2で5年・3年・1年・6月とされています。
日系3世で成人の人が、2回目以降の更新で在留期間5年を希望する場合は、一定の日本語能力の証明が求められる運用になっています。在留期間が3年のまま2027年4月1日を迎えると、ガイドラインの経過措置が終わり、最長の在留期間として5年が必要になります。永住申請を考えている日系3世は、次の更新で5年を取れる準備(日本語能力の証明)を進めておくことが、実質的な申請要件になります。
告示6号で親に呼び寄せられた子や、家族滞在から定住者に変わった若い人は、本人の収入がまだ少ないことがあります。出入国在留管理庁の定住者向け提出書類一覧は、職業や所得・納税の資料を「申請人又は申請人を扶養する方」について求めており、扶養者を含む世帯で独立生計を示す形が想定されています。
見落とされやすいのが、親の在留資格が変わった場合です。告示6号で来日した子の外国人の親が、その後に永住者になった場合、子は「永住者の実子」に当たる可能性があります。ガイドラインは、日本人・永住者・特別永住者の実子等について「引き続き1年以上本邦に在留」で足りる特例を置いているため、定住者の5年を待つより早く申請できる場合があります。この場合は入管法22条2項ただし書により、素行善良要件と独立生計要件も免除されます。
必要書類|定住者用のチェックシートを使う
出入国在留管理庁は、永住許可申請の提出書類を申請人の在留資格ごとに分けて案内しており、定住者には専用のページと「提出書類チェックシート(定住者)」「永住許可申請セルフチェックシート(「定住者」用)」があります。セルフチェックシートは、1つでも「いいえ」に当たれば不許可の可能性が高いとされ、申請書類と一緒に提出するよう求められています。
主な提出書類は次のとおりです。
- 永住許可申請書、写真(縦4cm×横3cm)
- 理由書(永住許可を必要とする理由を自由な形式で)
- 身分関係を証明する資料(戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書、認知届の記載事項証明書などのいずれか)
- 申請人を含む世帯全員の住民票(マイナンバーは省略、他の事項は省略なし)
- 申請人または扶養者の職業を証明する資料(在職証明書、確定申告書控えの写しなど)
- 直近5年分の住民税の課税(非課税)証明書と納税証明書、住民税を適正な時期に納めたことを示す資料(通帳の写し・領収証書など。5年間すべて給与天引きの人は不要)
- 国税の納税証明書(その3)(源泉所得税、申告所得税、消費税、相続税、贈与税の5税目)
- 直近2年間の公的年金・公的医療保険の保険料の納付状況を示す資料(被保険者記録照会回答票、ねんきんネットの画面、国民年金保険料の領収証書の写しなど)
- 預貯金通帳の写しなど資産を証明する資料
- 身元保証書と身元保証人の身分事項を明らかにする書類
- 了解書
- 旅券と在留カードの提示
住民税の証明は、日本人・永住者の配偶者の申請では直近3年分(実子等は1年分)とされているのに対し、定住者の申請では就労資格の人と同じ直近5年分です。同じ身分系の在留資格でも、定住者は配偶者より長い期間の納付履歴を見られることになります。離婚定住の人は、配偶者として在留していた時期の住民税もこの5年に入る場合があるため、婚姻中に配偶者の扶養に入っていた年の証明がどうなっているかも確認してください。国民年金や国民健康保険に加入していた期間がある人は、その期間の領収証書の写しをすべて出す必要があり、提出できない場合は理由書を添えます。納付期限を過ぎてから納めた記録があると、申請時に完納していても消極的に評価されるため、領収証書の日付を申請前に確認してください。
手数料と2026年の見直し
永住許可の手数料は、2026年10月1日以後に申請して許可を受ける人から20万円になり、許可を受けるときに納めます。9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の1万円です。手数料の改定の経緯は在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?で解説しています。
2026年8月4日に公表されたガイドライン改定案では、定住者の特例(5年)は変わっていません。一方で、独立生計要件に世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準を求めること、日本語能力(B1相当以上)を考慮要素とすることが示されています。日本語能力については、高度人材とその家族、初等・中等教育を累計6年以上受けた人などを除くとされ、定住者を一律に除く記載はありません。改定案は、改定は2027年4月1日以降の申請から適用し、収入などに関する一部の項目は改定日から6か月前の日以降の申請で改定日に審査中の案件にも適用するとしています。改定の確定内容と改定日は、2026年9月29日時点で公示されておらず現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。改定の全体像と企業への影響は【2026年10月改定】永住許可の要件厳格化で何が変わる?で扱っています。
よくある質問
定住者から永住者になる条件は?
「定住者」の在留資格で5年以上継続して在留していることに加え、素行が善良であること、独立して生計を営めること、税金・年金・医療保険料を期限内に納めていること、現在の在留期間が最長であること(2027年3月31日までは3年でも可)が必要です。
定住者は何年で永住申請できますか?
定住者の許可を受けた日から5年です。定住者になる前の在留期間(日本人の配偶者等、家族滞在など)はこの5年に数えませんが、原則10年のルートでは数えられるため、通算の在留年数が長い人は10年のルートのほうが早く届く場合があります。
定住者と永住者の違いは何ですか?
定住者は在留期間(最長5年)が決まっており、期限ごとに更新が必要です。永住者は在留期間の制限がなく、更新の審査もありません(在留カードの有効期間の更新は必要です)。どちらも就労の制限はありません。
定住者の子どもは永住申請できますか?
子が自分自身で定住者として5年以上在留していれば、特例により申請できます。親が永住者になっている場合は、子が永住者の実子として1年以上の在留で申請できる可能性があり、素行善良要件と独立生計要件も免除されます。
定住者の永住申請に必要な書類は?
出入国在留管理庁の定住者用のページに一覧があり、申請書・写真・理由書・身分関係の資料・住民票・職業の証明・直近5年分の住民税の証明・国税の納税証明書(その3)・直近2年分の年金と医療保険の納付資料・資産の資料・身元保証書・了解書が中心です。定住者用のセルフチェックシートも一緒に提出します。
申請の時期を決める前に数える2つの年数
定住者の人が永住申請の時期を考えるときは、定住者の許可日から数えた年数と、日本に来てから途切れずに在留している年数の2つを、並べて数えることから始めてください。そのうえで、現在の在留期間が3年以上か(2027年4月以降は5年か)、直近5年の住民税と直近2年の年金・医療保険料に納付遅れがないかを確認します。年数が足りていても、在留期間が1年のままであったり、国民年金の納付が期限を過ぎていたりすれば、そこで止まります。
外国人社員が定住者で働いている会社にとって、永住申請は社員本人の手続ですが、在職証明書の発行や、転職直後の申請を避ける時期の相談には会社が関わります。個別の事情で判断が変わるため、在留歴が複雑な人は申請前に専門家に相談してください。
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根拠資料
- 永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)(出入国在留管理庁)
- 永住許可申請(申請人の方が「定住者」の在留資格である場合)(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)
- 永住許可に関するガイドライン改定(案)(e-Govパブリック・コメント・2026年8月)
- 令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について(出入国在留管理庁)
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