本文へ移動
保利国際法務事務所 外国人採用・就労ビザ相談室
保利国際法務事務所の外国人採用・就労ビザLPへ 電話で無料相談 050-5526-5506 いますぐ無料相談フォームへ
保利国際法務事務所 外国人採用・就労ビザ相談室

部長・支店長として経営管理ビザを取る|管理者の報酬要件と「事業の管理」

部長・工場長・支店長として日本の事業を任される外国人は、役員でなくても在留資格「経営・管理」の対象になります。入国・在留審査要領は、事業の管理に従事する活動に「部長、工場長、支店長等の管理者としての活動が該当する」と明記しています(第12編(開示版)10-2)。管理者として申請する場合は、経営者と同じ第1号から第4号の基準に加えて、第5号の「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬」が求められます。

2025年10月16日施行の上陸基準省令の改正で、管理者の位置づけは変わりました。改正前は、管理者にだけ「3年以上の経験」と「同等額以上の報酬」が課されていました(旧第3号、10-28)。改正後は経歴の要件が第4号として経営者と共通になり、第5号に残ったのは報酬の要件だけです。一方で、資本金等3,000万円と常勤職員1人以上の要件は、管理者として従事する場合にもそのままかかります(出入国在留管理庁の改正ページQ&A 問10)。

以下、審査要領の10-2〜10-3、10-7、10-11と、第1節の「報酬」(1-3)をもとに、管理者として経営管理ビザを取るときの論点を順に整理します。

この記事でわかること

  • 「事業の管理」に当たる活動と、技人国・企業内転勤との線引き
  • 管理者にかかる基準(第1号〜第5号)の全体像
  • 第5号「日本人と同等額以上の報酬」の判断方法と、報酬額を示す資料
  • 2026年4月15日から管理者の申請に加わった提出書類

「事業の管理に従事する」とはどういう活動か

入管法別表第一の二の表は、経営・管理の活動を「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」と定めています。審査要領は、このうち「当該事業の管理に従事する」を、二つの場合に分けて説明しています(10-2)。本邦で経営を開始して経営している事業や経営に参画している事業の管理に従事すること、または経営者に代わって事業の管理に従事することです。

審査要領ではこう書かれている(第12編 10-2)

「事業の経営に従事する活動には、事業の運営に関する重要事項の決定、業務の執行、監査の業務等に従事する代表取締役、取締役、監査役等の役員としての活動が該当し、事業の管理に従事する活動には、事業の管理の業務に従事する部長、工場長、支店長等の管理者としての活動が該当する。」

この直後に「申請人は、これらの経営や管理の業務に実質的に参画し、又は従事するものでなければならず、実際に行う業務の内容を確認して判断する」と続きます。

ここでいう管理者とは、役員が決めた方針のもとで、部門や拠点の業務を統括する立場を指します。判断の材料になるのは、名刺や辞令の肩書きよりも実際の業務内容です。部長の肩書きを付けていても、部下がおらず、日々の業務が営業や現場作業そのものであれば、管理の活動とは評価されません。経営・管理者が一環として現業に従事することは認められますが、「主たる活動が現業に従事するものと認められる場合は、「経営・管理」の在留資格に該当しない」とされています(10-15)。

比較的小規模な事業に管理者として招へいされ、申請人のほかにも経営や管理に従事する人がいる場合は、「投資の割合や業務内容をそれらの者と比較することも必要である」とされています(10-2)。社長と申請人の2人しかいない会社で申請人を部長とする場合、何を管理するのかを業務の分担で説明できなければ、管理者としての実質は認められにくくなります。

管理者としての実質は、組織図で確認されることがあります。当事務所が扱った案件にも、次のような資料要求がありました。

指揮命令系統図の提出を求められた事案
入管から、組織図のどこに本人が位置し、誰の指揮命令のもとで働いているのかを示す資料を求められたことがあります。組織内での位置づけと、他社から実質的に指揮命令を受けていないかを確認する趣旨の資料要求でした。

※上記は当事務所で取り扱った実際の相談内容をもとにしていますが、個別の状況により結果は異なります。同様の結果を保証するものではありません。

管理者として申請する場合は、組織図と職務分掌を最初から用意しておくのが確実です。公表資料(外国人経営者の在留資格基準の明確化について)も、複数の人が経営に当たる場面について「役員に就任しているということだけでは」経営・管理に該当しないとしています。そのうえで、各人の業務内容が明確であることを求めています。肩書きと実際の業務を一致させておくことが、管理者の申請でも出発点になります。

技人国・企業内転勤とどう線を引くか

企業の管理活動は、自然科学や人文科学の知識を使う業務でもあることが多く、技術・人文知識・国際業務(技人国)の活動と一部重なります。審査要領は、重なる場合は「経営・管理」を決定するとしたうえで、業務に管理活動が含まれていても経営・管理に当たらない場合は技人国への該当性に留意するとしています(10-2〜10-3)。

場面 審査要領の整理 出典
管理活動が技人国の活動と重なる 「経営・管理」を決定する 10-2〜10-3
業務に管理活動を含むが、経営・管理に当たらない 技人国への該当性に留意する 10-3
技人国の社員が昇進して管理者になった 直ちに変更しなくてよい。在留期限の満了にあわせて「経営・管理」を決定してよい 10-3
企業内転勤者が経営・管理に従事する 「経営・管理」に該当する 16-3

実務で迷うのは、2つ目の行です。審査要領は経営・管理に当たらない場合の具体例を示していませんが、新基準では、第2号の資本金等3,000万円と常勤職員を満たさない事業は、管理者を置いても経営・管理の基準に適合しません。筆者は、小規模な会社で課長や主任として部下を持つ程度の立場であれば、技人国として専門業務の中身で説明できるかを先に検討すべきだと考えています。

社内で昇進した場合の扱いは技人国の社員が役員・管理職に昇進したら|経営・管理への変更は期限満了時でよいで詳しく扱っています。海外の親会社から日本の支店長として赴任する場合も、日本で経営や管理に従事するのであれば、審査されるのは企業内転勤の基準でなく経営・管理の基準です(16-3)。

管理者にかかる基準の全体像

管理者として申請する場合、審査要領の「審査のポイント」は、経営者の項目をそのまま参照させています。対象は事業所(第1号)、規模(第2号)、日本語能力(第3号)、学歴及び経験(第4号)で、最後に第5号の報酬を加えています(10-11)。

基準 内容 経営者 管理者
第1号 事業所が本邦に存在すること(開始前なら確保されていること) 必要 必要
第2号イ 経営・管理に従事する者以外に、本邦に居住する常勤職員(別表第一の在留資格の者を除く)が従事すること 必要 必要
第2号ロ 事業の用に供される財産の総額が3,000万円以上 必要 必要(Q&A 問10)
第3号 経営者または常勤職員のいずれかがB2相当の日本語能力を持ち、申請人が本邦に居住すること 必要 必要
第4号 関連分野の博士・修士・専門職学位、または経営・管理の経験3年以上 必要 必要
第5号 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬 ― 必要

第2号イの常勤職員は「その経営又は管理に従事する者以外に」とされているため、管理者本人を常勤職員として数えることはできません。部長として申請人を雇うのとは別に、日本人か、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者・特別永住者の常勤職員が必要です(10-5)。常勤性の判断は経営管理ビザの「常勤職員」とは|週30時間・年217日と数えられない人(出向・派遣・就労資格者)で扱っています。

第3号の日本語能力は、公表資料が「申請者か常勤職員のどちらか」がB2相当であればよいとしています(改正ページ)。ここでいう常勤職員は第2号イと違い在留資格の制限がないため(10-6)、管理者本人がJLPTのN2に合格していれば、その資料で足ります。免除の条件は経営管理ビザの日本語要件|B2相当が必要なのは申請者か常勤職員かにまとめています。

経歴の要件は「3年以上」または学位

第4号の要件は、次のいずれかです(10-7)。経営管理に関する分野または事業に必要な技術・知識の分野の博士・修士・専門職学位(外国の学位を含む)を持つこと、または事業の経営又は管理について3年以上の経験を持つことです。審査要領は、第4号を「外国人が経営又は管理業務に従事する場合に適用される経歴に係る基準」と説明しています。

改正前の旧第3号は、管理者の3年以上の経験に「大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む」としていました(10-28)。新しい第4号にこの括弧書きはなく、代わりに修士等の学位そのものが独立した選択肢になっています。経験年数には、本邦外での経歴、本邦での経営・管理の活動期間、起業準備の特定活動を指定されていた期間が含まれます(10-10)。なお、10-10の経歴の審査ポイントの直後の数行は黒塗りで、開示版からは読めません。

第5号「日本人と同等額以上の報酬」の判断方法

第5号は、日本人と同等額以上の報酬を受けて事業の管理に従事することを求める基準です(10-7)。「同等額以上」の意味は、第1節第2の「報酬」の項に委ねられています。そこでは報酬の数え方が次のように定められています(1-3)。

  • 報酬の月額は、賞与等を含めた1年間従事した場合に受ける報酬の総額の12分の1で計算する
  • 通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものを除く)は、報酬に含まない
  • 報酬額を基準として一律に判断せず、個々の企業の賃金体系と、他の企業の同種の職種の賃金を参考にして判断する

審査要領ではこう書かれている(第12編 1-3)

「報酬額を基準として一律に判断することは適切ではない。個々の企業の賃金体系を基礎に日本人と同等額以上であるか、また、他の企業の同種の職種の賃金を参考にして日本人と同等額以上であるかについて判断する。」

続けて、大卒であればその企業の日本人大卒者の賃金を、専門職・研究職であればその企業の日本人専門職・研究職の賃金を参考にするとしています。

ここで重要なのは、比較の相手が「日本人一般」ではなく「その会社で同じ立場にある日本人」だという論点です。部長として申請するなら、比べられるのは自社の日本人部長の報酬です。基本給を日本人部長と揃えても、日本人にだけ役職手当を払う設計であれば、同等額以上とはいえません。

外資系企業が日本に拠点を立ち上げた直後は、比べる日本人の管理職が社内にいないことがあります。その場合は、他の企業の同種の職種の賃金が物差しになります。筆者は、同じ地域・同じ業種の管理職の賃金水準を示す資料を添えて、報酬額の根拠を説明する方法をとっています。報酬の比べ方の全体は就労ビザの「日本人と同等額以上の報酬」とは|審査要領に一律の金額基準がない理由と比べ方で扱っています。

報酬額を確認する資料

カテゴリー3・4の場合、報酬額は立場に応じた資料で確認されます(10-11)。

申請人の立場 報酬額を確認する資料
会社の役員に就任する 役員報酬を定める定款の写し、または役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会設置会社は同委員会の議事録)の写し
外国法人の日本支店に転勤する/会社以外の団体の役員に就任する 地位(担当業務)、期間、支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書
日本で管理者として雇用される 労働基準法第15条第1項と同法施行規則第5条に基づき交付される、労働条件を明示する文書

雇用される部長・工場長であれば労働条件通知書、支店長として外国法人から転勤してくるのであれば、本社が発行する辞令や報酬の証明書が中心になります。役員報酬は、株主総会で決議した議事録がなければ金額の裏づけになりません。申請の前に決議を済ませておく必要があります。

外国法人の日本支店に支店長として赴任する場合、支店そのものには資本金がありません。この場合に第2号ロの3,000万円をどのように確認するのかは、審査要領にも公表資料にも明示が見当たりません【要確認】。支店形態で申請する場合は、事前に入管へ確認することをおすすめします。

2026年4月15日から加わった書類

出入国在留管理庁は、2026年4月15日以降の申請から、カテゴリー3・4の機関に「所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)」の提出を求めています。経営・管理のページでは、この申告書は「事業の管理に従事する場合に添付」とされています(公表資料「所属機関の代表者に関する申告書」)。管理者として申請する場合に限って求められる書類です。

申告書では、所属機関の代表者が日本人・特別永住者か、それ以外かにチェックし、それ以外の場合は代表者の氏名(英字表記)と在留カード番号を記載します。作成者は所属機関の職員に限られ、事実と異なる内容は虚偽申請と判断される可能性があると注記されています。

よくある質問

Q. 部長や支店長でも経営管理ビザの対象になりますか?

なります。審査要領は、事業の管理に従事する活動に部長、工場長、支店長等の管理者としての活動が該当するとしています。ただし肩書きではなく実際の業務内容で判断され、主たる活動が現業である場合は該当しません。

Q. 管理者として申請する場合も資本金3,000万円は必要ですか?

必要です。出入国在留管理庁の改正ページのQ&Aは、管理者として従事する場合も3,000万円の要件がかかるとしています。常勤職員1人以上、日本語能力、経歴の要件も経営者と同じく満たす必要があります。

Q. 「日本人と同等額以上の報酬」はいくら以上なら足りますか?

一律の金額基準はありません。審査要領は、個々の企業の賃金体系を基礎に日本人と同等額以上か、他の企業の同種の職種の賃金を参考に判断するとしています。報酬の月額は賞与を含む年額の12分の1で計算し、通勤手当などの実費弁償的な手当は含めません。

Q. 管理者本人を常勤職員として数えられますか?

数えられません。第2号イの常勤職員は、経営又は管理に従事する者以外の、本邦に居住する常勤の職員とされています。日本人か、永住者・日本人の配偶者等などの居住資格を持つ常勤職員を別に雇う必要があります。

申請の前に固めておくこと

管理者としての申請は、報酬の額よりも先に、組織の中での位置づけで結果が分かれます。申請の前に、次の3点を書面で説明できるかを確認してください。申請人が管理する部門や拠点の範囲と部下の人数、比較対象となる日本人管理職の報酬と申請人の報酬の関係、そして申請人以外に確保した常勤職員と3,000万円の財産です。改正前の基準で管理者を受け入れていた会社は、既存の在留者の経過措置の中で、移行計画を立てる必要があります。経過措置では、2028年10月16日までの更新は、新基準を満たさないことだけを理由に不許可にしないとされています。その後の最初の更新からは、原則として新基準への適合が求められます(改正ガイドライン・改正ページQ&A 問1)。経過措置の考え方は経営・管理ビザの経過措置とは?2028年10月までに企業が備えるべきことを解説で整理しています。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第1節 第2「報酬」1-3、第10節「経営・管理」10-2〜10-3(該当範囲、実質的な従事、技人国との関係)、10-5〜10-7(第2号〜第5号)、10-10〜10-11(経歴の審査、管理者の報酬の確認資料)、10-15(現業との関係)、10-28(旧基準)、第16節「企業内転勤」16-3
  • 出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」(Q&A 令和8年6月26日更新)https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html
  • 出入国在留管理庁「『経営・管理』の許可基準の改正等について」(ガイドライン)https://www.moj.go.jp/isa/content/001448070.pdf
  • 出入国在留管理庁「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan43.html
  • 出入国在留管理庁「所属機関の代表者に関する申告書(参考様式)」https://www.moj.go.jp/isa/content/001460262.pdf