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特定技能ドライバーの採用手順|外免切替の厳格化とトラック運転者N4の要件

特定技能で外国人をトラックドライバーとして雇うには、本人が「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)」と日本語試験(JLPT N4またはJFT-Basic)に合格し、日本の第一種運転免許を取得していることが必要です。海外から呼ぶ人は、入国後に在留資格「特定活動」(最長6か月・更新不可)で外免切替などにより免許を取り、取れた時点で特定技能1号へ変更します。2025年10月1日から外免切替の知識確認が10問から50問に増え、合格基準も90%以上に上がったため、この6か月の間に免許を取り切れるかどうかが採用計画の最大の不確定要素になっています。

特定技能ドライバーとは|2024年3月に追加された「自動車運送業」分野の運転者

ここでいう特定技能ドライバーとは、在留資格「特定技能1号」の自動車運送業分野で、事業用自動車(いわゆる緑ナンバー)の運転に従事する外国人を指します。自動車運送業分野は、2024年3月29日の閣議決定で特定技能の対象分野に追加されました。評価試験は2024年12月に始まっており、国土交通省は外国人ドライバーの受入れがすでに可能であると案内しています。

業務区分はバス・タクシー・トラックの3つに分かれ、国土交通省の制度概要資料では分野全体の受入れ見込数を2.21万人としています。3つの区分は必要な免許と日本語の水準が違うため、同じ「ドライバー」でも採用の難しさが大きく異なります。

区分 主な業務 必要な運転免許 日本語の水準 免許取得のための特定活動
トラック 運行業務・荷役業務 第一種運転免許 A2.2相当(JLPT N4、JFT-Basic) 最長6か月・更新不可
タクシー 運行業務・接遇業務 第二種運転免許+新任運転者研修 B1相当(JLPT N3)。日本語サポーター同乗ならA2.2相当 最長1年・更新不可
バス 運行業務・接遇業務 第二種運転免許+新任運転者研修 B1相当(JLPT N3)。乗合バスで日本語サポーター同乗ならA2.2相当 最長1年・更新不可

トラックは第一種免許で足り、日本語もN4相当でよいため、3区分の中で最も要件が軽い区分です。タクシー・バスは第二種免許の受験資格として運転経歴が通常3年以上必要になり、N3相当の日本語も求められます。分野全体の制度の枠組みは特定技能「自動車運送業」とは?トラック・タクシー・バスの要件と免許取得の特定活動、他分野との比較は特定技能の分野・職種一覧が参考になります。

トラックドライバー本人に必要な要件

国土交通省の「特定技能Q&A」(No.1)は、特定技能1号の在留資格を得るために必要なものとして、日本語能力を証明する試験の合格、評価試験の合格、日本の自動車運転免許の取得(トラックは第一種、バス・タクシーは第二種)、バス・タクシーの場合は新任運転者研修の修了を挙げています。トラックに絞って順に見ます。

評価試験(トラック)|受験時点で有効な運転免許が必要

評価試験は一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が実施しています。試験範囲は運行業務と荷役業務に関する内容で、学習用テキストは全日本トラック協会のサイトで公開されています。見落としやすいのが受験資格で、Q&A(No.5)は、評価試験を受けるには試験実施日に有効な運転免許(日本または外国で取得したもの)を持っている必要があるとしています。免許を持たない人は、評価試験の受験そのものができません。

日本語はN4相当|技能実習2号修了者はトラックだけ免除

トラックの日本語要件は「日本語教育の参照枠」のA2.2相当で、JLPT N4または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)で証明します。Q&A(No.4)によれば、第2号技能実習を良好に修了した人は、職種・作業の種類を問わず、トラック分野に限って日本語試験が免除されます。評価試験と運転免許は免除されません。技能実習からの移行全般の考え方は技能実習から特定技能への移行で整理しています。

日本の第一種運転免許|国際運転免許証では働けない

国際運転免許証だけを持つ外国人は、特定技能外国人として運転業務に従事できません(Q&A No.10)。現地で日本と同等の免許を持っていても、日本の技能試験が免除される特例はなく(No.8)、日本の指定自動車教習所で教習を受けて取得するか、運転免許センターで外免切替を受けるかのどちらかになります。

受入れ事業者の要件|Gマークか「働きやすい職場認証」

受け入れる会社の側にも、分野固有の要件があります。Q&A(No.2)が挙げるのは次の3つです。

  • 道路運送法に規定する自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を経営していること
  • 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になること
  • 「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証制度)」の認証を受けているか、全日本トラック協会の「Gマーク制度」で安全性優良事業所の認定を受けていること(Gマークはトラックのみ)

協議会の入会届は、特定技能だけでなく特定活動の在留資格申請の前までに必要で、事務局の確認に1か月程度かかる見込みとされています(No.18)。入会金・年会費はかかりません(No.19)。登録支援機関に支援を委託する場合は、登録支援機関も協議会に加入する必要があります(No.17)。

実務上の注意点は2つあります。1つは、特定技能外国人が従事できるのは事業用自動車に限られ、自家用(白ナンバー)での業務はできないことです(No.23)。自社の荷物を白ナンバーで運ぶ製造業や小売業は、この分野で受け入れられません。もう1つは、貨物軽自動車運送事業だけを営む事業者は、働きやすい職場認証とGマークのどちらの対象にもならないため、受入れができないことです(No.25)。軽貨物の個人事業主や軽貨物専業の会社は、この時点で対象から外れます。

特定技能の受入れ機関に共通する基準(報酬が日本人と同等以上であること、支援計画の作成、欠格事由に当たらないことなど)もかかります。欠格事由には、刑罰歴のほか、過去5年以内の出入国・労働関係法令に関する不正行為も含まれます。

外免切替の厳格化(2025年10月1日)が採用計画を左右する

外免切替とは、外国の運転免許を持つ人が、日本の運転免許試験の一部(学科・技能)の免除を受けて日本の免許を取得する手続を指します。海外から呼ぶトラックドライバーの多くは、この外免切替で日本の第一種免許を取ることになります。この手続が、道路交通法施行規則の改正により2025年10月1日から大きく変わりました。警視庁・千葉県警察の案内に沿って整理すると、変更点は次の3つです。

1つ目は住所の確認です。外国籍の人は、国籍・在留資格・在留期間などの特定事項が記載された住民票の写し(交付から6か月以内)の提出が必要になりました。住民基本台帳法の適用を受けない人、つまり観光目的の短期滞在者などは、外交官など限られた人を除いて運転免許試験を受けられません。特定活動で入国した人は住民登録ができるため切替の対象になりますが、「短期滞在で来日させて先に免許を取らせる」という段取りは使えなくなりました。

2つ目は知識確認です。イラスト問題が廃止され、問題数が10問から50問に増え、合格基準は「10問中7問以上」から「50問中45問以上(90%以上)」に上がりました。日本の交通ルールを日本語または対応言語で正確に理解していないと通らない水準です。

3つ目は技能確認です。横断歩道の通過などの課題が追加され、合図不履行や右左折方法違反などの採点が厳しくなりました。

さらに、外免切替を受けるには、外国で免許を取得した後、その国に通算3か月以上滞在していたことが必要です(Q&A No.5)。入国直前に母国で免許を取らせても、この条件を満たさなければ切替ができません。

特定活動の6か月は延長できず、期間内に免許を取れなければ特定技能には移れません(No.6)。改正前は、知識確認は準備すれば比較的通りやすく、ボトルネックは技能確認の予約待ちでした。改正後は、知識確認の不合格と再受験の予約待ちが重なるおそれがあります。筆者は、入国前の段階で日本の交通法規の学習を始めさせ、入国後すぐに住民登録と切替の予約を入れる段取りを、採用計画の前提にすべきだと考えます。

中型・大型免許は「特定技能に変更した後」に取る

トラック運送会社が本当に必要としているのは、多くの場合、4トン車や10トン車を運転できる中型・大型免許です。ところが、外免切替で最初に取れるのは原則として普通免許(または準中型免許)です。Q&A(No.26)は、現地で大型相当の免許を持っていても、まず普通自動車免許に切り替えた後に大型免許に切り替える流れになり、特定活動の期間中は普通免許への外免切替までを行うよう案内しています。

ここで押さえておきたいのが免許区分と運転できる車両の関係です。普通免許で運転できるのは車両総重量3.5トン未満の車で、3.5トン以上7.5トン未満は準中型免許、7.5トン以上11トン未満は中型免許、11トン以上は大型免許が必要です。中型免許の受験には20歳以上で普通免許等を通算2年以上、大型免許の受験には21歳以上で通算3年以上の運転経歴が必要になります。海外での運転経歴も加算できますが、経歴がわかる書類が必要で、外免切替の手続で複数部を求められることや、国によっては入国前に取得しておく必要があることが指摘されています(No.9)。

手順としては、特定活動の期間中に普通免許(または準中型免許)を取った時点で、速やかに特定技能1号への変更申請を出します。変更申請中に教習所で中型・大型免許の教習を受けることは差し支えありません(No.7)。一方で、要件を満たしたのに特定活動のまま在留を続けることは認められていません(No.11)。「大型を取ってから切り替えよう」と特定活動の期間を使い切る計画は、Q&Aの考え方に合いません。

採用スケジュールの例

以下は、制度上の手順を時系列に並べた例です。審査期間や外免切替の予約状況は地域と時期で変わるため、月数は目安として読んでください。

海外在住の人を採用する場合

  1. 入国の6〜9か月前:候補者が母国で有効な運転免許を持ち、取得後3か月以上その国に滞在していることを確認します。評価試験(トラック)とJLPT N4またはJFT-Basicを受験させ、雇用契約を結びます。運転経歴証明書など外免切替の書類もこの段階で揃えます。
  2. 入国の3〜5か月前:協議会への入会届を出し(確認に1か月程度)、在留資格「特定活動」(特定自動車運送業準備)の在留資格認定証明書を申請します。
  3. 入国後1か月以内:住民登録を済ませ、特定事項入りの住民票の写しを取得し、運転免許センターの外免切替を予約します。
  4. 入国後2〜5か月:知識確認と技能確認を受け、普通免許(または準中型免許)を取得します。公道での運転研修は、運送業務としての性質を持たない研修・教育の範囲に限って認められます(No.14)。
  5. 免許取得後すぐ:特定技能1号への在留資格変更許可申請を出し、並行して中型・大型の教習を始めます。
  6. 変更許可後:乗務を開始します。

特定活動の6か月の満了前に変更申請を出していれば、審査中に期間が過ぎても、最長2か月間は特例期間として特定活動のまま在留できます(No.15)。ただし、申請を出すには免許が必要なので、免許が取れないまま6か月を迎えた場合はこの特例も使えません。

特定活動(特定自動車運送業準備)の制度の詳細は公式案内をご確認ください。

日本在住の人を採用する場合

留学生や別分野の特定技能外国人など、すでに日本に住んでいる人を採用する場合、特定活動を経由する前提はとられていません。Q&A(No.5)は、在留資格を特定技能に切り替える申請の前に日本の運転免許を取得しておく必要があるとしています。在職中や在学中に教習所に通うか外免切替を受けて免許を取り、評価試験と日本語試験に合格してから変更申請を出す流れです。

他分野の特定技能1号から自動車運送業分野に移る場合、他分野での在留期間は通算5年の計算に含まれます(No.20)。残りの在留可能期間が短い人を採用すると、免許の取得や教育にかけた時間に見合う期間働いてもらえないことがあります。

給与・労働条件と免許取得費用の負担

特定技能外国人の報酬は、同じ業務に従事する日本人と同等額以上でなければなりません。国土交通省のQ&A(No.13)も、日本人労働者と同様の労働条件で雇用するよう求めています。トラック運転者であれば、2024年4月から適用されている改善基準告示(拘束時間・休息期間の基準)と時間外労働の上限規制も、日本人ドライバーと同じように適用されます。

運転以外の附帯業務は、その会社の日本人ドライバーが通常業務として行う範囲であれば従事させられます(No.12)。荷積み・荷下ろしや車両の日常点検がこれに当たります。

免許取得費用について、Q&A(No.27)は、所属機関が負担することが望ましいとしたうえで、本人が負担する場合は、採用時などに本人が十分に理解できる言語で説明し、事前に了承を得るよう求めています。貸付の形をとる場合も、返済条件が退職の自由を不当に縛る内容になっていないかは、報酬や違約金に関する規制との関係で確認が必要です。

よくある質問

特定技能ドライバーになるには何が必要ですか?

トラックの場合、評価試験(トラック)の合格、JLPT N4またはJFT-Basicの合格、日本の第一種運転免許の取得が必要です。海外在住の人は、評価試験と日本語試験に合格して入国した後、特定活動(最長6か月)の間に外免切替などで免許を取ります。日本在住の人は、特定技能への変更申請の前に免許を取っておく必要があります。

特定技能ドライバーの給与はいくらですか?

法令で決まった金額はありません。同じ業務に従事する日本人ドライバーと同等額以上であることが要件で、比較対象の日本人の賃金や地域の賃金水準を踏まえて決めます。比較の方法は特定技能外国人の給料はどう決める?で解説しています。

特定技能ドライバーの在留期間は?

特定技能1号の在留期間は、2025年9月30日施行の法務省令(令和7年法務省令第47号)により「3年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間」になり、通算の上限は原則5年です。免許取得のための特定活動は、トラックが最長6か月、バス・タクシーが最長1年で、いずれも更新できません。自動車運送業分野の特定技能2号と育成就労は、国土交通省のQ&A(No.22)で「現時点では未定」とされています。

特定活動の6か月で免許が取れなかったらどうなりますか?

特定技能への変更はできず、特定活動の延長もできません(Q&A No.6)。在留期限までに帰国するか、別の在留資格の要件を満たす場合はその申請を検討することになります。個別の事情で判断が変わるため、期限が迫った段階で早めに相談してください。

外国人ドライバーを特定技能で雇えるのはどんな会社ですか?

道路運送法の自動車運送事業(第二種貨物利用運送事業を含む)を営み、働きやすい職場認証かGマークの認定を受け、協議会に加入している会社です。軽貨物運送だけを営む会社と、白ナンバーで自社輸送を行う会社は受け入れられません。

採用を決める前に「6か月で免許が取れる人か」を見る

特定技能ドライバーの採用で、会社側が準備できることの多くは入国前に集中しています。候補者の母国免許の取得時期と滞在期間、運転経歴を証明する書類、日本の交通法規の学習状況は、面接の段階で確認できる項目です。2025年10月の改正後、評価試験と日本語試験に受かった人でも、知識確認の90%基準で足止めされる可能性が出てきました。試験の合格だけで採用を決めるのではなく、外免切替を6か月以内に通過できる準備ができているかを採用基準に組み込むことが、特定活動の期間を無駄にしない方法です。

もう1つの判断軸は、中型・大型免許までの時間です。普通免許で乗れるのは3.5トン未満の車に限られるため、4トン車以上を任せたい会社は、特定技能に変更した後の教習期間と費用、そして通算5年の中でどれだけ乗務してもらえるかを事前に試算しておく必要があります。登録支援機関に支援を委託する場合は、協議会への加入と外免切替の支援実績の有無も確認してください。登録支援機関の選び方は登録支援機関とは?で解説しています。

根拠資料


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