企業内転勤2号とは、外国の支店や子会社の社員等を、研修等のために比較的短期間、日本で受け入れるための在留資格として、出入国在留管理庁が創設を想定しているものです。いま企業単独型の1号技能実習で行っている受入れの一部を、技能実習制度が育成就労制度に切り替わった後に引き受ける枠と位置づけられています(入管庁 育成就労制度Q&A Q27)。
いつからかについて、公表されている日付は、育成就労制度の運用開始を含む制度見直しの施行日である令和9年(2027年)4月1日です(同Q&A Q3)。ここでいう制度見直しとは、育成就労制度を創設した入管法等の改正により、育成就労制度の運用開始と特定技能制度の適正化等を行うことを指します。企業内転勤2号はQ&Aで「制度見直し後」に創設される在留資格とされていますが、2号自体の開始日を明記した資料は見当たりません【予定】【要確認】。
在留期間、報酬、技能水準、受入れ企業の条件といった具体的な要件は、2026年9月23日時点の公表資料に書かれていません。入国・在留審査要領(第12編 開示版)にも記載がありません。分かっていることと未公表のことを分けて整理し、未公表の部分を推測で埋めないことが、この制度を正しく理解する前提になります。
この記事でわかること
- 企業内転勤2号について公表されていること・未公表のこと
- いつから始まるのか(育成就労制度の施行日との関係)
- 現在の企業内転勤(1号にあたる部分)の要件と、2号との違い
- 企業単独型技能実習の受入れが、制度見直し後にどこへ移るか
- 受入れ企業がいまから準備できること
公表されていること・未公表のこと
企業内転勤2号の一次情報は、入管庁の育成就労制度Q&AのQ27にある数行です。原文の要点は次のとおりです。
入管庁の公表資料ではこう書かれている
外国の支店や子会社の社員等を、研修等のために比較的短期間、企業単独型の1号技能実習で受け入れているようなものについては、制度見直し後は、一定の要件の下、新たに創設される在留資格『企業内転勤2号』により受け入れることを想定
出典:出入国在留管理庁 育成就労制度Q&A Q27(2026年5月28日更新)
語尾が「想定」である点に注意してください。制度の方向性は示されていますが、要件を定めた告示・省令や審査基準が公表された段階ではありません。これを踏まえて、確認できる事実と未公表の事項を分けると次のようになります。
| 項目 | 状況(2026年9月23日時点) |
|---|---|
| 制度の位置づけ | 公表:「新たに創設される在留資格」として受け入れることを想定(Q27) |
| 対象とする受入れ | 公表:外国の支店や子会社の社員等を、研修等のために比較的短期間受け入れるもの(Q27) |
| 開始時期 | 制度見直しの施行日は令和9年4月1日(Q3)。2号自体の開始日の明記はない【予定】【要確認】 |
| 在留期間・更新 | 未公表(「比較的短期間」という表現のみ) |
| 報酬の要件 | 未公表 |
| 技能・日本語の水準 | 未公表 |
| 対象となる企業の範囲 | 「外国の支店や子会社の社員等」との記載のみ。関連会社等をどこまで含むかは未公表 |
| 申請書類・受入れ企業の条件 | 未公表 |
| 入国・在留審査要領 | 記載なし(第16節 企業内転勤は現行制度のみ) |
検索すると、2号の要件や必要書類を具体的に列挙した解説も見つかります。筆者は、入管庁の公表資料に根拠のない要件を前提に受入れ計画を立てることは勧めません。2号は育成就労制度を創設した入管法等の改正と一体の制度見直しとして説明されていますが、改正後の条文で2号の活動がどう書かれているかは、この記事の根拠資料の範囲では確認していません【要確認】。
いつから? 制度見直しの日程
入管庁の育成就労制度Q&Aは、育成就労制度の運用開始と特定技能制度の適正化等を、令和9年4月1日に施行するとしています(Q3)。施行日前から申請の受付も始まっており、監理支援機関の許可は令和8年4月15日から、育成就労計画の認定は同年9月1日から受け付けています。
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年(2026年)4月15日 | 監理支援機関の許可申請の受付開始 |
| 令和8年(2026年)9月1日 | 育成就労計画の認定申請の受付開始 |
| 令和9年(2027年)4月1日 | 育成就労制度の運用開始、特定技能制度の適正化等の施行 |
| 未定 | 企業内転勤2号の要件の公表・開始日の明示【要確認】 |
Q27は企業単独型の受入れについて「制度見直し後は」と書いているので、2号も令和9年4月1日の制度見直しと一体で動くと読むのが自然です。ただし、これは文脈からの読み取りで、2号の施行日を定めた公表資料を確認したものではありません。育成就労計画の認定申請がすでに始まっている以上、短期研修の受入れを予定している企業は、2号の要件が公表されるまでの間、どの枠で受け入れるかを保留にした計画を持っておく必要があります。
現在の企業内転勤(1号にあたる部分)はどういう在留資格か
2号との違いを考えるには、いまある企業内転勤の中身を押さえる必要があります。なお、公表資料が名称を示しているのは「企業内転勤2号」だけで、現行の企業内転勤が制度見直し後に正式に「1号」と呼ばれるかは確認できません【要確認】。ここでは便宜上、現行制度を「1号にあたる部分」と呼びます。
審査要領ではこう書かれている
「企業内転勤」の在留資格は、企業活動の国際化に対応し、人事異動により外国の事業所から本邦の事業所に転勤する外国人を受け入れるために設けられたものである。同一企業等の内部で外国の事業所から本邦の事業所に一定期間転勤して、「技術・人文知識・国際業務」の項の下欄に掲げる活動を行うものが該当する。
出典:入国・在留審査要領 第12編(開示版)第16節 第1の1(16-1)
現行の企業内転勤で行える活動は、技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)の項の活動に限られます。審査要領は、自然科学の分野に属する技術・知識、人文科学の分野に属する知識、外国の文化に基盤を有する思考・感受性の「少なくともいずれか一を必要とする業務」と説明しています(16-1)。上陸許可基準は二つで、転勤直前に外国の事業所で技人国相当の業務に継続して1年以上従事していること、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けることです(16-3〜16-4)。
1年要件について、審査要領は「新たに採用した職員を直ちに本邦に転勤させることは認めないという規定」だと説明しています(16-3)。日本での労働力確保だけを目的に、技人国の業務をしたことのない新規採用職員を転勤させることを防ぐ趣旨です。
この二つの要件を並べると、現行制度では受け入れられない層が見えてきます。現地法人の製造現場の社員を、日本の工場で一定期間研修させたい場合です。その社員の業務が技人国相当でなければ、1年要件を満たせず、日本での活動も技人国の範囲に入りません。こうした受入れは、これまで企業単独型の技能実習が担ってきました。2号は、技能実習の廃止後にこの層を受け止める枠だと筆者は理解しています。
「転勤」になる企業の範囲(現行制度)
現行の企業内転勤では、同一会社内の異動に加え、財務諸表等規則第8条にいう親会社・子会社・関連会社の間の出向等も「転勤」に含まれます(16-1)。本店と支店の間、親会社と子会社の間、子会社どうし、孫会社どうし、子会社と孫会社の間の異動は対象です。曾孫会社どうしの異動は、親会社が一貫して100%出資している場合を除き対象外とされています。関連会社への異動は対象ですが、関連会社どうし、親会社と子会社の関連会社の間の異動は対象外です(16-9〜16-11)。
2号の対象としてQ27が挙げるのは「外国の支店や子会社の社員等」で、関連会社や孫会社がどこまで含まれるかは書かれていません。現行制度の範囲がそのまま2号に当てはまるとは限らないため、グループ内のどの会社の社員を受け入れる予定かを、2号の要件公表後に照らし合わせる必要があります。現行制度の範囲の詳細は企業内転勤の「転勤」の範囲|親会社・子会社・孫会社・関連会社への異動で扱っています。
1号と2号の違いを、分かる範囲で比べる
現行制度の要件と、Q27で分かる2号の輪郭を並べると次のとおりです。2号の欄が「未公表」ばかりになるのは、公表資料の現状をそのまま反映したためです。
| 現行の企業内転勤(1号にあたる部分) | 企業内転勤2号(想定) | |
|---|---|---|
| 目的 | 人事異動による転勤者の受入れ(16-1) | 研修等のための比較的短期間の受入れ(Q27) |
| 日本で行う活動 | 技人国の項の活動(16-1) | 未公表 |
| 対象者 | 外国の事業所の職員。親会社・子会社・関連会社の範囲は16-9〜16-11 | 外国の支店や子会社の社員等(Q27)。範囲の詳細は未公表 |
| 転勤前の勤務 | 直前に技人国相当の業務で継続1年以上(16-3) | 未公表 |
| 報酬 | 日本人と同等額以上(16-4) | 未公表 |
| 在留期間 | 5年・3年・1年・3月(入管庁 企業内転勤ページ) | 未公表(「比較的短期間」) |
| 審査要領の記載 | 第16節(16-1〜16-12) | なし |
ここで重要なのは、両者の違いが「在留期間の長さ」より「受入れの目的」にあるという論点です。現行制度は転勤者に日本で専門的な業務をさせる枠で、2号は研修を目的とする枠として構想されています。同じ「企業内転勤」の名前がついても、現行制度の要件が2号にも及ぶと考える根拠は、いまのところありません。現行制度の要件の全体は企業内転勤ビザとは|審査要領で読む要件と技人国との違いで整理しています。
企業単独型技能実習の受入れはどこへ移るか
Q27は、企業単独型の技能実習で行ってきた受入れの行き先を、目的と受入れ元によって三つに分けています。
| 現在の受入れ | 制度見直し後に想定される受入れ方(Q27) |
|---|---|
| 外国の支店や子会社の社員等を、研修等のために比較的短期間、企業単独型の1号技能実習で受け入れている | 一定の要件の下、在留資格「企業内転勤2号」 |
| 原則3年の人材育成という育成就労の趣旨に沿う受入れ | 単独型育成就労 |
| 取引先企業の社員の受入れ | 単独型では受け入れず、監理型育成就労 |
企業単独型で受け入れてきた企業にとって、判断の軸は二つです。受け入れる社員が自社グループの社員か取引先の社員か、そして受入れの目的が短期の研修か、3年かけて人を育てることか。取引先の社員であれば、単独型の選択肢はなくなり、監理支援機関を通じた監理型になります。自社グループの社員で目的が短期の研修なら2号、3年の育成なら単独型育成就労、という振り分けです。
一方、施行時点ですでに企業単独型の技能実習で在留している人がどう扱われるかは、この記事の根拠資料では確認できませんでした【要確認】。現在受け入れている実習生がいる企業は、入管庁の育成就労制度のページで経過措置の説明を確認してください。
育成就労制度で決まっていること
2号と並んで受け皿になる育成就労制度は、公表資料の情報量が多く、企業の計画に直接かかわる数字も出ています。
- 受入れ見込数(上限)は、令和10年度末までに約123万人(1号特定技能80万5,700人、育成就労42万6,200人)。現在の在留者に上乗せする数ではない(Q20)
- 上限を超えそうな場合は、在留資格認定証明書の交付や育成就労計画の認定を停止し、在留者を増やす方向の変更許可も原則として行わない。更新は通常どおり審査する(Q22・Q23)
- 育成就労から特定技能1号へ移るには、技能試験(技能検定3級等または1号評価試験)と、日本語A2相当以上(N4等)の試験の合格が必要。不合格の場合は、最長1年の在留継続が認められる可能性がある(Q75)
上限の仕組みがある以上、育成就労の枠は無制限ではありません。2号が育成就労の受入れ見込数に含まれるかどうかは、公表資料に記載がなく不明です【要確認】。制度全体と企業の準備は【2027年4月施行】育成就労制度とは?技能実習からの移行で企業がやるべき準備を解説で扱っています。技能実習と特定技能の関係については、技能実習と特定技能の違いとは?制度・受入れ方法・費用を比較解説で解説しています。
受入れ企業がいまから準備できること
2号の要件が出ていない段階でも、どの要件にも共通して必要になりそうな資料は整えられます。現行の企業内転勤の提出書類一覧(令和8年4月1日運用開始)には、転勤前後の事業所の関係を示す資料(支店登記、出資関係・資本関係の資料)が挙がっています。同じ一覧には、「転勤前に勤務していた事業所の存在を明らかにする資料」(公的機関の法人登記資料、または納税状況・取引実績・船荷証券・輸出入許可書・広告等)も含まれています。2号でも同じ資料が求められるかは未公表ですが、筆者は、グループ企業から人を受け入れる制度である以上、資本関係と海外拠点の実在の立証はいずれ必要になると考えています。
具体的には、次の作業を先に進めておくことを勧めます。
- 現在の企業単独型技能実習の受入れを、「自社グループか取引先か」「短期の研修か3年の育成か」で仕分ける
- 海外の支店・子会社・関連会社ごとに、出資比率と資本関係を示す資料をそろえる
- 海外拠点の法人登記資料や取引実績など、実在を示す資料の入手先を確認する
- 受け入れたい社員の在籍期間・職務内容・報酬の記録を、海外拠点で残しておく
- 技人国相当の業務をする社員で、直前1年以上の勤務がある人は、現行の企業内転勤で受け入れられないか先に検討する
最後の点は見落とされがちです。2号を待たなくても、受け入れたい社員が現行制度の要件を満たすなら、いまの制度で受け入れることができます。1年要件を満たさない場合の技人国への切替えは企業内転勤の1年要件|海外勤務1年未満の社員を日本に呼ぶ方法と技人国への切替えで扱っています。
よくある質問
Q. 企業内転勤2号はいつから始まりますか?
育成就労制度の運用開始を含む制度見直しは、令和9年(2027年)4月1日に施行されると公表されています。企業内転勤2号は入管庁のQ&Aで「制度見直し後」に創設される在留資格とされていますが、2号自体の開始日を明記した公表資料は、2026年9月23日時点で見当たりません。
Q. 企業内転勤2号の要件は決まっていますか?
公表されていません。入管庁の育成就労制度Q&Aは「一定の要件の下」で受け入れることを想定するとしていますが、在留期間、報酬、技能水準などの具体的な要件は書かれていません。入国・在留審査要領(開示版)にも記載はありません。
Q. 現在の企業内転勤と企業内転勤2号は何が違いますか?
現在の企業内転勤は、転勤直前に外国の事業所で1年以上勤務した社員が、日本の事業所で技術・人文知識・国際業務に当たる業務を行う在留資格です。企業内転勤2号は、外国の支店や子会社の社員等を研修等のために比較的短期間受け入れる枠として想定されています。2号の要件が未公表のため、それ以上の比較はできません。
Q. 企業単独型の技能実習で行っている受入れは、制度見直し後どうなりますか?
入管庁のQ&Aによると、研修等のために比較的短期間受け入れているものは企業内転勤2号、原則3年の人材育成の趣旨に沿う受入れは単独型育成就労で受け入れることが想定されています。施行時点で在留中の技能実習生の扱いは、この記事の根拠資料では確認できません。
Q. 取引先の社員を企業内転勤2号や単独型育成就労で受け入れられますか?
入管庁のQ&Aは、取引先企業の社員は単独型では受け入れず、監理型で受け入れるとしています。企業内転勤2号の対象として挙げられているのは、外国の支店や子会社の社員等です。
要件の公表を待つ間にすること
まず、来年4月以降に海外拠点から受け入れる予定の人を一覧にし、自社グループか取引先か、研修か育成か、現行の企業内転勤の要件を満たすかの三点で分類してください。現行制度で受け入れられる人はいまの制度で手続を進め、取引先の社員は監理型育成就労の準備に入ります。残った「自社グループの社員を短期の研修で受け入れたい」層が、2号の要件公表を待つ対象です。入管庁の育成就労制度のページとQ&Aは更新が続いているので、担当者を決めて更新情報を追う体制をつくっておくべきです。
根拠資料
- 出入国在留管理庁 育成就労制度(https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html)
- 出入国在留管理庁 育成就労制度Q&A(Q3、Q20、Q22、Q23、Q27、Q75)(https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html)
- 出入国在留管理庁 在留資格「企業内転勤」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/intracompanytransfee.html)/提出書類(https://www.moj.go.jp/isa/content/001457117.pdf)
- 入国・在留審査要領 第12編(開示版)第16節 企業内転勤 第1の1〜4(16-1〜16-4)、第2の2(16-9〜16-11)