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永住申請の不許可理由と再申請|多い5つの原因と理由別の再申請までの期間

永住申請の不許可理由は、税金・年金・健康保険の納付の遅れ、世帯の収入不足、在留年数と在留期間の不足、交通違反や刑事処分などの素行、長期の出国の5つにほぼ集約されます。再申請に法律上の待機期間はありませんが、提出書類が遡る年数(住民税は就労系で5年、年金・医療保険は2年)によって「不許可の原因が書類から消えるまでの期間」が決まるため、理由ごとに待つべき期間は大きく変わります。出入国管理統計では、2025年に処理された永住許可申請7万62件のうち不許可は2万8,218件で、前年(1万7,282件)の約1.6倍でした。不許可は珍しいことではなく、理由を特定して次の申請を設計できるかどうかで結果が分かれます。

永住申請の不許可は2025年に2万8,218件|統計で見る現状

出入国在留管理庁の出入国管理統計(表「地方出入国在留管理局管内別 在留資格の取得等の受理及び処理人員」)から、永住許可申請の処理状況を並べると次のとおりです。

年 新規受理 処理済み 許可 不許可 その他(取下げ等) 許可の割合
2024年 68,557 55,906 36,766 17,282 1,858 65.8%
2025年 75,968 70,062 39,865 28,218 1,979 56.9%

許可の割合は、処理済みの件数に占める許可の件数で、筆者が計算しました。2025年は処理件数が約1.25倍に増えた一方で、不許可は約1.63倍に増え、許可の割合は約9ポイント下がっています。2025年末時点の未処理(翌年への繰越し)は6万6,916件で、審査待ちの件数も積み上がっています。

九州・沖縄を管轄する福岡出入国在留管理局管内では、2025年の処理3,304件のうち許可1,892件、不許可1,291件で、許可の割合は57.3%でした(2024年は処理2,265件、許可1,344件、不許可791件)。全国とほぼ同じ水準です。

統計は不許可の理由までは示していません。理由を知る手段は、公表されているガイドラインと提出書類、そして不許可になった本人が入管で聞く説明に限られます。

永住が不許可になる5つの理由

永住許可の要件は入管法22条2項の「素行善良」「独立生計」「国益適合」の3つで、国益適合の中身を「永住許可に関するガイドライン」(2026年2月24日改訂)が具体化しています。不許可の理由は、次の5つのどこかに当たることがほとんどです。

1. 税金・年金・健康保険の未納と納付の遅れ

最も多く、かつ本人が気づきにくい理由です。ガイドラインは、公的義務(納税、公的年金・公的医療保険の保険料の納付、入管法上の届出)について、申請時点で納付済みでも、当初の納付期限内に履行されていなければ原則として消極的に評価されると明記しています。永住申請の直前に滞納分をまとめて払っても、遅れた事実は書類に残ります。

典型的なのは、転職の間の数か月だけ国民年金・国民健康保険に切り替えて支払いが遅れた場合、住民税を普通徴収で払っていて納期限を過ぎた場合、個人事業主の期間に国民年金を払っていなかった場合です。会社員でも、会社が住民税の特別徴収をしていなかったケースで問題になります。年金記録の確認方法は公式案内をご確認くださいで扱っています。

2. 世帯収入の不足と扶養家族の多さ

独立生計要件は、ガイドライン上「日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」です。入管庁は具体的な金額を公表していませんが、課税証明書で直近の年収の推移を見られ、扶養家族の人数との釣り合いも判断されます。年収が一定でも、住民税の扶養控除に本国の親族を多数入れていると、同じ年収で養う人数が多いと評価されます。

3. 在留年数・就労期間・在留期間の不足

原則10年在留、うち就労資格または居住資格で5年以上という要件を満たしていない申請は、形式で不許可になります。技能実習と特定技能1号の期間は、就労資格の5年に数えられません。留学から就職した人が、留学期間を含めて10年でも、就労期間が5年に届いていないというのはよくある誤算です。

現在の在留資格で「最長の在留期間」を持っていることも要件です。在留期間5年が最長の在留資格では、2027年3月31日までは在留期間3年でも最長として扱われますが、2027年4月1日以降は原則として5年が必要になります。

4. 素行|交通違反・刑事処分・入管法上の違反

ガイドラインは、罰金刑や拘禁刑などを受けていないことを求めています。罰金刑は、酒気帯び運転や一定以上の速度超過など、交通違反でも科されることがあります。反則金で済む軽微な違反も、短期間に繰り返していれば素行の評価に影響します。交通違反の回数と時期の考え方は公式案内をご確認くださいで扱っています。

入管法上の違反としては、住居地や所属機関の届出の遅れ、配偶者の資格外活動の時間超過(家族の違反が申請人の評価に及ぶ場合がある)などがあります。

5. 長期の出国と「引き続き」の在留

10年は「引き続き」在留している必要があります。再入国許可を受けて出国していれば在留資格は続きますが、出国期間が長いと生活の本拠が日本にあるとは評価されにくくなります。入管庁は日数の基準を公表していません。1回の出国が長期に及んだ年や、年間の出国日数が多い年がある場合は、その事情と日本での生活の継続を理由書で説明する必要があります。

このほか、理由書や過去の申請書の内容と今回の申請書が食い違っている、身元保証人の資料が不足している、といった書類の問題も不許可の原因になります。

不許可理由の聞き方|聞けることと聞けないこと

永住の不許可は、結果通知のハガキで来庁を求められ、窓口で通知書を受け取る流れが一般的です。入管は、申請者が求めれば不許可の理由を口頭で説明します。これは法律上の義務に基づく手続ではなく運用として行われているもので、説明の範囲は担当者と事案によって異なります。

聞き取りで得られる情報は、おおむね次の範囲です。

  • どの要件(素行・独立生計・国益適合のどれか)に適合しないと判断されたか
  • 納付の遅れであれば、どの種類(住民税・年金・健康保険)のどの時期か
  • 在留年数や出国日数の不足であれば、その旨
  • 書類の不足であれば、どの点の立証が足りなかったか

一方で、審査の内部資料や判断の過程、何年待てば許可されるか、次に何を出せば許可されるかといった点は、通常は答えてもらえません。理由の聞き取りは原則として1回と考え、申請人本人(必要に応じて申請を取り次いだ行政書士が同席)が、通知書と在留カード、申請時の書類の控えを持って行き、説明をその場でメモに取ります。ハガキの見分け方と窓口での聞き方は入管から不許可のハガキが届いたら?で解説しています。

不許可に対して行政不服審査法の審査請求はできません。争う方法は取消訴訟に限られ、永住許可は法務大臣の広い裁量に委ねられた処分であるため、訴訟で結論が変わる例は多くありません。不服申立ての仕組みは在留資格の不許可に不服申立てはできない?で整理しています。

再申請までの期間は理由で決まる|理由別の目安

再申請に法律上の待機期間はなく、不許可の翌日でも申請はできます。ただ、同じ書類で出し直せば同じ結果になります。筆者は、再申請の時期を「不許可の原因が、提出書類が遡る期間から外れるまで」と考えるのが最も確実だと考えています。提出書類の年数とガイドライン、刑法の規定から整理した目安は次のとおりです。

不許可の理由 見られる期間の根拠 再申請までの目安(筆者の整理)
年金・健康保険の未納・遅れ 納付状況の資料は直近2年分 遅れた月が直近2年から外れ、2年間期限内に納め続けた時点
住民税の未納・遅れ 課税・納税証明書は就労系等で直近5年分、日本人・永住者の配偶者等は直近3年分 遅れた年度が証明書の対象年度から外れた時点。短縮は難しい
収入不足 課税証明書で直近の年収の推移 改善後の年収が課税証明書に1年分以上反映された時点
在留年数・就労期間の不足 原則10年・就労等5年 不足分を満たした時点(計算は申請日基準)
在留期間が最長でない 最長の在留期間(2027年4月以降は原則5年) 更新で最長の期間が付与された後
罰金刑 刑法34条の2で刑の執行を終えて5年経過すると刑の言渡しは効力を失う 5年経過後が一つの目安
反則金レベルの交通違反の反復 公表基準なし 違反のない期間を数年単位で積んだ後
長期の出国 「引き続き」の在留 日本での生活を継続した期間を数年単位で積んだ後
書類の不足・説明不足 ― 不足した資料をそろえればすぐにでも可

年金の遅れは、2年という期間が明確なため、再申請の時期を最も読みやすい理由です。反対に、就労系の在留資格で住民税の納期限を過ぎた年度がある場合は、その年度が5年分の証明書から外れるまで待つことになり、最長で5年近くかかります。

刑事処分の扱いは、ガイドラインが期間を示していないため、刑法の規定を参考にしています。拘禁刑の場合は、刑の執行を終えて罰金以上の刑に処せられずに10年を経過すると刑の言渡しが効力を失います(刑法34条の2)。ただし、刑の言渡しが効力を失っても、処分を受けた事実そのものが審査で考慮されないとは限りません。どの程度の期間で評価が変わるかは、個別の事情で判断が変わります。

再申請前に確認したい2026年10月以降の変化

再申請のタイミングを考えるうえで、2026年に入ってから変わった点、変わる可能性のある点が3つあります。

1つ目は手数料です。永住許可の手数料は、2026年10月1日以降に受け付けた申請から、許可時に20万円になりました(2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が後になっても1万円)。手数料は許可されたときに納めるもので、不許可なら納める必要はありません。ただし、再申請で許可を受ければ20万円がかかるため、「とりあえず出してみる」申請の負担は以前より重くなっています。改定の詳細は在留資格の変更・更新手数料はいくらになる?で解説しています。

2つ目は、ガイドラインの改定案です。出入国在留管理庁は2026年8月4日から9月4日まで改定案の意見募集を行いました。改定案は、独立生計要件について世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準を求めること、将来受給できる年金の見込額を考慮すること、日本語能力(B1相当)を求めることなどを示しています。収入に関する部分は、改定日から6か月前以降の申請で、改定日に審査中の案件にも適用するとされています。2026年9月29日時点で結果は公示されておらず、確定内容と改定日は現時点で公式資料では確定していません。申請前に出入国在留管理庁または所轄官庁の公式案内をご確認ください。収入不足で不許可になった人が再申請する場合、改定後の基準で審査される可能性を前提に準備する必要があります。

3つ目は、2027年4月1日からの最長の在留期間の扱いです。在留期間3年で申請できるのは2027年3月31日までで、それ以降は原則として在留期間5年が必要になります。3年の在留期間で不許可になった人は、次の更新で5年が付与されるかどうかが、再申請できる時期に直結します。

不許可後にまずやること

不許可の通知を受けたら、次の順で確認します。

  1. 在留期限の確認:永住申請には特例期間がなく、申請中でも在留期限が来れば別に更新申請が必要です。不許可の時点で期限が近い場合は、すぐに更新の準備に入ります
  2. 理由の聞き取り:通知を受けた窓口で、どの要件のどの点が問題とされたかを確認します
  3. 自分の書類で原因を特定:ねんきんネットの納付記録、住民税の納税証明書(納付日が分かるもの)、出入国記録(開示請求で取得可能)を取り寄せ、説明された理由と照合します
  4. 再申請の時期を決める:上の表の目安と、ガイドライン改定・在留期間5年の要件を踏まえて時期を決めます
  5. 改善の記録を残す:年金・住民税を口座振替にする、交通違反をしない、出国の予定を調整するなど、次の申請で「改善したこと」を示せる状態をつくります

永住が不許可になっても、今持っている在留資格はそのまま続きます。会社の人事担当者として外国人社員から相談を受けた場合は、更新の準備と、住民税の特別徴収や社会保険の手続に会社側の不備がなかったかの確認を、並行して進めるとよいでしょう。企業側の視点は永住許可の要件厳格化で何が変わる?でも解説しています。

よくある質問

不許可になった永住申請の理由はどうやって聞くのですか?

不許可の通知を受け取る際に、申請した地方出入国在留管理局の窓口で理由の説明を求めます。通知書、在留カード、パスポート、申請書類の控えを持参し、説明をメモに取ります。説明は運用として行われるもので、原則1回と考えて準備しておくのが安全です。

年収がいくら以下だと永住不許可になりますか?

入管庁は金額の基準を公表していません。課税証明書の年収の推移と扶養家族の人数を合わせて判断されます。2026年8月に公表されたガイドライン改定案は、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準を求める方向を示しており、確定すれば基準は現在より明確かつ高くなる見込みです(確定内容は(公式資料では未確認))。

日本人の配偶者の永住権は不許可になる場合がありますか?

あります。日本人の配偶者等の永住申請は、入管法22条2項ただし書により素行善良要件と独立生計要件への適合が求められず、在留年数も「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上本邦に在留」という特例があります。それでも国益適合要件は免除されないため、納付の遅れや最長の在留期間でないことを理由に不許可になることがあります。

一度不許可になった永住権の再申請はできますか?いつからですか?

再申請の回数と時期に法律上の制限はありません。ただ、不許可の原因が残ったままでは同じ結果になるため、原因が提出書類の対象期間から外れるまで待つのが基本です。年金の遅れなら2年、住民税の遅れなら最長5年近くが目安になります。書類の不足が原因なら、資料をそろえてすぐに再申請することもできます。

永住申請の不許可率はどのくらいですか?

出入国管理統計によると、2025年に処理された7万62件のうち不許可は2万8,218件で、処理済み件数に占める割合は約40.3%でした。2024年は約30.9%で、1年で約9ポイント上がっています。

不許可は「次の申請の設計図」として読む

永住の不許可は、多くの場合「この点が足りない」という入管からの指摘です。指摘された点が、2年で消えるものなのか、5年かかるものなのか、書類をそろえればすぐ直るものなのか。そこを見極めることが、再申請の成否を分けます。

判断の軸は2つです。1つは、不許可の原因が提出書類のどの期間に残っているか。もう1つは、再申請を予定する時期に、手数料20万円、ガイドライン改定、在留期間5年の要件がどう重なるかです。この2つを並べれば、「いつ、何をそろえて出すか」はおのずと決まります。

根拠資料


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