高度専門職1号の在留期間更新でも、ポイント70点以上が必要です。入国・在留審査要領は、更新の審査で確認することを二つに絞っています。現に指定されている活動を続けようとしていることと、高度専門職省令第1条で計算した合計点が70点以上であることです。更新が許可されれば、在留期間は再び5年になります。
在留期間の途中で70点を割っても、それだけで直ちに在留できなくなるわけではありません。ただし、更新の時点で70点に届かなければ、1号のままでは更新を受けられません。その場合でも、技術・人文知識・国際業務など前提となる在留資格の基準を満たしていれば、審査要領は「申請内容変更申出書」を出させて他の在留資格への変更を許可する処理を定めています。不許可で終わるとは限りません。
5年の間に点数が下がる原因は、ほとんどが年齢と年収の区分です。1号の許可時に33歳で年収500万円だった人は、38歳の更新時には同じ年収でも年収の項が0点になります。更新の半年前には、今の年齢と見込み年収で計算し直しておくべきです。
この記事でわかること
- 更新の審査で確認される2つの要件
- 更新時のポイント計算(基準時点・予定年収・過去の報酬との照合)
- 70点に届かないときの「申請内容変更申出書」による切替え
- 更新の提出書類、審査期間、手数料
- 不許可になった場合に取れる手段
更新の審査で確認される2つのこと
高度専門職1号の在留期間は5年です(入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節 9-45)。5年ごとの更新で、審査要領は次の二つを確認するとしています。
審査要領ではこう書かれている
申請人が次のいずれにも該当することを確認する。(ア)現に指定されている活動を行おうとするものであること。(イ)高度専門職省令第1条の規定により計算した合計点が70点以上であること。
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節 9-39
一つ目の「現に指定されている活動」とは、指定書に記載された機関で、1号イ・ロ・ハのいずれかの活動を続けることを指します。1号では、在留資格を決定するときに契約機関名と本店等の所在地を記載した指定書が交付され、活動内容を変更する場合は契約機関の変更を含めて在留資格変更の対象になります(9-37)。在留期間の途中で転職した人が、変更許可を受けないまま新しい会社での活動を前提に更新を申請することはできません。転職の手続は高度専門職1号ロで転職したら?在留資格変更許可が必要な理由と指定書・14日以内の届出で整理しています。
二つ目が70点の要件です。認定や変更のときと同じポイント計算表で、更新の時点の点数を計算し直します。1号ロ・1号ハでは、他の項目の点数にかかわらず、報酬の年額が300万円以上であることも必要です。300万円に届かなければ、合計点は一律に零とされます(9-23〜9-25)。
更新時のポイント計算
基準時点は申請の時点
ポイントは、更新の許可を受ける時点で70点以上あることが求められますが、申請の時点で計算して70点に達していれば、許可の時点でも達しているものとみなされます(高度専門職省令第1条第2項、9-7)。審査中に誕生日を迎えて年齢の区分が変わっても、申請時点の計算が基準になります。30歳・35歳・40歳の誕生日を在留期限の前に迎える人は、誕生日より前に申請するかどうかで点数が変わることがあります。
年収は予定年収で、過去の報酬と照合される
ポイント計算の年収は、今後1年間に所属機関から受ける報酬です。入管庁のQ&Aは、更新のときも予定年収で判断するので、過去の残業代は含まないとしています(高度人材ポイント制Q&A Q7・Q8)。基本給や手当、賞与は含みますが、通勤手当・住宅手当などの実費弁償の性格を持つものと超過勤務手当は含みません。
ただし、予定年収だからといって自由に書けるわけではありません。更新では、過去の実績が照合の材料になります。
審査要領ではこう書かれている
その金額に疑義がある場合は、同一企業等における同一職種の他の職員の年収額との比較や(中略)職員に支給された給与の総額(在留期間更新許可申請の場合は、申請人が過去に受けた報酬額)などを確認して、その金額の信ぴょう性を判断する。
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節 9-11
過去5年の報酬が毎年600万円前後だった人が、更新の申請で予定年収を800万円と書けば、根拠を問われます。昇給や昇格で年収が上がる場合は、辞令や改定後の労働条件通知書など、予定年収の根拠となる資料を用意しておくべきです。
5年で点数はどれだけ動くか
1号ロの年齢の項は29歳まで15点、34歳まで10点、39歳まで5点で、40歳以上は0点です。年収の項も年齢で下限が変わり、500万円の15点は34歳まで、600万円の20点と700万円の25点は39歳までが対象です(入管庁「高度人材ポイント制」ポイント計算表)。5年の在留期間は、ちょうどこの区分をまたぐ長さです。
| 項目 | 1号の許可時(33歳) | 更新時(38歳) |
|---|---|---|
| 学歴(修士) | 20点 | 20点 |
| 職歴 | 7年:15点 | 12年:20点 |
| 年収500万円 | 15点 | 0点(35歳以上は600万円からが対象) |
| 年齢 | 10点 | 5点 |
| 日本語能力試験N1 | 15点 | 15点 |
| 合計 | 75点 | 60点 |
この例では、職歴が5点増えても、年収と年齢で20点を失い、同じ年収のままでは70点を割ります。更新までに年収が600万円に上がっていれば、年収の項が20点になり、合計80点に戻ります。点数に余裕のない人ほど、昇給の時期と更新の時期の関係を早めに確認しておく必要があります。
所属機関に関する特別加算にも注意が要ります。イノベーション促進の支援措置を受けた企業などの加算は、告示の別表が毎年改正されており(9-15〜9-18)、最新の告示は令和8年3月31日改正です(入管庁「高度人材ポイント制」)。勤務先が5年前と同じでも、その加算が今も使えるとは限りません。
70点に届かないとき:申請内容の変更
更新の時点で70点に届かない場合、審査要領はすぐに不許可とするのではなく、他の在留資格に切り替える道を用意しています。
審査要領ではこう書かれている
ポイント計算の結果合計点が70点には満たないものの、在留資格の変更を許可できる場合 ①別記第28号の2様式により、原申請では許可できない旨を通知する。(中略)②申請人から原申請の申請内容を在留資格の変更許可申請に変更する旨の意思表示が行われた場合は、「申請内容変更申出書」(施行規則別記第30号の3様式)を提出させ、他の在留資格への変更を許可する。
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節 9-39〜9-40
流れを整理すると、次のとおりです。
| 段階 | 入管の処理 | 申請人がすること |
|---|---|---|
| 1 | 原申請(1号の更新)では許可できない旨を別記第28号の2様式で通知し、あわせて別記第27号の2様式でポイント計算の結果を通知 | 切り替える在留資格を決める |
| 2 | 申請内容の変更の意思表示を受ける | 「申請内容変更申出書」を提出する |
| 3 | 技術・人文知識・国際業務など他の在留資格への変更を許可 | 新しい在留資格での届出や手続を確認する |
| ― | 他の在留資格への変更もできない場合は、第10編の規定により処分 | 不許可の理由を確認する |
切替えが認められるのは、前提となる在留資格の基準を満たしている場合です。1号ロの人であれば、技術・人文知識・国際業務の学歴・実務経験の基準と、日本人と同等額以上の報酬の基準に適合していることが前提になります。
技術・人文知識・国際業務に切り替わると、勤務先の指定はなくなりますが、在留期間は5年とは限らず、配偶者の就労や親の帯同といった高度人材の優遇措置も受けられなくなります。高度人材として永住を目指していた人は、在留年数の特例の前提も変わります。永住との関係は高度専門職から永住申請|70点で3年・80点で1年の条件とポイントの基準時点で扱っています。
逆向きの場面にも同じ処理があります。技術・人文知識・国際業務などから1号への変更を申請して要件を満たさなかった場合、現在の在留資格の更新を許可できるときは、申請内容変更申出書により更新を許可します(9-39)。
特別高度人材(J-Skip)の更新
年収2,000万円以上(1号ハは4,000万円以上)で認められた特別高度人材も、更新の時点で特別高度人材の要件を満たしている必要があります。年収がこの額を下回った場合でも、ポイント制で70点以上あれば1号として更新を受けられます(9-53)。高度専門職省令第1条が、特別高度人材であること「又は」ポイントの基準に該当することを求める構造になっているためです。
反対に、ポイント制で在留している人が特別高度人材の要件を満たすようになった場合は、在留期限のおおむね3か月前の更新申請の中で申し出ることができます(9-57〜9-58)。認められれば、旅券に特別高度人材証明書が添付されます。J-Skipの要件は特別高度人材制度(J-Skip)とは?年収2,000万円の要件・優遇措置・永住1年を解説で扱っています。
更新の提出書類
更新の提出書類は、所属企業のカテゴリーで大きく変わります(9-40)。
- 所属企業がカテゴリー1または2:在留期間更新許可申請書のみ
- それ以外:申請人の活動に応じて入管法施行規則別表第三に定める書類
- 共通:高度専門職ポイント計算表と、合計70点以上を立証する資料(全項目の立証は不要)
1年後に永住許可申請を予定している人は、70点ではなく80点以上を立証する資料を出すことになります(9-40)。過去の申請で出した資料は、申請日からさかのぼって1年以上前に発行・作成されたものでも転用を認めて差し支えないとされています(9-41)。卒業証明書などを更新のたびに取り直す必要はありません。
審査期間と手数料
高度専門職の申請はすべて優先処理の対象で、更新の処理期間の目安は5日以内です(9-58)。ただし、公表されている実績は目安より長く、入管庁の在留審査処理期間(令和8年7月許可分)では、高度専門職1号ロの更新は平均38.8日、1号ハは平均54.8日でした。在留期間の満了日までに更新を申請していれば、処分がされる時か満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、引き続き在留できます(入管法20条6項・21条4項)。期限間際の申請は避け、3か月前には準備を始めてください。
手数料は、令和8年10月1日から許可される在留期間に応じた額に改定されます。在留期間5年以上の許可は、窓口で75,000円、オンラインで65,000円です。令和8年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降でも改定前の手数料(窓口6,000円・オンライン5,500円)です(入管庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」)。改定の詳細は【2026年10月確定】在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?永住20万円・企業負担を解説にまとめています。
不許可になったら
申請内容の変更でも対応できずに更新が不許可になった場合、行政不服審査法による審査請求はできません。在留期間の更新の不許可は同法の適用除外で(同法7条1項10号)、入管庁の手続ページにも「不服申立方法 なし」と書かれています。争うなら取消訴訟ですが、今も判断の土台にあるのはマクリーン事件の最高裁大法廷昭和53年10月4日判決(民集32巻7号1223頁)です。この判決は、在留期間の更新の許否は法務大臣の広い裁量に委ねられており、外国人に更新を受ける権利は保障されないとしました。実務上は、不許可の理由を確認したうえでの再申請が中心です。詳しくは在留資格の不許可に不服申立てはできない?行政不服審査法の適用除外と取消訴訟で扱っています。
1号ハの経営者には、別の確認事項があります。2025年10月16日施行の「経営・管理」の新基準について、入管庁は既存の在留者の更新に施行から3年(令和10年10月16日)までの経過措置を設けています。ただし、1号ハの更新にこの経過措置がどう適用されるかは、本記事の根拠資料では確認できません【要確認】。
よくある質問
Q. 高度専門職の更新のときも、ポイント70点が必要ですか?
必要です。審査要領は、更新の審査で、現に指定されている活動を続けようとしていることと、ポイントの合計が70点以上であることの二つを確認するとしています。1号ロ・1号ハでは年収300万円以上も必要です。
Q. 在留期間の途中で70点を下回ったら、すぐに在留資格を失いますか?
直ちに在留できなくなるわけではありません。ただし、次の更新の時点で70点未満であれば、高度専門職1号としての更新は受けられません。
Q. 更新の時点で70点に届かない場合はどうなりますか?
技術・人文知識・国際業務など前提となる在留資格の基準を満たしていれば、原申請では許可できない旨の通知を受けた後、申請内容変更申出書を提出して、その在留資格への変更の許可を受けられます。他の在留資格への変更もできない場合は不許可となります。
Q. 更新申請の年収は、前年の実績で計算しますか?
今後1年間に受ける予定の年収で計算し、過去の残業代は含みません。ただし金額に疑義がある場合は、申請人が過去に受けた報酬額などと照合して信ぴょう性が判断されるため、昇給を見込む場合は根拠資料を用意してください。
Q. 高度専門職の更新の審査期間はどのくらいですか?
審査要領上の目安は5日以内ですが、公表されている令和8年7月許可分の平均は、1号ロの更新で38.8日、1号ハの更新で54.8日でした。在留期限の3か月前には準備を始めてください。
更新の半年前に、点数を計算し直す
最初に行うべきは、在留期限の半年前の時点で、更新申請を予定する日の年齢と、今後1年間の見込み年収でポイントを計算し直すことです。70点に余裕があれば、カテゴリーに応じた書類をそろえて期限の3か月前までに申請します。70点に届かない見込みなら、昇給の予定を確認するか、技術・人文知識・国際業務などへの切替えを前提に準備するかを先に決めてください。在留期間中に転職している人は、変更許可を受けているかの確認が先です。判断に迷う場合は、申請前に専門家に相談してください。
根拠資料
- 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第9節 高度専門職 9-7(ポイントの基準時点)、9-11(年収の信ぴょう性)、9-15〜9-18(特別加算)、9-23〜9-25(年収300万円)、9-37(活動内容の変更)、9-39〜9-41(更新の審査・処分・立証資料)、9-45(在留期間)、9-53・9-57〜9-58(特別高度人材)、9-58(優先処理)
- 最高裁判所大法廷 昭和53年10月4日判決(マクリーン事件)民集32巻7号1223頁
- 出入国在留管理庁 高度人材ポイント制「ポイント評価の仕組みは?」・ポイント計算表(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/newimmiact_3_evaluate_index.html)
- 出入国在留管理庁 高度人材ポイント制Q&A(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/newimmiact_3_qa.html)
- 出入国在留管理庁 在留審査処理期間(令和8年7月許可分)(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00140.html)
- 出入国在留管理庁 令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について(https://www.moj.go.jp/isa/01_00644.html)
- 出入国在留管理庁 在留期間更新許可申請(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html)
- 出入国在留管理庁 在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html)