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特定技能「自動車運送業」とは?トラック・タクシー・バスの要件と免許取得の特定活動

特定技能「自動車運送業」とは、トラック、タクシー、バスの運転者として外国人を受け入れる特定技能1号の分野で、2024年3月29日の閣議決定で対象分野に追加されました。運転業務に就くには、評価試験と日本語試験の合格に加えて日本の運転免許(トラックは第一種、タクシー・バスは第二種)が必要で、タクシー・バスはさらに新任運転者研修の修了も求められます。免許を取るまでの期間は、在留資格「特定活動」(特定自動車運送業準備)で在留でき、その期間はトラック6か月、タクシー・バス1年で更新はできません。受け入れる運送事業者の側にも、「働きやすい職場認証」またはGマーク(トラックのみ)の取得という、他の分野にはない要件があります。

特定技能「自動車運送業」の概要|3つの業務区分

自動車運送業分野は、いわゆる「2024年問題」(トラック運転者などへの時間外労働の上限規制の適用)によるドライバー不足を背景に、2024年3月29日に鉄道・林業・木材産業とともに特定技能の対象分野に追加されました。評価試験は2024年12月から始まっており、国土交通省は外国人ドライバーの受入れは可能な状態になっていると説明しています。

業務区分は次の3つです(自動車運送業分野の運用方針 別表)。

業務区分 従事する業務 技能水準 日本語能力
トラック運転者 事業用自動車(トラック)の運転、運転に付随する業務 評価試験(トラック)+第一種運転免許 A2.2相当以上(JLPT N4、JFT-Basic)
タクシー運転者 事業用自動車(タクシー)の運転、運転に付随する業務 評価試験(タクシー)+第二種運転免許+新任運転者研修 B1相当以上(JLPT N3)。一定の措置を講じればA2.2相当でも可
バス運転者 事業用自動車(バス)の運転、運転に付随する業務 評価試験(バス)+第二種運転免許+新任運転者研修 B1相当以上(JLPT N3)。一定の措置を講じればA2.2相当でも可

「運転に付随する業務」の範囲について、国土交通省のQ&Aは、その会社に雇用されている日本人ドライバーが通常業務として行う内容であれば従事させてよいとしています。トラックなら荷積み・荷下ろし、タクシー・バスなら接遇などが含まれます。

受入れ見込数は、国土交通省の制度概要資料で2024年度から2028年度までの5年間に2万2,100人とされています。2024年3月の追加時点では2万4,500人とされており、その後の運用方針の見直しで改められた数字です(見直しの時期は(公式資料では未確認))。

特定技能2号と育成就労の追加について、国土交通省のQ&Aは「現時点では未定」としています。自動車運送業分野は特定技能1号だけの分野で、通算5年の在留期間の上限があることを前提に受入れ計画を立てる必要があります。

事業用自動車(緑ナンバー)に限られる

特定技能外国人が運転できるのは事業用自動車、いわゆる緑ナンバーの車両です。自家用自動車(白ナンバー)での運転業務はできません。国土交通省は、廃棄物を運搬するトラックの運転でも、事業者が受入れ要件を満たしていれば受入れ可能としたうえで、白ナンバーでの業務はできないと明記しています。

軽貨物(黒ナンバー)については扱いが分かれます。受入れ要件を満たした運送事業者が、自社で行っている貨物軽自動車運送事業に特定技能外国人を従事させることは可能です。一方、貨物軽自動車運送事業だけを営む事業者は、働きやすい職場認証とGマークの対象外なので、特定技能外国人を受け入れることができません。

外国人本人の要件|試験・日本語・免許・研修

外国人本人に求められる要件は、次の4つです。

  1. 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック、タクシーまたはバス)の合格
  2. 日本語能力試験の合格(トラックはN4以上またはJFT-Basic、タクシー・バスは原則N3以上)
  3. 日本の運転免許の取得(トラックは第一種、タクシー・バスは第二種)
  4. 新任運転者研修の修了(タクシー・バスのみ)

評価試験は一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が実施しています。試験を受けるには、試験日において有効な日本または外国の運転免許を持っていることが条件です。学習用テキストは、トラックは全日本トラック協会、バスは日本バス協会、タクシーは全国ハイヤー・タクシー連合会のウェブサイトで公開されています。

技能実習2号を良好に修了した人については、職種・作業の種類にかかわらず、トラック分野に限って日本語試験(N4以上)が免除されます。タクシーとバスにはこの特例がありません。

タクシー・バスの日本語要件には例外があります。日本語能力がA2.2相当(N4程度)の人に運転業務をさせる場合でも、事業者がB1相当以上の日本語能力の修得に向けた日本語学習プランを作成し、乗客対応の指導を受けた社員を意思疎通の補助要員として同乗させれば、受入れが認められます。乗合バスについては、離島や半島振興対策実施地域で運転させる場合、地方公共団体との協力や緊急時の通信環境の整備などの措置を講じれば、同乗者なしでもよいとされています。

日本の運転免許は「国際免許」では足りない

国際運転免許証だけを持つ外国人は、特定技能外国人として運転業務に従事することはできません(国土交通省Q&A)。日本の運転免許を取る方法は、指定自動車教習所で教習を受けて取得するか、運転免許センターで外国免許からの切替(外免切替)を行うかのどちらかです。

外免切替には、外国で免許を受けた後、その国に通算して3か月以上滞在していたことが条件になります(警察庁)。海外で日本の免許と同等の免許を持っていても、日本の技能試験の免除といった特例はありません。必要書類には住民票の写しが含まれるため、海外から来日する人は、まず特定活動で入国して住居地を届け出た後に手続を進める流れになります。外免切替は道路交通法施行規則の改正で2025年10月1日から厳しくなり、警視庁などの案内によると、知識確認の問題数が10問から50問に増え、合格基準も50問中45問以上(90%以上)に上がりました。特定活動の期間内に切替を終えられるかどうかは、この知識確認の準備にかかっています。切替に要する期間の見込みは、都道府県の運転免許センターに確認しておく必要があります。トラックドライバーの採用に即した外免切替の段取りは特定技能ドライバーの採用手順|外免切替の厳格化とトラック運転者N4の要件で詳しく扱います。

中型・大型免許や第二種免許の受験資格には、普通免許などでの一定年数の運転経歴が必要です。国土交通省は、海外での運転経歴も加算できるとしていますが、経歴を証明する書類が必要になります。外免切替で第一種大型免許に相当する外国免許を持っている場合も、特定活動の期間中はまず普通免許への切替までを行い、大型免許への切替はその後になると案内されています。

免許取得までの「特定活動」(特定自動車運送業準備)

自動車運送業分野に特有の仕組みが、日本の免許取得と新任運転者研修のための「特定活動」です。出入国在留管理庁は、この在留資格を「特定活動」(特定自動車運送業準備)と呼んでいます。

在留期間はトラック6か月、タクシー・バス1年で更新不可

出入国在留管理庁の案内では、この特定活動の在留期間は、トラック運転者の場合6月、タクシー運転者とバス運転者の場合1年で、在留期間の更新はできません。期間中に日本の免許を取得できなかった場合は、特定技能に移行することはできず、特定活動の延長もできないと国土交通省も明記しています。

この期間は、特定技能1号の通算在留期間(上限5年)に含まれません。免許取得に時間がかかっても、特定技能として働ける5年は削られないということです。

特定活動の期間中に認められる活動は次のとおりです。

  • 運転免許の取得に係る諸手続(自動車教習所への通所を含む)
  • 新任運転者研修の受講(タクシー・バスの場合)
  • 車両の清掃などの関連業務

運送業務そのものに従事することはできません。公道での運転研修(実地訓練)は、運転者の研修または教育の一環として行われ、運送業務としての性質を持たない場合に限って認められます。

本人と受入れ事業者は、免許の取得と新任運転者研修の修了を除き、特定技能1号の申請と同様の要件を満たしている必要があります。つまり、評価試験と日本語試験には入国前に合格し、雇用契約や支援計画も特定技能と同じ水準で整えたうえで、特定活動を申請することになります。受入れ事業者には、雇用契約の変更・終了や支援計画の変更、登録支援機関との委託契約の締結・変更・終了があった場合に、地方出入国在留管理局への報告義務があります。

要件を満たしたら、期間が残っていても直ちに変更申請

免許の取得(タクシー・バスは研修の修了も)を終えたら、特定活動の在留期間が残っていても、速やかに「特定技能1号」への在留資格変更許可を申請しなければなりません。要件を満たしたのに特定活動のまま在留し続けることは認められません。トラックであれば普通免許(または準中型免許)の取得が移行の条件で、変更申請の審査中に中型・大型免許の教習を受けることは差し支えないとされています。

特定活動の在留期間内に変更申請をすれば、審査中に期間が過ぎても、処分がされる時か期間満了から2か月を経過する時のいずれか早い時まで、特例期間として在留できます。

日本にすでに住んでいる外国人(留学生など)の場合は、この特定活動を経由せず、日本の免許を取得してから特定技能への変更を申請するのが原則です。

受入れ事業者の要件|認証とGマーク

受け入れる運送事業者には、特定技能の共通の基準に加えて、次の分野独自の要件があります(運用方針、国土交通省Q&A)。

  • 道路運送法に規定する自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を経営していること
  • 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になること
  • 日本海事協会が実施する「運転者職場環境良好度認証制度」(働きやすい職場認証制度)の認証を受けていること。トラック運送業の場合は、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する安全性優良事業所(Gマーク)を有することでも可
  • タクシー・バスの場合は、受け入れる外国人に新任運転者研修を実施すること
  • 登録支援機関に支援を委託する場合は、協議会の構成員であり、国土交通省と協議会に必要な協力を行う登録支援機関に委託すること

働きやすい職場認証やGマークは、申請から取得まで一定の期間がかかります。外国人の採用を決めてから取り始めると、在留資格の申請が遅れることになるため、採用計画の最初の段階で自社の取得状況を確認しておくべき要件です。

協議会への加入は在留資格の申請前に

自動車運送業分野特定技能協議会は、国土交通省が設置する分野別の協議会で、2025年1月17日に加入受付が始まりました。入会届出は、特定技能(特定活動の場合を含む)の在留資格申請までに行う必要があり、事務局での内容確認に1か月程度かかる見込みとされています。入会金や年会費はかかりません。受入れ事業者と登録支援機関の双方が加入する必要があります。協議会の一般的な位置づけは特定技能の協議会とは?加入のタイミング・分野ごとの窓口と加入しないリスクで解説しています。

受入れまでの流れと期間の目安

海外から受け入れる場合、乗務開始までの流れは次のようになります。国土交通省の制度概要資料では、トラックは特定活動期間が最大6か月、タクシー・バスは最大12か月の工程として示されています。

  1. 本人が海外で評価試験と日本語試験に合格する
  2. 運送事業者が採用し、雇用契約を結ぶ(協議会への加入、認証の取得を先に済ませる)
  3. 在留資格「特定活動」(特定自動車運送業準備)の在留資格認定証明書を申請し、入国する
  4. 住居地を届け出た後、外免切替または教習所での教習で日本の免許を取得する(タクシー・バスは第二種免許。あわせて新任運転者研修を受ける)
  5. 要件を満たした時点で「特定技能1号」への在留資格変更許可を申請する
  6. 許可後、乗務を開始する

タクシー・バスは、外免切替で普通免許を取った後に第二種免許を取得し、さらに座学研修(法令、接遇、地理、安全)、路上走行研修、適性診断からなる新任運転者研修を修了する必要があります。第二種免許の受験資格にも運転経歴が必要で、1年という期間は余裕のあるものではありません。

運転免許の取得費用について、国土交通省は所属機関が負担することが望ましいとしています。本人が負担する場合や会社が貸し付ける場合は、採用時に本人が理解できる言語で丁寧に説明し、事前に了承を得るよう求めています。特定技能で本人に負担させてはいけない費用の考え方は特定技能の費用で本人負担にできないもの|支援費用・保証金・送出手数料の線引きで扱います。

よくある質問

特定技能の自動車運送業はいつからですか?

2024年3月29日の閣議決定で対象分野に追加され、評価試験は2024年12月に始まりました。自動車運送業分野特定技能協議会の加入受付は2025年1月17日に始まっています。現在は試験に合格し要件を満たせば受入れが可能です。

自動車運送業分野特定技能1号評価試験の受験資格は?

国土交通省のQ&Aによると、試験日において有効な日本または外国の運転免許を持っていることが必要です。年齢などの要件は、日本海事協会の試験実施要領で確認してください。試験はトラック、タクシー、バスの3区分に分かれています。

特定活動の期間中に免許が取れなかったらどうなりますか?

特定技能1号に移行することはできず、特定活動の在留期間の延長もできません。在留期間が満了すれば帰国することになります。外免切替に要する期間は地域や本人の状況で変わるため、入国前から手続の段取りを組んでおくことが重要です。

自動車運送業分野特定技能協議会の会費はいくらですか?

入会金や年会費はかかりません。加入は在留資格の申請までに必要で、事務局の確認に1か月程度かかる見込みとされています。受入れ事業者と、支援を委託する登録支援機関の双方が加入します。

他の分野から自動車運送業分野に移ることはできますか?

できます。他分野での特定技能1号の在留期間は通算され、日本に在留したまま移る場合も、帰国をはさんで移る場合も同じです。移る際には自動車運送業分野の評価試験と日本語要件、日本の運転免許を満たす必要があります。

採用の前に確認すべきは「会社側の認証」と「免許取得の日程」

特定技能「自動車運送業」の受入れで時間がかかるのは、外国人本人の試験よりも、会社側の働きやすい職場認証またはGマークの取得と、入国後の免許取得です。どちらも短縮しにくく、特定活動の6か月・1年という更新できない期限の中で免許取得を終えなければなりません。

受入れを検討する運送事業者は、次の順で確認することをお勧めします。1つは、自社が緑ナンバーの事業者として働きやすい職場認証またはGマークを取得しているか、未取得なら取得までの期間。2つ目は、採用候補者の外国免許の取得時期と、その国での滞在期間が3か月以上あるか、運転経歴を証明する書類がそろうか。3つ目は、管轄の運転免許センターでの外免切替の予約状況と、タクシー・バスであれば第二種免許と新任運転者研修の日程。この3点の見通しが立ってから在留資格の申請に進むのが安全です。

特定技能の分野全体の位置づけは特定技能の分野・職種一覧【2026年最新】で整理しています。個別の事情で判断が変わるため、受入れ計画の段階で専門家に相談してください。

根拠資料


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