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スポーツ指導者・パイロット・ソムリエの技能ビザ|業務区分ごとの経験年数

技能ビザの経験年数は、業務区分ごとに違います。スポーツ指導者は3年(プロ選手としての期間を含む)で、ISIAカードや国際大会への出場歴があれば年数は問われません。パイロットは年数でなく飛行経歴250時間以上、ソムリエは5年以上の経験に加えて国際ソムリエコンクールの実績が必要です。調理師など残りの区分の多くは10年以上です。

3区分に共通するのは、年数だけでは要件がそろわない点です。パイロットには技能証明、ソムリエにはコンクールの実績、スポーツ指導者には興行との線引きが加わります。以下、入国・在留審査要領の第18節に沿って、区分ごとに整理します。

この記事でわかること

  • 技能ビザ9区分それぞれに必要な経験年数の一覧
  • スポーツ指導者:3年の数え方、ISIAカード、国際大会の範囲、興行との区別
  • パイロット:飛行経歴250時間と必要な技能証明
  • ソムリエ:5年の経験に加えて必要なコンクールの実績と、店側の体制
  • 各区分の審査のポイントと更新時の確認事項

業務区分ごとの経験年数一覧

技能の上陸基準省令は、第1号から第9号までの業務区分を定めています。ここでいう上陸基準省令とは、在留資格ごとに、上陸の際に満たすべき経歴や報酬の基準を定めた法務省令を指します。区分ごとの経験要件は次のとおりです(18-2〜18-8)。

号 業務区分 経験の要件
1号 外国料理の調理・食品の製造 10年以上(タイ料理人は日タイEPAにより5年以上)
2号 外国特有の建築・土木 10年以上(10年以上の経験者の指揮監督下なら5年以上)
3号 外国特有製品の製造・修理 10年以上
4号 宝石・貴金属・毛皮の加工 【要確認】条文の年数が開示版で判読できない
5号 動物の調教 10年以上(教育期間中の従事を実務経験に数えられる場合あり)
6号 石油・地熱等の掘削調査 10年以上
7号 航空機の操縦 飛行経歴250時間以上
8号 スポーツの指導 3年以上、ISIAカード、または国際的な競技会への出場歴
9号 ワイン鑑定等(ソムリエ) 5年以上+コンクールの実績等

第7号以外の区分では、外国の教育機関でその分野の科目を専攻した期間も経験年数に含まれます。

【要確認】第4号の年数:開示版のOCRでは、第4号の条文の年数部分が「年以上の実務経験」と数字の抜けた形になっています。審査のポイント(18-8)は「基準1号から6号まで」について10年以上の実務経験を確認するとしていますが、条文そのものの年数は原本で確認が必要です。

審査要領は、これらの分野を三つの性質に分けています。外国に特有な分野(第1号〜第3号)、日本より外国の技能レベルが高い分野(第4号・第5号・第8号・第9号)、日本の技能者が少数しかいない分野(第6号・第7号)です(18-1)。スポーツ指導者とソムリエは「外国の水準が高い分野」、パイロットは「日本の技能者が少ない分野」として位置づけられていることになります。全区分の概要は技能ビザとは?対象職種・実務経験10年の要件と技人国との違いを審査要領で解説で扱っています。

スポーツ指導者(第8号):3年、ISIAカード、国際大会

第8号の対象は、次のいずれかに当たり、スポーツの指導に係る技能を要する業務に従事する人です(18-6)。

  • スポーツの指導に係る技能について3年以上の実務経験がある人
  • これに準ずる者として法務大臣が告示で定める人
  • スポーツの選手としてオリンピック大会、世界選手権大会その他の国際的な競技会に出場したことがある人

ここでいうスポーツには、競技スポーツと生涯スポーツの両方が含まれます(18-6)。トップ選手の強化に限らず、地域のスポーツクラブでの指導も対象になりうるということです。

3年に含められる期間

3年には、外国の教育機関でそのスポーツの指導に係る科目を専攻した期間と、報酬を受けてそのスポーツに従事していた期間が含まれます。後者について、審査要領は「プロスポーツの競技団体に所属し、プロスポーツ選手として報酬(賞金を含む。)を受けていた者が該当する」としています(18-6)。プロ選手としての期間を指導経験に通算できるので、引退直後の元プロ選手でも3年を満たせる場合があります。

告示で定める人:ISIAカード

告示で定める人とは、平成28年法務省告示第406号により、国際スキー教師連盟(ISIA)が発行するISIAカードの交付を受けた人です(18-6)。なお、告示名のOCRは「8年以上」と読める箇所がありますが、条文と審査のポイントの記載から3年と読み替えています。スキーの指導者は、3年の経験がなくてもISIAカードで要件を満たせます。

「国際的な競技会」の範囲

オリンピックと世界選手権のほか、「その他国際的な競技会」には、地域・大陸規模の総合競技会(アジア大会等)と、競技別の地域・大陸規模の競技会(アジアカップサッカー等)が含まれます。2国間や特定国間の親善競技会等は含まれません(18-6)。

興行との線引き

第8号はアマチュアの指導に限りません。ただし、野球やサッカーのようにチームで行うプロスポーツの監督・コーチ等で、チームと一体として出場するプロ選手に随伴して在留する活動は「興行」に当たります(18-6)。技人国の節でも、スポーツ選手のコーチ、トレーナーなど興行と一体の活動は興行に該当するとしています(15-4)。プロチームに所属するコーチを呼ぶときは、技能ではなく興行で検討するのが原則です。

気功の指導

審査要領は、気功を二つに分けています。体を動かし呼吸で気を整えるなどして肉体の鍛錬を目的とするものと、患部の治療に当たる気功治療です。前者は生涯スポーツの概念に含まれるとして、スポーツ指導の技能に当たるとしています。一方で「病気治療としての「気功治療」は、スポーツの指導には当たらない」と明記しています(18-7)。健康教室での指導は対象になりえますが、施術を業務とする場合は対象外です。

パイロット(第7号):飛行経歴250時間

第7号の対象は、航空機の操縦に係る技能について250時間以上の飛行経歴を持つ人です。そのうえで、航空法の航空運送事業(他人の需要に応じ、航空機で有償で旅客や貨物を運ぶ事業)に使う航空機に乗り組み、操縦者として業務に従事することが条件です(18-5)。

操縦者として業務に従事するとは、定期運送用操縦士、事業用操縦士、准定期運送用操縦士のいずれかの技能証明を持ち、機長または副操縦士として業務に従事することを指します。資格と飛行時間は別々の要件で、審査要領は次のように書いています。

機長又は副操縦士として業務に従事できる技能証明を所持する者であっても、250時間以上の飛行経歴を有しない者については在留資格「技能」に関する基準に適合しないこととなる。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節 18-5

250時間という数字は、副操縦士として航空運送事業の航空機を操縦できる事業用操縦士と、計器飛行証明を取るのに必要な飛行経歴が250時間以上であることに合わせたものです。准定期運送用操縦士は、2人操縦機の副操縦士に特化した技能証明として平成24年4月1日に導入され、240時間以上の飛行訓練で取得できます。ただし、技能ビザにはそれでも250時間の飛行経歴が必要です(18-5)。

報酬の支払元にも特有の定めがあります。国内線の外国人パイロットで、日本の機関から報酬が支払われず、海外のパイロット派遣元会社から支給される場合でも、本邦の公私の機関との契約があれば第7号に当たります。また、航空機関士の業務は技人国に当たると整理されています(18-6)。船員やパイロットの在留資格の区分は船員・パイロットは何の在留資格?技人国・高度専門職1号ロ・技能の区分で詳しく比較しています。

ソムリエ(第9号):5年+コンクールの実績

第9号の対象は、ぶどう酒の品質の鑑定・評価・保持とぶどう酒の提供(ワイン鑑定等)に係る技能について5年以上の実務経験を持ち、次のいずれかに当たる人です(18-7)。

  • 国際ソムリエコンクールで優秀な成績を収めたことがある人
  • 出場者が一国につき一名に制限された国際ソムリエコンクールに出場したことがある人
  • 国(外国を含む)や地方公共団体などが認定する資格で、法務大臣が告示で定めるものを持つ人

「優秀な成績」とは、入賞以上の賞を獲得したことを指します。国際ソムリエコンクールに当たるものとしては、国際ソムリエ協会が主催する「世界最優秀ソムリエコンクール」が挙げられ、それ以外のコンクールは本庁への請訓(地方局が本庁に判断を仰ぐ手続)を経て判断されます。請訓の結果として令和7年7月現在で掲載されているのは「フランス若手ソムリエコンクール」です。告示で定められた資格はありません(18-7〜18-8)。つまり現時点では、コンクールの実績が事実上の必須条件です。

技能の中身について、審査要領は鑑定・評価・保持・提供のすべての技能を持っていることを要し、日本で従事する業務はそのいずれかであればよいとしています。そのうえで、受入れ側の体制を次のように見るとしています。

小規模の事業所であってもソムリエを必要とする事業を行う事業所もあることから、事業所の規模のみをもってソムリエの技能を十分に発揮できるか否かの判断は行わない。さらに、飲食店舗にあっては、ソムリエ以外に食器洗い、給仕、会計等の専従の従業員が確保されていることを要する。

出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節 18-7〜18-8

ソムリエはワインの選定、仕入れ、保管、販売、管理など幅広い業務を行うため、契約する機関がそうした飲食関連事業を行っているかも判断されます(18-7)。店が小さいこと自体は問題になりませんが、ソムリエが皿洗いや会計まで兼ねる人員配置では要件を満たしません。なお、ソムリエに当たる人は、調理師の第1号からは除かれます(18-2)。

審査のポイントと更新時の確認

審査要領は、第7号・第8号・第9号の審査のポイントを区分ごとに分けて書いています(18-9〜18-11)。在留資格の決定時は、いずれも、希望する在留資格が技能であること、所属機関の文書で技能の活動に当たること、報酬が日本人と同等額以上であることを確認します。経験の確認は区分ごとに異なります。パイロットは、申請書の職歴欄で250時間以上の飛行経歴を確認します。スポーツ指導者は3年以上の経験・告示該当・国際大会出場のいずれか、ソムリエは5年以上の経験とコンクール等の要件を確認します。

更新時は3区分とも、従前の活動を継続していること、報酬が同等額以上であること、住民税の課税(又は非課税)証明書と納税証明書で問題がないことを確認します。更新の詳細は技能ビザの更新で見られること|勤務実態と調理師の職務内容を参照してください。報酬の比べ方は審査要領の全般事項に共通の定めがあり、賞与を含めた年額の12分の1で月額を計算し、実費弁償的な手当は含めません(第1節 1-3〜1-4)。詳しくは就労ビザの「日本人と同等額以上の報酬」とは|審査要領に一律の金額基準がない理由と比べ方で説明しています。

在留期間は5年・3年・1年・3月のいずれかで、契約機関のカテゴリーや就労予定期間によって決まります(18-12〜18-13)。シーズンだけのスキー指導のように就労予定期間が短い場合は、その期間に応じた在留期間になります。

よくある質問

Q. プロ選手として活動していた期間は、スポーツ指導者の3年に含められますか?

含められます。報酬を受けてそのスポーツに従事していた期間は3年に含まれ、審査要領はこれをプロスポーツの競技団体に所属し、プロ選手として報酬(賞金を含む)を受けていた場合としています。

Q. プロチームの監督やコーチも技能ビザですか?

チームと一体となって出場するプロスポーツの監督・コーチ等で、選手に随伴して在留する活動は「興行」に当たります。技能のスポーツ指導者はアマチュアの指導に限られませんが、この場合は区別が必要です。

Q. 副操縦士の技能証明があれば、飛行時間が足りなくてもパイロットの技能ビザは取れますか?

取れません。審査要領は、機長や副操縦士として業務に従事できる技能証明を持っていても、250時間以上の飛行経歴がない人は技能の基準に適合しないとしています。

Q. ソムリエの資格を持っていれば、5年の経験だけで技能ビザは取れますか?

経験年数だけでは足りません。国際ソムリエコンクールでの入賞以上の成績、一国一名に制限された国際ソムリエコンクールへの出場、法務大臣が告示で定める資格のいずれかが必要です。ただし告示で定められた資格は現在ありません。

区分を決めてから書類を集める

最初にやるべきことは、候補者の業務がどの号に当たるかを確定させることです。プロチームのコーチなら興行、航空機関士なら技人国、治療目的の気功なら対象外というように、同じ分野に見えても在留資格が変わる場面があります。区分が決まったら、スポーツ指導者なら指導歴とプロ在籍期間の証明、パイロットなら技能証明と飛行経歴、ソムリエなら経験年数とコンクールの成績を示す資料を集めます。あわせて、受入れ機関の体制と報酬の説明を準備してください。

根拠資料

  • 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第18節「技能」18-1(産業上の特殊な分野)、18-2〜18-5(第1号〜第6号)、18-5〜18-6(第7号 航空機操縦士)、18-6〜18-7(第8号 スポーツ指導者・気功)、18-7〜18-8(第9号 ワイン鑑定等)、18-8〜18-11(審査のポイント)、18-12〜18-13(在留期間)
  • 同 第15節「技術・人文知識・国際業務」15-4(興行との関係)
  • 同 第1節「全般事項」1-3〜1-4(報酬)
  • 出入国在留管理庁「在留資格『技能』」https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/skilledlabor.html