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ベトナム人との国際結婚の手続き|婚姻証明書の取得と配偶者ビザ申請の注意点

ベトナム人との国際結婚は、日本とベトナムのどちらか一方の方式で婚姻を成立させ、もう一方の国にもその婚姻を届け出て記録させたうえで、配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)を申請する、という3段階で進みます。どちらを先にするかは、相手のベトナム人が日本に中長期在留しているかどうかでほぼ決まります。ベトナムに住んでいる相手と結婚するなら、ベトナムの人民委員会で婚姻登録をして面接を受け、婚姻成立から3か月以内に日本側へ婚姻届を出すのが基本の流れです。この記事では、両国の役所の手続と、入管が配偶者ビザの審査で仲介業者の介在をどう確かめるかを、在ベトナム日本国大使館・駐日ベトナム大使館・出入国在留管理庁の公表資料をもとに整理します。

ベトナム人との国際結婚は「両国での婚姻」と「配偶者ビザ」の3段階

国際結婚の手続は、次の3つを順に済ませる作業です。

  1. どちらかの国の方式で婚姻を成立させる(創設的届出・婚姻登録)
  2. もう一方の国に、成立した婚姻を届け出る(報告的届出・記録)
  3. 入管に配偶者ビザを申請する

日本の法律では、婚姻の成立要件は当事者それぞれの本国法で判断し、方式は婚姻を挙げる地の法律によるとされています(法の適用に関する通則法24条)。ベトナム人の側はベトナム法の婚姻要件を、日本人の側は日本法の婚姻要件を満たしている必要がある、ということです。

ここで押さえておきたいのは、片方の国でしか婚姻が記録されていない状態では配偶者ビザの申請書類がそろわない、という点です。入管は、日本人の戸籍謄本(婚姻の記載があるもの)と、外国の機関が発行した結婚証明書の両方を求めています。日本で先に結婚した場合もベトナム側で婚姻を記録し、ベトナムで先に結婚した場合も日本の戸籍に婚姻を載せる、という二重の手当てが要ります。

ベトナムの婚姻要件

ベトナムの婚姻家族法(2014年法律第52号)は、婚姻できる年齢を男性20歳以上、女性18歳以上と定めています。日本の民法は男女とも18歳以上ですから、ベトナム人男性が18歳・19歳の場合は、日本の方式で婚姻届を出そうとしてもベトナム法の要件を満たさず受理されません。ベトナム法は同性間の婚姻を認めていない点も、手続に入る前に確認しておく事項です。

重婚の禁止は両国に共通しています。ベトナム人に離婚歴がある場合は、離婚が確定したことを示す裁判所の判決書などの提出を求められます。駐日ベトナム大使館の案内でも、離婚歴や死別歴がある人には離婚判決書や死亡証明書の提出が挙げられています。

日本で先に結婚する場合|相手が日本に中長期在留しているとき

相手のベトナム人が留学・技能実習・特定技能・技術・人文知識・国際業務などで日本に住んでいるなら、日本の市区町村に婚姻届を出す方法が早く進みます。

在日ベトナム大使館・総領事館で婚姻要件具備証明書を取る

日本の市区町村は、外国人の婚姻届を受理する際に、その人が本国法上結婚できることを示す書類として婚姻要件具備証明書を求めます。ベトナム人の場合は、在日ベトナム大使館か総領事館が発行します。

駐日ベトナム大使館の案内が挙げている必要書類は、次のとおりです。

  • 婚姻要件具備証明書申請書(規定の書式)
  • 旅券の原本と、2〜3ページ目の写し
  • 日本の役所が発行する、婚姻の登録がないことの証明書
  • ベトナムの町村級人民委員会が発行した「婚姻状況確認書」(6か月以内のもの)
  • 日本に住んでいることを証明する書類(住民票など)
  • 離婚歴・死別歴がある場合は離婚判決書・死亡証明書

処理日数は通常5営業日で、郵送での申請も受け付けています(必要書類・着払伝票・手数料を同封)。大阪の総領事館の案内も、住民票の原本と在留カードの写しを必要書類に挙げています。住民票と在留カードが前提になっているため、短期滞在で来日中のベトナム人は、この方法で婚姻要件具備証明書を取れません。婚姻状況確認書はベトナムの本籍地で発行される書類なので、日本在住のベトナム人は家族に取得を頼むか、一時帰国の機会に取っておく必要があります。

大使館の管轄は住所地の都道府県で分かれています。九州在住のベトナム人の申請先(在福岡ベトナム総領事館の管轄範囲)は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。申請前に、住所地を管轄する公館の最新の案内を確認してください。

市区町村に婚姻届を出し、ベトナム側に記録させる

婚姻要件具備証明書と日本語訳、旅券などを添えて、日本人の本籍地か住所地の市区町村に婚姻届を出します。受理された日に、日本法上の婚姻が成立します。婚姻届の書き方と役所で求められる書類は国際結婚の婚姻届の書き方|婚姻要件具備証明書が出ない国の代替書類と受理証明書で扱っています。

日本で成立した婚姻は、そのままではベトナムの身分登録に載りません。ベトナム側でも婚姻を記録する手続(外国で成立した婚姻の記録)が必要です。記録の窓口と必要書類は、2025年7月1日にベトナムの郡級行政が廃止された後の運用が固まっていない部分があり現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。この記録を済ませないと、配偶者ビザの申請で求められる「外国の機関が発行した結婚証明書」に当たる書類が手に入りません。

ベトナムで先に結婚する場合|相手がベトナムに住んでいるとき

相手がベトナムに住んでいる場合、日本方式を先にすると、ベトナム人が日本の公館で婚姻要件具備証明書を取れない(中長期在留者でないため)という壁に当たります。そのため、ベトナムの方式で先に結婚する方法が選ばれることが多くなります。

日本人が在ベトナム日本国大使館で婚姻要件具備証明書を取る

ベトナムの人民委員会は、日本人に対して、日本法上結婚できることを示す婚姻要件具備証明書を求めます。在ベトナム日本国大使館の案内(2024年2月6日更新)によれば、申請の条件と書類は次のとおりです。

  • 申請人本人が来館して申請する
  • 証明書発給申請書
  • 旅券の原本
  • 戸籍謄本(抄本)の原本(発行日から3か月以内の、できるだけ新しいもの)
  • 必要な場合は、婚姻予定者の身分事項を証明する書類

手数料はベトナムドンの現金のみで、交付は翌業務日です。日本人本人がベトナムへ渡航して大使館に出向く必要があるため、渡航日程は、この証明書の取得と人民委員会への登録申請、面接の3つを見込んで組みます。婚姻要件具備証明書は日本の法務局でも取得でき、これを外務省の公印確認と在日ベトナム大使館の認証を経てベトナムで使う方法もあります。どちらが受け付けられるかは、登録先の人民委員会の運用によります。

人民委員会での婚姻登録と面接

在ベトナム日本国大使館の案内では、婚姻登録の申請窓口は、相手のベトナム人の本籍がある地方人民委員会とされています。そして、「登録申請が受理された後,概ね15日以内に面接が行われます」。面接では、二人が本当に結婚の意思を持っているか、互いのことを知っているかが確かめられます。通訳を介さず二人で意思疎通できるかを見られることもあるため、夫婦の共通言語を普段から使っておくことは、後の配偶者ビザの審査にもつながる準備になります。

この案内は、郡級行政の廃止(2025年7月1日)より前に作成されたものです。再編後の登録窓口がどの級の人民委員会になるかは(公式資料では未確認)で、手続の前に登録予定地の人民委員会か大使館に確認してください。

婚姻登録が終わると、人民委員会から婚姻証明書が交付されます。この書類は、後で日本への婚姻届と配偶者ビザの申請の両方で使います。

婚姻成立から3か月以内に日本へ婚姻届を出す

外国の方式で婚姻が成立したときは、日本人は婚姻成立の日から3か月以内に、日本側に婚姻届を出さなければなりません(戸籍法41条)。在ベトナム日本国大使館(2024年4月1日更新)は、大使館に届け出る場合の書類として次のものを挙げています。

書類 通数
婚姻届書 2部
ベトナムの婚姻証明書(人民委員会発行) 原本提示・写し2部
婚姻証明書の和訳 2部
ベトナム人配偶者の国籍を証明する書類(旅券又は出生登録証明書) 原本提示・写し2部
国籍証明書類の和訳 2部
日本人の旅券 原本提示・写し2部

3か月を過ぎても届出はできますが、遅延理由書(2部)が必要になります。大使館で受理されてから日本の本籍地で戸籍に婚姻が記載されるまでは、1〜2か月かかります。日本に帰国してから本籍地や住所地の市区町村に直接出すこともでき、その方が戸籍への記載は早く済みます。

配偶者ビザの申請は、戸籍に婚姻が記載されてからでないと必要書類がそろいません。 大使館経由で届け出るか帰国後に市区町村へ出すかは、ビザ申請までの日数を左右する判断です。

配偶者ビザの申請|ベトナム人配偶者の場合の書類

両国での婚姻手続が済んだら、配偶者ビザを申請します。相手がベトナムにいる場合は、日本人配偶者が住所地を管轄する地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請をします。相手が日本に中長期在留している場合は、在留資格変更許可申請になります。

出入国在留管理庁の「日本人の配偶者等」のページが示す提出書類は、国籍を問わず共通です。

  • 在留資格認定証明書交付申請書(又は在留資格変更許可申請書)
  • 写真
  • 日本人配偶者の戸籍謄本(婚姻の事実が記載されたもの。記載がまだなら婚姻届出受理証明書を追加)
  • 申請人の国籍国の機関が発行した結婚証明書
  • 日本人配偶者の住民税の課税(非課税)証明書・納税証明書
  • 日本人配偶者の身元保証書
  • 日本人配偶者の世帯全員の記載のある住民票
  • 質問書
  • 夫婦で写っている写真(スナップ写真2〜3葉)、SNSや通話の記録など交際を示す資料

ベトナムの書類には日本語訳を付けます。訳者は誰でもよいとされていますが、訳者の氏名を明記します。在ベトナム日本国大使館への婚姻届で作った和訳を流用すると、表記の食い違いを防げます。

相手が技能実習生や特定技能外国人として日本で働いている場合は、在留資格の変更の前に、今の勤務先との雇用関係をどうするかを整理しておく必要があります。「日本人の配偶者等」は就労制限がない在留資格なので、変更後は同じ会社で別の雇用形態に切り替えることもできます。ただ、技能実習は実習計画の途中終了の手続を伴い、監理団体・実習実施者との調整が要ります。変更申請の書式の書き方は在留資格変更許可申請書の書き方で解説しています。

審査期間は、出入国在留管理庁の統計(2026年7月許可分)で、認定106.5日、変更57.4日が平均です。在留資格認定証明書が交付された後の査証申請と入国までの流れは在留資格認定証明書が交付されたら?を参照してください。

入管は質問書で仲介業者の介在を確かめる

ベトナム人との国際結婚で配偶者ビザを申請するとき、審査で丁寧に見られるのが、二人がどう知り合ったかです。背景には、報酬目的で日本人とベトナム人を引き合わせる仲介の存在があります。ベトナムの法令は営利目的の結婚仲介を禁じています(根拠条文は(公式資料では未確認))。日本側でも、出入国在留管理庁が2026年3月に公表した在留資格取消しの事例に、日本人との婚姻を偽装したうえでの虚偽の更新申請が含まれています。

仲介の有無を確かめる役割を担っているのが、質問書の3ページ目にある紹介者欄です。書式は、紹介者の有無、紹介者の国籍・氏名・生年月日・住所・電話番号、紹介された年月日・場所・方法、紹介者と申請人・配偶者それぞれとの関係を書かせる構成になっています。関係欄には「単に友人・知人と記載するのではなく」具体的に書くよう注記があり、結婚相談所を通じた場合は氏名欄に会社名を書きます。

ここで重要なのは、結婚相談所を使ったこと自体は不許可の理由にならないという点です。問題になるのは、紹介者を「無」と書いたのに、相談所への支払いの記録や、ベトナム側の登録記録、SNSのやり取りから第三者の介在が読み取れる場合です。書いた内容と他の資料が食い違うと、婚姻の真実性そのものが疑われます。紹介者欄は、実際に介在した人や会社をそのまま書くのが、後の審査で説明がつく唯一の書き方です。

質問書では、紹介者欄のほかに、夫婦間の会話で使う言語と、通訳者の有無も書きます。通訳者が紹介者と同じ人物であればその旨を書き、関係が一貫して読めるようにします。各欄の記入例は配偶者ビザの質問書の書き方|交際経緯・紹介者欄の記入例と矛盾の防ぎ方で詳しく扱っています。

審査で説明を求められやすい事情

次のような事情は、それだけで不許可になるわけではありませんが、追加資料を求められやすくなります。

  • 交際期間が短い、実際に会った回数が少ない
  • 夫婦の年齢差が大きい
  • 共通の言語での意思疎通が難しい
  • 日本人配偶者に、過去にも外国人との婚姻・離婚歴がある
  • ベトナム人配偶者に、日本での失踪歴や在留資格の取消し歴がある

こうした事情がある場合は、隠さずに書いたうえで、渡航記録(旅券のスタンプ・航空券)、日付の入った写真、送金記録、通話記録などで交際の経過を裏付けます。追加資料を求められたときの対応は入管から資料提出通知書が届いたら?で解説しています。どの事情がどの程度影響するかは個別の事情で判断が変わるため、心配な点があるときは申請前に専門家へ相談してください。

よくある質問

ベトナム人と結婚するにはどのくらいの期間がかかりますか?

ベトナムで先に結婚する場合、日本での戸籍謄本の取得から、婚姻要件具備証明書(翌業務日)、人民委員会への登録申請と面接(受理後おおむね15日以内)、大使館経由の婚姻届から戸籍への記載(1〜2か月)を経て、配偶者ビザの認定申請(平均106.5日、2026年7月許可分)に進みます。書類集めの期間を含めると、半年から1年ほどを見込むのが現実的です。

ベトナム人と結婚したら国籍はどうなりますか?

日本の法律では、外国人と結婚しても日本人の国籍は変わりません。ベトナム人配偶者も、結婚しただけで日本国籍にはなりません。日本国籍を取るには帰化申請が必要で、日本人の配偶者には居住期間の要件が緩和される簡易帰化の規定があります(国籍法7条)。

ベトナム人と結婚したら名字はどうなりますか?

日本人と外国人の夫婦は、婚姻届を出しても氏は変わらず、夫婦別姓が原則です。日本人がベトナム人配偶者の氏に変えたい場合は、婚姻の日から6か月以内なら市区町村への届出だけで変更できます(戸籍法107条2項)。

ベトナム人と結婚できる年齢は?

ベトナムの婚姻家族法では、男性20歳以上、女性18歳以上です。日本の方式で結婚する場合も、ベトナム人の側はこの年齢要件を満たす必要があります。

短期滞在で来日中のベトナム人と日本で結婚できますか?

在日ベトナム大使館・総領事館の婚姻要件具備証明書は、住民票や在留カードを必要書類としているため、短期滞在者は取得できません。この場合はベトナムで先に結婚する方法を選ぶのが一般的です。短期滞在のまま日本で配偶者ビザへ変更する申請は、原則として認められていない点にも注意してください。

どちらの国で先に結婚するかは、ビザ申請から逆算して決める

ベトナム人との国際結婚で迷いやすいのは、どちらの国で先に結婚するかです。この判断は、相手が日本に中長期在留しているかどうか、日本人がベトナムに何度渡航できるか、配偶者ビザをいつまでに取りたいかの3点で決まります。相手が日本に住んでいれば日本先行、ベトナムに住んでいればベトナム先行が基本で、どちらの場合も、もう一方の国での記録を終えてからでないとビザ申請の書類はそろいません。

もう一つ、手続の初期段階から意識しておきたいのが、出会いから結婚までの事実を記録として残すことです。人民委員会の面接で答えた内容、婚姻届に書いた同居開始日、質問書の経緯欄と紹介者欄は、すべて同じ事実を別の角度から述べたものとして読まれます。最初の段階で日付と経緯をメモにしておけば、後の書類で食い違いが起きにくくなります。認定証明書が不交付になった場合の再申請の考え方は在留資格認定証明書が不交付になる理由とは?にまとめています。

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根拠資料


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