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留学ビザの就労制限|風俗営業・業務委託・デリバリー配達はできるか

留学ビザ(在留資格「留学」)で働けるのは、資格外活動の包括許可の範囲、つまり週28時間以内で、風俗営業等の営業所以外で行う仕事に限られます。業種の制限は「風俗営業等に当たるかどうか」の一点で、飲食・小売・工場・倉庫など通常のアルバイトは広く認められています。一方で、雇用契約を結ばない業務委託のデリバリー配達や、個人で稼ぐ動画の広告収益は、稼働時間を客観的に確認できない限り包括許可の対象外で、個別許可が必要です。

留学ビザの就労制限は3つの条件でできている

在留資格「留学」は、日本の教育機関で教育を受ける活動のための在留資格です。入管法19条1項は、在留資格に応じた活動に属しない「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」を禁じており、留学生がアルバイトをするには同条2項の資格外活動許可が必要になります。

許可を受けた留学生が何をできるかは、入管法施行規則19条5項1号に書かれています。条文を分解すると、制限は次の3つです。

  • 時間:1週について28時間以内(在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間は1日8時間以内)
  • 場所・業種:風俗営業、店舗型性風俗特殊営業、特定遊興飲食店営業が営まれている営業所で行うもの、無店舗型性風俗特殊営業などに従事するものを除く
  • 身分:教育機関に在籍している間に行うものに限る

この3つを満たす範囲で、勤務先を特定せずに与えられるのが包括許可です。在留カード裏面の「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」という記載は、この3条件を指しています。時間の数え方は留学生アルバイト週28時間の数え方|掛け持ち・長期休暇の1日8時間と証明方法で扱っているので、この記事では業種と働き方の形態に絞って整理します。

働けない業種は「風俗営業等の営業所」

包括許可から除かれているのは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)2条に定める営業です。会社側が押さえておくべきなのは、除外の単位が「仕事の内容」ではなく「営業所」になっている点です。

風営法2条1項の風俗営業

風営法2条1項 営業の内容 例
1号 客の接待をして飲食させる営業 キャバクラ、ホストクラブ、接待を行うスナック・ラウンジ
2号 照度10ルクス以下で営む喫茶店・バーなど 低照度のバー
3号 見通し困難で広さ5平方メートル以下の客席で営む喫茶店・バーなど 区画席の飲食店
4号 まあじゃん屋、ぱちんこ屋など 雀荘、パチンコ店、パチスロ店
5号 スロットマシン・ゲーム機などを備える店舗 ゲームセンター

これに加えて、店舗型性風俗特殊営業(2条6項)、深夜0時以降に客に遊興をさせて酒類を提供する特定遊興飲食店営業(2条11項、いわゆるナイトクラブ)の営業所での活動と、無店舗型性風俗特殊営業(デリバリーヘルスなど)などへの従事も除かれています。

条文は「営業所において行うもの」と書いているため、その店で働く限り、接客をしない仕事も除外されます。パチンコ店の清掃、キャバクラの厨房での皿洗い、ゲームセンターの景品補充も、包括許可の範囲外です。

誤解されやすい業種

逆に、次のような業種は、それだけで風俗営業に当たるわけではありません。

  • 居酒屋・バー:深夜に酒類を提供する飲食店は、風営法上は「深夜酒類提供飲食店営業」という届出制の営業で、風俗営業ではありません。ただし、従業員が客の隣に座って談笑するなどの「接待」をしていれば1号営業に当たります
  • カラオケボックス:通常は風俗営業に当たりません
  • ホテル・旅館:宿泊業そのものは対象外です。ただし館内のゲームコーナーや、接待を伴うラウンジなど、風俗営業の許可を受けた営業所部分で働くことはできません
  • 深夜のコンビニ・ファミレス:時間帯は入管法上の制限になりません

判断がつかないときは、勤務先が風営法の許可を受けているかを確かめるのが確実です。風俗営業の営業所には、公安委員会の許可証を掲示する義務があります(風営法6条)。ガールズバーのように、店の名称からは接待の有無が分からない業態では、実際の営業形態で判断されます。

業務委託・請負は「労働時間が明確か」で分かれる

留学生の就労制限で最近相談が増えているのが、雇用契約を結ばない働き方です。出入国在留管理庁は「留学」の資格外活動許可のページで、次の2つを個別許可が必要な場面として挙げています。

個人事業主等として活動する場合等、客観的に稼働時間を確認することが困難である活動に従事する場合は資格外活動の個別許可が必要となります。

業務委託契約や請負契約等により、標準的に従事することとなる労働時間が明確でない場合、資格外活動の個別許可が必要となります。

ここでいう個別許可とは、勤務先や活動内容、時間を特定して、活動ごとに審査される資格外活動許可です。包括許可を持っている留学生でも、業務委託や個人事業で稼ぐには、別に個別許可の申請が必要になる場面があるということです。

この基準の裏にある考え方は単純です。包括許可は週28時間という時間で管理する許可なので、時間を客観的に数えられない働き方は、包括許可の枠組みに乗りません。契約の名前が雇用か業務委託かで決まるのではなく、働いた時間を第三者が確認できるかどうかで決まります。

業務委託でも包括許可の範囲に収まる場合

契約書に「1回4時間、週2回」のように標準的な従事時間が書かれていて、実際の稼働もそれで記録される業務委託であれば、労働時間は明確です。この場合は包括許可の範囲内で、他のアルバイトとの合計が週28時間以内に収まっている必要があります。

個別許可が必要になる場合

成果物の納品で報酬が決まる翻訳やデザイン、作業時間を本人が自由に決めるプログラミングの受託、個人で商品を仕入れて売るネット販売などは、時間を客観的に確認しにくい典型です。個別許可の申請には、申請書のほか、契約内容を説明する資料(個人事業なら事業計画の説明書)を出します。

デリバリー配達(ウーバーイーツ等)はどう考えるか

フードデリバリーの配達員は、多くのプラットフォームで雇用契約を結ばず、業務委託(個人事業主としての契約)で働く形になっています。前述の入管庁の基準に当てはめると、問題は「標準的に従事することとなる労働時間が明確か」です。

配達の仕事は、アプリにログインしている時間や配達件数の記録は残るものの、いつ・何時間働くかは本人が自由に決め、契約上の標準的な労働時間は定められていないのが通常です。この形態は、入管庁のいう「標準的に従事することとなる労働時間が明確でない場合」に当たる可能性が高く、筆者は、包括許可だけでデリバリー配達を始めるのは避け、個別許可を受けるか、事前に地方出入国在留管理局に確認すべきだと考えています。アプリのログイン記録を稼働時間の客観的な証明として入管がどこまで扱うかは、公表資料では示されていません(公式資料では未確認)。

個別許可を受けた場合も、許可書に書かれた範囲と時間の制限が付きます。飲食店のアルバイトと配達を掛け持ちすれば、両方の時間の合計で上限を管理することになります。

配達を依頼する側の事業者にも関係する話です。入管法73条の2の不法就労助長罪は、雇用関係に限らず「事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者」を対象にしており、業務委託であっても、在留資格や資格外活動許可の確認を怠れば問題になりえます。同条2項は、外国人が許可を受けていないことを知らなかったとしても、過失がない場合を除いて処罰を免れないと定めています。

動画の広告収益・SNSの案件は「収入を伴う事業」に当たるか

YouTubeの広告収益や、SNSでの企業からの案件(PR投稿)も、留学生からよく聞かれる働き方です。

入管法19条1項は「報酬を受ける活動」だけでなく「収入を伴う事業を運営する活動」も禁じています。動画チャンネルを継続して運営し、広告収益を受け取る状態は、事業の運営に当たると考えるのが自然です。一方、入管法施行規則19条の3は、許可なく受け取ってよい臨時の報酬として、業として行うものではない次の活動への謝金・賞金などを挙げています。

  • 講演、講義、討論など
  • 助言、鑑定など
  • 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
  • 催物への参加、映画や放送番組への出演など

写真コンテストの賞金や、単発のテレビ出演の謝礼であれば、この臨時の報酬に当たる余地があります。これに対して、収益化したチャンネルで継続的に広告収益を得る場合や、企業からの案件を繰り返し受ける場合は「業として」行っていると評価されやすく、稼働時間を客観的に確認しにくいことから、個別許可の対象になると考えられます。広告収益の扱いについて入管庁が具体的に示した資料は確認できていないため、ここは筆者の解釈です(公式資料では未確認)。

許可なしで報酬を受けてよい場面

資格外活動許可が要らない場面もあります。

1つは、前述の入管法施行規則19条の3が定める臨時の報酬です。親族や友人の依頼で日常の家事を手伝ったことへのお礼(業として行うものを除く)もここに含まれます。

2つ目は、大学(学部・大学院)の留学生と、高等専門学校の4年生・5年生・専攻科の留学生が、在籍校との契約に基づいて行う教育・研究の補助(TA・RAなど)への報酬です。同条3号が定めており、専ら日本語教育を受ける人は除かれます。

3つ目は、報酬のない活動です。無償のボランティアや、報酬のないインターンシップは「報酬を受ける活動」に当たらないため、資格外活動許可は要りません。ただし、交通費の実費を超える日当や謝礼が出れば報酬に当たります。

報酬のあるインターンシップは、週28時間以内なら包括許可の範囲で、超える場合は個別許可が必要です。入管庁は、卒業年度の学部4年生で必要単位のおおむね9割を修得している人などについて、キャリア形成のためのインターンシップの個別許可を設けています。

違反したときの影響と、会社が確認すること

許可の範囲を超えた就労は、本人にとって、在留期間の更新や卒業後の就労資格への変更で素行上の問題として評価されます。刑事罰は、入管法73条が1年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金、報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる場合は同法70条1項4号が3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金と定め、後者は退去強制事由にもなります(同法24条4号イ)。

出入国在留管理庁が公表している不許可事例にも、資格外活動許可を受けずに風俗営業店で長期間稼働していた人が、在留状況に問題があるとして在留資格の変更を認められなかった事例(事例7)があります。業種の制限違反は、時間の超過と同じく、後の在留審査でまとめて問われます。雇用であれば、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が出ているため、どの事業所で働いていたかは入管からも見えています(外国人雇用状況の届出とは?)。

雇う側・仕事を発注する側が確認することは、次の3点です。

  • 在留カード裏面の資格外活動許可欄が「原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」か、「資格外活動許可書に記載された範囲内の活動」か
  • 自社の営業所が風俗営業等に当たらないか(風営法の許可を受けていないか)
  • 業務委託で発注する場合、契約上の標準的な従事時間が明確か、明確でなければ本人が個別許可を受けているか

不法就労助長罪の法定刑は、現在の3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金から、2027年4月1日に5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金へ引き上げられます。雇入れの手順は留学生アルバイトの雇用で確認すること|在留カード・週28時間の管理・届出に、就労資格の社員が副業をする場合は技術・人文知識・国際業務の外国人はアルバイト・副業できる?にまとめています。

よくある質問

留学生がしてはいけないアルバイトは?

風俗営業等の営業所で行う仕事です。キャバクラやホストクラブなどの接待飲食店、低照度・区画席の飲食店、雀荘やパチンコ店、ゲームセンター、性風俗関連特殊営業、深夜に遊興をさせるナイトクラブが該当し、これらの店では清掃や皿洗いもできません。

留学生は資格外活動許可なしでアルバイトできますか?

できません。雇用のアルバイトは、資格外活動許可を受けてから始める必要があります。許可なしで受け取れるのは、業として行わない講演の謝金や著作物の賞金などの臨時の報酬と、大学生・大学院生(高専は4年生以上)が在籍校との契約で行うTA・RAの報酬などに限られます。

留学生をアルバイトに雇うことは違法ですか?

資格外活動許可を受けた留学生を、週28時間以内、風俗営業等以外の営業所で雇うことは適法です。違法になるのは、許可のない留学生を雇う場合、上限を超えて働かせる場合、風俗営業等の営業所で働かせる場合です。

留学生がインターンシップをするには資格外活動許可が必要ですか?

報酬がなければ不要です。報酬があれば資格外活動に当たり、週28時間以内なら包括許可の範囲で、超える場合は個別許可が必要です。

働き方の形を先に確認する

留学ビザの就労制限を業種の一覧表として覚えようとすると、デリバリーや動画収益のような新しい働き方で判断を誤ります。条文と入管庁の公表資料から読み取れる判断の順番は、次のとおりです。まず、報酬や事業収入があるか。次に、それが雇用か業務委託か個人事業か。雇用なら営業所が風俗営業等に当たらないかと週28時間、雇用以外なら労働時間を客観的に確認できるかを見て、確認できなければ個別許可に進みます。

会社としては、自社の営業所の業態と、留学生との契約の形を最初に確かめることが、違反を防ぐ一番の近道です。個別の事情で判断が変わることがあるため、新しい働き方を始める前に、地方出入国在留管理局か専門家に確認してください。

根拠資料


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