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技能実習計画の軽微変更と変更認定の違い|届出が必要な場面一覧

技能実習計画を変えるときの手続きは、変更の重さで3つに分かれます。技能実習の目標、職種・作業、監理団体の交代、実習期間の延長のように計画の根幹に関わる変更は「変更認定」を事前に受け、技能実習指導員の交代、賃金や宿泊施設の変更、月45時間を超える時間外労働のような変更は「軽微変更届出」を出し、役職名の変更や賃金の引上げのような些細な変更は届出が不要です。どの事項がどの区分に当たるかは、技能実習制度運用要領の「技能実習計画の変更認定と届出の区分」の表に整理されています。この記事では、その表を実習実施者の実務で使いやすい形に並べ直して示します。

変更認定・軽微変更届出・届出不要の3区分

まず法律の構造を確認します。技能実習法11条1項は、実習実施者が認定計画の記載事項を変更しようとするときは、主務省令で定める軽微な変更を除き、出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣の認定を受けなければならないと定めています。

その「軽微な変更」を定めているのが技能実習法施行規則17条1項です。次の3つに当たらない変更で、変更があったことを証する書類を付けて別記様式第3号で届け出たものが、軽微な変更とされます。

  1. 技能実習の目標の変更
  2. 技能実習の内容のうち、職種及び作業に係るものの変更
  3. その他、認定計画に従った技能実習の実施に実質的な影響を与える変更

外国人技能実習機構(以下、機構)は、この構造を次のように案内しています。

区分 手続き 様式 タイミング
重要な変更 技能実習計画変更認定申請 省令様式第4号 変更する前に認定を受ける
通常の変更 技能実習計画軽微変更届出 省令様式第3号 変更後に届け出る
些細な変更 届出不要 なし なし

ここで押さえておきたいのは、「軽微な変更」という言葉の意味が日常語とずれている点です。条文上は、届出をしたものが軽微な変更として扱われます。届出をしないまま実態だけを変えると、軽微な変更には当たらず、認定計画と違う実習を行わせている状態になります。

変更認定の手数料と、新規認定が必要になる場合

変更認定の手数料は、新規の計画認定と同じく1件3,900円です(施行規則9条)。軽微変更届出に手数料はかかりません。

また、変更認定では足りず、新しく技能実習計画の認定を受け直す必要がある場合もあります。運用要領の区分表は、実習実施者自体が交代する場合、法人が合併・会社分割で消滅した場合、個人事業主が亡くなった場合、認定計画の職種・作業の実習を中止して全く別の職種・作業の実習を行う場合を、新規認定が必要な例として挙げています。

変更認定が必要な事項(重要な変更)

運用要領の区分表で「変更認定」に〇が付いているのは、次の事項です。

  • 技能実習の目標の変更
  • 職種・作業の追加(認定計画にある職種・作業に、新たな職種・作業の実習を加える場合)
  • 監理団体の変更(交代)
  • 実習の延べ期間を当初の予定から延長する場合
  • 中断後の再開によって実習期間が変わる場合
  • 年間の合計時間数を予定の50%以上変更する場合
  • 必須業務・関連業務・周辺業務ごとの合計時間数を、予定の50%以上変更する場合
  • 月ごとの時間外労働等の合計時間数を、80時間を超えて延長する場合
  • 深夜時間帯を含む労働時間に変更する場合

どれも、技能を修得させる計画としての中身が変わる変更です。目標や職種は施行規則17条1項1号・2号に直接書かれており、それ以外は3号の「実質的な影響を与える変更」として区分表で具体化されています。

実習期間の延長と中断後の再開

実務でよく出てくるのが、病気や一時帰国による中断です。運用要領によると、やむを得ない事由で一時的に実習を中断し、その事由が解消した後に再開する場合で、計画の終期が変わるときは変更認定が必要で、変更認定に先立って技能実習実施困難時届出書を出す必要があります。添付書類として、申請者の概要書(参考様式第1-1号)と、中断した理由・再開に至った経緯を書いた理由書(様式自由)を付けます。

再開の際には人数枠の基準を満たしている必要があり、人数枠の特例は使えません。中断している間に新しい実習生を受け入れていると、再開時に枠を超えてしまうことがあるため、中断の段階で再開後の人数を見通しておく必要があります。一時帰国による中断の扱いは技能実習生の一時帰国|3号移行前の1か月以上の義務的帰国と自己都合帰国の手続きで詳しく扱っています。

逆に、延べ期間を当初の予定より短くする場合は、変更届出の対象にはならず、別に技能実習実施困難時届出書を出すことになります。

深夜労働と時間外労働

区分表は、深夜労働について「原則として想定されていないが、技能等の修得等の観点から合理的な理由がある場合に限り、変更認定を受ける事が可能」としています。深夜時間帯を含む勤務で認定を受けている計画で、その時間を短縮・延長したり、別の深夜時間帯を追加したりする場合も変更認定の対象です。

時間外労働・休日労働も、原則として想定されていないものとされています。技能等を修得するためにやむを得ない業務上の事情で行わせる場合には、変更認定か届出が必要になり、36協定の上限を超える時間外労働を予定する計画は認定されません。時間外労働が技能等の修得の観点から必要最小限でなければならないことも、区分表に明記されています。

軽微変更届出で足りる事項(通常の変更)

「届出」に〇が付いている主な事項を、記載事項の区分ごとに並べます。

記載事項の区分 届出が必要な変更
実習実施者 氏名・名称、住所(電話番号を含む)、代表者の交代、役員の交代・追加選任
技能実習を行わせる事業所 事業所の名称・所在地、技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の交代・追加選任
技能実習生 氏名、国籍、生年月日、性別、帰国期間(3号に限る)
期間・時間数 実習開始時期を3か月以上早める・遅らせる、年間合計時間数の25%以上50%未満の変更、入国後講習の合計時間数の変更
監理団体等 担当事業所の名称、取次送出機関の変更
待遇 賃金、講習手当、その他の報酬、雇用契約期間、深夜を含まない労働時間への変更、所定労働時間、休日、休暇、宿泊施設、技能実習生が定期に負担する費用
入国後講習 講習施設、法的保護の講師、講習期間の開始時期の3か月以上の変更・延べ期間の短縮、講習科目、委託の有無、科目ごとの時間数
実習実施予定表 業務の内容、業務ごとの事業所、月ごとの時間外労働を45時間超に延長、月ごとの合計時間数を80時間以上短縮、業務ごとの合計時間数の25%以上50%未満の変更、使用する素材・機械・製品等

賃金は「引き上げ」なら届出不要

待遇の欄で誤解が多いのが賃金です。区分表は、賃金・講習手当・その他の報酬について、いずれも「金額を引き上げる場合には届出不要」としています。昇給や最低賃金の改定に合わせた引上げで、毎回届出をする必要はありません。

一方、届出が必要になる場面として、計画認定時に報酬額を決める際に比較対象とした日本人労働者が変わり、新しい比較対象の報酬額に従って技能実習生の報酬額を変える場合が挙げられています。この場合は、雇用契約書・雇用条件書の写しに加えて、技能実習生の報酬・宿泊施設・徴収費用についての説明書を添付します。技能実習生の賃金は、最低賃金だけでなく日本人と同等以上の報酬であることが求められるため、比較対象の見直しは届出とセットで考える必要があります。

宿泊施設と定期に負担する費用

寮を変える場合は届出が必要で、宿泊施設の概要がわかる見取り図(寝室の面積と居住する人数がわかるもの)と、技能実習生が同意して署名した意思確認書(任意様式)を添付します。雇用契約書・雇用条件書の提出は不要です。

食費・居住費などの定期に負担する費用は、金額が変わらなくても、提供する食事の回数や方法が変わった場合、宿泊施設が変わった場合には、本人の同意と署名のある意思確認書の提出が求められます。本人の利益になる変更で、十分に説明して同意を得ていれば、意思確認書の提出は不要とされています。

月45時間を超える残業

実習実施予定表に関する届出で、実務上よく問題になるのが時間外労働です。区分表は、月ごとの時間外労働の時間数を45時間を超えて延長しようとする場合に届出を求めています。1年単位の変形労働時間制を導入している場合は、42時間を超えて延長するときに届出が必要です。

ここでいう「月」は、技能実習計画と36協定で始期が違う場合、36協定の始期で数えます。区分表の例では、36協定が毎月1日を始期としていて、4月15日から実習を始めた場合、5月1日からの1か月で45時間を超えるなら届出が必要とされています。添付書類は、実習実施予定表の変更箇所、36協定の写し、やむを得ない業務上の事情を説明する資料です。

届出が不要な事項(些細な変更)

区分表で「変更認定×・届出×」とされている、または特記事項で届出不要とされている主なものは次のとおりです。

  • 役員の役職名、役員の住所、業種
  • 技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の役職名
  • 代表者・役員・各責任者が婚姻などで氏名を変えるだけで、人の交代を伴わない場合
  • 前段階の技能実習計画の目標の達成状況(ただし変更がある場合は、実習認定取消し事由該当事実に係る報告書が必要)
  • 監理団体の名称・住所・代表者の氏名・監理責任者の氏名
  • 賃金・講習手当・その他の報酬の引上げ
  • 技能実習指導員の交代を伴わずに、業務ごとの担当だけを入れ替える場合
  • 入国後講習の月ごとの時間数、1日当たりの時間数、実施日・実施時間だけの変更、科目ごとの講習施設、法的保護以外の講師の変更
  • 3号実習生の帰国時期だけが変わり、帰国期間が変わらない場合

監理団体の名称が変わった場合は、実習実施者側では変更認定も届出も不要とされています。監理団体自身は、機構に対して監理団体としての変更届出を別に行います。実習実施者の手続きと監理団体の手続きを混同しないように注意してください。

提出の方法と注意点

誰が、どこへ出すか

変更認定申請書(省令様式第4号)と軽微変更届出書(省令様式第3号)は、実習実施者が作成し、機構の地方事務所・支所の認定課に提出します。団体監理型の場合、軽微変更届出は監理団体の指導に基づいて行うことが施行規則17条2項に定められており、実務では監理団体が取りまとめて提出するのが一般的です。九州では機構の福岡事務所が窓口になります。

添付書類は、機構の「軽微変更届出書の添付書類一覧」で、変更箇所ごとに指定されています。実習実施予定表の変更については、新規認定申請時に提出した実習実施予定表の写しに赤字で訂正したものを添付書類として出してもよいとされています。

届出の期限

軽微変更届出の期限は、運用要領上、変更の事由が発生した日から1か月以内とされていると解されています。育成就労制度の運用要領は同じ届出について「変更に係る事由が発生した日から1か月以内」と明記していますが、技能実習の運用要領の該当箇所の文言は、2026年9月29日時点で原文を確認できていません(公式資料では未確認)。いずれにしても、変更認定は「変更しようとするとき」に受けるもので、変更後に申請するものではありません。

変更を同時に行うとき

中断後の再開のように変更認定を申請する際に、事業所や待遇などの届出事項も同時に変える場合は、変更認定申請にそれぞれの記載事項に対応する添付書類も一緒に提出する必要があります。変更認定と届出を別々に出すのではなく、まとめて処理される扱いです。

よくある質問

技能実習の軽微変更届はどこに提出するのですか?

外国人技能実習機構の地方事務所・支所の認定課です。団体監理型の場合は、監理団体の指導に基づいて作成し、監理団体を通じて提出するのが通例です。出入国在留管理局に出す書類ではありません。

技能実習の軽微な変更はいつまでに届け出ればいいですか?

変更の事由が発生した日から1か月以内が目安とされています(公式資料では未確認)。月45時間を超える残業のように、事前にわかっている変更は、実施する前に届け出ておくのが安全です。変更認定が必要な事項は、変更する前に認定を受けなければなりません。

技能実習生の職種は変更できますか?

認定計画にある職種・作業に新しい職種・作業を追加する場合は、変更認定の対象です。認定計画の職種・作業の実習をやめて、全く別の職種・作業の実習に切り替える場合は、変更認定では足りず、新規の技能実習計画の認定が必要とされています。実務上は、職種の切替えは認められにくいと考えておくべきです。職種が合わなくなった実習生のその後の選択肢は、技能実習と特定技能の違いとは?も参考にしてください。

技能実習生の残業が増える場合は何が必要ですか?

月ごとの時間外労働の時間数を45時間(1年単位の変形労働時間制では42時間)を超えて延長するときは軽微変更届出、月ごとの時間外労働等の合計を80時間を超えて延長するときは変更認定が必要です。いずれも36協定の写しと、やむを得ない業務上の事情を説明する資料を添付します。

監理団体を変えるにはどんな手続きが必要ですか?

監理団体の変更(交代)は、変更認定が必要な事項です。新しい監理団体との実習監理に係る契約書の写しなどを添付して申請します。監理団体の名称が変わっただけであれば、実習実施者側の手続きは不要です。

変更の区分は「計画の中身が変わるか」で考える

区分表の項目は多いものの、並べてみると考え方は一貫しています。技能を修得させる計画の中身、つまり目標、職種・作業、指導を担う監理団体、期間の長さ、時間の配分が大きく変わるものは変更認定。人や場所、待遇のように、計画の前提となる情報が変わるものは届出。本人に不利益がなく、計画の実施にも影響しないものは届出不要です。

筆者は、実習実施者の担当者が迷ったときは、まず施行規則17条1項の3つ(目標、職種・作業、実施に実質的な影響を与える変更)に当たるかを考え、次に区分表で該当する行を確認する順番をお勧めしています。とくに残業時間と宿泊施設は、現場の判断で変わりやすいのに届出の対象になっているため、変更の前に監理団体へ一報を入れる運用にしておくと漏れを防げます。

技能実習は2027年4月1日から育成就労制度に移行しますが、移行前に認定を受けた技能実習計画は経過措置のもとで続きます(経過措置の扱いは技能実習はいつ廃止?2027年4月以降の経過措置と今の実習生の扱い、新制度の全体像は【2027年4月施行】育成就労制度とは?)。変更の手続きを怠った状態は、実習認定の取消しや、次の受入れの審査に響きます。個別の変更がどの区分に当たるかは、事情によって判断が変わることがあるため、迷う場合は監理団体か機構に確認してください。

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根拠資料


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