在留カードの返納は、日本に戻る予定なく出国するなら、出国する空港・港で入国審査官に直ちに返します。帰化、在留期間の満了、再入国許可の期限切れ、本人の死亡などでカードが効力を失ったときは、その日から14日以内に、住居地を管轄する入管へ持参するか、東京出入国在留管理局おだいば分室へ郵送します。みなし再入国許可や再入国許可で出国する人は、空港で返す必要はありません。
在留カードを返す場面は6つ、期限は「直ちに」か「14日以内」
在留カードの効力が失われる場合は、入管法19条の14に6つ定められています。返納の期限は、そのどれに当たるかで「直ちに」と「14日以内」に分かれます(19条の15)。
| 失効の事由(19条の14) | 典型的な場面 | 返納期限 | 返納先 |
|---|---|---|---|
| 1号 中長期在留者でなくなった | 帰化、在留資格の取消し、在留期間3月以下の在留資格への変更など | 事由が生じた日から14日以内 | 地方出入国在留管理官署(持参・郵送) |
| 2号 有効期間が満了した | 更新や変更をせずに在留期限を過ぎた | 14日以内 | 同上 |
| 3号 再入国許可なしで出国した | 退職して帰国し、日本に戻らない | 直ちに | 出国する空港・港の入国審査官 |
| 4号 再入国許可で出国し、期限内に戻らなかった | みなし再入国で一時帰国したが、そのまま本国に残った | 14日以内 | 郵送(海外から) |
| 5号 新しい在留カードの交付を受けた | 更新・変更・再交付で新カードを受け取った | 直ちに | 新カード交付の窓口(引換え) |
| 6号 本人が死亡した | 在留中の死亡 | 死亡の日(発見の日)から14日以内 | 親族又は同居者が返納 |
表の期限と返納先は、入管法19条の15と出入国在留管理庁「在留カード等の返納」のページに基づきます。5号の新カード交付の場面は、窓口で古いカードが回収されるので、本人が意識することはほとんどありません。実際に手続として問題になるのは、1号・2号・3号・4号・6号の5つです。
1号・2号・4号でカードが効力を失ったのに返納しないと、20万円以下の罰金の対象になります(71条の5第3号)。3号の「直ちに」の返納も同じ罰則の対象です。6号の死亡の場合の返納義務(19条の15第4項)だけは、この罰則から除かれています。
帰国して日本に戻らないなら、空港で返す
退職して本国に帰り、日本に戻る予定がない社員は、出国の際に空港で在留カードを返します。出国審査で、在留カードとパスポートを入国審査官に示し、再入国の予定がないことを伝えれば、その場で手続が終わります。
ここで確認しておきたいのが、出国時の「再入国出入国記録(EDカード)」の扱いです。みなし再入国許可で出国する人は、この記録の「みなし再入国許可による出国を希望します」欄にチェックを入れます。日本に戻らない人はチェックを入れず、在留カードを返納します。
在留カードを手元に記念として残したい人もいますが、無効になったカードを出国時に持ち帰れるかは空港での取扱いによります【公式資料で確認:穴あけのうえ返還する取扱いの有無は出入国在留管理庁の公表資料で確認できなかった】。少なくとも、返納をしないまま出国してよいという扱いはありません。
みなし再入国・再入国許可で出る人は、空港で返さない
一時帰国や、まだ日本に戻るかどうか決めていない状態で出国する場合は、みなし再入国許可(出国から1年以内。在留期限がそれより前ならその期限まで)か、再入国許可で出国します。この場合、在留カードは効力を失わないので、空港で返す必要はありません。カードは持ったまま出国します。
注意が必要なのは、そのまま日本に戻らなかった場合です。再入国許可(みなし再入国許可を含む)の有効期間内に再入国しなかったときは、その時点で在留資格も在留カードも効力を失い(19条の14第4号)、そこから14日以内に返納しなければなりません。本人は海外にいるので、郵送で返すことになります。
退職帰国する社員が「念のため」みなし再入国で出国するケースは少なくありません。日本に戻る可能性が少しでもあるならその選択も合理的ですが、戻らなかった場合には海外からの郵送返納という手間が残ることを、出国前に本人へ伝えておくと親切です。再入国許可とみなし再入国許可の違いは再入国許可とみなし再入国許可の違いで解説しています。
郵送で返納する方法
空港以外で返納する場合は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署の窓口に持参するか、郵送します。出入国在留管理庁が案内している郵送先は1か所です。
- 〒135-0064 東京都江東区青海2-7-11 東京港湾合同庁舎9階
- 東京出入国在留管理局おだいば分室
- 封筒の表に「在留カード等返納」と書く
同封するのは、在留カードのほか、返納の理由を示す書類です。入管のページでは参考書式(返納の理由などを書く書面)が示されており、死亡による返納では死亡証明書や戸籍謄本などを添えます。帰化による返納であれば、帰化の官報告示の日がわかるものを添えておくと処理がはっきりします。
海外から郵送する場合も同じ宛先です。国際郵便は追跡ができる方法を選び、発送した記録を残しておくことを勧めます。返納しないまま次に日本へ入国しようとしたとき、過去の返納漏れを説明しなければならなくなる場面を避けるためです。
帰化・死亡・在留期限切れのとき
帰化したとき
帰化の官報告示の日に日本国籍を取得すると、中長期在留者でなくなるため在留カードは効力を失います(19条の14第1号)。告示の日から14日以内に返納が必要です。市区町村への帰化届(告示の日から1か月以内)とは期限が違うので、帰化届を出す前にカードの返納期限が来ることがあります。帰化許可後の手続は帰化の官報告示とは?許可後にやること(帰化届・在留カード返納・パスポート)でまとめています。
本人が死亡したとき
在留中の外国人が亡くなった場合は、親族または同居者が、死亡の日から14日以内に返納します。死亡後にカードが見つかったときは、見つけた日から14日以内です(19条の15第4項)。会社の寮で亡くなった社員に同居の家族がいない場合、同居者として同じ寮の住人が当たるのか、会社が遺族と相談して対応するのかは状況によります。遺族が海外にいるときは、会社が遺族の了解を得て郵送返納を手伝うのが現実的です。
在留期限を過ぎてしまったとき
更新も変更もしないまま在留期限を過ぎると、カードの有効期間も満了し、14日以内の返納義務が生じます(19条の14第2号)。ただ、この状態は同時に不法残留(オーバーステイ)でもあり、返納だけで済む話ではありません。在留期限を過ぎていることに気づいたら、返納より先に入管へ出頭して今後の手続を相談する必要があります。
退職帰国する社員への案内文例
外国人社員が退職して帰国するとき、在留カードの返納は本人の義務で、会社が代わりに行う手続ではありません。ただ、帰国直前は住民税の精算、年金の脱退一時金、転出届など手続が重なるため、会社から案内を出しておくと漏れを防げます。
案内文は、次のような内容にしておくと伝わりやすくなります。
【帰国の際の在留カードの扱い】 日本に戻る予定がない場合は、出国の空港で在留カードを入国審査官に返してください。出国の記録カードの「みなし再入国許可による出国を希望します」にはチェックを入れないでください。 日本に戻るかどうか決まっていない場合は、みなし再入国許可で出国できます。この場合、在留カードは持ったまま出国します。ただし、出国から1年以内(在留期限がそれより前ならその日まで)に日本に戻らなかったときは、その後14日以内に、在留カードを次の宛先に郵送で返してください。 〒135-0064 東京都江東区青海2-7-11 東京港湾合同庁舎9階 東京出入国在留管理局おだいば分室(封筒に「在留カード等返納」と書く)
会社側の手続としては、ハローワークへの外国人雇用状況の届出(離職の翌月末日まで)があります。本人は、退職から14日以内に入管へ所属機関に関する届出を出す義務があります。帰国までに必要な手続の全体は外国人社員が退職・解雇したら?と外国人社員の帰国手続き|会社がやる税・年金と本人の転出届・在留カード返納で整理しています。
会社が在留カードを退職時に回収し、会社から入管へ送る扱いは避けるべきです。在留カードには常時携帯義務があり(入管法23条2項)、出国の日まで本人がカードを持っていなければ、本人確認や出国手続に支障が出ます。
よくある質問
在留カードは死亡したら返納しなくてはいけませんか?
返納が必要です。亡くなった人の親族または同居者が、死亡の日から14日以内に、地方出入国在留管理官署に持参するか、おだいば分室に郵送します。死亡証明書や戸籍謄本などの死亡を証する書類を添えます。この場合の返納義務には、罰則の定めはありません。
在留カードを返納しないとどうなりますか?
帰化・期間満了・再入国期限切れで失効したカードや、出国時に返すべきカードを返納しないと、入管法71条の5第3号により20万円以下の罰金の対象になります。また、失効したカードを持ち続けると、失効情報照会で無効と表示されるカードを使ってしまうおそれもあります。
在留カードを返納せずに帰国した場合はどうすればいいですか?
海外から、東京出入国在留管理局おだいば分室へ郵送で返納します。封筒に「在留カード等返納」と書き、返納の理由(再入国しなかったこと、帰国したことなど)を記載した書面を同封します。
在留カードの返納先はどこですか?
出国時は出国する空港・港の入国審査官、それ以外は住居地を管轄する地方出入国在留管理官署の窓口か、郵送でおだいば分室です。福岡県に住んでいる人なら、福岡出入国在留管理局の窓口に持参することもできます。
帰化後、在留カードは返納しなくてはいけませんか?
必要です。帰化の官報告示の日に在留カードは効力を失い、その日から14日以内に返納します。帰化届の期限(1か月以内)より短いので、先に返納を済ませておくと安心です。
返納は「最後の手続」でなく「出国の設計」の一部
在留カードの返納は、カードを返すだけの簡単な手続に見えますが、実際には「どの形で出国するか」と一体で決まります。日本に戻らないなら空港で返す。戻る可能性があるならみなし再入国で出て、戻らなかったときに郵送で返す。この分岐を本人が理解していないと、空港で返し忘れたり、再入国の期限が切れたまま放置されたりします。
会社にできることは、帰国の予定を聞いた段階で、この分岐を本人と一緒に確認し、案内文を渡しておくことです。返納そのものは本人の義務ですが、案内1枚で防げる返納漏れは少なくありません。
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根拠資料
- 在留カード等の返納(出入国在留管理庁)
- 在留カード・特別永住者証明書の返納について(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法 19条の14・19条の15・23条・26条の2・71条の5(e-Gov法令検索)
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