在留資格の変更や在留期間の更新を申請している最中でも、再入国許可またはみなし再入国許可を受けて出国することはできます。出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」(Q61)がこれを認めています。注意すべきは戻る期限で、在留期限を過ぎて特例期間に入っているときは、元の在留期間の満了日から2か月を経過する日と出国の日から1年のいずれか早い日までに再入国しなければならず、再入国後も2か月の期限内に結果を受け取る必要があります。
永住許可の申請中はこの特例期間がそもそも働かないため、同じ感覚で一時帰国すると在留期限を失うおそれがあります。この記事では、申請の種類ごとに出国の可否と戻る期限を条文と入管庁の公表資料で整理し、会社の人事担当者が海外出張や年末年始の帰省の相談を受けたときに確認すべき点をまとめます。
申請中に出国できる根拠|入管庁Q&AのQ61
出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」Q61は、「在留期間更新許可(又は在留資格変更許可)申請中ですが、再入国許可による出国(みなし再入国許可による出国を含む。)は可能ですか。」という質問に対し、申請中でも再入国許可またはみなし再入国許可による出国は可能だと答えています。
そのうえで、Q61は2つの条件を付けています。1つは、みなし再入国許可で出国した場合は「従前の在留期間の満了の日から2月を経過する日又は出国の日から1年のいずれか早い日までに」再入国すること。もう1つは、再入国した後、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する前に、必ず申請の結果を受け取ることです。
この2つの条件の意味は、特例期間という仕組みを理解するとわかりやすくなります。
特例期間とは|申請中は元の期限から最長2か月在留できる
ここでいう特例期間とは、在留期限までに変更・更新の申請をした人が、審査中に期限を過ぎても、一定の期間は元の在留資格のまま日本にいられる期間を指します。根拠は入管法20条6項(更新は21条4項で準用)で、申請の時に持っている在留資格の在留期間の満了日までに処分がされないときは、「当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から二月を経過する日が終了する時のいずれか早い時まで」引き続きその在留資格で在留できると定めています。
例えば在留期限が6月30日の人が6月上旬に更新を申請し、7月以降も結果が出ていない場合、8月31日が終わる時まで適法に在留できます。在留期限が12月30日なら翌年2月28日(うるう年は29日)までです。特例期間は30日以下の在留期間を決定されている人には適用されません(20条6項かっこ書き)。
特例期間中の人は、在留カードの裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中である旨が記載されます。オンライン申請の場合は在留カードへの記載がないため、入管庁から届く「申請受付番号のお知らせ」のメール(またはその印刷物)を携行して、申請中であることを示します。申請期限と標準処理期間の関係は在留資格の変更・更新はいつまでに申請する?で整理しています。
申請の種類と時期で変わる「戻る期限」
申請中の出国で判断が分かれるのは、出国する時点で元の在留期限が来ているかどうかと、出国の手段がみなし再入国許可か通常の再入国許可かです。
| 状況 | 出国の可否 | 戻る期限 |
|---|---|---|
| 変更・更新申請中、在留期限前にみなし再入国で出国 | 可 | 出国から1年と在留期限のいずれか早い日。ただし申請中で結果が出ていなければ、実際には元の満了日から2か月を経過する日までが限度(Q61) |
| 変更・更新申請中、特例期間に入ってからみなし再入国で出国 | 可 | 元の満了日から2か月を経過する日と出国から1年のいずれか早い日(Q61) |
| 変更・更新申請中、再入国許可(通常)で出国 | 可 | 許可の有効期間内。申請中の人は、有効期間を特例期間の終了時まで延長できる場合がある(入管法26条4項) |
| 永住許可申請中 | 可 | みなし再入国なら在留期限と出国から1年のいずれか早い日。特例期間は働かない |
| 再入国許可なしで出国(出国時にみなし再入国の意思表示をしない) | 出国は可能 | 在留資格が消滅し、申請中の審査も続けられない |
みなし再入国許可の有効期間は、入管法26条の2第2項で「出国の日から一年(在留期間の満了の日が出国の日から一年を経過する日前に到来する場合には、在留期間の満了までの期間)」とされています。Q61は、特例期間中の出国について、この「在留期間の満了まで」を元の満了日から2か月を経過する日まで読み込む扱いを示したものと考えられます。
通常の再入国許可を持っている人については、入管法26条4項が、変更・更新の申請があった場合に、相当と認めるときは再入国許可の有効期間を特例期間の終了時まで延長できると定めています。数次再入国許可を持つ人が申請中に長めの出張に出る場合は、この延長の要否を申請窓口で確認しておくと安全です。再入国許可とみなし再入国許可の違いは再入国許可とみなし再入国許可の違い|長期出張・一時帰国で在留資格を失わないためにで扱っています。
変更申請中の出国と審査の扱い
在留資格変更許可申請中の出国について、Q61は更新申請と同じく、再入国許可(みなし再入国許可を含む)による出国を認めています。一方、再入国許可を受けずに出国した場合は、出国によって在留資格そのものがなくなります。申請の前提となる在留資格がなくなる以上、変更・更新の審査は続けられず、改めて在留資格認定証明書の交付申請から始めることになります。
入国・在留審査要領には、特例期間に係る再入国許可の取扱いを定めた箇所(第10編第8章第3とされる部分)があり、申請中に出国した場合の審査の継続・終了の扱いが書かれているとされます。この部分の原文は一次資料で確認できなかったため、変更申請中の出国で審査がどう扱われるかの細部は現時点で公式資料では確定していないため、断定できません。実務上は、変更申請中の出国は、Q61に沿ってみなし再入国許可を必ず受け、2か月の期限内に戻ることを前提に計画するのが安全です。
永住申請中の出国|特例期間がないことが最大の注意点
永住許可の申請中も、みなし再入国許可や再入国許可で出国することはできます。ただし、変更・更新と決定的に違うのは、入管法20条6項の特例期間が永住許可申請には準用されていない点です。条文上、特例期間は20条(変更)と21条(更新、4項で準用)にしかなく、永住許可を定める22条には準用規定がありません。
出入国在留管理庁の永住許可申請のページも、「永住許可申請中に在留期間が経過する場合は、在留期間の満了する日までに別途在留期間更新許可申請をすることが必要です」と明記しています。永住許可の標準処理期間は4か月から6か月とされ、実際にはそれ以上かかることもあるため、申請中に今の在留期限が来るケースは珍しくありません。
このため、永住申請中の一時帰国では、次の順で確認します。
- 今の在留期限はいつか。帰国中に期限が来るなら、出国前に在留期間更新許可申請をしておく
- 更新申請をしたなら、その更新申請の特例期間(元の満了日から2か月)が戻る期限の上限になる
- みなし再入国許可で出国するなら、出国から1年と在留期限(更新申請中なら元の満了日から2か月を経過する日)のいずれか早い日までに戻る
永住申請中に更新申請を忘れて在留期限を過ぎると、その時点で不法残留になり、永住申請も許可される余地がなくなります。帰国中に期限を迎えた場合は、みなし再入国許可も期限で効力を失うため、日本に戻れなくなります。永住の要件の見直し状況は【2026年10月改定】永住許可の要件厳格化で何が変わる?で扱っています。
長期の出国そのものが永住の審査で不利に働くかは別の論点です。永住許可に関するガイドラインは原則10年の在留のうち就労資格または居住資格で5年以上の在留を求めており、申請中を含めて出国期間が長いと、継続して在留しているかどうかが問われることがあります。個別の事情で判断が変わるため、数か月単位の出国を予定している場合は申請前に相談してください。
出国中に結果が出たら|在留カードは本人が日本で受け取る
申請中の出国で見落とされやすいのが、結果の受け取りです。変更・更新の許可は、新しい在留カードの交付によって効力を生じます(入管法20条5項・4項、21条4項で準用)。結果の通知はハガキやメールで届き、本人が地方出入国在留管理局に出向いて新しい在留カードを受け取ります。
Q61が「再入国後、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する前に必ず申請結果を受け取る」ことを求めているのはこのためです。許可が出ていても、2か月の期限までにカードを受け取らなければ、許可の効力が生じないまま特例期間が終わります。申請取次を依頼している場合、行政書士が代わりに在留カードを受け取れる場合がありますが、本人が日本にいることが前提になると考えておくのが安全です(公式資料では未確認)。
出国中に入管から追加資料の提出を求められることもあります。資料提出通知書への対応期限を過ぎると、手元の資料だけで判断されて不許可になるおそれがあります。出国前に、会社の担当者や申請取次者が通知を受けて代わりに資料を用意できる体制を作っておくと、帰国中の連絡の取りこぼしを防げます。
会社の担当者が一時帰国の相談を受けたときの確認手順
外国人社員から「申請中だけど年末に帰省したい」と相談されたときは、次の4点を確認すると判断を誤りません。
- 申請の種類:変更・更新か、永住か。永住なら今の在留期限と、別途の更新申請の要否を確かめる
- 元の在留期限と、そこから2か月を経過する日:戻りの便がこの日より前か
- 出国の手段:みなし再入国許可を使うなら、出国時に空港で再入国の意図を表明する(出入国記録の該当欄にチェックする)。通常の再入国許可を持つなら有効期間を確認する
- 結果の受け取りと追加資料への対応:戻ってから2か月の期限までにカードを受け取る時間が残るか、出国中の入管からの連絡を誰が受けるか
特に3は、空港で「みなし再入国許可による出国を希望する」欄へのチェックを忘れると、再入国許可なしの出国として扱われ、在留資格を失います。社員に一時帰国の注意事項として書面で渡しておくと確実です。福岡出入国在留管理局への来庁や在留カードの受取りについては福岡出入国在留管理局への行き方・予約方法を参照してください。
よくある質問
配偶者ビザ申請中に出国して再入国できますか?
日本人の配偶者等の変更・更新申請中であれば、再入国許可またはみなし再入国許可で出国し、再入国できます(入管庁Q&A Q61)。特例期間中なら、元の在留期限から2か月を経過する日までに戻り、その期限内に結果を受け取る必要があります。海外にいる配偶者を呼ぶための在留資格認定証明書の交付申請であれば、日本にいる配偶者が出国しても申請自体に支障はありません。
特例期間中にみなし再入国で出国した場合、いつまでに戻ればよいですか?
元の在留期間の満了日から2か月を経過する日と、出国の日から1年のいずれか早い日までです。通常は前者が先に来ます。在留期限が6月30日なら8月31日までに戻る必要があります。
永住権の申請中に出国しても申請は取り消されませんか?
再入国許可(みなし再入国許可を含む)で出国し、期限内に戻れば、在留資格は続くため、申請が出国を理由に取り下げられることはありません。ただし永住申請には特例期間がないため、今の在留期限が来る前に在留期間更新許可申請を別に出しておく必要があります。
申請中に出国すると審査に時間がかかりますか?
出国そのものが審査期間を延ばすとは入管庁の資料に書かれていません。ただし、追加資料の提出を求められたときに本人と連絡がつかないと、対応が遅れて結果が出るまでの期間が延びたり、不許可になったりするおそれがあります。
出国の前に「元の期限から2か月」の日付を決めておく
申請中の出国は禁止されていませんが、戻る期限と結果を受け取る期限が同じ「元の在留期間の満了日から2か月を経過する日」に重なるという点で、通常の一時帰国より余裕のない計画になります。変更・更新の申請中なら、この日付から逆算して、戻る便と在留カードの受取りの日程を決めておくことが第一歩です。
永住申請中の場合は、それに加えて今の在留期限と更新申請の要否を確認します。特例期間がないことを知らずに帰国すると、永住どころか今の在留資格まで失いかねません。会社としては、申請の種類・期限・出国手段・連絡体制の4点を一時帰国の申出の段階で確認する運用にしておくと、社員の在留資格を守ることにつながります。
関連するコラム
- 在留カードとは?表面・裏面の見方と記載事項|採用時に確認すべき欄
- 在留申請オンラインシステムとは?企業の利用申出から申請までの流れ
- 在留カード更新をオンラインで|本人申請の手順とスマホの役割・必要なもの
根拠資料
- 出入国審査・在留審査Q&A(Q57・Q61)(出入国在留管理庁)
- 出入国管理及び難民認定法 第20条・第21条・第22条・第26条・第26条の2(e-Gov法令検索)
- 永住許可申請(出入国在留管理庁)
- 永住許可に関するガイドライン(出入国在留管理庁)
在留資格の申請・採用のご相談は、保利国際法務事務所の無料相談へ。福岡出入国在留管理局への申請取次に対応しています。