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研修ビザとは|実務研修ができない原則と公的研修の例外、技能実習・技人国との違い

研修ビザ(在留資格「研修」)は、外国人が日本の企業や機関に受け入れられて、帰国後に母国で使う技能や知識を学ぶための在留資格です。働く資格ではないため報酬は受けられず、民間企業が受け入れる場合にできるのは、座学や見学、模擬ラインでの実習などの「非実務研修」だけです。生産ラインに入って製品を作る、店頭で接客するといった「実務研修」を含められるのは、国・地方公共団体・JICAなどが関わる公的な研修に限られます。海外の関連会社の社員に日本の現場で実際に仕事をしながら学ばせたいなら、研修ビザでは足りず、企業内転勤や技能実習(2027年4月からは育成就労)など、別の在留資格を検討することになります。

研修ビザとは|入管法別表第一の四の在留資格

入管法別表第一の四は、研修の活動を「本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動」と定めています。括弧書きで技能実習1号と留学の活動が除かれており、技能実習や学校での教育に当たるものは研修には含まれません。

在留資格の分類では、留学・家族滞在などと同じ「四の表」に置かれています。四の表の在留資格は、就労を目的としない活動のための在留資格です。

項目 内容
活動 日本の公私の機関に受け入れられて行う技能等の修得
在留期間 1年・6月・3月(診療用粒子線照射装置の臨床修練外国医師等は2年もあり)
報酬 受けられない(生活費に充てる研修手当の支給は想定されている)
上陸許可基準 あり(基準省令の8項目)
家族の帯同 家族滞在の対象外
申請先 受入れ機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署

家族滞在の在留資格は、別表第一の一・二・三の表の在留資格と留学の在留資格で在留する人の扶養家族が対象で、研修は含まれていません。研修生が家族を日本に呼ぶ道は、原則としてありません。

取得条件|基準省令が定める8項目

研修ビザの取得条件は、上陸許可基準(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令)の研修の項に定められています。要約すると次の8項目です。

  1. 修得しようとする技能等が、同じ作業の反復だけで修得できるものでないこと
  2. 18歳以上で、帰国後に日本で修得した技能等を使う業務に就く予定であること
  3. 住んでいる地域では修得することが不可能または困難な技能等であること
  4. 受入れ機関の常勤職員で、その技能等について5年以上の経験がある人の指導の下で研修が行われること
  5. 実務研修を含む場合は、国・地方公共団体・JICAなど、公的な要素を持つ研修に当たること(5号イ〜チ)
  6. 受入れ機関またはあっせん機関が、帰国旅費の確保など帰国担保措置を講じていること
  7. 受入れ機関が研修の実施状況の文書を作成し、研修を行う事業所に備え付けて、研修終了の日から1年以上保存すること
  8. 実務研修を含む場合は、実務研修の時間が研修全体の3分の2以下であること(一定の場合は4分の3以下、5分の4以下)

このうち2と3が、研修の趣旨である「母国への技能移転」を具体化した要件です。帰国後の職務を示す資料として、申請では帰国後に研修で学んだ技能等を要する業務に従事することの証明書を提出します。日本でしか学べない理由と、帰国後にどの職務で使うのかを、研修計画と一貫した形で説明できるかどうかが審査の中心になります。

実務研修ができない原則|「実務研修」とは何か

ここでいう実務研修とは、基準省令5号の定義によれば、商品の生産や販売をする業務、または対価を得て役務を提供する業務に従事することにより技能等を修得する研修を指します。商品の生産に関する業務では、生産機器の操作の実習も含まれます。ただし、商品を生産する場所や時間とあらかじめ区分された場所・時間で行う実習は除かれます。

出入国在留管理庁が2012年3月30日に公表した「パッケージ型インフラの海外展開に係る在留資格『研修』における『非実務研修』の範囲の明確化について」は、判断の基準を次のように説明しています。

「実務研修」か否かは,講義形式か否か等により決まるものではなく,研修生の行う作業が企業等の商品の生産又は有償の役務提供の過程の一部を構成するか否かにより判断されます。

つまり、教室で行うか現場で行うかは関係がありません。研修生の作業が、売り物を作る工程や、お金をもらって行うサービスの一部になっているかどうかで決まります。

非実務研修として認められる例

同じ公表資料は、非実務研修に当たる例を具体的に挙げています。

  • 日本語教育や労働安全衛生の講習など、座学による研修
  • 生産ラインの見学(研修指導員などが作業しているところを視察し、口頭で指導を受ける)
  • 試作品の製造。工場敷地内の別棟の研修センターで行う場合、生産区域と明確に区分された模擬ラインを使う場合、通常のラインを一定の時間区分して研修専用に使い、それが第三者にもわかる状態で行う場合
  • 顧客を相手にしない接客の模擬訓練(会議室や閉店後の店舗でのロールプレイング)
  • マンツーマン指導の下での短時間の作業で、客観的に見て生産活動に従事しているとは認められないもの

試作品は、商品として販売されないことが前提です。研修生以外の人が少し点検や仕上げをすれば商品になるものは、試作品に当たりません。

公的研修の例外|実務研修を含められる7つの場面

基準省令5号は、実務研修を含めることができる場合を次のように限定しています。

号 研修の実施主体・資金
イ 国・地方公共団体の機関、独立行政法人が自ら実施する研修
ロ 独立行政法人国際観光振興機構(JNTO)の事業として行われる研修
ハ 独立行政法人国際協力機構(JICA)の事業として行われる研修
ニ 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)技術センターの事業として行われる研修
ホ 国際機関の事業として行われる研修
ヘ 国・地方公共団体・特殊法人・独立行政法人などの資金により主として運営される事業として行われる研修で、受入れ機関が宿泊施設・研修施設・生活指導員・保険・安全衛生措置の5条件を満たすもの
ト 研修生が外国の国・地方公共団体などの常勤職員で、受入れ機関がヘの5条件を満たすもの
チ 外国の国・地方公共団体の指名に基づき、日本の国の援助・指導を受けて行う研修で、研修生が現地で技能を普及する業務に就いており、受入れ機関がヘの5条件を満たすもの

民間企業が自社の費用だけで受け入れる研修は、このどれにも当たりません。そのため民間企業の研修は、非実務研修だけで組み立てる必要があります。実務研修を含む場合でも、実務研修の時間は研修全体の3分の2以下に抑えなければなりません(8号)。4か月以上の実務研修を予定する場合や、来日前6か月以内に海外で1か月以上・160時間以上の関連する事前研修を受けた場合は、4分の3以下、両方に当たれば5分の4以下まで認められます。

研修手当と報酬|給与は払えない

研修ビザの外国人に、給与や労働の対価としての報酬を払うことはできません。報酬を受ける活動をすれば資格外活動になり、研修生本人は入管法違反、受入れ機関は不法就労助長罪(入管法73条の2)に問われるおそれがあります。

一方、研修生の日本での生活費に充てるための研修手当を支給することは想定されています。出入国在留管理庁が申請書類として示す「研修生処遇概要書」の参考書式には、入国・帰国の渡航費、研修手当(1人1月当たり)、宿泊施設、研修費(教材費・施設費・講師費)の欄があり、それぞれを受入れ機関、送出し機関、研修生本人などの誰が負担するかを記入します。研修手当が生活の実費を大きく超え、実質的に労働の対価と見られる額であれば、研修の実態が疑われます。

研修時間についても、法務省入国管理局が2006年3月に公表した「再研修及び交代制による研修に係る要件の明確化について」は、研修は労働者と同様の活動をすべきものではないため、原則として昼間に行い、夜間や早朝の研修は通常認められないとしています。交替制による研修は、合理的な事情がある場合に例外的に認められます。

研修生の所得税と租税条約

研修手当に日本の所得税がかかるかどうかは、研修生の母国と日本の租税条約によって扱いが変わります。多くの租税条約には、事業修習者や研修生が生計・訓練のために国外から受け取る給付を免税とする規定があり、免税を受けるには「租税条約に関する届出書」を提出します。国外からの給付に限るのか、日本の受入れ機関が払う手当も対象になるのかは条約ごとに違うため、個別に確認が必要です(公式資料では未確認)。

研修ビザと技能実習・技人国の採用当初研修の違い

企業が海外の人材に日本で技能を学ばせる方法は、研修ビザだけではありません。目的と研修の中身で、使う在留資格が変わります。

項目 研修 技能実習(2027年4月から育成就労) 技人国の採用当初の研修 短期滞在
目的 母国への技能移転のための学習 実習を通じた技能の修得(育成就労は人材育成と確保) 日本の会社に雇用された社員の業務のための研修 短期の会議・見学・講習など
雇用契約 なし あり あり なし
報酬 不可(研修手当のみ) 日本人と同等以上 日本人と同等以上 不可
実務(生産・接客など) 公的研修を除き不可 可 研修計画の一部として一定期間なら可 不可
期間 1年以内(更新あり) 1号1年・通算最長5年(育成就労は原則3年) 技人国の在留期間の範囲 最長90日

技能実習との一番大きな違いは、雇用契約の有無です。技能実習生は受入れ企業と雇用契約を結ぶ労働者で、労働関係法令が適用され、実習として生産活動に従事できます。研修生は労働者ではないため、生産活動に従事させることはできません。技能実習制度は2027年4月1日に育成就労制度へ移行します。移行の内容は【2027年4月施行】育成就労制度とは?技能実習からの移行で企業がやるべき準備を解説で解説しています。

技術・人文知識・国際業務(技人国)で採用した社員に、入社直後に現場での研修をさせることは、研修が研修計画に基づくもので、在留期間全体から見て一部にとどまるなど一定の条件の下で認められています。これは日本の会社に雇用されて技人国の業務に就く人の話であり、研修ビザとは別の枠組みです。条件は入社後の現場研修は技人国でできる?審査要領が認める「採用当初の実務研修」の条件で扱っています。

海外の関連会社の社員を一定期間日本の事業所に移して働かせる場合は、企業内転勤の在留資格が候補になります。企業内転勤の制度は企業内転勤2号とは?いつから・1号との違い・企業単独型技能実習との関係で解説しています。数日から数週間の見学や会議、講習で、日本側から報酬を払わないなら、短期滞在で足りることもあります。短期滞在でできる研修・会議の範囲は短期滞在で研修・会議・技術指導はできる?報酬が出ると就労になる線引きで扱います。

申請の流れと必要書類

研修ビザの申請は、受入れ機関の職員などが代理人となって、在留資格認定証明書の交付を申請するのが一般的です。出入国在留管理庁が示す主な提出書類は次のとおりです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書、写真
  • 招へい理由書
  • 研修実施予定表(別記様式)
  • 研修生処遇概要書(参考書式)
  • 帰国後、日本で修得した技能等を要する業務に従事することを証する文書
  • 研修生の履歴書
  • 研修指導員の履歴書(5年以上の経験を確認するため)
  • 送出し機関と受入れ機関の概要書
  • あっせん機関がある場合はその資料
  • 実務研修を含む場合は、公的研修に当たることを示す資料と、宿泊施設・保険などの措置を示す資料

在留期間の更新を申請するときは、研修実施予定表に加えて「研修・生活状況等報告書」を提出します。日本で発行される証明書は発行日から3か月以内のもの、外国語の資料には日本語訳が必要です。

再研修は「より上級か関連する技能」に限られる

一度研修を終えて帰国した人が、再び研修ビザで来日することもできます。ただし2006年3月の「再研修及び交代制による研修に係る要件の明確化について」は、再研修を認める条件として、前回より上級の、または関連する異なる技能を学ぶものであり、母国での職務との関係でその必要性が合理的に説明されること、そして前回の研修で学んだ技能を母国で相当の期間活用していることを挙げています。例として、日本で3年間の研修・技能実習を終えて復職し、3か月後に再研修を希望する場合や、復職せずにまったく別の業種に就いた場合は、合理的な理由がなければ再研修は認められないとしています。

よくある質問

研修ビザの在留資格で就労はできますか?

できません。研修は就労を目的としない在留資格で、報酬を受ける活動は認められません。研修の中身も、民間企業が受け入れる場合は座学・見学・模擬ラインでの実習などの非実務研修に限られます。研修生にアルバイトをさせることについても、資格外活動許可は原則として認められない運用とされています(公式資料では未確認)。

研修ビザで給与はもらえますか?

給与はもらえません。受入れ機関などが、研修生の生活費に充てる研修手当や、渡航費・宿泊施設を負担することは想定されており、申請時の研修生処遇概要書にその内容と負担者を記入します。手当が生活の実費を大きく超える場合は、労働の対価と見られるおそれがあります。

研修ビザで在留できる期間は何年ですか?

在留期間は1年・6月・3月のいずれかで、研修計画の期間に合わせて決まります。更新の申請もできますが、研修計画に沿った必要性が求められます。研修で日本に長く在留し続けることは想定されていません。

研修ビザと技能実習ビザの違いは何ですか?

技能実習生は受入れ企業と雇用契約を結ぶ労働者で、報酬を受けながら実習として生産活動などに従事できます。研修生は雇用契約がなく、報酬を受けられず、公的研修を除いて実務研修もできません。技能実習は2027年4月1日から育成就労制度に移行します。

研修ビザの必要書類は?

在留資格認定証明書交付申請書、招へい理由書、研修実施予定表、研修生処遇概要書、帰国後の業務従事を証する文書、研修生と研修指導員の履歴書、送出し機関・受入れ機関の概要書が中心です。実務研修を含む場合は、公的研修に当たることを示す資料などが加わります。

研修の設計が在留資格を決める

研修ビザを検討する企業が最初に決めるべきことは、研修生に何をさせるかです。講義や見学、模擬ラインでの実習で目的が果たせるなら研修ビザを使えます。実際の生産や接客の中で学ばせたいなら、それは研修ビザの枠を超えており、雇用契約を結ぶ在留資格を選ぶべき段階です。

研修ビザは、研修計画・研修指導員・帰国後の職務が一本の線でつながっているかどうかで審査されます。筆者は、研修実施予定表を作る前に、1日ごとの研修内容を「売り物の生産や有償サービスの一部になっていないか」という公表資料の基準で点検することを勧めています。個別の事情で判断が変わる部分もあるため、実務研修との線引きに迷う場合は、申請前に専門家に確認してください。

根拠資料


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