本文へ移動
保利国際法務事務所 外国人採用・就労ビザ相談室
保利国際法務事務所の外国人採用・就労ビザLPへ 電話で無料相談 050-5526-5506 いますぐ無料相談フォームへ
保利国際法務事務所 外国人採用・就労ビザ相談室

経営・管理ビザの経過措置とは?2028年10月までに企業が備えるべきことを解説

ここでいう経営・管理ビザの基準見直しとは、資本金要件を中心に、「500万円用意すれば会社が作れる」という単純な構図そのものが崩れていく動きを指します。これまでは形だけの500万円を積んで登記すれば許可が出ていたケースもありましたが、その入口自体が閉じられる方向に進んでいます。

既に経営・管理ビザで会社を経営している方が、この見直しによっていきなり切り捨てられるわけではありません。経過措置が設けられる方向で調整が進んでいて、一定の猶予期間は現行基準のまま更新できる見込みです。ただし、その猶予はあくまで一時的なものです。猶予があるうちに、事業の実態と説明資料をきちんと整えておく必要があります。「まだ先の話」と後回しにされがちな制度改正ですが、更新のサイクルを考えると、対応できる時間は思っているより短いというのが実情です。

この記事では、経営・管理ビザの基準見直しがなぜ起きているのか、経過措置とはどういう制度なのか、そして2028年10月という一つの区切りまでに企業・外国人経営者が何を準備しておくべきかを、行政書士の立場から整理します。

この記事でわかること

  • 経営・管理ビザの基準がなぜ見直されることになったのか
  • 現行基準と新基準(見込み)の違い
  • 経過措置の考え方とスケジュール
  • 経過措置の期間中に企業が整えておくべき体制
  • すでに経営・管理ビザを持っている経営者が今から取るべき対応

経営・管理ビザとは

経営・管理ビザは、外国人が日本で会社を経営する、あるいは会社の管理業務に従事するための在留資格です。自分で会社を立ち上げて社長になる方だけでなく、既存の会社の役員として経営に参画する方も対象になります。技人国のようにサラリーマンとして雇われる働き方とは違い、経営という立場そのものに対して与えられるビザなので、審査の視点もかなり独特です。

現行の基準では、事業所として使用する施設が確保されていること、そして資本金または出資の総額が500万円以上あることが柱になっています。この500万円という金額と施設要件を満たせば、あとは事業計画や会社の実態を示す資料をそろえて申請する、というのがこれまでの一般的な流れでした。

なぜ基準が見直されることになったのか

ここ数年、経営・管理ビザをめぐっては「実態の乏しいペーパーカンパニーで在留資格だけを取得している」という指摘が繰り返し出てきました。事業所と名ばかりの小さな部屋を借りて、資本金500万円だけ用意して登記し、実際にはほとんど事業活動をしていない、という案件が一定数あったのは事実です。

真面目に事業をやっている経営者のほうが圧倒的多数です。しかし制度を運用する側からすると、少数の悪質なケースを放置すれば制度全体の信頼性が揺らぎます。資本金の金額を引き上げるだけでなく、事業を的確に遂行できる能力があるかどうか、つまり実務経験や事業を運営する実質的な力を審査の材料に加える方向で、基準の見直しが進められているのは、こうした背景によるものです。

具体的には、資本金要件の引き上げに加えて、一定年数の事業経営・管理経験や、経営学等の学位、日本語能力といった要素を組み合わせて審査する案が検討されている、と報道されています。まだ正式な省令改正が確定したわけではないので、細かい数字や要件の組み合わせは今後変わる可能性がありますが、「資本金さえ用意すれば通る」という時代が終わりつつある、という方向性は押さえておいたほうがいいでしょう。

背景には、外国人による不動産投資や在留資格の取得を目的とした会社設立が社会問題として取り上げられるようになったことも影響しています。実際に事業を営むつもりがなく、在留資格の獲得だけを目的に会社の形を整える、というケースが増えれば、まっとうに経営している外国人経営者まで同じ目で見られてしまいます。入口の基準を厳しくすることで、実態の伴わない会社を減らし、真剣に事業をやる経営者を守ろうとしている、という見方もできます。

現行基準と新基準(見込み)の比較

現時点で報道されている見直しの方向性を、現行基準と並べて整理しておきます。あくまで検討段階の内容なので、正式決定した数字ではない点はご了承ください。

項目 現行基準 新基準(見込み・検討段階)
資本金・出資総額 500万円以上 引き上げの方向で検討(金額は未確定)
事業経験 明確な年数要件なし 一定年数の事業経営・管理経験、または関連学位の取得を求める案
日本語能力 要件なし 一定水準の日本語能力を求める案
事業所 独立した事業所の確保 実態確認をより厳格に運用する方向

資本金の金額だけがクローズアップされがちですが、実際には「この人は本当に事業を経営していく力があるのか」という、人物側の要件が新しく加わろうとしているのがポイントです。会社を作る箱の話から、経営者本人の実力を見る話にシフトしている、という変化です。この流れは外国人受入れの総合的対応策で在留審査はどう変わる?で触れている、在留審査全体の厳格化の一環ともいえます。

経過措置とは何か

基準が変わるとき、いちばん問題になるのは「すでに現行基準で許可を受けている人たちをどうするか」という点です。新基準を即日一律に適用してしまうと、真面目に経営を続けてきた人まで在留資格を失いかねません。そこで設けられるのが経過措置です。

経過措置とは、制度が変わる前から続いている状態については、一定期間、旧基準のルールを適用し続けるという緩和措置を指します。今回の経営・管理ビザの見直しでも、新基準の施行前に許可(または在留資格認定証明書の交付)を受けている方については、しばらくの間は現行の500万円基準のままでの更新を認める方向で調整が進んでいる、と報道されています。

その猶予期間の目安として挙げられているのが、2028年10月というタイミングです。新基準の施行時期そのものについても検討段階の情報ですが、経過措置の期間を過ぎたあとは、既存の経営者であっても新基準に沿った審査に移行していく可能性が高い、という理解で準備を進めておいたほうがいいでしょう。正式に決定した内容ではないため、確定情報は出入国在留管理庁の発表を待つ必要がありますが、「いずれ経過措置は終わる」という前提で考えておくのが安全です。

経過措置のスケジュールイメージ

あくまで現時点の報道をもとにした目安ですが、時系列で整理すると次のようなイメージになります。

時期 状況(見込み)
新基準の施行前 現行の資本金500万円基準で新規申請・更新申請が可能
新基準の施行日 以降の新規申請は新基準で審査される見込み
経過措置の期間中 施行前に許可を得ていた方は現行基準のまま更新可能とされる方向
2028年10月ごろ(目安) 経過措置の期限。以降は既存の経営者も新基準の審査対象になる可能性

正式決定次第、当事務所でも改めてご案内しますが、「まだ先の話だから」と構えていると、期限は思っているより早く近づいてきます。在留資格の更新は1年・3年・5年といった単位で回ってくるので、次の更新、その次の更新のタイミングでちょうど新基準にぶつかる、という経営者も出てくるはずです。

猶予期間中に企業が整えておくべき体制

経過措置があるからといって、何もしなくていいわけではありません。むしろ、猶予がある今のうちに手を打っておいたほうが、あとで慌てずに済みます。具体的に整えておきたいポイントを挙げます。

  • 資本金・出資総額に余裕を持たせる:ぎりぎり500万円で登記している会社は、新基準の金額がいくらに落ち着いても対応できるよう、事業からの収益を資本に組み入れるなど、実質的な資本力を厚くしておく
  • 事業実態を示す資料を継続的に残す:帳簿、契約書、取引先とのやり取り、事業所の使用状況など、「実際に事業を経営している」ことを説明できる材料を日常的に蓄積しておく
  • 経営者自身の実務経験を棚卸しする:新基準で経験年数や学位が問われる可能性を見据えて、これまでの経営・管理経験を職歴書として整理しておく
  • 日本語能力の見通しを立てる:日本語要件が導入される案が出ている以上、経営者本人の日本語学習・資格取得のスケジュールを早めに検討しておく
  • 事業所の実態を明確にする:バーチャルオフィスや名ばかりの事務所ではなく、実際に業務を行っている拠点であることを示せる状態にしておく

特に大事なのは、資本金の金額そのものよりも「事業として本当に機能しているか」という実態面です。資本金だけ積んで実態が伴わない会社は、経過措置の期間中であっても、更新時の審査で慎重に見られる可能性があります。まっとうに事業をやっている会社にはあまり関係のない話ですが、書類上の見せ方が甘いと、実態があっても誤解されることがあるので注意が必要です。日頃の帳簿づけや契約書の保管が甘い会社ほど、いざというときに説明で苦労することになります。

こうした制度の変わり目における考え方は、当事務所の関連ブログ記事でも解説しています。関連するコラム一覧もあわせてご覧ください。

経過措置に頼りきると危ない理由

「うちは経過措置の対象だから当面は大丈夫」と考える経営者は少なくないはずです。しかし、その安心感には落とし穴があります。経過措置の適用条件そのものが、細部までまだ固まっていない点がひとつです。施行日の直前に会社を設立した場合や、役員変更のタイミング次第では、経過措置の対象に入るかどうかの判断が微妙になるケースも出てくる可能性があります。

もうひとつは、経過措置の期間中であっても、更新のたびに事業実態の審査自体は行われる、という点です。経過措置はあくまで「資本金などの基準を現行のままでいいですよ」という話であって、「事業をきちんとやっているかの確認を省略しますよ」という話ではありません。猶予があるからといって事業実態の説明資料を疎かにすると、経過措置の対象であっても更新時に不許可や在留期間の短縮といった結果につながりかねません。

いずれにしても、経過措置は「時間を稼ぐための仕組み」であって、「基準を免除する仕組み」ではありません。この違いを理解しているかどうかで、猶予期間中の動き方が大きく変わってきます。安心材料として捉えるのではなく、次のステージに進むための準備期間として使い切る、という発想に切り替えたほうが、結果的に会社としても経営者個人としても得をするはずです。

新たに会社を設立して経営・管理ビザを取りたい方への影響

これから新規で経営・管理ビザを取得しようとする方は、経過措置の恩恵を受けられない可能性が高いです。新基準の施行後に申請する場合は、原則としてその時点の基準がそのまま適用されるからです。これから起業を考えている外国人経営者にとっては、「今のうちに現行基準で許可を取っておく」という選択肢が、実質的な駆け込みのメリットを持つことになります。

ただし、駆け込みで急いで会社を作ればいいという単純な話でもありません。事業計画が薄い状態で慌てて申請すると、現行基準であっても不許可になるリスクは当然あります。施行時期の見通しを踏まえつつ、事業計画・資金計画・事業所の確保といった土台をきちんと固めたうえで、タイミングを見極める必要があります。

特に相談が増えているのが、留学生や技人国ビザで働いていた方が、独立して自分の会社を持ちたいというケースです。外国人を採用できる在留資格の種類一覧で触れているとおり、雇われる立場から経営する立場に変わると、審査の視点そのものが大きく変わります。今のタイミングで動くべきか、新基準を待ってから動くべきかは、事業の熟度によって答えが変わるので、迷ったら一度専門家に相談したほうがいいでしょう。

経過措置の対象になるかどうかのチェックポイント

経過措置の細かな適用条件は正式決定を待つ必要がありますが、報道内容から読み取れる範囲で、今の時点で確認しておきたいポイントを整理しておきます。

  • 新基準の施行日より前に、経営・管理の在留資格の許可(または在留資格認定証明書の交付)を受けているか
  • 会社の資本金・出資総額が、施行日時点で500万円以上を維持できているか
  • 役員の交代や増員があった場合、その手続きが経過措置の適用に影響しないか(今後の運用次第)
  • 事業所の移転・統廃合などで、事業の同一性に疑義が生じていないか

特に注意したいのは、会社そのものは同じでも、役員構成が大きく入れ替わったり、事業内容が大幅に変わったりすると、「これは実質的に新しい経営者による新規事業ではないか」と見られるリスクがある点です。経過措置は、あくまで継続している事業・経営者を対象にした緩和措置だからです。名義だけ既存の会社を使って、実態はまったく別の人が別の事業を始めるようなケースまで経過措置の対象になるとは考えにくいところです。

更新時に追加で求められる可能性がある資料

基準の見直しが進む中では、更新申請の際に求められる資料の量も増える傾向にあります。現時点でもカテゴリーによっては、決算書、事業計画書、賃貸借契約書、役員の在留状況を示す資料などが求められますが、今後は次のような資料の重要性がさらに増すと見ておいたほうがいいでしょう。

資料の種類 見られているポイント
直近の決算書・試算表 事業からの実際の収益、赤字が続いていないか
取引先との契約書・請求書 事業として実際に取引が発生しているか
経営者本人の経歴書 事業を経営・管理してきた実務経験の有無
事業所の写真・賃貸借契約書 実際に事業所として機能しているか

こうした資料は、更新の直前になって慌てて用意しようとすると、間に合わないものも多いです。決算書は日々の経理の積み重ねですし、取引の記録も普段からきちんと残していないと、あとから体裁を整えることはできません。経過措置の猶予期間は、こうした「日頃の積み重ね」を整える時間でもあります。

スタートアップビザ(外国人起業活動促進事業)との違い

基準見直しの話をすると、「スタートアップビザを使えば回避できるのでは」という質問をよく受けます。スタートアップビザは、地方自治体が国家戦略特区などの枠組みで実施している制度で、一定の要件を満たせば、資本金500万円や事業所確保の要件を満たしていない段階でも、最長1年程度の「特定活動」の在留資格で起業準備を行うことができる仕組みです。

ただし、これはあくまで準備期間としての位置づけです。その1年の間に、結局は経営・管理ビザの基準(資本金・事業所の確保など)を満たす必要があるので、根本的な回避策にはなりません。むしろ、新基準が導入されれば、スタートアップビザの先にある本申請のハードルも一緒に上がる可能性が高いです。自治体ごとに実施の有無や要件が異なるので、利用を検討する場合は、事業を行う予定の自治体に確認したうえで、経営・管理ビザ本体の基準見直しも織り込んで計画を立てる必要があります。

経営者本人だけでなく家族の在留資格にも影響する

経営・管理ビザで働く経営者の多くは、配偶者や子どもを「家族滞在」という在留資格で呼び寄せています。この家族滞在は、扶養者である経営者本人の在留資格が土台になっている制度なので、経営・管理ビザの更新がうまくいかなければ、家族の在留資格にもそのまま影響が及びます。

経営者本人がきちんと基準を満たしていれば、家族滞在まで一緒に心配する必要はありません。ただ、「自分だけの問題」だと思っていた基準見直しが、実は配偶者の生活や子どもの学校生活にまで波及する話だ、という点は意識しておいたほうがいいでしょう。特に、お子さんが日本の学校に通っている家庭ほど、更新のタイミングで慌てることのないよう、経過措置の間に準備を進めておく価値があります。

よくある質問

Q. 現在すでに経営・管理ビザを持っている経営者も新基準の対象になりますか?

既に許可を受けている方は、経過措置の対象として一定期間は現行基準のまま更新できる方向で調整されていると報道されています。ただし経過措置の期間が終わったあとは新基準での審査に切り替わる見込みなので、期間中に体制を整えておく必要があります。正式決定次第、当事務所でも改めてご案内します。

Q. 資本金500万円のままではもう会社を作れませんか?

経過措置の期間中であれば、現行の資本金500万円以上の基準での申請も可能とされています。ただし新基準が適用されたあとは、資本金の金額だけでなく、事業所の確保状況や実務経験・語学力といった要素も合わせて審査される見込みです。

Q. 経過措置の対象かどうかは何で決まりますか?

報道されている内容では、新基準の施行日より前に経営・管理の在留資格の許可(または在留資格認定証明書の交付)を受けているかどうかが分かれ目になる見込みです。施行日ぎりぎりに手続きを始めると間に合わない可能性があるため、早めの準備が重要です。

Q. 経過措置の間に何もしなくても大丈夫ですか?

現行基準のままでいられるとしても、経過措置が終わればいずれ新基準の審査に移ります。事業実態の薄い会社は経過措置の期間であっても更新時に慎重に見られる可能性があるため、実質的な事業運営と説明資料の整備は早めに進めておいたほうがいいです。

まとめ

経営・管理ビザの基準見直しは、資本金の金額だけを見ていると本質を見誤ります。実務経験や日本語能力、事業実態といった「経営者としての実力」が問われる制度に変わっていく、という流れそのものを理解しておくことが大事です。経過措置があるから今は大丈夫、ではなく、経過措置があるうちに次の基準に耐えられる会社にしておく。この発想の転換ができるかどうかが、2028年10月以降を無事に迎えられるかの分かれ目になります。

制度の細部はまだ固まっていませんが、方向性ははっきりしています。猶予があるうちに動いた会社と、ぎりぎりまで様子見をした会社とでは、2028年10月以降に大きな差がつくはずです。

依頼するかどうかで迷っている方は在留資格の申請は行政書士に依頼すべきかと行政書士に依頼する費用の相場も参考にしてください。