技能実習2号とは、技能実習の2年目と3年目にあたる「技能の習熟」の段階で、1号の1年間で技能検定基礎級(またはこれに相当する技能実習評価試験の初級)に合格した実習生だけが進めます。2号に移行できるのは、2026年7月29日時点で96職種174作業ある「移行対象職種・作業」に限られ、それ以外の職種では1号の1年で技能実習が終わります。2号へ進むには、試験の合格、2号の技能実習計画の認定、在留資格「技能実習2号」への変更許可の3つをそろえる必要があります。本記事では、技能実習制度運用要領(2026年4月版)と外国人技能実習機構の案内をもとに、1号・3号との違い、移行の手順と期限、2027年4月の育成就労制度施行後の経過措置を整理します。
技能実習1号・2号・3号の違い
技能実習は、修得する技能の段階に応じて1号から3号に分かれています。在留資格の名称は、企業単独型が「イ」、団体監理型が「ロ」です。中小企業が監理団体を通じて受け入れる一般的な形は団体監理型なので、在留カードには「技能実習2号ロ」と記載されます。
| 区分 | 位置づけ | 期間 | 修了時の目標 | 移行の条件 |
|---|---|---|---|---|
| 1号 | 技能の修得(1年目) | 1年以内 | 基礎級相当の合格(実技・学科) | なし(入国時の区分) |
| 2号 | 技能の習熟(2〜3年目) | 2年以内 | 3級相当の合格(実技) | 1号で基礎級相当に合格、移行対象職種であること |
| 3号 | 技能の熟達(4〜5年目) | 2年以内 | 2級相当の合格(実技) | 2号で3級相当に合格、優良な実習実施者・一般監理事業の監理団体であること |
期間の上限は、運用要領が「第1号技能実習の期間は1年以内、第2号又は第3号技能実習の期間は2年以内」と定めています。在留期間も、入管法施行規則別表第2で、1号が1年を超えない範囲、2号と3号が2年を超えない範囲で個別に指定されます。1号から2号までを通算すると最長3年、3号まで進むと最長5年です。
2号と3号の違い
2号と3号の違いは、実習の期間よりも受入れ側の要件にあります。3号は、実習実施者が「優良な実習実施者」であること、団体監理型の場合は監理団体が一般監理事業の許可を受けていることが前提です。2号までは、特定監理事業の監理団体でも実習監理ができます。また3号に進む実習生は、2号修了後か3号開始後1年以内に、1か月以上の一時帰国をしなければなりません。3号の要件は技能実習3号とは?優良要件150点の内訳と移行手続き・経過措置で詳しく扱います。
2号は「家族帯同」も「転職」もできない
技能実習2号でも、家族を「家族滞在」で呼び寄せることはできません。実習先の変更も、実習実施者の倒産や人権侵害などのやむを得ない事情がない限り認められません。この2点は1号と同じです。
2号に移行できる職種|96職種174作業
2号に移行できる職種と作業は、技能実習機構が「移行対象職種・作業」として公表しています。2026年7月29日時点の一覧は96職種174作業で、分野別の内訳は次のとおりです。
- 農業・林業関係:3職種7作業
- 漁業関係:2職種10作業
- 建設関係:23職種34作業
- 食品製造関係:12職種20作業
- 繊維・衣服関係:14職種23作業
- 機械・金属関係:17職種34作業
- その他:23職種42作業(家具製作、印刷、プラスチック成形、塗装、介護、自動車整備、ビルクリーニングなど)
- 社内検定型:2職種4作業(空港グランドハンドリングなど)
ここでいう移行対象職種・作業とは、2号・3号へ進むときに技能を客観的に評価できる公的な試験(技能検定または技能実習評価試験)が整備されている職種・作業を指します。評価の物差しがない職種では、2号の目標である3級相当の試験が実施できないため、2号には進めません。
移行対象職種の中にも、3号には移行できない職種・作業があります。たとえば漁船漁業職種の棒受網漁業作業は、2号までで3号には進めないとされています。受入れを計画する段階で、自社の作業が一覧のどこに当たるか、3号の対象かを技能実習機構の一覧で確認しておきます。
移行対象職種以外で受け入れている場合
移行対象職種・作業以外で1号の技能実習を行う場合、技能実習は1年で終わり、2号には進めません。1年後に日本で働き続けてもらうには、別の在留資格に切り替えるしかありません。
選択肢として現実的なのは、特定技能1号です。ただし、技能実習2号を良好に修了した人に認められる試験免除(技能試験と日本語試験)は、1号だけで修了した人には適用されません。特定技能の分野別の技能試験と、日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テストに合格する必要があります。実習の職種が特定技能の業務区分と重なっていれば、1年間の実習経験は試験対策の土台になります。
1号から2号へ移行する手順と期限
団体監理型の場合、1号から2号への移行は次の順で進みます。運用要領が示す期限と推奨時期を並べると、次のとおりです。
| 手順 | 内容 | 期限・推奨時期 |
|---|---|---|
| ① 受検の申込み | 監理団体が技能実習機構の受検手続支援を使って基礎級(初級)の受検を申し込む | 1号の計画認定後すみやかに、遅くとも1号修了の6か月前まで |
| ② 受検 | 基礎級の実技試験と学科試験を受ける | 1号修了の2〜3か月前まで(1号修了後すぐ2号を始めるなら2か月前までに) |
| ③ 2号の計画認定申請 | 技能実習機構の地方事務所・支所の認定課に申請(手数料1件3,900円) | 2号開始予定日の6か月前から可能、原則3か月前まで |
| ④ 計画の認定 | 認定通知書の交付 | |
| ⑤ 在留資格変更許可申請 | 認定通知書を添えて地方出入国在留管理局に申請 | 在留期間の満了日まで |
| ⑥ 変更許可 | 「技能実習2号ロ」の在留カードが交付される |
① 受検は1号の途中で申し込む
2号への移行で最初の関門になるのは、試験の日程です。技能実習機構の受検手続支援サイトは、第1号技能実習に係る受検の申込みを、計画の認定を受けたらすみやかに、遅くとも技能実習修了の6か月前までに行うよう求めています。入国してから半年も経たないうちに申し込む計算になり、入国後講習(1号の活動時間全体の6分の1以上、入国前講習を受けた場合は12分の1以上)が終わって配属されてから数か月で期限が来ます。
基礎級は実技試験と学科試験の両方に合格する必要があります。1号の期間中の再受検は、1回に限り認められています。再受検の場合は新たに受検者情報の申請が必要で、再受検の日程も1号の期間内に収めなければならないため、1回目の受検をできるだけ早い時期に設定することが、2号移行を確実にする最も効果的な手当てになります。
③ 計画認定申請は2号開始の3か月前まで
2号の技能実習計画の認定申請は、2号の開始予定日の6か月前から受け付けられ、原則として試験の合否が判明し必要書類をそろえたうえで、開始予定日の3か月前までに申請します。3か月前を過ぎても試験の日程が決まらない、または合格が確認できない場合は、合否の資料を後から追完することとして申請することができます。受検の際に合否結果の機構への提供に同意していれば、試験実施機関から機構に直接結果が届くため、追完は不要です。
計画認定の手続全般と必要書類は技能実習計画の認定申請|必要書類・審査期間と認定通知書の使い方で扱います。
⑤ 在留資格変更は在留期限までに
2号の計画認定通知書を受け取ったら、地方出入国在留管理局に「技能実習2号ロ」への在留資格変更許可申請を行います。福岡県内の実習生であれば、福岡出入国在留管理局が申請先です。
運用要領は、在留期間の満了日の3か月前を過ぎてから計画の認定申請をすると、満了日までに在留資格の変更許可を受けることが難しくなる可能性があると注意しています。在留期間の満了日までに計画の認定を受け、変更許可申請を出せていれば、特例期間として結果が出るまで在留できます。ただし、1号の計画はすでに終わっているため、その間は技能実習に従事できません。変更許可が出るまで現場に立てない期間が生じると、実習生の収入が途切れ、失踪の引き金にもなりかねません。受検と申請の日程を逆算して組むことが、移行の実務のほぼすべてです。
試験に落ちたら2号に移行できない
1号修了時の基礎級は、2号へ移行するための条件です。運用要領は、第2号技能実習を行うためには第1号技能実習で設定した目標(基礎級の技能検定またはこれに相当する技能実習評価試験の合格)の達成が必要としています。再受検でも不合格であれば、2号の計画は認定されず、1号の終了とともに帰国することになります。
なお、2号・3号の修了時の試験は、合格が次の段階に進む条件になる一方で、2号修了時には「受検」そのものが必須とされています。3級相当の実技試験に合格していなくても2号を修了することはできますが、特定技能1号への試験免除を受けるための「良好に修了」の判断や、3号への移行、優良要件の加点には、合格しているかどうかが関わります。技能実習機構は、技能検定等の合格率が優良要件適合申告書の加点要素になることから、合格を目指すべきとしています。
2号修了後の進路|3号・特定技能1号・帰国
2号を修了した実習生の進路は、主に3つです。
1つ目は技能実習3号への移行です。実習実施者と監理団体が優良要件を満たし、実習生が3級相当の実技試験に合格していることが前提です。
2つ目は特定技能1号への移行です。技能実習2号を良好に修了し、従事しようとする業務と2号の職種・作業に関連性が認められれば、特定技能の技能試験と日本語試験が免除されます。「良好に修了」の判断と試験免除の範囲は技能実習から特定技能への移行は可能?で詳しく解説しています。
3つ目は帰国です。帰国後に改めて特定技能1号で来日することも可能で、この場合も2号の良好修了による試験免除を使えます。
制度全体での比較は技能実習と特定技能の違いとは?を参照してください。
2027年4月の育成就労制度施行と2号への移行
技能実習制度は、2027年4月1日に育成就労制度へ移行します。すでに受け入れている技能実習生や、これから1号で受け入れる予定の実習生が2号に進めるかどうかは、経過措置の要件で決まります。技能実習機構の案内(2026年2月)によれば、2027年4月1日以降も、次の人は技能実習を続けたり、次の段階に進んだりできます。
- 1号:2027年3月31日までに認定申請をした技能実習計画に基づき、2027年6月30日までに技能実習を開始できる実習生
- 2号:2027年6月30日までに1号の技能実習を開始している実習生
- 3号:2027年4月1日時点で2号の技能実習を1年以上行っている実習生
2号については、2027年6月30日までに1号を始めていれば、施行後に2号へ移行できます。1号の上陸許可は原則として2027年6月30日までとされ、技能実習機構は、1号の計画認定申請は2027年3月31日まで可能だが、審査や入国手続に時間がかかるため2027年2月までに申請するよう求めています。
注意が必要なのは3号です。2027年4月1日時点で2号を1年以上行っていることが条件なので、技能実習機構は、2025年4月2日以降に新たに入国した実習生は3号に移行できない可能性があるとしています。2025年4月以降に入国した実習生の長期的な進路は、2号修了後に特定技能1号へ移行する前提で組み立てるのが現実的です。
経過措置の全体像は技能実習はいつ廃止?2027年4月以降の経過措置と今の実習生の扱い、育成就労制度の概要は【2027年4月施行】育成就労制度とは?で解説しています。
よくある質問
技能実習2号は何年滞在できますか?
2号の技能実習の期間は2年以内です。1号の1年と合わせて、最長3年間日本に在留できます。在留期間は2年を超えない範囲で指定され、実習計画の期間に応じて在留期間の更新が必要になることがあります。3号に移行すれば、さらに2年以内の実習が可能です。
技能実習2号になるためにはどうすればいいですか?
移行対象職種・作業で1号の実習を行い、1号修了までに技能検定基礎級(または技能実習評価試験の初級)の実技と学科に合格することが条件です。そのうえで、監理団体と実習実施者が2号の技能実習計画の認定を受け、在留資格「技能実習2号」への変更許可を受けます。
技能実習2号にN3は必須ですか?
介護以外の職種では、2号への移行に日本語能力試験の合格は求められておらず、移行の条件は技能の試験(基礎級相当)です。介護職種は、第2号の段階で日本語能力試験N3程度が原則とされていますが、2019年の告示改正により、N3に届いていなくても、介護の技能を習熟するために日本語を継続して学ぶ意思を表明し、実習先で必要な日本語を学ぶことを条件に2号へ進めるようになりました。3号への移行にはN3程度が必要です。
技能実習2号ロとは何ですか?
「ロ」は団体監理型を意味します。監理団体を通じて受け入れる技能実習生の2号が「技能実習2号ロ」、企業が海外の子会社などの職員を直接受け入れる企業単独型の2号が「技能実習2号イ」です。実習の内容や期間の上限に違いはありません。
技能実習2号の受入れ人数に上限はありますか?
2号の実習生も、実習実施者の常勤職員数に応じた人数枠の中で受け入れます。団体監理型の基本人数枠は1号の人数を基準に定められ、2号はその2倍まで、優良な実習実施者はさらに拡大されます。常勤職員数別の早見表は技能実習生の受け入れ人数枠|常勤職員数別の早見表と優良認定・介護・建設の特例で扱います。
2号への移行は「1号の半年目」で決まる
技能実習2号への移行は、制度上は1号修了時の試験合格と計画認定で決まりますが、実務上の分かれ目は、もっと早い時点にあります。受検の申込みが1号修了の6か月前、再受検の余地を残すなら受検は修了の3か月以上前、計画認定申請は2号開始の3か月前という期限を並べると、入国後講習を終えて配属された時点から、移行の準備はすでに始まっています。
判断軸としては、配属直後に監理団体と「受検日」「再受検日」「計画認定申請日」「在留期限」の4つの日付を1枚の表にしておくことをお勧めします。2027年6月30日という経過措置の期限を考えると、これから技能実習1号で受け入れる計画のある会社は、2号・3号まで見据えるのか、育成就労制度での受入れに切り替えるのかも、同じタイミングで判断しておく必要があります。個別の事情で取り得る進路が変わるため、判断に迷うときは監理団体や専門家に早めに確認してください。
根拠資料
- 技能実習制度 運用要領(令和8年4月・出入国在留管理庁・厚生労働省)
- 移行対象職種情報(外国人技能実習機構)
- 技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(96職種174作業・令和8年7月29日時点)(外国人技能実習機構)
- 技能実習計画における各号の技能検定等の目標について(外国人技能実習機構 受検手続支援サイト)
- 技能実習計画の認定申請(外国人技能実習機構)
- 外国人技能実習における「介護」職種の要件(JITCO)
- 在留資格「技能実習」(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則 別表第2(e-Gov法令検索)
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