永住許可申請セルフチェックシートは、永住の要件のうち書類で白黒がつく7項目を、申請前に「はい/いいえ」で確かめるための出入国在留管理庁の様式です。入管庁は永住許可申請のページで、1つでも「いいえ」に該当した場合は不許可となる可能性が高くなると明記しています。つまりこのシートは記入して出すだけの書類ではなく、今申請してよいかを判定する道具として使うものです。本稿では7項目の読み方と、「いいえ」が付いたときに何年待てば「はい」に変わるのかを、項目ごとに整理します。
永住許可申請セルフチェックシートとは
ここでいうセルフチェックシートとは、永住許可に関するガイドラインが定める要件のうち、在留年数と公的義務の履行、在留期間、刑罰歴という客観的に確認できる部分を、申請人自身に先に確認させるための一枚の様式を指します。入管庁の「永住許可申請」のページに、申請書・提出書類一覧表と並んで Excel 形式で掲載されており、申請書類と合わせて提出するよう求められています。
似た名前の書類に「提出書類チェックシート」があります。こちらは住民票や課税証明書などの書類がそろっているかを確認する一覧で、就労資格用と就労資格以外用の2種類がPDFで公開されています。セルフチェックシートは要件を満たしているか、提出書類チェックシートは書類がそろっているかを確認するもの、という役割分担です。
セルフチェックシートが公開された時期は、民間の解説ではおおむね2024年12月とされていますが、入管庁の公表日は確認できていません(公式資料では未確認)。いずれにしても、2026年9月29日時点の永住許可申請のページには3種類のシートが掲載されています。
3種類のシートと7つの質問
シートは申請人の現在の在留資格によって3種類に分かれています。
- 「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の方
- 「定住者」の方
- 就労関係の在留資格の方
質問はいずれも7問で、違いは1問目の在留年数と、2問目の住民税をさかのぼる年数にあります。
| 質問 | 就労関係 | 定住者 | 日本人・永住者の配偶者等 |
|---|---|---|---|
| 1 在留年数 | 引き続き10年以上在留し、うち就労資格または居住資格で引き続き5年以上 | 「定住者」で5年以上継続して在留 | 実体を伴う婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上在留 |
| 2 住民税 | 直近5年間、適正な時期に納税 | 直近5年間、適正な時期に納税 | 直近3年間、適正な時期に納税 |
| 3 国税 | 未納がない | 未納がない | 未納がない |
| 4 年金保険料 | 直近2年間、適正な時期に納付 | 同左 | 同左 |
| 5 医療保険料 | 直近2年間、適正な時期に納付 | 同左 | 同左 |
| 6 在留期間 | 「3年」または「5年」が決定されている | 同左 | 同左 |
| 7 刑罰 | 罰金刑・拘禁刑(旧懲役・禁錮)を受けたことがない | 同左 | 同左 |
住民税の年数の違いは、提出書類一覧表で求められる課税・納税証明書の年数と一致しています。就労資格・定住者は直近5年分、配偶者の区分は直近3年分です。必要書類の全体像は永住申請の必要書類一覧|就労ビザ・配偶者ビザ別の提出書類と取得先で整理しています。
高度専門職のポイント特例(70点で3年、80点で1年)や、特別高度人材の特例を使う人向けのシートは掲載されていません。就労関係のシートの1問目は原則10年を前提にした書き方のため、特例で申請する人は1問目が文字どおりには「はい」になりません。この場合の記入のしかたを入管庁は示しておらず(公式資料では未確認)、特例に該当することを申請理由書やポイント計算表で示すことになります。特例の考え方は高度専門職から永住申請|70点で3年・80点で1年の条件とポイントの基準時点で解説しています。
7項目の読み方
1問目 在留年数は「引き続き」が鍵
就労関係のシートでは、10年以上の在留と、そのうち就労資格または居住資格での5年以上が同時に問われます。留学の期間は10年には数えられますが、5年には数えられません。永住許可に関するガイドライン(2026年2月24日改訂)の注記により、技能実習と特定技能1号の期間も就労資格の5年から除かれます。
「引き続き」とは、在留が途切れていないことを指します。再入国許可を受けずに出国して在留資格を失えば、年数はそこで振り出しに戻ります。1回の出国期間や年間の出国日数について入管庁は基準を公表しておらず、長期の出国がある人は1問目を「はい」と書けるかどうか自体が判断の分かれ目になります。
2問目 住民税は「納めたか」でなく「期限内に納めたか」
質問の文言は「適正な時期に納税している」です。ガイドラインも、申請時点で納付済みであっても当初の納付期限内に納めていなければ原則として消極的に評価すると書いています。申請の直前に滞納分をまとめて払っても、この問いは「はい」になりません。
会社員で住民税が給与から天引き(特別徴収)されている期間は、通常問題になりません。遅れが生じやすいのは、転職や退職で普通徴収に切り替わった期間です。退職した月によっては、残りの住民税の納付書が自宅に届き、本人が納め忘れることがあります。課税証明書・納税証明書だけでは納付日が分からないため、普通徴収の期間がある人は、領収証書や通帳の写しで納付日を確認しておきます。
3問目 国税は「未納がない」かどうか
国税の質問だけは「適正な時期に」ではなく「未納がない」という書き方です。対象は源泉所得税、申告所得税、消費税、相続税、贈与税で、提出書類としては税務署が発行する納税証明書(その3)が求められます。会社員で確定申告をしていない人は、未納がないことの証明として納税証明書を取ります。個人事業主や、副業・医療費控除で確定申告をした人は、申告した年分に未納がないかを確認します。
4問目・5問目 年金と医療保険は直近2年
年金保険料(国民年金・厚生年金)と医療保険料(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療)について、直近2年間の期限内納付が問われます。厚生年金と健康保険は給与天引きのため、会社員の期間はほぼ問題になりません。
問題になるのは、会社を辞めて次の会社に入るまでの数週間から数か月です。この間は国民年金と国民健康保険に加入する義務があり、手続をしていなければ未加入・未納の期間が生じます。年金の記録は「ねんきんネット」や年金事務所で取れる被保険者記録照会回答票で確認でき、納付日まで分かります。未納・遅延がある場合の対応は永住申請の年金記録|直近2年の納付状況と未納・遅延があるときの対応で詳しく扱います。
6問目 在留期間は「3年」か「5年」
現在の在留資格で在留期間「3年」または「5年」が決定されていることが問われます。在留期間「1年」の人はこの時点で「いいえ」です。
ガイドラインの本則は「最長の在留期間」、つまり多くの在留資格で5年を求めていますが、2027年3月31日までは経過措置として「3年」も最長の在留期間として扱われます。シートの「3年又は5年」という書き方は、この経過措置を反映したものです。2027年4月1日以降は原則として「5年」が必要になるため、シートの記載が変わる可能性があります(公式資料では未確認)。
7問目 刑罰は罰金以上が対象
罰金刑、拘禁刑(2025年6月1日の刑法改正前の懲役・禁錮を含む)を受けたことがあるかが問われます。交通違反で反則金を納めて終わった場合は、刑事罰である罰金には当たりません。ただし反則金の対象でも、違反の回数が多ければ素行善良要件の判断材料になります。一方、酒気帯び運転や大幅な速度超過で略式命令を受け、罰金を納めた場合は「いいえ」です。
「いいえ」が付いたら申請を見送るべきか|多くの項目は待てば「はい」に変わる
入管庁は「いいえ」が1つでもあれば不許可の可能性が高いとしか書いていませんが、7項目を見比べると、時間の経過で「はい」に変わる項目と、変わらない項目に分かれます。ここで重要なのは、「いいえ」の項目がどちらに属するかで、取るべき行動がまったく変わるという点です。
| 「いいえ」の項目 | 「はい」に変わる時期の目安 | 今できること |
|---|---|---|
| 1 在留年数 | 年数を満たした日 | 出国日数の管理、特例の該当性の確認 |
| 2 住民税の遅延 | 遅延した年度が直近5年(配偶者は3年)の証明範囲から外れたとき | 以後は期限内納付を続ける。特別徴収への切替え |
| 3 国税の未納 | 未納分を納めたとき | すぐに納付する |
| 4・5 年金・医療保険の遅延 | 遅延した月が直近2年から外れたとき | 以後は口座振替などで期限内納付を続ける |
| 6 在留期間1年 | 次回以降の更新で3年・5年が出たとき | 更新時に届出・納付の状況を整える |
| 7 罰金刑 | 刑法34条の2により、罰金の執行を終えて5年を経過したとき刑が消滅 | 期間の経過を待つ |
この表の「時期の目安」は、提出書類の対象年数と刑法の規定から筆者が整理したもので、入管庁が「この年数を過ぎれば許可する」と示したものではありません。年金を2年前に1回だけ遅れて納めた人が、直近2年の記録が期限内納付だけになった時点で申請するのは合理的な判断ですが、それ以前の遅延がまったく見られないとは限りません。
見送りを考えるべきなのは、住民税・年金の遅延が直近の期間に複数回ある場合と、在留期間が1年の場合です。この2つは、申請しても書類の上で要件を満たしていないことが明らかで、説明書を添えても評価が変わりにくい項目です。反対に、国税の未納はすぐに解消でき、在留年数は日付で決まるため、申請日を少しずらすだけで済むことがあります。
2026年10月1日から永住許可の手数料は20万円に上がりますが、手数料は許可のときに納めるもので、不許可なら納付はありません。不許可のコストは金額より時間です。審査期間は永住者への変更で平均300日前後かかっており、不許可になれば、その間に準備できたはずの時間を失います。不許可後の再申請の考え方は永住申請の不許可理由と再申請|多い5つの原因と理由別の再申請までの期間で扱っています。
シートがすべて「はい」でも安心できない理由
セルフチェックシートが確認するのは、要件のうち書類で確認できる部分だけです。ガイドラインの要件のうち、次のものはシートに含まれていません。
- 素行善良要件のうち、交通違反の回数や入管法上の届出義務の履行
- 独立生計要件(世帯の収入と扶養家族の人数に照らした生計の安定性)
- 現在の在留資格の上陸許可基準等への適合(2026年2月24日改訂で明記)
- 身元保証人の確保
とくに独立生計要件は、ガイドラインに年収の金額が書かれていないため、シートでは確認のしようがありません。2026年8月4日に公表されたガイドライン改定案では、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準を求める方向と、日本語能力(B1相当)を求める方向が示されました。改定の確定内容と適用時期は2026年9月29日時点で現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認くださいが、確定すればシートの項目も見直される可能性があります。改定の内容は【2026年10月改定】永住許可の要件厳格化で何が変わる?で扱っています。
記入と提出の注意点
扶養を受けている人は、住民税・年金・医療保険の質問について扶養者の納付状況を答えるよう、配偶者用のシートに注記があります。扶養者である配偶者の納付の遅れが、申請人本人の「いいえ」になるということです。夫婦で一方が扶養に入っている世帯では、扶養者側の記録も同じ年数だけさかのぼって確認します。
家族で同時に申請する場合は、申請人ごとにシートを作ります。「はい」と記入した項目は、提出する課税証明書・納税証明書・年金記録と突き合わされます。記憶で「はい」と書き、証明書の納付日と食い違えば、単に要件を満たさないだけでなく、申請書の信用性そのものが疑われます。シートは証明書を取り寄せてから、その記載を見ながら書くのが安全です。
自分で永住申請する場合の進め方
永住申請は行政書士に依頼しなくても、本人が住居地を管轄する地方出入国在留管理局に申請できます。福岡県内に住む人であれば、福岡出入国在留管理局が申請先です。自分で進めるなら、次の順番が手戻りの少ない流れです。
- 住民税の課税・納税証明書、国税の納税証明書、年金記録を先に取り寄せる
- 証明書を見ながらセルフチェックシートを記入し、「いいえ」の有無を判定する
- 「いいえ」があれば、上の表で申請時期を決め直す
- すべて「はい」なら、提出書類一覧表と提出書類チェックシートで書類をそろえる
- 申請書・理由書(就労資格の場合)・了解書を作成し、窓口で申請する
証明書を先に取るのは、シートの判定を記憶でなく記録で行うためです。証明書は発行日から3か月以内のものを出すため、取得から申請まで間が空きすぎないようにします。申請書の書き方は永住許可申請書の記入例|経歴・滞在年数・扶養家族欄の書き方で整理しています。
よくある質問
セルフチェックシートは提出しなければいけませんか?
入管庁の永住許可申請のページで、申請前の要件確認と、申請書類と合わせた提出が求められています。提出しなかった場合に受理されないかどうかは明示されていませんが、窓口で提出を求められるため、作成して持参するのが前提です。
自分で永住申請するにはどうしたらいいですか?
住居地を管轄する地方出入国在留管理局に、申請書と提出書類一覧表に掲げられた書類を持参して申請します。永住許可申請は在留申請オンラインシステムの対象外のため、窓口での申請になります。書類をそろえる前に、課税証明書や年金記録を取り寄せてセルフチェックシートで要件を判定しておくと、要件を満たさないまま申請する事態を避けられます。
1つだけ「いいえ」でも申請できますか?
申請そのものはできます。ただし入管庁は、1つでも「いいえ」に該当すれば不許可の可能性が高くなるとしています。国税の未納のように今すぐ解消できる項目は解消してから、年金の遅延のように期間の経過で解消する項目はその期間が過ぎてから申請するのが現実的です。個別の事情で判断が変わるため、迷う場合は申請前に専門家に確認してください。
在留期間が「3年」ですが、いつまでに申請すればよいですか?
2027年3月31日までは「3年」でも最長の在留期間を持つものとして扱われます。同日時点で「3年」を持っている人は、その在留期間内に処分を受ける場合に限り、初回だけ最長の在留期間として扱われる経過措置もあります。2027年4月1日以降の申請で、この経過措置に当たらない場合は「5年」が必要です。
交通違反の反則金は7問目の「罰金刑」に当たりますか?
当たりません。反則金は行政上の制裁で、刑事罰の罰金とは別のものです。ただし違反を繰り返していれば素行善良要件で消極的に評価されることがあり、シートの「はい」だけで安心はできません。
シートを「提出書類」でなく「申請時期を決める道具」として使う
セルフチェックシートの7項目は、どれも入管が申請書類で確認する事実です。書類で分かることを先に自分で確認させる意味は、要件を満たさない申請を減らすことにあります。申請人の側から見れば、このシートは申請日を決めるための道具です。
判断の軸は2つです。1つは、「いいえ」の項目が、待てば解消するものか、今すぐ解消できるものか。もう1つは、シートに載っていない独立生計や素行の要件に不安がないか。前者は表で時期を読み、後者は改定案の動向を見ながら、世帯の収入と違反歴を確認します。外国人社員の永住申請を会社として支える場合は、退職・入社のタイミングで住民税が普通徴収に切り替わる時期に、本人に納付書が届くことを伝えるだけでも、2問目の「いいえ」を防ぐことができます。
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根拠資料
- 永住許可申請(出入国在留管理庁)
- 永住許可申請セルフチェックシート(就労関係の在留資格の方)(出入国在留管理庁)
- 永住許可申請セルフチェックシート(「定住者」の在留資格の方)(出入国在留管理庁)
- 永住許可申請セルフチェックシート(「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の方)(出入国在留管理庁)
- 永住許可申請 提出書類チェックシート(就労資格)(出入国在留管理庁)
- 永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)(出入国在留管理庁)
- 刑法 第34条の2(e-Gov法令検索)
- 永住許可に関するガイドライン改定(案)(概要)(e-Govパブリック・コメント・2026年8月)
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